弁護士法人 春田法律事務所

婚前契約について基本から分かりやすく専門弁護士が徹底解説

婚前契約について基本から分かりやすく専門弁護士が徹底解説

婚前契約について基本から分かりやすく専門弁護士が徹底解説婚前契約ってどんなものなの?
婚前契約は作った方がいいの?メリットやデメリットは?
婚前契約を作る場合、どうやって作れば良いの?

最近、各種メディアで「婚前契約」が取り上げられることが増えましたが、網羅的に詳しく説明をした読み物は少ないので、このような疑問を持たれる方は多いでしょう。

今回は、多数の婚前契約を作成してきた婚前契約の専門弁護士が、婚前契約について基礎から分かりやすくご説明します。

それでは参りましょう。

目次

婚前契約とは?

婚前契約とは?婚前契約という言葉を聞いたことがない方も、聞いたことがあるけどどんなものかわからないという方もおられるでしょう。まずは、大まかなに婚前契約とは何かについてご説明します。

  1. 婚前契約の意味
  2. どんな人がするの?
  3. 目的は離婚時のことだけじゃない!

以上の順番で見ていきましょう。

婚前契約の意味

婚前契約とは、その名のとおり、結婚前(入籍前)にカップルが結ぶ契約です。

その内容は、家事育児や仕事、日常生活に関する事柄から、不倫したときのペナルティ、離婚するときの財産分与、養育費など多岐にわたります。

婚前契約と同じ意味合いで使われる言葉に夫婦財産契約やプレナップという言葉があります。プレナップは、英語をカタカタ表記したもので、婚前契約と完全に同義です。

他方、夫婦財産契約は、婚前契約とは多少異なります。夫婦財産契約は、夫婦の財産関係に関する契約で、上記のように様々な事柄を定めている婚前契約に包含される、婚前契約の一部です。

どんな人がするの?

婚前契約という言葉を聞いたことがある方は、お金持ちが離婚から財産を守るためにする契約というイメージをお持ちの方もおられるかもしれません。

確かに資産家の方がそのような目的で婚前契約を作成することはあります。

しかし、婚前契約はお金持ち、資産家だけが作成しているわけではなく、特に近時はそれ以外の方が作成することの方が圧倒的に多いです。

例えば、20代の若いカップルや、会社員のカップルなどごくごく一般的なカップルが婚前契約を作成しています。

婚前契約は未だ認知度が低いですが、どんなカップルにもメリットのある契約ですから、婚前契約というものを知り、作ってみようという人はどんどん増えています。

目的は離婚時のことだけじゃない!

歌手のシルバさんが婚前契約を作成したというニュースや記事をご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。

シルバさんの婚前契約は、財産に関することや離婚に関することを決めるのが主な目的ではなく、夫婦、家族、日常生活に関する様々な事柄を取り決めして、無用な衝突を防止し、夫婦円満を永続させることを目的とするものでした。

実際、シルバさんは結婚してから夫婦喧嘩をしたことは皆無だそうです。

お金のこと、日常生活、子供のこと、親族との関わりなど結婚後には必ず考えなければならない事柄を結婚前にじっくりとお互いの考えや価値観を話し合うことは稀でしょう。

そのため、結婚後に考えたこともなかったことで衝突し、最悪の場合、離婚に至ることが多くあります。

結婚する前に同棲をしていたとしても、家族になるとそれまでとは様々な違いが出てきます。

このように、婚前契約には財産や離婚のことを書くことは多いのですが、それ以上に、結婚前に結婚後の様々な事柄についてお互いの価値観や考えのすり合わせを行っておくことで、円満な夫婦関係を永続させる効果にこそ、婚前契約の目的があると考えることもできます。

日本でも婚前契約をする結婚は非常に増えています!

日本でも婚前契約をする結婚は非常に増えています!ここ数年、ニュースや記事で婚前契約という言葉を見聞きすることが日本でも増えました。

ここでは、そのような日本での婚前契約の広がりや、ヨーロッパやアメリカにおける婚前契約の沿革について以下の順にご説明します。

  1. 欧米が発祥ですが日本や韓国でも急増中
  2. 日本で婚前契約をする割合
  3. アメリカの婚前契約との違い

それでは、順番に見ていきましょう。

欧米が発祥ですが日本や韓国でも急増中

婚前契約の発祥は16世紀のイギリスと言われています。現在では、ドイツやフランスなどヨーロッパ諸国で婚前契約の認知度は高く、作成する方も多いようです。

アメリカでも婚前契約が普及したのは1980年代以降と言われており、意外にも最近のことです。離婚率の上昇が、婚前契約の広まりに寄与したことは間違いないでしょう。

アメリカやヨーロッパは契約社会だから婚前契約に対する抵抗感は少ないというような記述が見ることがありますが、欧米でも婚前契約を提案された相手が抵抗感をもつことはよくあることのようです。

最近のニュースでは、イギリスのヘンリー王子と結婚したアメリカの女優メーガン・マークルさんが婚前契約を提案したところ、ヘンリー王子は離婚することはないからという理由で婚前契約を拒否したというものがありました。

このように婚前契約は欧米で広まっていたものですが、ここ5年ほどで日本や韓国でも広がりを見せています。離婚率の上昇や、著名人・セレブが婚前契約を交わしたというニュースによって婚前契約の認知度が高まったことが一因でしょう。

日本と韓国の婚前契約に対する関心の高まりは非常によく似た状況にあるようです。

日本で婚前契約をする割合

日本で婚前契約を交わしたカップルの統計はありませんので、どれくらいの割合で婚前契約が作成されているのかはわかりません。

一つの指標として、登記件数があります。夫婦財産契約を内容に含む婚前契約については、法務局で登記手続きをすることができます。この登記件数については政府の統計があります。

その統計によれば、2005年以前は年間の登記件数は全国で5件以下でした。ところが、2010年頃には年間10件ほど、2016年以降は年間20件前後の登記がなされています。実に10年ほどで約4倍の登記がなされるようになったということになります。

婚前契約を作成したら必ず登記するわけではなく、登記する方はごく一部です。ですが、このような登記件数の急増を踏まえますと、日本で婚前契約を作成する方の割合は急増していることは間違いないでしょう。

アメリカの婚前契約との違い

アメリカで婚前契約の法的効力が認められたのは1970年代で、その後、1990年代には結婚するカップルの1割弱が婚前契約を結ぶほどに普及しました。

このように多くの婚前契約が作成されるようになり、また裁判所の判例も蓄積されていますので、各州の法律に婚前契約の内容や作成手続について詳細な規定が設けられています。

このようなアメリカにおける婚前契約の経緯を踏まえますと、日本でも20年、30年以内には1割ほどのカップルが婚前契約を作成する時代になるかもしれませんし、そうなれば婚前契約に関する法律が制定される可能性は十分あるでしょう。

結婚は嫌だ!したくない!という方にも婚前契約はおすすめ

結婚は嫌だ!したくない!という方にも婚前契約はおすすめ交際相手との結婚に二の足を踏む方は多くいます。その理由は様々です。例えば、以下のような理由をよく聞きます。

  1. 結婚したら仕事を辞めるように言われそう。
  2. 結婚したら生活費や子供の教育費をすべて出すことになりそうで嫌だ。
  3. 両親が離婚する際に大変だったから、結婚に踏み切れない。
  4. 前の離婚で揉めたから、万が一離婚することになったらと思うと再婚の勇気が出ない。
  5. 交際相手が浮気性で、結婚後に浮気をされるのが心配だ。
  6. 自分には資産がある、あるいは今後事業で成功して資産ができるので、離婚したときに多くの財産を失うのが怖い。
  7. 自分はお金に関心がないが、将来相続する家の資産が相手に行くことを両親が心配している。
  8. 相手には奨学金など多額の借金があるので、結婚が不安だ。

 

このように人それぞれ様々な理由で結婚は嫌だ、結婚したくないと考えるようです。

実は、このような結婚に二の足を踏む原因については、そのほとんどを婚前契約によって解決することができます。結婚したくないから相手と別れることはないのです。また、不安をもちながら結婚する必要もなくなります。

婚前契約の具体的な内容については、後ほどご説明します。

婚前契約を結婚時にするメリット

婚前契約を結婚時にするメリット婚前契約は、結婚したくない人にとっても結婚をしやすくする効果があるというお話をしました。婚前契約のメリットはそれだけではなく、以下のようなメリットが挙げられます。

  1. 結婚におけるお互いの意見、考えのすり合わせ
  2. 円満な結婚が続く
  3. 結婚後の浮気の防止
  4. 離婚で揉めない
  5. 結婚後の財産を守れる

以下、順番に見ていきましょう。

結婚におけるお互いの意見、考えのすり合わせ

離婚原因の第1位、離婚した夫婦の5割以上が性格の不一致を理由として挙げています。

交際するのと結婚するのでは異なります。結婚前に同棲していたとしても同様です。

家族として人生を共にすることになると、交際中には直面しなかった様々な事柄に直面し、考え、決定しなければなりません。

多くのカップルがそのような結婚後のことについて深くは話し合うことなく結婚することから、結婚した後に初めて相手の考え、価値観と合わないとわかり、離婚に至ってしまうのではないでしょうか。

婚前契約を作成する際には、外でお酒を飲むのは週に何回まで、帰宅が遅くなるときは必ず事前に連絡をする、家事や育児の分担方法、生活費の負担方法、貯金の方針、妊娠・出産後に仕事を続けるかなど、結婚後の生活を具体的にイメージしながら様々なことを話し合います。

このように婚前契約の作成を通じてお互いの意見、考え、価値観をすり合わせることで相手に対する理解が深まり、結婚後に性格の不一致に気が付く、「こんなはずじゃなかった」という事態を減らすことができます。

円満な結婚が続く

上記のように結婚後の様々なことを話し合い、考えが同じではない点については妥協点を見出しておくことで、事前に揉める、喧嘩になる原因を潰しておくことができます。

単に話し合っただけでなく、お互いが納得して決めたルールを契約書という法的書面にしておくことで、結婚後も契約内容を都度確認し、契約を守ろうという意識になります。

このように婚前契約を作成することで、夫婦喧嘩が減り、夫婦円満が続くことを期待できます。

歌手のシルバさんは、約1年半にわたって様々なことを話し合い、婚前契約を作成したそうで、その結果、結婚後に喧嘩をしたことは1度もないそうです。

結婚後の浮気の防止

夫婦の不倫トラブルは非常に多く、裁判にまで発展するケースも少なくありません。

不倫、浮気を含む異性問題は離婚原因の第2位になっており、約2割の夫婦がこれを原因に離婚しています。

このように異性問題はとても多いことから、交際中に相手の浮気があったというカップルはもちろん、交際中にはなかったが結婚後の相手の浮気が心配という方は多いです。

婚前契約では浮気をしたときの慰謝料やそれを原因に離婚した場合の財産分与などの離婚条件について定めることができます。これによって相手には浮気の抑止力となりますし、ご自身にとっても多少なりとも安心できる材料になるでしょう。

性交渉が浮気の中枢ですが、それ以外にも無断で異性と二人で食事に行かない、風俗店や女性が接待するお店に行かないなどのルールを定めるカップルもいます。

離婚で揉めない

先ほど婚前契約を作成することで、夫婦円満を期待できるといいましたが、婚前契約に違反して浮気をしたということもありえますし、婚前契約では想定していなかったことでお互いの考えが一致せず離婚を選択するということはありえます。

離婚をする場合、夫婦の財産を分配する財産分与や慰謝料、子供の親権、養育費などを決めることになります。多くの場合、離婚するときには関係が悪化していますので、お金や子供という重要な問題について相手を思いやったスムーズで円満な合意が難しくなります。

これらの話し合いで揉めますと、弁護士に依頼する、離婚調停や訴訟に至るなど金銭的、時間的なコスト、精神的負担がかかりますし、二人の間に大きな遺恨が残ります。

婚前契約で予めこれらのテーマについて定めておけば、基本的にはその契約どおりに離婚することになりますので、後腐れなく、円滑に離婚を成立させることができます。

結婚後の財産を守れる

従来の婚前契約に対するイメージにあるとおり、お金持ち、資産家が離婚から財産を守ることができるというメリットがあります。

結婚した後に増えた財産は離婚時に実質的には夫婦の共有の財産だとみなされて基本的には半分ずつに分配されます。これが財産分与です。

婚前契約では財産分与の対象となる財産を限定したり、分配の割合を決めたり色々な定め方をすることができますので、離婚によって大きく財産を失う事態を回避できます。

婚前契約にはメリットだけでなくデメリットも

婚前契約にはメリットだけでなくデメリットもこのように婚前契約には様々なメリットがあるのですが、全く懸念すべき点がないというわけではありません。以下のようなデメリットが挙げられます。

  1. おかしい、信用されていないと思われる
  2. 結婚を拒否されるかも

以下順番に見ていきましょう。

おかしい、信用されていないと思われる

婚前契約には賛否両論の意見があり、反対意見としては、結婚するときから離婚のことを考えるなんておかしいという意見、契約なんかしなくても都度話し合えばいいという意見、相手のことを財産目当てと信用していないのではないかという意見など様々です。

婚前契約のメリットを考えて相手に提案したところ、相手からこのような反対意見が出て喧嘩になる可能性があります。この点は婚前契約のデメリットでしょう。

反対意見の多くは感情的なもの、表面的なものですから、婚前契約を作りたいと考えた動機、理由、婚前契約のメリットを丁寧に説明して相手の誤解、不安を解くことが重要です。

結婚を拒否されるかも

婚前契約に対して拒否反応を示す相手の誤解や不安を解くために説明をしてものの、結局、了承してくれない場合があります。

また、相手の友人や親も、婚前契約を求めるような相手とは結婚するなと助言するかもしれません。

このように円満な結婚生活を目指して婚前契約を提案した結果、結婚を拒否されるという事態になる可能性があります。これが婚前契約の最大のデメリットでしょう。

婚前契約について相手の誤解などを解くために一生懸命説明したのに頑なに拒否する相手とは、結婚してもうまく行かないだろうと考える方にとってはデメリットにはあたらないかもしれません。

婚前契約のメリット、デメリットについては以下の記事もご覧ください。

関連記事:婚前契約のメリットを解説!デメリットもある?:春田法律事務所

国際結婚や事実婚でも婚前契約はおすすめ

国際結婚や事実婚でも婚前契約はおすすめ最近は国際結婚をするカップルは多いですし、また法律婚という形に拘らず事実婚を選択するカップルも増えてきました。

婚前契約はこのような国際結婚や事実婚をするカップルにもお勧めです。以下、順番にご説明します。

海外とは異なる風習、価値観等のすり合わせ

国際結婚では、生まれ育った環境の異なる海外の方と結婚します。

そのため、日本人同士の結婚よりも一層、結婚後の具体的な結婚生活についてよく話し合い、異なる慣習を確認し、お互いの価値観をすり合わせるというプロセスを経ることが重要といえます。

国際結婚の場合、婚前契約が準拠する法律を日本法にするのか、海外の法律にするのかについても話し合って決める必要があります。

事実婚という関係を契約で明確化

事実婚は夫婦になる、結婚する意思をお互いが持っている点は法律婚と同じで、入籍しないという違いがあるのみです。

事実婚は入籍というプロセスがないため、いつ事実婚が始まったのか、二人の関係は単に同棲しているカップルではなく事実婚なのか、という点が不明確になってしまいます。そこで、婚前契約にこれらの点を明記すると良いでしょう。

また、事実婚解消時の財産分与、不貞があったときの慰謝料など、判例で多くの法律婚に適用される法律が事実婚にも適用されることになっていますが、あくまで解釈によって適用されるというものですから、婚前契約に明記すると良いでしょう。

婚前契約は結婚後でも作成できる?適切なタイミングは?

婚前契約は結婚後でも作成できる?適切なタイミングは?今週入籍予定だが、こらから婚前契約を作成できるかというご相談を受けることがあります。また、既に入籍したけれどもこれから婚前契約を作成できるかというご相談もあります。

ここでは婚前契約の作成を始める適切な時期や、入籍時期との関係についてご説明します。

  1. 婚前契約を作成し始める適切な時期は?
  2. 入籍後に作成できるものとできないもの
  3. 入籍後に変更はできるの?

それでは順番に見ていきましょう。

婚前契約を作成し始める適切な時期は?

婚前契約の作成において最も時間がかかる、時間をかけるべき工程はカップルで話し合うところです。

先ほど婚前契約のメリットとしてご説明しましたとおり、結婚後の生活について具体的に話し合い、お互いの意見、考え、価値観をすり合わせることで、円満な夫婦関係の持続を期待できるからです。

カップルでの話し合いの時間はどれだけ設けてもよく、歌手のシルバさんは1年半も前から話し合ったとのことです。

そのような話し合いを経た後、婚前契約の案文を作成する工程自体は婚前契約の作成に慣れた弁護士などの専門家に依頼をすれば10日もあれば十分です。

もっとも、登記をする場合には必要書類もありますので、余裕をみて入籍の2週間前までには専門家に依頼することをお勧めします。

入籍後に作成できるものとできないもの

婚前契約に関する記事を見ていると「夫婦財産契約」という言葉を目にすることがあります。婚前契約と同義に使用されていることもありますが、厳密には異なります。

夫婦財産契約は、婚前契約のうち、夫婦の財産関係についての条項です。

この夫婦財産契約については、日本の民法では、婚姻前にしか作成できないと規定されています(民法第755条)。

大抵の婚前契約には夫婦財産契約を含みますので、入籍前に作成することが必要となります。登記手続きの際も、婚姻前であることの資料として戸籍謄本の提出を求められていますので、登記手続きは入籍前にしかできません。

他方、家事育児や浮気したときの慰謝料の条項など夫婦財産に関わらない条項のみの婚前契約もあります。このような婚前契約は、夫婦財産契約を含みませんので上記の民法の規定の適用はありません。

もっとも、夫婦間の契約はいつでも一方から取り消せるという規定が民法第754条にあります。そうすると、入籍後に婚前契約を交わした場合、いつでも一方から取り消されてしまうのではないかとも思えます。

しかし、この民法第754条は事実上死文化していますので、実際にこの規定によって契約が取り消されることは心配しなくて良いでしょう。

入籍後に変更はできるの?

実際に結婚生活を始めてみると、入籍前に作った婚前契約が実生活にマッチしなくなることがあるでしょう。このような場合に、婚前契約を変更できるのでしょうか。

この点も先ほどの民法の規定と関係します。夫婦財産契約については入籍前にしか作成できないと民法第755条に規定されていました。これを踏まえ、民法第758条1項は夫婦の財産関係は入籍後に変更できないと規定しています。

これも婚前契約のうち夫婦財産に関する条項についてのみいえることで、その他の条項については適用はありませんので、入籍後の変更は可能です。

そのような変更を可能にするために、婚前契約には契約の変更方法(例えば書面で行うなど)についても定めておくべきです。

婚前契約の作成時期については以下の記事もご覧ください。

関連記事:婚前契約は結婚前(入籍前)でなければならないのか?:春田法律事務所
関連記事:婚前契約を結婚後に変更・取消しをすることはできるのか?:春田法律事務所

法的効力のある婚前契約書を作成するには?

法的効力のある婚前契約書を作成するには?売買契約や賃貸借契約では法的効力の有無が話題になることはあまりありません。しかし、婚前契約はそのような契約とは異なり、家事育児など法的な事柄でない事柄も定めることが多いため、法的効力が話題になることが多くあります。

ここでは婚前契約の法的効力について以下の順にご説明します。

  1. そもそも法的効力とは?
  2. 私文書でも法的効力はある
  3. 公正証書にした方が有効性は高い?
  4. 婚前契約の判例はほぼ無く有効性の判断が難しい
  5. どんな場合に有効でどんな場合に無効?

それでは見ていきましょう。

そもそも法的効力とは?

契約の有効、無効ということがありますが、有効とは法的効力があること、無効とは法的効力がないことです。

法的効力がある契約とは、契約した当事者が契約に拘束されること、契約違反があれば裁判で契約の履行を求めることができることをいいます。

ただし、契約内容によっては法的効力は認められても、その強制執行までは認められないものもあります。つまり法的効力がある、有効であることと、強制できることはイコールではありません。

婚前契約にはこのような有効な条項もあれば無効な条項もあり、無効とわかっているけれども敢えて無効な条項を入れることもあります。

一部の条項が無効だと婚前契約全体が無効になるのかというとそうではなく、原則として、当該一部の条項のみが無効となり、その他の条項の法的効力には影響しません。

私文書でも法的効力はある

婚前契約においては、公正証書とそれ以外の契約方法があり、公正証書でないものを私文書と表現されています。弁護士が作成した場合も私文書です。

ネット上の記事を見ていますと、婚前契約書は公正証書にしなければならない、登記をしなければならないなど、私文書のままでは法的効力が認められないかのような記載を見かけることがあります。

法的効力は婚前契約書の内容が法律や判例に違反しないか、相手に法的に強制できる内容かどうか、その作成過程に強迫や詐欺がないかという観点から判断されます。

逆に言えば、これらの点をクリアしていれば、カップルだけで作成した私文書としての契約書には当然に法的効力が認められます。

公正証書にした方が有効性、法的効力は高い?

また、婚前契約書は公正証書にした方が有効性、法的効力が高まるという記載を見かけることもあります。

確かに、公証役場で公証人が一応は内容を確認し、明らかに法律に違反するような内容であればその削除を求められますので、有効性が高まるというのは間違っていません。

もっとも、有効性が担保される、保証される、完全に有効なものになるというわけではありません。なぜなら、最終的に有効性を判断するのは裁判所だからです。

つまり、公正証書になったとしても、裁判でその有効性が否定される可能性があります。とりわけ婚前契約は、後でもご説明しますが判例がほとんどないことから、公証人であってもその有効性を過去の判例に照らして判断することができないのです。

逆にいえば、裁判では有効と判断されたかもしれない内容を公証人の判断で削除されてしまう可能性があります。せっかく二人で決めた契約内容なのに、そのように削除されてしまうのは問題でしょう。

また、強迫や詐欺によって婚前契約を締結している場合、その点は公証人でも判断できませんので、強迫や詐欺を理由に公正証書となった契約の法的効力が否定されることもあります。

なお、公正証書にした方が証明力、証拠価値が高まるということがあります。これは公証人が本人確認をしてくれるため(私署証書認証、宣誓認証といいます。)、後日、「そんな契約にはサインしていない」という反論ができなくなるという意味です。内容の有効性、法的効力と関係はありません。

公正証書については以下の記事もご覧ください。

関連記事:婚前契約書の公正証書と私文書の違いとは?弁護士が分かりやすく解説!:春田法律事務所

婚前契約の判例はほぼ無く有効性の判断が難しい

契約書を作成する際、書こうとしている内容が有効かどうかを判断するのに参照するのが法律や判例です。

判例が蓄積される、法律が制定・改正されるためには、世の中に多数の事案が発生していることが必要です。

しかし、婚前契約は最近になって作成する方が増えてきたもので、10年ほど前には作成する方はほとんどいませんでした。

そのため、婚前契約の有効性について裁判で争われたケースはほとんどなく、現状、夫婦財産契約の内容の有効性について判断した判例は、次のものくらいしか見当たりません。

夫婦いずれかの申し出によっていつでも離婚でき、いずれが申し出るかによって財産分与金額を異にしている婚前契約について、離婚という身分関係を金員の支払によって決するものであるから、公序良俗に反し、無効と判断した判例です(東京地判H15.9.26・H13(タ)第304号等)。

もちろん、かなりの確度で裁判になったときに有効となるか無効となるか判断できる契約内容の方が多いのですが、このように婚前契約に関する判例がほとんどないため、現状は有効性の判断が難しい契約内容もあります。

どんな内容が有効でどんな内容に無効?

上記のとおり、判例が乏しいため有効性の判断が難しい内容もありますが、明確に無効と判断できる内容はあります。そのような条項の一例ついてご紹介します。

なお、法的効力がない、無効な内容であっても相手がそれに自主的に従うことは期待できますので、無効な条項を婚前契約に定める意味がないとは言えません。

離婚原因

民法第770条1項に不貞行為など離婚原因について定められています。もっとも、これらに該当したとしても裁判所は必ず離婚を認めてくれるわけではありません(同条2項)。

婚前契約には、こうなったら離婚する、離婚に応じると定めることがあります。例えば、以下のような内容を定めることがあります。

  • 不貞をしたら離婚に応じること
  • 一方が離婚を申し出て、その申し出が半年間撤回されなかったら、他方は離婚に応じること
  • 1年間別居が継続したら、一方からの離婚の申し出に他方は応じること
  • 婚姻日から10年が経過するまでは離婚できないこと

しかし、先ほどの民法のとおり、離婚原因については最終的に裁判所が判断することになっていますので、婚前契約にこのような条項を定めても法的効力はなく、無効です。

不貞行為については民法にも離婚原因として定められていますが、不貞が原因で離婚を裁判所が認めたとしても、それは婚前契約に基づき離婚が認められたのではありません。

子供の親権、養育費

離婚するときには、子供の親権者を父親と母親いずれにするのか、子供の養育費を幾らにして、何歳まで支払うのかを決めます。

この親権や養育費は親の都合ではなく、子供の利益を最優先に決定される必要があります。

親権については婚前契約に定めることはできますが、法的効力はなく、例えば、親権は母親とすると書いたとしても、離婚するときに父親は婚前契約に拘束はされず、親権を争うことができます。

養育費については、家庭裁判所が採用している標準的算定方式という計算方法があり、両親の年収から一定額が算出されます。こうして算出される金額以下の水準の養育費を婚前契約で定めたとしても、子供の利益を害していますので、無効です。

他方、この水準以上の養育費を定めた場合、その法的効力は認められると考えられます。

暴利な慰謝料など

慰謝料を1000万と婚前契約に書きたいというご相談がしばしばあります。しかし、少なくとも日本では、その原因が不貞であれ暴力であれ、裁判で慰謝料として1000万円が認められることはまずありません。

日本では、精神的苦痛に対する賠償はさほど高くならないのです。これは当事者が資産数十億の資産家であっても同じです。

したがって、あまりに高額な慰謝料を定めても公序良俗に反するとして無効となります(民法第90条)。

婚前契約書は自作でも良い?作り方から登記までの手続き

婚前契約書は自作でも良い?作り方から登記までの手続きここまで婚前契約の概要についてご説明しました。ここでは具体的に婚前契約はどのような流れで作っていくのかご説明します。

  1. 覚書や誓約書でも良いのか?
  2. 自分でも簡単にできる
  3. 叩き台ができたら専門家に相談
  4. 手書きでも良いが印字の方が良い
  5. 作成した書類は公正証書で公的な文書にする?
  6. 財産関係の契約は登記までしましょう
  7. どこで登記すれば良いの?
  8. 婚前契約の作成にかかる時間はどれくらい?

以上を順番に見ていきましょう。

覚書や誓約書でも良いのか?

契約書と似たものに覚書や誓約書があります。

覚書とは、本来は備忘録のような意味合いです。正式に契約を締結する前に確認事項や合意事項を記載したり、契約締結後に、契約内容の一部を変更したり、契約内容などに関する確認事項を記載し、双方が署名捺印します。

このように覚書は本体の契約書とは異なるものとして用いられるのが通常ですから、婚前契約書のタイトルを覚書とするのは適切ではありません。

覚書は双方が守るべき事柄や意思表示が記されますが、誓約書は一方だけが守るべき事柄や意思表示が記されます。婚前契約書はカップルの双方を拘束する契約書ですから、誓約書というタイトルは適切ではありません。

タイトルは「婚前契約書」としましょう。

自分でも簡単にできる

婚前契約書は弁護士などの専門家に依頼せずともカップルだけで作成することも可能です。

特に、法的効力とは関わりのない、結婚生活における各種のルールだけを記載した婚前契約であれば自分で作成したものでも十分でしょう。

夫婦の財産関係や財産分与、慰謝料など法的効力が関わる内容であっても、当事務所のホームページなどのひな型や情報を踏まえて、自分で作成することは可能です。

叩き台ができたら専門家に相談

カップルで話し合い、ひな型をもとに婚前契約書の叩き台を作成したら、その段階で弁護士などの弁護士に相談をしましょう。

法的効力が認められる内容か、意図したとおりの効果を生じさせる表現になっているかについては、法律の専門家のチェックを受けることをお勧めします。

手書きでも良いが印字の方が良い

自宅にパソコンがないという場合、手書きで作成することになってしまいます。

手書きであっても、判読できる字で記載されているのであれば法的効力に影響はありませんが、加除修正は面倒です。また婚前契約は長期間保管しなくてはならないので、印字されたものの方が文字の劣化はいにくいでしょう。

どうしてもパソコンを用意できないときは、行政書士に依頼をして印字のものを作成してもらうことをお勧めします。

作成した書類は公正証書で公的な文書にする?

自分で作成した婚前契約書は私文書です。私文書であってもその内容や作成手続が適正であれば法的効力は当然にあります。

公証役場で公正証書にした方が法的効力が高いとか、有効性が高まるというわけではありませんし、婚前契約書の場合には公正証書にすることのデメリットの方が大きいということは先ほどご説明しました。

よって、自分で作成した婚前契約書を公正証書にする必要はありません。

財産関係の契約は登記までしましょう

公正証書にする必要はありませんが、自分で作成した婚前契約に夫婦財産契約が含まれているときは、法務局で登記手続きをしましょう。

夫婦財産契約とは、夫婦の共有財産や特有財産に関する条項のことです。登記をすることで、債権者や相続人などカップル以外の第三者に対しても婚前契約の効力を主張できるようになります。

どこで登記すれば良いの?

婚前契約の登記をする法務局は、「外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律」の第5条によって管轄が決まります。

日本国内に住所が無いなどの例外的な場合でない限り、以下の法務局が管轄の法務局となります。

  • 夫婦となるべき者が夫の氏を称するとき 夫となるべき者の住所地を管轄する法務局
  • 夫婦となるべき者が妻の氏を称するとき 妻となるべき者の住所地を管轄する法務局

例えば、婚姻後は夫の苗字を名乗る場合で、夫が東京都港区に住民票を置いているのであれば、港区の法務局に登記の手続きすることとなります。

婚前契約の作成にかかる時間はどれくらい?

ネット上の情報を見ていますと婚前契約の作成には3,4か月かかるという記載を見かけることがあります。

婚前契約の作成で最も時間がかかる、また時間をかけるべきはカップルで結婚後の生活について話し合い、どのようなルールを定めるか考えるプロセスです。

その後、弁護士などの専門家に依頼をして婚前契約書を作成する場合、早ければ2、3日で婚前契約書を作成することは可能です。

もっとも、入籍直前ですと婚前契約書の内容について十分な検討時間を設けられませんので、遅くとも入籍の2週間前には弁護士などの専門家に相談、依頼することをお勧めします。

財産分与や浮気など婚前契約書の内容について条項の例も合わせてご紹介

財産分与や浮気など婚前契約書の内容について条項の例も合わせてご紹介婚前契約を作成する流れについてご説明しました。次に、婚前契約には具体的にどのような条項を盛り込むのか、条項例もご紹介しながらご説明します。

婚前契約に定める項目の大枠

何となく婚前契約を作成したいと思っているけれど何を書けばいいのかわからない、離婚時の財産分与については定めたいけど他にも入れておくと良い条項があれば教えて欲しいといったご相談はよくあります。

婚前契約に定める項目の大枠は次のとおりです。

  1. 結婚生活に関するルール
  2. 浮気に関する条項
  3. 夫婦の財産関係
  4. 結婚前の借金や結婚後の借金
  5. 別居中の婚姻費用
  6. 離婚する際の財産分与、親権、養育費など
  7. 婚前契約の変更や解除
  8. 管轄と準拠法
  9. 相続については婚前契約ではなく遺言で

以下各項目について具体的に見ていきましょう。

結婚生活に関するルール

婚前契約の一つの重要なメリットは、結婚生活についてカップルでよく話し合い、お互いの考え、価値観のすり合わせをする点にあります。

これによって結婚後の「こんなはずじゃなかった」という性格の不一致による不和を減らすことを期待できます。

このような結婚生活に関するルールは、カップルによってその内容も数も異なりますが、以下ではよくある一例をご紹介します。

プライバシーの尊重

結婚をして一緒に生活する場合にもお互いのプライバシーはある程度尊重したいという意見はよくあります。

結婚後によくある、しかも大きな喧嘩の原因になるものに、相手の携帯電話やパソコンを無断で見る行動があります。特にやましいことがなくても、友人や家族とのやり取り、インターネットの閲覧履歴などを見られることに強い抵抗がある方は多いようです。

そこで、無断で携帯電話やパソコンを見ないことを婚前契約に定めて約束することがあります。

家事や育児

家事育児の分担については、夫婦間の喧嘩の原因になることが非常に多いようです。家事育児は所得こそ生みませんが、会社での労働と同様に負担の重い、かつ重要な仕事です。

家事育児の分担については、家計を一方が主として支えている場合には、他方が家事育児を主として行うなど家計の負担とのバランスで公平になるように定めることがあります。

また、共働きの夫婦の場合には、家事育児の負担が平等になるようにお互いに分担する契約内容にする方が多いです。

生活費の負担方法

生活費の負担方法は、お互いの収入や家事育児の負担を考慮して公平に分担したいという方が多いです。

長い結婚生活の中でどのような負担が公平かについては自ずと変化しますので、負担割合を定めるよりも、公平な負担となるように協議して決定するという程度に定めることをお勧めしています。

もう少し具体的に住居費はどちらが負担し、食費などのその他の生活費はどちらが負担するという定めをすることもあります。

親の介護

介護は社会的にも関心事で、最近は結婚する際に、将来相手の両親の介護をする負担を懸念する方も増えています。

そこで、婚前契約には自分の両親の介護は自分で責任をもって行い、相手にはその負担を強いないといった定めを設けることがあります。

宗教の自由

日本人は一般的に宗教に対する関心が低いですが、特定の宗教を厚く信仰している方も多くおられます。

そのような方と結婚する相手としては、宗教を自分や将来生まれてくる子供に強いることはしてもらいたくないと考えることがあります。

このような場合、婚前契約にお互いの信教の自由を尊重することを定めることがあります。

暴力や浮気の禁止と慰謝料

浮気や家庭内暴力は違法行為ですし、多くの離婚原因となっています。

そのため、結婚前にはそのようなことがなくても、結婚後にそのようなことがないか心配する方もおられるでしょう。

そこで、婚前契約には暴力や浮気をしないこと、もしそのようなことがあれば慰謝料として○○万円を支払うことといった定めを設けることがあります。

浮気の慰謝料については、以下で更に詳しくご説明します。

浮気に関する条項

浮気は離婚原因の第2位です。婚前契約に浮気をしたときの慰謝料について定めておくと一定の抑止力となることを期待できます。

浮気の定義

性交渉が浮気にあたることに争いはありませんが、その他の言動が浮気にあたるかどうかについては夫婦によって考えが異なる場合があります。

キスや抱き合う、手を繋ぐという行動、二人で食事に行く、キャバクラや風俗店に行くことも浮気と考える夫婦もあるでしょう。

そこで、婚前契約では単に「浮気」と記載するのではなく、浮気の定義も書いておくと良いでしょう。

ただし、キスは法的に不貞行為と評価されますが、抱き合う、手を繋ぐは不貞行為と評価されない可能性がありますし、二人で食事に行くこと、キャバクラや性風俗店に行くことは不貞行為とは評価されません。

不貞行為と評価されない言動があっても法的には慰謝料は発生しませんので、そのような言動については慰謝料ではなく違約金という形で定めた方が良いでしょう。

浮気したときの慰謝料の相場

浮気をしたときの慰謝料は幾らを設定するのが良いでしょうか。

浮気の慰謝料金額は、結婚年数や浮気が続いた期間、浮気を知って夫婦関係がどれ程悪化したかなど様々な事情を考慮して判断されます。

概ね、浮気が発覚した結果離婚する場合には200万円前後、離婚しない場合は100万円前後が相場です。

そこで、婚前契約に定める場合には100万円や200万円と定めることが多いです。

1000万円などの高額な慰謝料を定めたいという方もおられますが、日本の裁判所はそのような高額な慰謝料を認めることはほぼ無く、公序良俗違反として無効と判断される可能性があります。

そのため、慰謝料は高くても300万円から500万円ほどにとどめることをお勧めします。

浮気に関する条項の例文

さて、ここでは実際に浮気に関してどのような条項を書けばよいのか、例文をお示しします。

【条項例】
第〇条

  1.  甲又は乙が、不貞行為(性交渉、性行類似行為、キスを含む。)に及んだときは、他方に対して慰謝料200万円を支払う。
  2.  甲又は乙が、キャバクラなど異性が接待するお店を利用したとき又は性風俗店を利用したときは、他方に対して違約金50万円を支払う。

浮気しても慰謝料なしは可能?

多様な価値観がありますので、他方が異性と性交渉をするなど浮気をすることを容認する夫婦にごく稀にお会いします。

このように浮気を許容して慰謝料が発生しないようにする婚前契約に法的効力は認められるのでしょうか。

法律は、夫婦はお互いに貞操義務を負うという社会通念、一般的な価値観を踏まえ、不貞行為を不法行為として損害賠償の原因としています。

そのため、お互いの浮気を容認する契約はこのような法律が前提としている価値観に反し、公序良俗違反と判断される可能性が高いです。

したがって、浮気をしても慰謝料はなしとする婚前契約は無効です。

もちろん、相手がその契約内容に従って慰謝料を請求しないことは問題ありませんが、やはり慰謝料を請求したいと考えたときにはその契約内容には縛られず、慰謝料を支払ってもらえるということです。

夫婦の財産関係について

多くの婚前契約には夫婦の財産関係に関する内容を定めています。この夫婦の財産関係に関する契約内容が、民法に定められている夫婦財産契約です。

民法の法定財産制

婚前契約(夫婦財産契約)がない場合には、民法の定める財産制度(法定財産制)が適用されます。

法定財産制では、婚姻前の財産も婚姻後の財産も各自の特有財産(固有財産)となり、どちらの財産かわからない財産については共有財産と推定されます。このような財産制度を別産制ということがあります。

このように夫婦の財産は原則として特有財産なのですが、離婚時の財産分与では婚姻後に得た財産は実質的な共有財産とみなされ、原則5割の割合で各自に分配されることになります。

共有財産か特有財産か

以上が婚前契約(夫婦財産契約)がない場合の法定財産制ですが、婚前契約ではこれとは異なる財産制度を定めることができます。

婚前契約に定める法定財産制とは異なる財産関係は、概ね以下のいずれかのパターンです。なお、法定財産制と同じですが、確認的に婚姻前も婚姻後も特有財産と定めることもよくあります。

  • 婚姻前の財産、婚姻後の財産ともに共有財産
  • 婚姻前の財産は特有財産、婚姻後の財産は共有財産
  • 婚姻前の財産は特有財産、婚姻後の財産の一部は特有財産、残りは共有財産

財産の使用管理や処分の方法

共有財産と特有財産の区別を定めた場合、その使用収益、管理、処分の方法についても定めます。

共有財産については夫婦のいずれもが使用収益、管理、処分できるとするのが通常ですが、
一定額以上の財産を処分する場合には他方の同意を要すると定めることもあります。

また、一方が浪費する、勝手に大事な共有財産を処分してしまったなど管理が適切でないときには、他方のみを管理者とする条項を定めることもあります。このような管理者の変更については、民法にも条文があります(第758条2項)。

経営者の自社株や投資先の株式

経営者の方が自身の経営する会社の株式や直接投資している会社の株式は財産分与の対象外としたいというニーズはとても多くあります。

非公開会社の場合、株式の譲渡には株主総会の承認が必要となるのが通常ですから、株式自体が財産分与の対象となるわけではないのですが、その株式価値に相当する財産、金銭を財産分与することになります。婚姻前から保有している株式であっても婚姻後の価値上昇分について財産分与の対象となります。

通常、経営者の方は大きな割合で自社株を保有しており、会社の経営が順調であればその株式価値は大きなものとなります。

自社株の財産分与については財産分与割合は5割以下になることが多いですが、それでも支払うことが困難なほどの多額の財産分与をすることになる可能性があり、自社株を売却したり会社から借入をする必要が生じるなど、会社経営に影響を与えかねません。

婚前契約では自社株や投資先の株式を特有財産とし、かつ株式自体とその価値増加分も財産分与の対象外であること、寄与分は認めないことを定めることで、そのような事態を回避することができます。

資産家や金持ちは資産を特有財産にすべき

従来の婚前契約に対するイメージはお金持ちや資産家が離婚から財産を守る契約というものです。

ここまでにご説明しましたとおり、そのようなイメージは婚前契約の一面に過ぎませんが、そのような効果があることは間違いありません。

金融資産、不動産を多数保有している場合には、離婚時に多額の財産分与をすることになるのはもちろんですが、そもそも対象となる財産の把握のために争いが長期化しがちです。

そのため、資産家の場合は、財産分与は共有財産の分与という形ではなく、「婚姻年数×○○万円」という形で財産分与と慰謝料を含めた離婚給付を設定することをお勧めします。

このような形の婚前契約は海外のセレブや資産家の婚前契約によく見られるものです。

共働きの経済的に自立した夫婦の財産関係

現代では結婚後も夫婦ともに仕事を続けることが当たり前になりました。

夫婦ともに生活するのに十分な収入があり、経済的に自立したカップルの場合、結婚後も家計は別にしたいと考える場合が多くあります。

このような共働きの経済的に自立した夫婦の場合、結婚前の財産も結婚後の財産も全て特有財産として、財産分与の対象となる共有財産を共同生活に必要最小限にとどめる婚前契約を作成することをお勧めします。

【条項例】
第〇条(夫婦財産)

  1.  共同生活に必要な経費に充てるために、婚姻後速やかに共有の預金口座を開設し(甲、乙いずれの名義とするかは協議によって決める。)、双方が合意した金額、方法によってこの預金口座に預金する(以下「共有口座」という。)。
  2.  次の財産は夫婦の共有財産とする。
    (1)共有口座の預金債権
    (2)共有財産とすることに甲と乙が書面で合意した財産
    (3)共有財産を処分して新たに得た財産及び共有財産より生じた利息、配当、賃料等の果実
  3.  取得時期について婚姻前と婚姻後とを問わず、前項に定める共有財産以外の財産は全て、当該財産を自己の名義で取得した者の特有財産とする。

結婚前の借金や結婚後の借金

結婚相手に多額の借金があると結婚に不安をもつことがありますし、借金をよくする相手の場合は結婚後にも借金をするのではないかと不安になるかもしれません。

ここでは借金についての不安を低下させるための婚前契約についてご説明します。

民法における借金の扱い

民法では、結婚前の借金はその借金をした人だけが返済義務を負いますので、結婚相手が返済義務を負うことはありません。

また、結婚後の借金については、日常の家事に関する債務、つまり当該夫婦の日常生活に必要な範囲内の借金については夫婦が連帯責任を負いますが、それ以外の借金については借金をした人だけが返済義務を負います。

借金の返済は家計に影響する

上記のように結婚前の借金も結婚後の借金も借金をした人だけが返済義務を負うのが原則です。

もっとも、結婚後の家計が一緒になる場合にはたとえ借金をした方だけが返済義務を負うとは言っても、家計から返済することになりますので、事実上、他方も返済の負担を負うことになってしまいます。

結婚後も家計は別々にする場合には他方が返済の負担を負うことはありませんが、相手が返済困難にならないか、ブラックリストに載らないか、最悪の場合、自己破産になったりしないかという不安を抱えることになります。

借金についての条項例

以上のような不安を解消、低下させるためには、結婚前の借金を開示してもらう、借金がないことを誓約してもらう、結婚後に一定額以上の借金をするときは事前に他方の同意を得ることなどを婚前契約に定めると良いでしょう。

そして、これに違反したときはペナルティとして違約金を設定する、離婚原因として規定する、離婚条件を他方に有利にするといった条項を設けることもあります。

【条項例】
第〇条(債務)

  1.  甲及び乙は、本日時点においてお互いに○○万円以上の債務(保証を含む。以下同じ。)がないことを確認する。
  2.  甲又は乙が、婚姻後、○○万円以上の債務を負担するときは、事前に他方の書面による同意を得なければならない。
  3.  日常の家事に関する債務以外に、一方が負担した債務について、他方は一切の責任を負担しない。
  4.  前項の債務については、他方の書面による同意がない限り、その債務を負担する者の特有財産のみから弁済しなければならず、共有財産や他方の特有財産から弁済することはできない。

別居中の婚姻費用

配偶者と子に対しては扶養義務があります。そのため、別居に至った場合には基本的に収入の高い方の配偶者は他方に対して婚姻費用を支払う必要があります。

不貞行為や家庭内暴力など有責行為をした方は、別居期間が長く続いても婚姻費用を支払い続けなければならないのはやむを得ないでしょう。

他方、そのような有責行為はなく、性格の不一致などで別居に至った場合も何年も婚姻費用を支払い続けなければならないことに疑問を持つ方も多くおられます。

また、お互いに高収入で経済的に自立している夫婦で、婚姻費用の支払いは必要ないと考える夫婦もおられます。

そこで、婚前契約に婚姻費用の支払義務の免除や支払期間の制限をする条項を設けることがあります。

このような条項がいかなる場合も有効あるいは無効なのか、別居時の状況によって法的効力が左右されるのかについては未だ判例がありませんので、裁判になったときにその法的効力が否定される可能性は了承したうえで、婚前契約に定めましょう。

【条項例】
第〇条(別居中の婚姻費用)
 甲と乙が別居を開始した場合、別居した日の翌日から1年間を経過した日の属する月以降は、既に夫婦関係は破綻していることから、婚姻費用の分担請求はしないこととする。但し、別居の原因が義務者の不貞行為などの不法行為にある場合にはこの限りではない。

離婚する際の財産分与、親権、養育費など

結婚するときから離婚のことは考えたくはありませんが、離婚で揉めることを避けるために、ほとんどの婚前契約には離婚する際の条件も定められています。

離婚の条件とは概ね、財産分与、慰謝料、親権、養育費です。以下順番にご説明します。

財産分与の対象と割合

財産分与とは、結婚後に築いた夫婦の財産を各自に分配して清算するものです。

その対象となる財産は夫婦の実質的共有財産で、特に婚前契約に定めがなければ、婚姻後に築いた夫婦各自の財産全て(贈与や相続によって得た財産は除く。)が実質的共有財産とみなされます。

先ほどの共有財産と特有財産の定めに関係しますが、婚前契約では、共有財産の範囲を明確にしてそれだけを財産分与の対象とすることができます。

また、財産分与の割合は原則は5割、つまり半分ずつですが、この割合も婚前契約で変更することが可能です。通常は5割のままですが、例えば、不貞行為などがあったときはこの割合を7対3にするなどの契約をすることがよくあります。

資産家や経営者の場合は不公平にならないよう注意

夫婦の一方が資産家や経営者で、他方が家事専従という場合、上記のように財産分与の対象を限定してしまうと、往々にして家事専従の方へ分与される財産が非常にわずかになります。

家事専従によって他方を支えてきたにもかかわらず、財産形成にはほとんど寄与していないかのような財産分与は不公平といえますし、もし争われた場合には裁判所は法的効力を否定するかもしれません。

そこで、このような場合には財産を半分にすることまでは求められませんが、ある程度の財産が分配されるようにバランスをとるように注意した方が良いでしょう。

バランスのとり方の一つとして、離婚後の1年ほどの間、一定額の生活費を負担するという条項を設けることも考えられます。

慰謝料なしも可能

どちらに責任があるというわけではなく、お互いが望んで離婚する場合には慰謝料の支払いがないことが多いですが、離婚時には慰謝料を払うことが通常です。

婚前契約には、離婚時に慰謝料をお互いに請求しないという定めをすることがあります。このような定めをしたとしても、不貞行為や暴力などの有責行為がある場合には慰謝料の支払義務は免れません。

親権については法的効力はない

婚前契約では子供の親権者を父親と母親のどちらにするか定めることがあります。

しかし、子供の福祉、利益の観点からいずれを親権者とするのが適切か、最終的には家庭裁判所に決定権がありますので、このような婚前契約に法的効力はありません。

もっとも、夫婦がその婚前契約に自主的に従うことに問題はありませんので、法的効力がないからといって定めておくことが無意味とはいえません。

【条項例】
第〇条(親権)
 離婚後の子の親権者及び監護権者は乙とする。但し、子の福祉の見地から乙を親権者とすることが不適当な場合には、甲を親権者とする。

養育費の金額や算定方法

最後に、子供の養育費についてです。

子供の養育費の金額は、家庭裁判所の実務で採用されている標準的算定方式という計算方法で算定されます。

子供の養育費についてもやはり、子供の福祉、利益の観点から判断されますので、自由に婚前契約で決定することはできません。

もっとも、家庭裁判所の水準よりも高い水準の養育費の金額や支払期間を定めるのであれば、子供の福祉、利益には反しませんので法的効力は認められると考えられます。

【条項例】
第〇条(養育費)

  1.  養育費は、家庭裁判所実務の標準的算定方式に従って算定する。
  2.  離婚時に乙が家事専従の場合、乙の収入はゼロとして養育費を算定する。
  3.  甲は、離婚した日の属する月の翌月から子が22歳になる日の属する月まで養育費を支払う。
  4.  甲は、前項の養育費とは別途に、子の塾や予備校などの教育費、入学金や授業料などの学費を支払う。但し、1年間の上限金額は子一人につき100万円とする。

婚前契約の変更や解除

結婚生活は長く続きますので、結婚前に定めた婚前契約の内容が現状に合わなくなる可能性があります。そのような場合に婚前契約を変更したり、その全部又は一部を契約解除することはできるのでしょうか。

婚前契約のうち夫婦財産契約に該当する条項については、民法第758条1項で婚姻後の変更はできないと規定されています。そのため、夫婦が契約の変更や解除について争った場合には変更前の契約内容が適用されることになります。

また、登記した夫婦財産契約は原則として変更できませんので、第三者に対しても契約の変更や解除を主張(対抗)することはできません。

他方、婚前契約のうち夫婦財産契約ではない条項については婚姻後の変更も法律に違反しません。

婚姻後に変更する可能性が高くない条項については弁護士に依頼をして変更契約書を作成してのみ変更できると定め、例えば家事や育児の分担など婚姻後に変更する可能性が相当ある条項については協議して変更できると定めると良いでしょう。

【条項例】
第〇条(変更、解除)

  1.  甲及び乙は、合意によって、婚姻後に本婚前契約を変更、解除することができる。
  2.  前項の変更、解除は、甲又は乙の少なくとも一方が弁護士に委任して作成した契約書によってのみすることができる。
  3.  前項に関わらず、第〇条(家事育児の分担)ないし第〇条(親族との関わり)については、甲と乙が協議して変更することができる。

管轄と準拠法

離婚時に争いにならないために婚前契約を作成するのですが、婚前契約の履行を拒否する、婚前契約の法的効力を争うというケースがありえます。

この場合、どこの裁判所に提訴するのかについて婚前契約に特に定めがなければ法律に従って管轄の裁判所が決まります。

多くは相手方の住所地を管轄する裁判所になるのですが、相手方が遠方に転居してしまっている場合には遠方の裁判所に提訴しなければなりません。

そこで、婚前契約には夫婦いずれかの住所地を管轄する裁判所を管轄裁判所として定めておくことをお勧めします。そうすれば自分が居住する場所を管轄する裁判所に提訴することが可能となります。

また、結婚後に海外に転居する可能性がある方や外国人と国際結婚する方については、婚前契約の解釈、適用をいずれの国の法律に準拠して行うのかを明確にしておくべきです。

日本の法律に準拠するのであれば日本の弁護士に依頼をすればよいのですが、外国の法律に準拠する場合には、当該国の弁護士に相談、依頼しましょう。

【条項例】
第〇条(管轄)
 甲及び乙は、本契約に関し裁判上の紛争が生じたときは、甲又は乙の住所地を管轄する家庭裁判所又は地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする。

第〇条(準拠法)
本契約は、法の抵触のルールを排除して、日本法に準拠し、日本法に従って解釈される。

相続については婚前契約ではなく遺言で

夫婦の一方が相続した財産は、夫婦の共有財産ではなく特有財産となりますので、特段、婚前契約にて対応せずとも離婚時の財産分与の対象にはなりません(ただし、特に預貯金など共有財産と相続財産が混在しないように管理することは必要です)。

他方、夫婦の一方が亡くなったときの相続については、結婚にあたって何らかの対応をしたいと考える方も多くおられます。

例えば、中高年の方の再婚など前の配偶者との間に子供がいる場合、結婚時に将来の相続について結婚相手や子供から懸念が出ることがあります。

結婚相手は、前の配偶者との間の子ではなく自身や今後生まれる子に多く相続させて欲しいと考えるかもしれません。また、子供としても再婚相手ではなく自身に多く相続させて欲しいと考えるかもしれません。

これらの対応は婚前契約ではなく、遺言書や遺留分の放棄手続によって対応することとなります。

詳しくは、下記の記事をご覧ください。

関連記事:婚前契約と遺言:春田法律事務所

婚前契約は専門の弁護士に相談しましょう

婚前契約は専門の弁護士に相談しましょう自分で取り敢えず婚前契約書を作成してみたので専門家にチェックして欲しい、どんな内容を書けばいいのかわからないのでまずは専門家に相談してみたいという方がおられると思います。

ここでは婚前契約についてはどのような専門家に相談をしたら良いのかについてご説明します。

法律事務所に無料相談しましょう

婚前契約書を作成する場合、ネットの情報を見ながらまずはカップルでこんな内容にしようと話し合うことが多いようです。婚前契約書の案文までカップルで作成する場合もあります。

いずれの場合も、最終的には婚前契約に詳しい弁護士に必ず相談しましょう。

法的観点から問題が無いかのチェックはもちろんですが、法的効力とは関係のない条項であっても一義的に解釈の余地のない表現になっているかどうかのチェックを受けます。

婚前契約を専門的に扱う法律事務所は未だ少ないですが、無料相談を受けている法律事務所もあります。

行政書士に依頼する方が良い婚前契約

行政書士は、許認可など行政手続を主たる業務とする専門家です。

依頼者の代理人として交渉や裁判手続をする権限は法律上ありませんので、離婚調停や離婚訴訟は専門ではありません。

そのため、紛争、裁判になったときに争点となりやすいポイントやそれを踏まえた契約書作成には不向きです。

そこで、家事育児の分担や親族との関わり合いなど法的効力とは関係のない、家庭におけるルールを専らの内容とする契約であれば、行政書士に依頼するのが良いでしょう。

このような法的効力とは関わらない内容だけの婚前契約であれば、弁護士に相談する必要はありません。

行政書士の中には夫婦カウンセラーのような面談をしている方もいますので、結婚後に衝突しやすいポイントなどを踏まえた助言を受けられるかもしれません。

婚前契約の弁護士費用っていくら位?

婚前契約の弁護士費用っていくら位?婚前契約の作成を専門家に依頼する場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは婚前契約の作成にかかる費用についてご説明します。

行政書士に依頼する値段、費用は安い?

ネット検索をしますと、行政書士に婚前契約の作成を依頼する場合の値段、費用は概ね、5万円から10万円でした。弁護士に依頼をするよりも多少、費用は安いことが多いようです。

公正証書の作成を依頼する場合には追加で3万円から5万円がかかるようです。もっとも、先ほどもご説明しましたが、公正証書の作成までする必要はないでしょう。

弁護士に依頼する料金の相場

弁護士に依頼する場合の値段、費用は概ね10万円から30万円ほどです。

当事務所の場合、多くは10万円で対応させていただいておりますが、条項が多い場合や信託など複雑なスキームを利用する場合には、20万円以上の弁護士費用をいただいているケースもあります。

登記する場合の手数料

婚前契約に夫婦財産契約を含む場合、債権者や相続人などの夫婦以外の第三者にも婚前契約の内容を主張(対応)するには婚前契約を法務局に登記する手続きが必要です。

公正証書の作成は必要ないのですが、婚前契約はこの登記をしておいた方が良い場合が多くあります。

登記手続きといえば司法書士の専門ですが、婚前契約の登記手続きは難しくありませんので、婚前契約の作成を依頼した弁護士に合わせて依頼することもできます。

その際の弁護士費用は当事務所の場合は5万円です。加えて、法務局に納める登録免許税が1万8000円かかります。

婚前契約書のテンプレートをダウンロード

婚前契約書のテンプレートをダウンロードさて、最後にこれから婚前契約を作成していく方のために婚前契約書のひな型とその使用方法についてご説明します。

条文の数は多過ぎない方が良い

婚前契約を作成するにあたって結婚後のことについて時間をかけて、よく話し合った場合、決まり事をたくさん作り過ぎてしまうことがあります。

しかし、あまりに細かな、具体的なルールを定めますと、結婚後の状況の変化によって度々変更が必要になりますし、例えば、50条、100条もある契約書ですと、何を書いていたか覚えておくことも難しくなり、その遵守が容易ではなくなります。

そのため、ある程度抽象的に、とりわけ重要と考えるものだけを婚前契約に定めることをお勧めします。多くても20条前後が適切なボリュームかと思います。

弁護士が作成した書式を使いましょう

二人で婚前契約の内容を話し合うときは、箇条書きで婚前契約に盛り込む内容を書き出してみましょう。

書き出しが概ね終わったら、その段階で弁護士や行政書士に相談して婚前契約書の案文を作成してもらいましょう。

ご自身で婚前契約書の案文を作成した場合、その内容がある程度しっかりしたものであれば、弁護士や行政書士に依頼をした場合に、割安に対応してもらえる可能性もあります。

インターネット上には婚前契約書のひな型が掲載されていることがありますが、使用する場合は弁護士が作成したものを利用することをお勧めします。その方が、依頼した後の修正が少なくて済むことが多いです。

雛形(ひな形)を使った場合は必ず弁護士のチェックを受けましょう

ひな形を使用して婚前契約書を作成した場合も、それで完成とすることは危険です。ひな形をベースにご自身たちに合わせて作成していきますが、出来上がった内容が法的に問題があったり、表現が曖昧で、意図しない解釈をされてしまうものになっている可能性があります。

したがって、ひな形を用いて婚前契約書を作成した場合も、それで完成とはせずに、必ず弁護士(このようなチェックは行政書士ではなく弁護士の方が適任です。)にチェックしてもらいましょう。

婚前契約書を作成するたたき台としていただくため、書式(ひな形)をご紹介します。下記リンクよりダウンロードが可能です。

ひな形:婚前契約書

まとめ

まとめ以上、婚前契約について基礎から網羅的にご説明しました。

お時間のある方は当事務所のホームページで知識をつけながら自分で婚前契約書を作成してみるのも良いでしょう。

忙しい方は最初から弁護士に依頼をして婚前契約書の作成を丸投げしても良いでしょう。

最初から相談する場合も、ある程度案文を作成してから相談する場合も、婚前契約を専門的に扱う当事務所にご相談ください。

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