監護権者の指定の手続きについて

監護権者の指定の手続きについて

1 親権と監護権の分離

実務の運用として、親権と監護権とを分離させる場合があります。

分離が認められるのは、「父母による形を変えた共同監護として、両者が協力し積極的に評価できる場合」、「子を現実に監護する父母の一方を直ちに親権者に指定・変更するには不安があり暫時、その監護の実績を見る必要があるとき」(清水節「親権と監護権の分離・分属」判タ1100号145頁)と言われています。

2 離婚前の場合

離婚前においては、父母の双方が親権を有しているため、監護権の分離ということが夫婦の間で問題となることは多くありません。

しかし、親権者の監護能力に問題がある場合には、実際に監護している者を監護者に指定することを認めた裁判例もあります。

東京高裁昭和52年12月9日決定(判時885号127頁)によると、「家庭裁判所が親権者の意思に反して子の親でない第三者を監護者と定めることは、親権者が親権をその本来の趣旨に沿って行使するのに著しく欠けるところがあり、親権者にそのまま親権を行使させると子の福祉を不当に阻害することになると認められるような特段の事情がある場合に」限られます。

3 離婚時における監護権者の指定について

離婚時に、他方配偶者を親権者に、もう一方の配偶者を監護権者に指定することも認められています。

親権を争うには、離婚調停や離婚裁判を経て裁判所に判断してもらう必要があり、解決まで数年間を要する可能性が多くあります。

このような場合、相手に親権を譲り、自分が監護権を分属して取得することで、協議や和解による早期解決の可能性があります。

しかし、監護権についても親権と同様、「子の福祉」を基礎とする必要があり、親権争いの妥協としての分離には消極的な裁判所も多いと言われています。

4 監護権者の指定、指定された監護権者の変更

離婚時に親権者を他方配偶者と定めた場合でも、監護権者を自己にするよう求めることができます。

親権者の指定・変更と同様に「子の福祉」を基礎に判断されます。

また、いつでもできるというわけではなく、先行した親権者・監護権者の指定後の事情の変更を必要とします。特に事情の変更もないのに親権者等の変更を認めることは、法的安定性を害し、子の利益に反します。

5 手続きの流れについて-調停・裁判

監護権者の変更の審判又は調停の申立てを行います。

未成年者である子も審判ないし調停に参加することができます。子が15歳以上の場合は、審判にあたって、子の陳述を聴かなければならないとされています。

6 子の引渡しについて

監護権者の権限として、居所指定権があります。したがって未成年である子が監護権者の指定する場所以外の場所にいる場合、監護権者は、子の引き渡しの請求が可能となります。

通常は監護権者の指定・変更の審判と同時に、審判前の保全処分の申立て、子の引渡請求の審判の申立てを行います。

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