ケース5:店舗の立ち退きで生じる営業損害の補償を求めたい

最終更新日: 2023年11月18日

営業損害の補償

ご相談内容

Aさんは、有名繁華街において、10年以上小さな居酒屋を経営してきました。

ところが、店舗建物のオーナーであるBさんは、自社ビルを新築したいと言って、Aさんに立ち退きを求めています。

Aさんは、立地に恵まれていることもあって、これまで月400万円も売り上げていました。しかし、今回、Bさんの立ち退きに応じなければならないとすると、せっかくの立地を手放すことになるので、売り上げがダウンすることは必至でした。

ただ、Aさんとしては、長く世話になったBさんと裁判までして強く争うつもりはなかったので、ある程度、納得のいく補償があれば立ち退きに応じる意向も持っていました。

交渉

Aさんは、近くに同じ条件で借りることのできる代替物件がないことを確認し、立ち退いた場合に備えて、候補の物件を予め探していました。

その上で、営業上の損失を店舗できるだけの立退料が支払われるのであれば、立ち退きに応じる方針で交渉しました。

Bさんとの交渉では、今回の借地が立地条件に恵まれているとのことで、借家権評価額が争いとなりました。

Aさんとしては、借家権価格は3000万円を下らないとの査定書を提出して、立退料としては最低でも1000万円必要と試算しました。他方、Bさんは2000万円の査定書を提出するなど、算定根拠となる数値に開きがあり、立退料として600万円を提示しました。

Bさんが明け渡しの裁判を起こしたとしても、Aさんの店舗を代替する物件を発見することは容易ではなく、Bさん側の正当事由を肯定するのは困難な事案でした。

Aさんとしては、そのような見通しが立っていたので、裁判にはなる可能性は低く、Bさんが譲歩すると見込んで強気の交渉を続けました。

交渉開始から数カ月、硬直した状態にしびれを切らしたBさんが、Aさんの提案額1000万円の立退料を提示するに至り、希望額でAさんは和解することができました。

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