ケース4:地代滞納の賃借人の立ち退き

最終更新日: 2023年11月18日

地代滞納の立ち退き

ご相談内容

Aさんは、自身の土地をBさんに賃借し、Bさんはその借地上に2階建ての居住用建物を築造して、30年以上ご家族と住んでいました。

その後、Bさんが亡くなり、次男のCさんが相続人となって、同建物に家族と居住を始めました。初めのうちは、Cさんは、Aさんに友好的に接していました。しかし、ここ1年くらいから地代の支払いが遅れがちになり、気づけば4か月分も滞納していることがわかりました。

Aさんとしては、ちょうど賃貸借契約が満期を迎えるので、更新拒絶をして、Cさんには退去してもらい、新しい家を建て替えて、都内に住む高齢の母を呼び寄せて居住したいと考えています。

交渉

Aさんは、更新拒絶の内容証明通知をCさんに送ったところ、Cさんはすぐに地代の滞納分を支払うとともに、更新拒絶に異議を述べました。

そのため、Cさんとの間では、更新拒絶の正当事由のみならず、地代不払いを理由とする債務不履行解除の効力も争われることになりました。

争点が錯綜したため、当事者の話し合いでは決着がつかず、結局、Aさんは裁判手続を起こすこととしました。

債務不履行解除の点に関する裁判所の心証としては、信頼関係破壊されたかどうかに関心があったところ、Cさんの滞納が4カ月分で、かつ、すぐに支払いに応じたことから、難しいようでした。

他方で、正当事由においては、地代不払いの事実がCさんにとって不利に斟酌され、Cさんの土地利用の必要性は否定できないものの、保護の度合いは通常の事案よりも低く扱われました。

また、高齢の母がいるAさんにとって、当該借地を利用する必要性が高いこと、Cさんの建物も十分長く居住の目的を達成したこと、代替する物件も存在することから、立退料としてCさんの建物時価をやや上回る150万円を支払うことで、裁判上の和解が成立しました。

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