婚前契約書(プレナップ)とは?

婚前契約書(プレナップ)とは?

婚前契約とは、入籍前にカップル間で交わす契約です。英語では、prenuptial agreementやpremarital agreement、あるいは単にprenup(プレナップ、プリナップ)と略して言われることもあります。

ここでは婚前契約(プレナップ)の概要についてご説明します。

1 日本における婚前契約

日本の民法には、夫婦財産契約というものが規定されています。婚前契約の内容は、財産関係に限らないのですが、日本の法律では夫婦の財産関係についてのみ規定されています。

このように法律に婚前契約に関する規定がありますが、日本ではこれまで婚前契約の作成はほとんどありませんでした。登記件数も年に1,2件ほどですし、裁判例もほとんどありません。

ところが、近時は、海外セレブや日本の芸能人などの著名人が婚前契約を作成したというニュースをよく聞くようになり、また国際結婚が増えてきたこと、離婚率の上昇など様々な要因によって徐々に婚前契約が一般に認知されるようになってきました。

婚前契約にはメリットが沢山ありますので、日本でも一層の普及が期待されます。

 

2 アメリカにおける婚前契約

アメリカでは1970年代頃から徐々に婚前契約が一般に普及するようになり、1990年頃には全国の夫婦の5%ほどが婚前契約を作成するまでに普及したと言われています。

アメリカでは婚前契約の作成方法や内容について法律が詳細に規定しています。

 

3 婚前契約の内容

婚前契約の内容はカップルによって様々ですが、概ね以下の3つに分類されます。

①結婚生活における各種の取り決め
②夫婦の財産関係
③離婚時の条件

これらを網羅的に盛り込んだ婚前契約書を作成する方もいれば、ポイントに絞ったシンプルな婚前契約書を作成する方もいます。

 

①結婚生活における各種取り決め
家事育児の分担、生活費の負担方法、相手が浮気したときの慰謝料、相手の親族との関わり方、相手の両親の介護の分担、子供の教育方針その他日常生活に関する様々なものがあります。

パートナーとの価値観の相違から夫婦生活においてトラブルになりやすい点について、結婚前に話し合い、取り決めをしておくことは、円満な夫婦関係を長続きさせる効果を期待できます。

 

②夫婦の財産関係
婚姻前に得た財産と婚姻後に得た財産それぞれについて夫婦の共有財産とするのか、他方の特有財産(固有財産)とするのかという内容や、財産の管理、使用、処分に関するルールを定めます。

 

③離婚時の条件
離婚の条件、慰謝料の支払いの有無・金額、財産分与の対象・方法、養育費、親権などについて定めます。離婚時の金銭の支払い方法については、夫婦の関係性や価値観に合わせて様々な定め方があります。

 

4 婚前契約書の作成は、必ず専門の弁護士に依頼しましょう。

専門家が関与せず自分たちで作成する合意文書でも、それだけで法的効力が否定されることはありません。しかし、婚前契約は、カップル間で作成されるという特徴ゆえに、相手が十分に理解していたのか、強迫されてサインしたのではないかと後日争いになりがちです。

それゆえに、法的効力を争われない婚前契約を作成、締結するためには専門の弁護士が間に入ることが必須です。

なお、婚前契約書を作成している行政書士や司法書士もみられますが、内容面、表現面で法的に不十分な内容の婚前契約書が多く見られます。

一生に一度、しかも原則として結婚前にしか作成、変更ができない婚前契約書を作成するのですから、専門の弁護士に相談の上、後悔の無い万全な内容の婚前契約書を作成しましょう。

 

5 婚前契約は公正証書にした方がいいのか?

公正証書に対する一般的なイメージは、契約書に法的効力を与えてくれる、相手がお金を払わない場合に裁判をせずに強制執行をする効力を与えてくれるというものです。

しかし、公証人は婚前契約の内容について、法的効力があるかどうかを確認し、公証はしてくれません。

また、別居や離婚に際して作成される契約書とは異なり、未だそのような場面に遭遇していない段階で作成される婚前契約の場合、裁判を経ずに強制執行が可能になる効力を公証人は与えてくれません。

このように婚前契約は公正証書になじまないことから、ほとんどの公証人は婚前契約を公正証書にすることに応じてはくれません。

なお、公証人が私署証書の認証(二人がサインしたことの認証)はしてくれるかもしれません。しかし、婚前契約で後日争いになるのは、サインをしたかどうか自体ではなく、内容を理解して自由な意思でサインをしたのか、また婚前契約の内容に法的効力があるのかという点ですから、私署証書の認証をしてもらう意義はほとんどありません。

 

6 婚前契約書は登記した方がいいのか?

婚前契約を公正証書にすることはほとんどない一方、ほとんどのケースで婚前契約書は登記すべきです。法律上、夫婦財産に関する契約については登記ができることになっています。

ほとんどの婚前契約において、夫婦の財産関係についての取り決めがなされています。そして、そのような夫婦の財産関係に関するカップル間の合意を契約相手以外の第三者に主張するためには登記が必要です。

よって、婚前契約に夫婦の財産関係に関する内容が含まれている場合は、必ず登記をしましょう。

登記手続は、正確に速やかに行う必要がありますので、婚前契約書の作成と合わせて専門の弁護士に依頼することをお勧めします。

 

アメリカの婚前契約に関する法律については、以下をご覧ください。

アメリカの婚前契約に関する法律について

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