不法侵入は現行犯以外は逮捕されない?後日逮捕は?専門弁護士が解説

最終更新日: 2024年01月10日

不法侵入は現行犯以外は逮捕されない?後日逮捕は?専門弁護士が解説
・不法侵入は現行犯以外での逮捕もあるの?
・後日逮捕されるとしたらいつ頃警察は来る?
・後日逮捕を回避する方法はあるの?

不法侵入、つまり住居侵入罪を犯してしまったけれどもその場では現行犯逮捕されなかったというケースはしばしばあります。このような場合、ある日突然警察が逮捕をしに来るのではないかと不安に思うことでしょう。

そこで今回は、不法侵入は現行犯以外での逮捕もあるのかなどについて専門弁護士が解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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不法侵入の現行犯以外の後日逮捕について

まずは不法侵入事件の後日逮捕の可能性や逮捕後の流れについて説明します。

後日逮捕される可能性

不法侵入は、被害者や目撃者による現行犯逮捕、通報を受けた警察官による現行犯逮捕が多くあります。もっとも、現行犯逮捕はされなかったものの、後日逮捕されるケースも多くあります。

例えば、被害者や目撃者の通報を受けた警察官が、目撃情報を踏まえて犯行現場付近の防犯カメラを精査し、犯人を特定するケースはよくあります。

したがって、不法侵入は現行犯逮捕でなければ捕まらないということはなく、後日逮捕の可能性は多いにあります。

平成30年の統計によれば、住居侵入罪の検挙率は49.7%です。刑法犯の検挙率平均が37.9%であることを踏まえても、住居侵入罪の検挙率は比較的高いといえます。

後日逮捕までの期間

不法侵入を犯した加害者から、後日逮捕されるとしたらどれくらいの期間で警察は来るのか、どれくらいの期間、警察が来なければ後日逮捕はされないと考えてよいのかという弁護士への相談はよくあります。

この点については、捜査担当者の他の事件での忙しさ具合や証拠収集の難易度にもよりますので一概には言えません。

1週間ほどで警察が来ることもあれば、2、3か月後に来ることもありますし、半年後のケースもあります。

ですから、後日逮捕がないと明確にいえるのは、不法侵入の時効期間である3年が経過した時点ですが概ね半年も経てば後日逮捕の可能性は低いと考えて良いでしょう。

逮捕後の流れ

不法侵入で後日逮捕された場合、原則として48時間以内に検察庁へ事件送致されます。

もっとも、平成30年の統計によれば1割ほどの事件は検察庁へ事件送致される前に警察の判断で釈放され、在宅捜査となっています。

このようなケースでは、勾留要件である罪証隠滅や逃亡の恐れが乏しいと警察が判断したものと考えられます。

検察庁へ事件送致されると24時間以内に検察官が裁判官に勾留を請求します。この勾留請求についても、1割ほどの事件については検察官が勾留請求をせず、被疑者を釈放しています。

警察から事件送致を受けたものの、裁判官が勾留を認める可能性が低いと検察官が判断したケースではこのように勾留請求はなされずに釈放されることになります。

検察官が勾留請求をすると約9割の事件で裁判官は勾留を認めています。そして勾留が認められると10日間、勾留され、更に捜査の必要があれば最大で10日間、勾留期間が延長されます。

その後、通常は、勾留期間の最終日に検察官が起訴処分とするか不起訴処分とするかの判断をくだします。

再逮捕されるケースも

不法侵入は、単に家に入って見たかったというケースは稀で、財物や下着の窃盗、わいせつ行為、殺人、暴行傷害など他の犯罪の手段として行われることがほとんどです。

特に窃盗やわいせつ目的の場合には1度限りではなく、犯行が繰り返されていることが多いことから、一度逮捕されると、捜査を進めるなかで、被害者から被害届の出ている他の不法侵入事件の被疑者として浮上することがあります。

そのような場合、逮捕のきっかけとなった事件の勾留が終わっても、釈放と同時に別件で再逮捕され、再び、勾留が続くことになります。さらに再逮捕が続くと勾留期間が数か月、1年に及ぶようなケースもあります。

余罪があるケースでは弁護士とよく相談の上、捜査対応を考えることが重要です。

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不法侵入の後日逮捕は自首をして回避

以上、不法侵入による後日逮捕やその後の流れを確認しました。次は、不法侵入で現行犯逮捕されなかった場合に後日逮捕を回避する方法について説明します。

自首による逮捕回避

犯行後、今日にも警察が逮捕状をもってやって来て後日逮捕されるのではないかと不安を抱えて生活している加害者の方は多くいます。

執行猶予中であったり、複数の前科があったりなど今度捕まれば刑務所に入る可能性が高いような加害者でない限り、一番の不安は、後日逮捕されて留置場に入れられてしまうこと、それによって仕事を失うことでしょう。

自首をすれば逃亡や証拠隠滅など捜査の支障になる事態が生じる可能性は低いと警察は判断をしますので、逮捕はされず、在宅捜査となる可能性が高くなります。また自首の際に、弁護士が同行し、弁護人として選任されている旨を届ければ、弁護士の監督があることからより一層、逮捕の可能性は低くなります。

このように不法侵入で現行犯逮捕されなかった場合、自首をすることで後日逮捕を回避できる可能性が高くなります。

さらに、自首後に弁護士を通じて被害者と示談をすれば、被害金額などにもよりますが、多くのケースで不起訴処分(起訴猶予処分)となるでしょう。

被害届が出なかった場合

自首した結果、被害者から被害届が出ていないケースもあります。その場合、警察は被疑者の申告に基づき、侵入した家の住人に被害の有無を確認します。

しかし、被害者から被害届が出ていないケースのほとんどは、住人が住居侵入の被害にあったことに気が付いていないケースですから、被害の有無が明らかにならないことも多いでしょう。

この場合、被害届は出ず、そのまま捜査は開始されずに事件終結となります。

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まとめ

以上、不法侵入の後日逮捕についてご説明しました。

他の犯罪にも言えることですが、不法侵入についても後日逮捕の可能性は多いあります。いつ警察が逮捕状をもってやって来るかわからないという不安から解放される、また後日逮捕されるリスクを低減させるという点で自首のメリットは大きいといえます。

後日逮捕されない、つまり逃げ切れるという可能性に賭けるよりも、自首をするメリットの方が圧倒的に大きいというべきでしょう。不法侵入での後日逮捕が不安な方は、早急に、刑事事件の経験が豊富な弁護士にご相談ください。

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