墓地管理料の滞納

墓地管理料の滞納

1 墓地管理料の性質

ほとんどの墓地では、毎年、墓地使用者は墓地管理者に対して一定の墓地管理料を納めることとなっています。

個々の墓所の清掃や除草等の管理は、各墓地使用者の義務ですが、墓地全体を管理するのは墓地管理者の義務です。

墓地管理料は、このように墓地全体が良好に維持してもらうために、墓地使用者が墓地管理者に対して支払うものです。

この墓地管理料は年間数千円から1万円ほどが相場です。数万円など比較的高めの管理料の場合には、それだけ墓地管理者に求められる管理レベルも高くなり、何者かによるいたずらなどが墓地内であったときは、管理責任を問われる可能性が高まりますので注意が必要です。

2 墓地管理料の徴収方法

寺院墓地に限らず、ほとんどの墓地にはいくつか、墓地管理料が滞納になっているお墓があります。

このように墓地管理料の滞納を放置することは、きちんと管理料を納めている他の墓地使用者との関係では不公平です。

また、当該墓所が参拝者もなく放置されているときは、清掃もされておらず、墓地の景観を害するかもしれませんし、寺院としては原状回復の上、当該区画に新たな墳墓の建立をしたいところです。

そこで、このような墓地管理料を滞納している墓地使用者に対しては、その督促を行い、それでも納付がないときは、墓地使用契約を解除するべきです。

まずは、電話や書簡で墓地管理料の納付をお願いする連絡をしますが、連絡がつかない、連絡はつくものの納付がないときは、次は、納付期限を定め、期限内に納付がない場合には、墓地使用契約を解除する旨を内容証明郵便にて通知します。

3 墓地使用契約を有効に解除するには

墓地使用契約は、永続的に墓地を使用する契約ですから、1回や2回の墓地管理料の不払いがあっただけでは、法的に有効に墓地使用契約を解除することは困難です。

この点は、自宅の賃貸借契約においても家賃の支払いが1か月遅れたくらいでは有効に契約を解除できないのと同様の考え方です。

年に一回の納付であれば、3年間から5年間、管理料の滞納状態が続いた場合に初めて墓地使用契約を有効に解除できると考えるべきです。

また、契約の解除をするためには、契約解除する旨を墓地使用者に通知する必要があります。その連絡先、所在がわからないときは、公示送達の手続きによらなければなりません。

4 墓石の撤去、原状回復

墓地使用契約を有効に解除した後は、墓石等を撤去して、墓所区画を原状回復することになります。これには行政上の手続と民事法上の留意点があります。

⑴ 行政手続き

墓地埋葬法上は改葬になりますので、行政の許可が必要です。

墓地使用者がわかっているときは、改葬についてその者の承諾書が必要になります。承諾してもらえない場合には、訴訟を提起することとなります。このような手間を防ぐためにも、墓地使用契約を結んだとき又は墓地を承継したときに、予め、承諾書を取り付けておくべきです。

他方、墓地使用者がいない無縁墳墓の場合は、無縁改葬の手続をとります。無縁改葬の際は、墓地埋葬法施行規則第3条の定める官報掲載や立札による広告などが必要です。

⑵ 民事法上の留意点

改葬手続はあくまで行政上の手続きであって、墓地使用者との民事の権利関係の問題はまた別の問題です。

墓所にある墓石等は墓地使用者の所有物です。そのため、墓地管理者が勝手に処分することは所有権を侵害するものとして、後日、墓地使用者が現れた場合に損害賠償請求を受けることが懸念されます。

確かに、墓地使用権が消滅したときは、墓石等は所有権が放棄された無主の動産となりますので、管理者がそれを占有した時点で管理者がその所有権を取得すると解釈することもできます(民法第239条1号)。

しかし、無用なトラブルを避けるためにも、墓地使用規則には、墓地使用契約が解除されたときには、墓地管理者が墓石等を撤去、処分できることを規定しておくべきです。

なお、取り出した焼骨については、その後に現れるかもしれない墓地使用者や縁故者の感情に配慮して、直ちに合祀するのではなく一定期間は骨壺で保管した方が良いでしょう。

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