墓地使用契約の解除

墓地使用契約の解除

1 墓地管理料の未納による墓地使用契約の解除

墓地管理料が不払いになっている場合、墓地管理料の不払いを理由に墓地使用契約を解除することになります。

もっとも、墓地使用契約は墓地使用者との間の継続的な契約ですから、寺院との信頼関係を破壊する程度の契約違反がなければ有効に契約を解除することはできません。

したがって、契約解除の理由としては、数か月や1年の管理料滞納では足りず、少なくとも3年から5年の管理料滞納が必要です。

なお、寺院によっては「管理料」ではなく「護持費」、「護持会費」という名目で徴収していることもあります。「護持費」、「護持会費」という名目の場合、必ずしも墓地管理費としての性質が明らかではありませんので、墓地管理規則に明記しておきましょう。

2 改宗離檀した者との墓地使用契約の解除

墓地使用規則に改宗離檀した場合に墓地使用契約を解除できると規定されていることがあります。

しかし、他の宗教団体の信者であることのみを理由に埋葬蔵を拒否することは、応諾義務を定めた墓地埋葬法第13条に違反すると解されています(S35.2.15法制局一発1号、津地判S38.6.21判時341.19等)。

これを踏まえれば、墓地使用規則にその旨を規定していたとしても、改宗離檀したという理由のみで墓地使用契約を有効に解除することはできない可能性が高いといえます。

とはえい、改宗離檀した者も当該寺院の典礼方式に従う必要はありますので、いずれは自主的に改葬する可能性があります。

また、改宗離檀した者が墓地管理料を支払わない場合は、数年間の未納を待って、墓地管理料の不払いを理由として墓地使用契約を解除をすることができます。

3 墓地使用契約の解除方法

墓地使用契約を解除するためには墓地使用者に対して契約解除の通知をする必要があります(民法第540条、541条)。契約解除の通知は、証拠として残すために配達記録付きの内容証明郵便によって送ります。

墓地使用者として届けられている者と連絡がつかないときは、墓地使用者、その相続人などの縁故者を調査する必要があります。

具体的には、弁護士に依頼をして墓地使用者の戸籍、戸籍の附票、住民票を取得し、亡くなっている場合には、戸籍から相続人の調査を行います。

なお、寺院から市区町村の戸籍担当者に対して照会をしても個人情報保護の観点から調査協力が得られない可能性が高いため、弁護士に調査依頼が必要です。

このような調査によっても墓地使用者、縁故者と連絡がつかないときは、墓地区画の明け渡し、改葬承諾を求める訴訟を提起し、公示送達によって契約解除の通知をすることとなります。

4 墓所の原状回復、明け渡し

以上によって有効に墓地使用契約を解除した後は、原状回復工事を行います。

もっとも、墓地使用契約を解除しても、墓地使用者が自主的に墓石等の撤去に応じない場合があります。

契約を解除したとはいえ、墓石、遺骨の所有権は墓地使用者にありますので、墓地管理者が勝手にこれを撤去すると、損害賠償責任、さらに刑事責任まで負う恐れがあります。

そのため、墓地使用者が自主的に原状回復をしない場合には、墓地区画の明け渡し、改葬承諾を求める訴訟を提起する必要があります。

訴訟を提起した後は、訴訟上の和解が成立し、墓地使用者が自主的に原状回復に応じることもあれば、和解は成立せず判決まで進むこともあります。

勝訴判決が出ても任意に明け渡さない場合には、強制執行によって明け渡しを実現する必要があります。

強制執行には費用も時間もかかりますので、未納の墓地管理料を免除するなど何らかのメリットを墓地使用者に提示して和解を目指すのが良いでしょう。

なお、裁判例には管理料の不払いによる墓地使用契約の有効な解除、墓石等の撤去、墓地区画の明け渡しは認めるものの、改葬の承諾請求については契約内容にないから認められないという判断をしたものがありますので(東京地裁H28.9.21)、墓地使用規則に改葬承諾について規定するか、墓地使用契約時に、予め承諾書を取り付けておくと良いでしょう。

5 改葬手続

改葬にあたっては、墓地埋葬法に規定された手続きを履践して、市区町村長の改葬許可を得る必要があります。なお、各地方自治体の条例にも規定がある場合もありますので確認が必要です。

寺院など墓地使用者以外の者が改葬許可の申請をする場合、墓地使用者の承諾書が必要になります。前記のとおり、訴訟で墓地使用者の承諾に代わる判決を得ることができない場合もあります。

そのため、墓地使用契約の解除条項に該当する場合には改葬に承諾する旨の承諾書を作成し、墓地使用者から交付を受けておくべきです。なお、墓地使用者に承継が生じたときは承継者から改めて承諾書の交付を受ける必要があります。

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