弁護士法人 春田法律事務所

流行りのプレナップについて専門弁護士が徹底解説!

流行りのプレナップについて専門弁護士が徹底解説!

流行りの婚前契約(プレナップ)について専門弁護士が徹底解説

最近プレナップ、プリナップってよく聞くけど、どんなものなの?
プレナップってつくる意味あるの?
プレナップで例えば、どんな内容を入れるの?

海外の映画やドラマでプレナップが出てくることがありますし、最近は日本の著名人がプレナップをしたというニュースを見聞きすることがありますが、どんなものなのかよくは知らないという方は多いです。

日本でも知っている人は知っていますが、まだプレナップの知名度は低く、ネット上の専門家の記事でも間違った情報も散見されます。

今回は日本やアメリカのプレナップを研究し、多くのプレナップを作成してきた専門の弁護士が、 プレナップの基礎的な知識について、わかりやすくご説明したいと思います。

この記事を監修したのは

春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

プレナップとは?

プレナップとは?

まずは、プレナップという言葉自体の説明、そしてプレナップの目的について、以下のとおり順にご説明します。

  • プレナップって英語なの?日本語では?
  • プレナップはお金持ちの資産防衛だけじゃない!

それでは、順番に見ていきましょう。

プレナップって英語なの?日本語では?

プレナップとは、英語をカタカナで表記したものです。

正式には、premarital agreement(プレマリタル アグリーメント)やprenuptial agreement(プレナプシャル アグリーメント)などといいますが、単にprenup(プレナップ、プリナップ)ということもあります。

日本語に翻訳すると婚前契約です。

プレナップはお金持ちの資産防衛だけじゃない!

プレナップは、結婚前(日本では入籍する前)に、カップルの間で交わされる契約です。

お金持ちが資産防衛のために財産や離婚条件について予め決めておく契約というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

確かにそのようなことを主たる目的として作成する例もありますが、それだけがプレナップではありません。

結婚生活の様々なルールを契約にしておくことで、無用な喧嘩を防止して、円満な夫婦関係を持続させるためにプレナップをすることは多くあります。

プロポーズから入籍までの間は、幸せな気持ち、結婚生活への期待で一杯になるもので、結婚後の現実的な日常生活についてはあまり深く考えたり、話し合ったりしないカップルが圧倒的に多いです。

その結果、結婚生活が始まり、しばらくすると、結婚前には全く思いもしなかった相手との考え方や価値観の違い、生活スタイルの違いで衝突し、最悪の場合、離婚に至ることがあります。

結婚は他人同士が一緒に生活し、家族として人生を共にしていくもので、一人であるいは親や兄弟と生活するのとは全く異なります。

結婚する前に一度冷静になって、お互いの生活や仕事のスタイル、お金、子供のことなどをよく話し合い、二人で決めたルールをプレナップに盛り込むことをすれば、無用な衝突を減らし、幸せな結婚生活を永続させる効果を期待できます。

プレナップはこのように、夫婦の財産の取り扱いや離婚時の条件を定めるほかに、円満な夫婦関係を持続させるためのルールを定めておく契約です。

プレナップに法的な意味はないの?

プレナップに法的な意味はないの?

プレナップとは何かについて何となく掴んでいただけたかと思います。

ところで、よくあるご質問にプレナップに法的な意味はあるのか?というものがあります。そこで、ここでは、プレナップの法的意味、法的効力について以下のとおり順にご説明します。

プレナップにも当然、法的意味があります!

  • 法的な意味があるってどういうこと?
  • 公正証書や登記をしないと法的意味ないの?

それでは、順番に見ていきましょう。

プレナップにも当然、法的意味があります!

結論として、プレナップも契約書であり、法的な意味があります。

プレナップに法的意味があるのかという疑問が湧くのはおそらく、日本のメディアでは、「感謝の気持ちを伝える」、「月に一度は夫婦で外食をする」といった法的文書にはあまり見られないような内容についてクローズアップされているからだと思います。

しかし、プレナップは単なる努力義務を定めた誓約書や覚書ではなく、二人が合意した内容を記載した法的に意味のある契約書です。

法的な意味があるってどういうこと?

法的意味がある、つまり法的効力があるとは、他方が契約に違反した場合、裁判でその履行を強制させることができたり、違反したときのペナルティを課すことができる効力をいいます。

このような法的効力は、原則として、法律に違反しない限りはいかなる契約内容にも持たせることができるもので、プレナップも例外ではありません。

もっとも、プレナップの条文の書き方によっては法的効力が認められないことはありえますので、法的効力を持たせるためにはプレナップの文言や条文の書き方に気をつける必要があります。

公正証書や登記をしないと法的意味ないの?

なお、公正証書にしなけば法的効力がない、法的効力を持たせるためには登記が必要だという記載がネット上で見られたりしますが、間違いです。

登記は法的効力とは関係がありませんし、公正証書にしなくとも法的効力はありますし、公正証書にしたとしても法的効力が高まるものではありません。

日本とアメリカのプレナップ事情

日本とアメリカのプレナップ事情

さて、ここまでにプレナップの意味や法的効力についてご説明しましたが、ここでは日本や海外のプレナップ事情について以下の順にご説明します。

  • アメリカでは1割弱がプレナップをしている!?
  • 日本におけるプレナップ事情
  • 国際結婚ではプレナップを求められることがある

それでは、順番に見ていきましょう。

アメリカでは1割弱がプレナップをしている!?

アメリカではプレナップの社会的な認知度が日本よりも格段に高いです。

とはいえ、アメリカでもプレナップが現在のように社会に広まったのは比較的最近のことです。

アメリカでプレナップの有効性を裁判所が認めたのは1970年頃で、その後、1990年代までに5%から10%のカップルがプレナップを結ぶまでに広まったそうです。

セレブがプレナップをすることによる認知度の向上と、社会全体の離婚率の上昇がプレナップが広がっていった一要因のようです。

このようにアメリカではプレナップをするカップルが増えたことから、プレナップに関する法律が整備され、裁判例も蓄積されてきましたので、どのような方法、内容であれば有効、無効になるのかについて判断がしやすくあります。

アメリカ、欧米のプレナップは財産に関することがメインだというメディアが見られましたが、アメリカのプレナップも家事、育児、日常生活のルールなど財産関係以外の内容が盛り込まれることは一般的です。

日本におけるプレナップ事情

結婚にあたり契約というものを持ち出すことに抵抗がある、財産目当てと思われているのではないか、信用されていないのではないかと不快になる。このようなプレナップへの抵抗感は日本人に限らず、アメリカ人でも同様にあることだそうです。

未だ日本ではプレナップの社会的な認知度は低い状況ですが、ここ数年、プレナップをする著名人のニュースが増え、急激にプレナップの認知度は高まり、また日本でも離婚率が上昇していることで、プレナップを結ぶカップルが増えています。

日本の民法には夫婦財産契約というものが定められています。プレナップと夫婦財産契約はイコールではなく、夫婦財産契約は様々な条項が盛り込まれているプレナップのうち、財産関係の条項に関するものです。夫婦財産契約はプレナップの一部と考えてよいです。

この夫婦財産契約が含まれているプレナップについては、日本では法務局に登記することができます。下記の図はこの夫婦財産契約の登記件数の統計です。

政府統計

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2005年頃までは年間の登記件数は5件以下でしたが、2016年以降、15件以上と3倍以上になっています。

全てのプレナップが登記されるわけではないため、登記していないプレナップの件数もそれ以上に急増していることは間違いないでしょう。

実は、お隣の国、韓国も日本とよく似た状況にあり、ここ数年でプレナップが広まってきているそうです。

国際結婚ではプレナップを求められることがある

日本人同士の結婚では未だプレナップをするカップルは多くはありませんが、日本人も外国人、特に欧米の方と結婚する場合にはプレナップを提案されることがしばしばあります。

欧米の方にとっては珍しくはないプレナップも、提案された日本人としては、そもそもプレナップとは何なのかと思うかもしれませんし、プレナップについて知っていても財産目当てだと思われているのかとショックを受ける方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、育ってきた文化や習慣が異なる者同士が結婚する国際結婚では、日本人同士の結婚以上に、結婚後の生活などについて予めよく話し合い、お互いの考えや価値観をすり合わせ、ルール化することが円満な関係を維持するために有効なツールではないかと思います。

また、国際結婚の場合、離婚する際に適用される法律を日本の法律にするのか、外国の法律にするのかを予めプレナップで決めておくと、よくわからない外国の法律が適用されて想定外の結果になることを回避できます。

なお、国際結婚のプレナップでは、日本語で書いてあってよくわからないけどサインしてしまったなどと後日言われないように、相手の精通している言語の翻訳文も添付しておくことが必要です。

海外セレブはこんなプレナップをしているらしい

海外セレブはこんなプレナップをしているらしい

海外セレブが離婚をすると、こんなプレナップを交わしていたというニュースが流れることがよくあります。あくまでネット情報ですが、それを参考に海外セレブがどんなプレナップを交わしていたのか次の順にご説明します。

それでは順番に見ていきましょう。

  • タイガー・ウッズさんのプレナップ
  • トム・クルーズさんのプレナップ
  • 婚姻年数×金額というプレナップはよくある
  • SILVAさんのプレナップ

タイガー・ウッズさんのプレナップ

報道によれば、プロゴルファーのタイガー・ウッズさんは、婚姻期間が10年を超えた後に離婚をする場合には、妻に2000万ドルを支払うというプレナップを交わしていたそうです。

1ドル100円とすると20億円を支払うという内容です。タイガー・ウッズさんの総資産からすれば2000万ドルもさほど大きな金額ではなさそうです。

婚姻期間が10年を超えてもこの程度の金額で済む契約内容からすると、プレナップをする際に奥さんは多くを求めなかったのかもしれません。

もっとも、タイガー・ウッズさんの不倫が発覚した後、離婚しない条件として、この契約内容は変更され、2000万ドルから大幅に増額されたそうです。

トム・クルーズさんのプレナップ

ハリウッドスターのトム・クルーズさんは、離婚するときには「300万ドル×婚姻年数」を妻に支払うが、婚姻年数が11年を超えたときはこの契約は取りやめて法律に基づき資産の半分を分与するというプレナップを結んでいたそうです。

10年経過時点で離婚するときは、3000万ドルを支払うことになりますが、トム・クルーズさんの資産は1億ドル以上あるでしょうから、11年経過後に離婚するときには、3000万ドルの倍以上の財産分与を受けることになるでしょう。

なお、そのためかトム・クルーズさんは11年を経過する前に離婚申請をしたというネット情報も見られました。

婚姻年数×金額というプレナップはよくある

上記のように、婚姻年数に応じて支払金額を決めるプレナップは資産家のプレナップによくみられるものです。

離婚する際には夫婦の資産を合算してそれを半分ずつに折半するのが原則です。そのため、莫大な資産をもっている方と結婚し、わずか2、3年の結婚生活の後に離婚になった場合に資産の半分を分与することはフェアではない、資産家に酷ともいえます。

他方、婚姻期間が長くなればなるほど、夫婦、家族の関係も深化していきますので、資産は夫婦二人のものという考えに馴染みやすくなります。

上記の海外セレブのプレナップはいずれもこのような考えに基づくものです。

ただし、資産の半分を分与しなければならなくなるタイムリミットまでに離婚を申請しようというインセンティブになりかねないという観点から、このようなプレナップは無効と考える見解もアメリカではあるようです。

SILVAさんのプレナップ

海外セレブではありませんが、歌手のSILVAさんのプレナップに関する記事が多くのメディアに取り上げられました。

彼女のプレナップは、上記の海外セレブのプレナップとは異なり、大半が家事、育児や日常生活の細々としたルールを記載したものです。

約1年半の間、二人でありとあらゆることを話し合い、すり合わせて作成した契約書だそうで、そのようなプロセスを経て作成したからこそ、夫婦喧嘩は皆無で、とても平穏円満な夫婦関係が継続しているそうです。

プレナップの例・内容

プレナップの例・内容

プレナップの内容はカップルによって様々ですが、概ね以下の3つに分類されます。

  • 結婚生活における各種ルール
  • 夫婦の財産関係
  • 離婚時の条件

 

これらを網羅的に盛り込んだプレナップを作成する場合も、ポイントに絞ったシンプルなプレナップを作成する場合もあります。

以下順番に見ていきましょう。

結婚生活における各種ルール

家事育児の分担方法、異性との交流、お互いの親の介護、相手の親族や友人との関わり方、子育ての方針など夫婦、家族の生活に関わる様々なことを話し合い、ルールを決めます。

他人同士が共同生活をして、人生を共にしていくのですから、お互いの考え、生活様式、人生観などについて結婚前によく話し合い、衝突するところは妥協点を見出しておくことは、円満な夫婦関係の維持に役立ちます。

夫婦の財産関係

婚姻前に得た財産と婚姻後に得た財産それぞれについて夫婦の共有財産とするのか、他方の特有財産(固有財産)とするのか、また財産の管理、使用、処分に関してどうするのかについて定めます。

共働きの夫婦が増えており、そのような夫婦は結婚後も各自の収入、資産は各自の財産のままにしておきたいというニーズが多くみられます。

また、会社経営者の方が、自身の会社の株式は共有財産ではなく特有財産にしておきたいというニーズも非常に多いところです。

この夫婦の財産関係は、日本の民法が定める夫婦財産契約にあたる部分です。これについては結婚前にしか契約することができず、結婚後は変更できないと民法に規定されていますので、慎重に検討する必要があります。

他方、結婚生活における各種ルールや後でご説明する離婚時の条件については、結婚後の契約変更も可能です。

離婚時の条件

離婚するときにはお互いに感情的になり、お金や子供のことで争い、調停や訴訟に至ることが多くあります。

離婚時の各種の条件をプレナップに定めておけば、基本的にそのとおりに離婚することになりますので、争いが長期化することを回避できます。

具体的には、浮気をしたら離婚する、別居が1年続いたら離婚すると定めたり、離婚する際の慰謝料の金額や、財産分与の対象・方法、養育費、親権などについて定めたりします。

財産関係の契約も重要ですが、離婚時の争いを回避するための離婚時の条件の契約も非常に重要です。

結婚生活における各種ルールだけであれば特に専門家への相談は必要なく、相談するとしても行政書士への相談で足ります。しかし、②や③の重要な契約内容については、法的効力を維持できるよう、必ず、専門の弁護士のレビューを受けましょう。

不利なプレナップには要注意!

こんな内容のプレナップには要注意

出産後も復職して仕事を続ける女性はとても多くなりましたが、家事育児に専念する女性も多くいます。

そのように一方が家事育児に専念する場合で、各自の収入や資産は各自の特有財産として、財産分与の対象は共有財産のみというプレナップを結ぼうとしているカップルがいます。

このような内容ですと、婚姻中、夫の資産は増えていくけれども、妻の資産が増えることはなく、むしろ減っていき、離婚するときにはほとんど妻は財産の分与を受けられないことになります。

また、結婚前は生涯、仕事を続けるつもりでも、状況の変化によって将来専業主婦になる可能性もあり、その場合には上記のプレナップの内容ですと同様の問題が生じます。

したがって、必ずしも夫婦の財産を折半する必要はありませんが、このように不公平な結果とならないようプレナップの内容を工夫するべきです。

プレナップは行政書士に相談する?弁護士に相談する?

プレナップは行政書士に相談する?弁護士に相談する?

自作のプレナップも、自作というだけで法的効力が否定されるわけではありませんが、契約書の体裁にすれば法的効力が認められるというわけでもありません。

法的効力は法律や裁判例との関係を検討する必要がありますし、争いになりそうな様々な状況を想定してそれに対応できる契約内容を考える必要があります。

結婚生活における各種ルールだけを定めるのであれば、法的効力は気にする必要はありませんので、自作でも結構ですし、行政書士に作成してもらうのも良いでしょう。

一方、夫婦の財産関係や離婚条件を定める場合には、必ず専門の弁護士に作成をしてもらいましょう。

行政書士も法律の専門家ですが、交渉や裁判をする専門家ではありませんので、交渉や裁判で争点になりうる状況に漏れなく対応できる契約や裁判でも法的効力を維持できる内容、解釈の余地を生まない表現の契約を作成するのには適任ではありません。

なお、行政書士から公正証書の作成を勧められることが多いようですが、先ほどもご説明しましたが、プレナップについては、公正証書にしたとしても法的効力が高まったり、証拠としての価値が高まる効果はほとんどありませんので、数万円の費用をかけて公正証書にする意義はないと言って良いでしょう。

まとめ

まとめ

以上、プレナップの基礎について解説いたしました。

大して財産はないからプレナップは自分たちには関係ない、必要ないと思う方もいますが、円満な夫婦関係の維持という効果はどんなカップルにも望ましいものです。

また、結婚するときから離婚のことを考えたくないと思うのは当たり前ですが、昨今の離婚率の上昇、そして離婚について争いになったときの時間的、費用的コストを考えると、万が一の保険として離婚のことについてもプレナップで定めておくことは慎重で現実的な対応ではないでしょうか。

これから結婚を考えている方は、一度、お相手とプレナップについて話題に出してみるのはいかがでしょうか。そして、もしお相手も関心があるときには、専門の弁護士にご相談ください。

この記事を監修したのは

春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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