わが子に対するいじめを解決するには?専門弁護士が解説
2022年12月08日
「子どもがいじめを受けていることが分かったが、まず何をすればよいのか、解決策が全くわかりません」
「学校にいじめの相談をしたいが、学校は、いじめの被害を受けた子どもに対して、きちんと寄り添った対応をしてくれるのか不安」
もし、わが子がいじめを受けている兆候を発見した場合、保護者の立場としては、いじめ問題をどのように解決するべきか、非常に悩ましい問題があります。
いじめを発見し、すぐに大人が学校に問題を指摘して、一時的にいじめを止めることはそれほど難しいことではありません。しかし、いじめの根本的な問題が解決しないまま、只々、いじめの事実を大きく取り上げられてしまうことがあります。それでは、被害児童生徒の心情としては、必ずしも手放しに喜べる状況にあるとは言い難い現実があります。
いじめが再発しないように、保護者・学校は、相互によく相談しながら、子どもにとって最もよい解決策を考え、いじめがなくなるまでその解決策を実行することが重要となります。
以下では、いじめ問題の解決に至るまでの具体的な流れについて説明していきます。
- 保護者としては、いじめを知った場合、まずは子どもの話をよく聞くことが大切です。こどもの意見を尊重した解決策でなければ、いじめの問題はなくなりません。
- 被害児童生徒の意見を学校側にも明確に伝えて、相談し、綿密な解決策を練ることが重要です。
- いじめ対策には、被害児童生徒の心情に沿った、きめ細やかな対応が求められます。いじめ問題に詳しい弁護士に対応を任せることも一つの手です。
いじめの解決策の流れ
まずは、いじめの兆候を発見してから、これを解決するまでの一般的な解決策の流れについてみていきましょう。
いじめの兆候
いじめが表立って行われることは少ないため、注意深く観察していないといじめを看過することにもなりかねません。また、いじめ被害を受けている児童生徒においても、自分がいじめを受けていると認めたくない心情もあり、自らいじめ被害を訴えてくることは、意外にも少ないのです。
まずは、保護者、学校、周りの大人達が、いじめの兆候に気付いてあげることが必要です。そして、いじめではないかと疑問を持ったのなら、当該児童生徒に悩みはないか、相談に乗ってあげましょう。
ただし、ここで注意しなければならないのは、いじめを受けている事実を押し付けないことです。いじめではないと否定しているにもかかわらず、いじめであると押し付けることにより、かえって当該児童生徒の尊厳を傷つけかねません。
いじめを止める
いじめに気付いたのであれば、まずはこれを止めることから始めるべきです。
いじめを止める方法としては、加害者側へのアプローチ、学校を通じてするアプローチなど、様々考えられます。客観的にはいじめに見えるようなことであっても、そもそも本人としては、友人との交流の一つとして捉えていることもありますし、若干の苦痛を感じていながらも、周囲との関係を壊さないように許容していることも多いのです。
それにもかかわらず、被害児童生徒の意に反する手段を取った場合、かえって当該児童生徒を深く傷つけてしまうこともあります。
最悪の場合、当該児童生徒がクラスメイトなどから「チクった」と言われてしまい、仲間はずれに遭うなど報復を受け、より深刻な二次被害を招く結果にもなりかねません。
よって、いじめを止めるにあたっては、まず被害児童生徒の話をよく聞いて、実態に即した最適な方法を用いる必要があります。
被害児童生徒は、通常、いじめの事実を学校などに告げたために報復されることを恐れています。「●●が××にいじめられたと言っている」などと言って、いじめ問題を大きく取り上げることは避けなければなりません。
いじめを止める方法については、被害児童生徒、保護者、学校が、よく話し合いをしながら、当該児童生徒の心情に配慮した手段をとるべきです。
いじめ再発防止策を検討する
一度、いじめを止めたとしても、時間が経てばいじめは再発します。しかも、再発したいじめは、一度発覚している経緯を踏まえ、より潜伏的で、巧妙化します。そのため、いじめが再発していないかどうかは、より注意深く観察しなければなりません。既に一度注意しているからと安心していると、いじめ再発による重大な事故を引き起こしかねないのです。
そこで、いじめが一旦止まった後も、いじめの再発はないか、学校に対して定期的な調査を依頼しましょう。再発が疑われるのであれば、いじめに根深い問題が関わっていることが多いと言えます。
学校に加害児童生徒へのヒアリングを依頼し、なぜいじめが再発することになったのか、問題の原因を探る必要があります。
その上で、加害児童生徒と被害児童生徒の付き合い方について、学校はもちろん、場合によっては当該加害児童生徒側とも面談し、最適な方法を協議していくことになります。
また、被害児童生徒に対しても、どのようにすれば、クラスメイトと上手く付き合っていくことができるのか、人生の先輩としての立場でアドバイスすることも重要です。
保護者によるいじめの解決策
では、わが子がいじめ被害に遭っていることを知った保護者の立場としては、どのようにしていじめを解決したらよいのでしょうか。保護者がとるべき具体的な解決策の一例を見ていきましょう。
子どもへのヒアリング
わが子がいじめ被害に遭っていることを知った親の心情としては、とてもショックの大きいことだと思います。しかしながら、前述したとおり、子どもは、必ずしもいじめの解決に両親が介入することを望みません。両親が介入したことで、かえって子どものプライドを傷つけることがあることから、保護者としては、子どもの意見を尊重しながら、いじめ問題に向き合う必要があります。
一番重要なのは、お子様自身がいじめをどのように捉えているかという点ですから、まずはお子様の気持ちをよく聞いてあげてください。
お子様において、本人自身がいじめと捉えておらず、また、これを自分自身で解決しようとしているのであれば、親がこれに口を挟むべきではありません。保護者が対応するとしても、余計な事をしないように、後方支援という形で、お子様をバックアップしてあげるとよいでしょう。
しかし、いくらお子様がいじめを否定していたとしても、それが犯罪行為であるならば、全く話は別です。そもそも、犯罪行為を行うようなコミュニティに属してしまっていることが異常であり、重大な危害が加えられたり、事件に巻き込まれる危険が極めて高いといえます。
保護者としては、子どもを健全に育て、その心身の健康を守る義務がありますから、その場合にはためらうことなく、いじめの解決に向けて動き出すべきです。
学校にいじめを相談する
きちんとお子様からヒアリングした上で、子どもでは手に負えないと感じたなら、保護者としては、学校に対応を相談すべきです。
学校側であれば、児童生徒のヒアリングを実施することも容易であり、いじめの実態を正確に把握することができます。また、学校側は、加害児童生徒に対して、適切に「指導」を行うことにより、いじめを止めるとともに、今後の再発防止策を講じます。
被害児童生徒や、その保護者に対しても、「支援」という形で、いじめ防止に向けた情報の共有などが行われます。
ただし、被害児童生徒は、学校が動くことにより周囲との関係を壊すのではないか強く懸念していることが多いです。保護者としては、学校に相談を入れる前提として、被害児童生徒の懸念点に十分配慮するので、心配は要らないということをきちんと説明しましょう。
警察にいじめを相談する
恐喝や、暴力、万引きの強要など、犯罪性のあるいじめが行われることもあります。
警視庁をはじめ、各都道府県の警察署では、子どもの相談はもちろん、両親からの相談を受け付けて、犯罪性のあるいじめに対して迅速に対処しています。わが子が重大な犯罪被害に遭ったのなら、警察への相談をためらわないでください。
弁護士によるいじめの解決策
では、保護者や学校が介入しても、いじめ問題が解決しないとき、どのように取り組めばよいのでしょうか。
この場合、いじめの原因となっている事象に対して適切に対処できていないことが原因と思われます。いじめ問題に適切に対処するためには、いじめに対する深い理解や、学校との交渉に関するノウハウが必要ですから、いじめ問題に詳しい弁護士に解決策を依頼することも有用です。
そこで、いじめ問題に詳しい弁護士が、どのようにしていじめ問題に取り組んでいるのか、その解決策を具体的に見ていきましょう。
学校と協議しながらいじめを防止する
弁護士は、いじめ被害に遭った児童生徒から依頼を受けた場合、まずは学校に対して、当該いじめの事実を認識させるべく、学校側と協議を始めます。
まずはいじめをすぐに止めるための方策を検討しますが、それによって、被害児童生徒に不利益とならないよう、細心の注意を払う必要があります。
具体的には、いじめの事実を学校に告知してもらうにあたり、被害児童生徒や保護者の意見をよく聞き、告知方法を入念に学校と打合せします。
また、加害者を特定する必要があるかどうかも重要なポイントです。特定の加害者を名指しした対策を取った場合、加害者側からの報復が考えられるからです。
弁護士は、学校と面談の上、いじめの実態についてよくヒアリングした上で、最も適切と思われる手段を選択し、いじめを止めることになります。
いじめの解決策を検討する
弁護士の介入により、いじめが止まった場合であっても、時間が経てば、いじめは再発する可能性があります。
弁護士としては、被害児童生徒に対して、定期的にヒアリングを行い、異常がないかを確認します。再発の場合、当該児童生徒が仲間はずれにあっていることも多いので、心のケアを含めた寄り添った対応が望まれます。
また、学校側へのヒアリングも同様です。学校の担当者において、加害児童生徒に対する聴取を実施してもらい、いじめの原因となっている問題点を共有してもらいます。
定期的なヒアリングをして解決策が明確となれば、保護者、学校の担当者に対して注すべき点を細かく指示します。
また、被害児童生徒の方でも、クラスメイトとの接し方など改善すべき点があれば助言することも大切です。
法的手続による解決策を検討する
弁護士がいじめ再発防止策に乗り出せば、ほとんどのいじめは改善されます。しかし、中には、弁護士が介入したにもかかわらず、いじめが続くケースもあります。そのようなケースは、深刻な問題をはらんでいると思われますので、法的手続といったより強い解決策を検討すべきです。
まとめ
いじめを一時的に止めることは簡単です。しかし、いじめの根本的な原因を取り除かない限り、いじめは再発することになります。
いじめの根本的な原因を取り除くためには、被害児童生徒、保護者、学校、それぞれが、互いによく話し合う必要があります。場合によっては、加害児童生徒側の話もよく聞く必要があるでしょう。
そのようにして、いじめの根本的な原因を探り当てることにより、ようやく有効な解決策が導かれるのです。
保護者の立場として、わが子のいじめの問題を知ったのであれば、まずはお子様の話をよく聞くところから始めてください。それでも解決策が分からない場合、いじめ問題に詳しい弁護士に相談するとよいでしょう。
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