親権者(監護権者)変更とその手続き

親権者(監護権者)変更とその手続き

1 親権者(監護権者)変更の手続き

子どもがいる夫婦が離婚する場合、父母の一方を子の親権者として指定する必要があります(民法819条1項)。

いったん指定すると、親権者の変更はできないというわけではなく、子の利益のために必要があるときには、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができるとされています(民法819条6項)。

親権者を変更しないという合意は子の利益のための強行法規である民法819条に違反し、無効です。

したがって、一旦定めた親権者について、事情の変更があり、子の利益のために必要な場合には、親権者の変更が許される場合があります。

ただし、親権者の変更は、親権者の指定と異なり、父母間の協議ではできず、必ず家庭裁判所の審判又は調停によって行わなければなりません。監護権者の変更についても、子の利益のために必要があるときは、家庭裁判所は監護者の変更をすることができます。

2 手続きの流れについてー仮処分から調停、審判まで

前記のとおり、親権者の変更は必ず家庭裁判所の審判又は調停によって行われなければなりません。子の福祉の観点から急いで親権者変更の手続きが必要な場合には、審判前の保全処分を申し立てることができます。これについては、第3項で詳しく記載します。

親権者・監護権者(以下「親権者等」と言います。)の変更は、親権者等を指定した後に事情変更があったことが必要です。特に事情変更がないのに親権者等の変更を認めることは、法的安定性を害し、子の利益に反すると言えるからです。

したがって、単にいずれが親権者として適格であるか、監護能力が相当かといった点だけでなく、従前の監護の実績、過去の生活実績を踏まえた親権者の適格性、親子間の心理的結びつき等を考慮した上で、それでも親権者の変更が子の利益にかなう場合に認められることとなります。

これまでの裁判例で考慮事由として挙げられたものには、①監護の継続性、②母性優先、③子の意思の尊重、④兄弟姉妹不分離などがあります。  

3 緊急性を要する場合-保全処分

調停や審判の結果を待つのではなく、急いで手続きをする必要がある場合には、親権者の職務執行停止と職務代行者選任の保全処分の申し立てをすることが可能です。

審判を待っていると、親権者でなければできないことができなかったり、親権者であるが故に子の地位に重大な影響を与えられてしまう可能性があるからです。

そのため、親権者としての職務を一旦停止させ、別の者を親権者として選んでもらうという制度です。この場合、15歳以上の子の意見の聴取は原則として行わなければならないとされています。

民事保全の場合、本案事件の係属は、保全申立ての要件ではありませんが、家事審判における審判前の保全処分を申し立てる場合、審判もしくは調停の申し立てがなされていることが必要です。そのため、審判前の保全処分の申し立てをする際には、同時に審判もしくは調停の申し立てを行います。

このように親権者変更の手続きは、複雑で、様々な手法の選択が必要となります。

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