経営者の婚前契約書

経営者の婚前契約書

離婚による個人、会社への経済的リスクが大きく結婚に踏み切れないという経営者の方もしばしばおられます。

今回は、経営者の方にとって結婚のハードルを下げるための婚前契約書についてご説明します。

1 婚前契約書に定める株式の扱い

多くの経営者は、自社株式を大量に保有し、株式を通じて会社の財産価値を間接的に保有しています。

会社財産は経営者個人の財産よりも大きいことが多く、また従業員、取引先など利害関係者も存在します。

離婚するときは、結婚生活のなかで得た夫婦の共有財産を双方に分配します(財産分与)。

婚姻前から保有する株式であれば、その株式自体は財産分与の対象とはなりません。

もっとも、結婚後に会社の業績が伸び、株式価値が上がっている場合には、その価値の増加について他方の配偶者の寄与が認められ、財産分与の対象となります。

財産分与の割合は原則は5割ですが、自社株式についての財産分与の割合は、会社の規模、他方配偶者の会社業務への関与の程度などを考慮して決まり、多くの場合5割以下となるでしょう。

このように経営者の場合、離婚というプライベートな問題が、その保有する自社株式を通じて間接的に、会社経営に影響してしまうのです。

そうなると、数千万円、数億円の財産分与が必要になる可能性もあります。そのような資金を用意するために会社の株式を売却したり、会社からの多額の貸付を受けることになれば、会社の経営に影響します。

離婚というプライベートな問題が従業員、取引先などの利害関係者のある会社の経営に影響してしまうのです。

このような事態を回避するために、婚前契約書の作成をおすすめします。

具体的には、婚姻前・婚姻後を問わず経営する会社の株式は特有財産であること、当該株式及びその価値の増加分は財産分与の対象とはしないことを婚前契約書に明記することで、離婚が会社経営に影響することを避けられます。

2 婚前契約書に財産分与や慰謝料の上限を定める

結婚前の時点で相当な資産を築いている経営者もおられます。

確かに、婚姻前の財産は財産分与の対象とはなりませんが、婚姻前の財産であるか不明確な財産もありますので、信頼関係の崩れた離婚協議の段階では、婚姻前の財産か婚姻後の財産であるかが争点となることがあります。

また、結婚してわずか1,2年でスピード離婚となる可能性もあります。婚姻期間が短期間であれば、資産形成への他方の寄与はほとんどないのが通常でしょう。

しかし、財産分与の場面では原則的割合である5割が適用される可能性があります。そして、婚姻前の財産であることが不明確な場合、離婚時に保有する財産の大部分が財産分与の対象とされ、その5割が分与されてしまう可能性があります。

このような事態を回避するためにも、婚前契約を利用します。

例えば、結婚して2年以内に離婚するときは財産分与をしないという規定や、婚姻年数に応じて財産分与の割合や金額を定める規定などを婚前契約書に定めることができます。

また、慰謝料の金額をめぐり離婚協議が長期化することがありますので、婚前契約書において慰謝料の金額、上限についても予め決めておくとよいでしょう。

慰謝料の金額については、不倫があった場合など離婚原因に場合分けして規定する方法や、婚姻年数に応じて金額を決定する方法などがあります。

3 仕事と夫婦生活のバランスについて

仕事が最優先で、就業時間や土日も関係なく働く経営者の方もおられます。そうすると、家族との時間が十分にとれず、他方配偶者との不和が生じる可能性があります。

法的拘束力はありませんが、婚姻前に仕事と夫婦生活とのバランスについてお互いに話し合い、二人で決めたルールを婚前契約書に定めておくことは、夫婦間の不和を減らす効果を期待できます。

経営者の婚前契約についてより詳しく知りたい方は以下もご覧ください。

〇経営者、資産家のための婚前契約

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