家庭裁判所調査官の調査

家庭裁判所調査官の調査

1 家庭裁判所調査官の関与

家庭裁判所は、夫婦や親族間の争いなどの家庭に関する問題を家事審判や家事調停、人事訴訟などによって解決するほか、非行をした少年について処分を決定します。親子に関する問題も家庭に関する問題ですので、親権、監護権に関する問題は、家庭裁判所で取り扱われます。

親権問題については、他の家庭に関する問題同様、法律的な解決を図るだけでなく、事件の背後にある人間関係や環境を考慮した解決が求められます。

一般の民事訴訟では、当事者が主張立証したことを判断の前提とするのが原則ですが、親権などの問題について当事者の主張立証に基づいた資料のみをもって判断することは、子の福祉の観点など事案の解決において相当ではなく、家庭裁判所が主体的に必要な証拠を収集します(職権探知主義といいます。)。

家庭裁判所調査官は、このような観点から、例えば、離婚の経緯、親権者の指定・変更等の紛争当事者を調査し、紛争の原因や生育歴、生活環境等を調査します。家庭裁判所調査官は、これらの調査をするために必要な心理学、社会学、教育学、社会福祉学等の人間関係諸科学の専門知識を有しています。

各事件において、家庭裁判所調査官に調査が命じられた場合、どのような調査が行われるのか、以下に紹介します。

2 調査の方法

⑴ 面談の実施

調査官の調査は主として、面談によって行われることが多いです。親権の場合、事件の関係者である父親、母親、子どものそれぞれに、個別に面談します。祖父母が日常的に子どもの面倒を見ている場合には、祖父母との面談を行うこともあります。

面談は、基本的に家庭裁判所において行われます。

子どもが未就学児の場合、保育園や幼稚園で先生から話を聞くことがありますし、学校に通っている場合、担任の先生から事情を聴いたりすることもあり、調査官が調査先に出向き、面談は広範囲に行われることもあります。

⑵ 家庭訪問と住居の環境の調査

事案においては、子どもとの面談は家庭裁判所ではなく、調査官が家庭訪問をし、行われることもあります。特に未就学児など小さい子どもの場合、家庭でリラックスした状態で面談するのが望ましいからだと言われています。

また、この際、親権の判断要素として養育環境が一つの考慮要素となりますので、家庭訪問における面談と合わせて、どのような環境で養育が行われているのかの調査も兼ねることとなります。

家庭訪問は、事前に当事者の了解を得て、日程調整をしたうえで実施されるため、突然、調査官が訪問してくるということはありません。

調査官が子どもと面談するときは、できる限り子どもの本心を引き出すために、父親または母親は立ち会わず、通常、1対1で行われます。そのため、一度で行わず、何度か家庭訪問を行い、子どもが調査官に慣れてから質問したりする配慮がとられることが多いです。

養育環境については、細かく言えば、家の間取りや子供の部屋がどうなっているのか、勉強はどこでしているのか、寝る部屋はどこかなど、子どもの生活に関することを調査します。

調査の観点はあくまで「子の福祉」ですので、子どもにとって良い環境で養育されているかどうかを確認します。

⑶ 子の意見の聴取

手続きによっては、子の意見陳述が必要な場合があります。

特に15歳以上の子は意見陳述をする必要があります。実務では、15歳未満であっても、10歳以上であれば、子の意見陳述の機会を設けることが多いと言われています。

子の意見陳述の内容だけを重視し、家庭裁判所が結論を出すことはありません。ただし、年齢が高くなるにつれ、子の意見は重視される傾向にあります。

⑷ 調査官の調査報告書

調査官は、調査終了後に「報告書」を作成します。裁判所は調査官の報告書に基づき、最終的な処分を検討しますので、調査官の報告は、大変重要です。

なお、調査官の調査報告書には調査官が調査によって知り得た情報が記載されるため、相手方の目にも触れます。DVなどの事案であれば、相手方に伝えないでほしい事項(具体的な住所地など)について、予め調査官に申告することで、報告書に記載しないようしてくれます。

親権の法的知識へ戻る

春田法律事務所オフィスご案内