弁護士法人 春田法律事務所

リフォーム工事後のクーリングオフは可能?適正な金額を返してもらう為の方法を弁護士が解説します!

リフォーム工事後のクーリングオフは可能?適正な金額を返してもらう為の方法を弁護士が解説します!

2019年08月18日

リフォーム工事の請負契約は、契約の締結交渉に始まって、工事完成引渡しまで、一定期間契約関係が継続することになります。それは、数日ということもあれば、数か月という場合もあります。
このようにして、リフォーム工事の請負契約は、ある程度長期間の契約関係を予定していることから、当初、契約を締結した時点では意気投合していた当事者が、途中、何らかの理由があって、相手方に対する信頼を失い、不信感だけが膨らんでいった結果、遂には契約を解除したいと考えるに至ることも珍しくありません。 最近は、インターネットから簡単にリフォーム業者にアクセスすることができるため、注文者とリフォーム業者は、信頼関係が全くないところから契約が始まります。しかし、これがリフォームのトラブルを引き起こしやすい原因となっているようです。
特に、シロアリ駆除工事などに代表されるように、リフォーム工事の請負契約は、消費者契約法の観点からも、問題の多い契約類型の一つとなっています。
ただ、契約解除と言っても、具体的にどのようにすればよいのか、支払ったお金はきちんと戻ってくるのか、施工途中の家・部屋はどうなるのか、契約解除を伝えた後の見通しが立たず、不安は尽きないかと思われます。
そこで、今回はリフォーム契約の解除について、ご説明します。

リフォーム後の工事トラブルが急増中!契約解除やクーリングオフの手段をおさらいしましょう

リフォーム後の工事トラブルが急増中!契約解除やクーリングオフの手段をおさらいしましょう

契約が一旦締結されると、当事者は、その契約内容に拘束され、無条件でその契約関係を解消することができないのが原則です。
しかし、一般に、業者は消費者よりも情報・知識などの点で優位に立っているところ、上記原則を貫くと、消費者が不必要な契約に拘束されて不当な負担を強いられる可能性があります。

そこで、消費者は、消費者契約法によって、事業者との契約を取り消すことができる場合があります。 加えて、詐欺(民法96条1項)又は錯誤(民法95条1項)を理由とする取消しや、公序良俗違反(民法90条)を理由とする無効主張をすることも考えられます。

また、特定商取引法は、訪問販売などにおいて、消費者が契約締結後に無条件で契約の申込みを撤回したり又は契約を解消したりできる制度を設けました。これをクーリングオフといいます。 リフォーム契約においても、法律上の要件を満たせば、注文者はクーリングオフの権利行使をすることができます。(特定商取引法では、クーリングオフできる取引として、訪問販売・電話勧誘販売・マルチ商法などを挙げていますが、以下ではリフォーム契約において主に問題となり得る訪問販売を想定します。)

特定商取引法に該当する契約については、クーリングオフにより、申込み又は締結後に、消費者は無条件に申込みを撤回したり契約を解消することができます(特定商取引法9条1項本文)。
クーリングオフは、原則として事業者から法定の書面を交付されてから8日以内になされる必要がありますが、事業者が注文者のクーリングオフの行使を妨げる行為を行った場合には、この期間が延長されます(特定商取引法9条1項ただし書)。
クーリングオフは工事終了後でもすることができます。

リフォーム工事後に契約を解除する方法は?クーリングオフは使えるの?

リフォーム工事後に契約を解除する方法は?クーリングオフは使えるの?

契約解除は、リフォーム工事が開始された後にも行使することが可能です。実際にどのようにしてリフォーム工事契約を解除する必要があるのか、以下、具体的に見ていきましょう。

契約解除の意思表示は明確に

リフォームの契約においては、いつの時点で契約解除の意思表示をしたのかが重要です。
通常、施工者は、次々と資材を発注したり、職人・作業員を現場に派遣するなどして、工事の費用を積み上げていきます。
しかし、注文者の解除意思が施工業者に伝わっていないがために、解除があったことを知らず、必要のなかった資材を発注するなどして損害が拡大してしまうことは十分考えられることです。
契約解除の意思表示について、「言った」「言っていない」という問題になってしまうと、裁判では原則として「言っていない」と扱われますので、解除通知を怠ったがために莫大な損害賠償義務を負うこともありえます。
そのため、リフォーム契約においては、契約解除の意思表示をいつの時点で行ったのかはもちろん、その証明手段についても当然、重要になってきます。

契約解除は内容証明郵便で

契約解除の意思表示をいつまでにしたのかを証明する最も確実な手段が内容証明郵便です。
リフォームの契約を解除したいと考えた場合、まずは、必ず内容証明郵便の方法によって契約解除を行うことが第一歩となります。
なお、内容証明郵便による解除の場合、紙面にどのような内容を盛り込めばよいのか、事案ごとに専門的な判断を要するため、一概に説明することは困難ですが、最低限盛り込んでおく必要がある記載としては、

  • 解除対象となるリフォーム契約を特定する情報(契約日、工事名、工事場所など)
  • 当該契約を解除する意思表示

の2点です。
早急に解除する必要があるものの、弁護士に相談する時間がない場合は、ひとまず上記の事実だけでも施工者に通知しておき、その後、解除通知の内容について弁護士の意見を踏まえて、補充すべき内容があれば後日補充の通知書を送付するという対応も検討すべきでしょう。

特定商取引法9条1項は「書面により」クーリングオフを行使できる旨定めていますが、これは口頭によるクーリングオフを否定する趣旨ではなく、口頭でも権利関係を明確にして後日の紛争を防止できるとして有効に取り扱われるべきと考えられています。
しかし、口頭によるクーリングオフのみの場合、実際にその行使がなされたことを証明する方法がありません。そこで、実際は書面によって通知を行うのが望ましいでしょう。 その際には、前述のように内容証明郵便を用いることで、より確実に意思表示を証明することができます。

リフォーム工事契約の消費者契約法による保護

消費者契約法では、消費者と事業者間で締結したリフォーム工事契約について、事業者の債務不履行を理由とする消費者の解除権を放棄させたり又は事業者に解除権の有無を決定する権限を与える条項を無効としています(消費者契約法8条の2)。
そして、解除と似た方法として、消費者による、消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しという制度もあります(消費者取消権)。例えば、以下のような権利行使が認められます。

  • 事業者が重要な事項について事実と異なることを告げて(不実告知)、消費者がそれによって誤認した場合には、民法上の詐欺(民法96条1項)が成立せずとも、申込み又は承諾の意思表示の取消しが認められます(消費者契約法4条1項1号)。

  • 事業者の不退去や退去妨害といった不適切な勧誘行為によって消費者が困惑した場合には、民法上の強迫(民法96条1項)が成立せずとも、申込み又は承諾の意思表示の取消しが認められます(消費者契約法4条1項1号・2号)。

消費者取消権の行使によって、取り消された行為ははじめから無効であったものとみなされます(民法121条)。
そして、申込み又は承諾の意思表示によって生じた効果について、当事者は元通りに戻す義務を負います(原状回復義務 民法121条の2第1項)。
解除も取消しも、リフォーム契約の効力を失わせるという点では効果が共通しており、前述した解除権の行使と同様に内容証明郵便による方法によって通知します。

契約解除により支払った代金は返ってくるのか?

契約解除により支払った代金は返ってくるのか?

リフォーム契約を解除した場合、必ず問題となるのが、支払った代金の返金についてです。
というのも、リフォーム工事は、ほとんどの場合、着工前に全部又は一部前金の支払いを求められるからです。
リフォーム工事の契約解除をした後、既に支払っているお金がいくら戻ってくるのかという問題は、非常に関心の高い問題でもあります。
また、契約解除をして、逆に施工者から損害賠償請求をされるのではないかという心配も生じてきます。

全額を返してもらうのは難しい

民法上、請負契約において仕事の完成前に契約が解除された場合には、請負人は注文者が受ける利益の割合に応じて注文者に対して報酬を請求することができる旨定められています(民法634条2号)。そして、リフォーム契約についても同号の適用を受けます。
したがって、契約を解除したとしても、法律上、注文者は、原則として施工者のした工事に対する対価を支払わなければならず、全額返金を求めるのは難しいという結論になります。

ただし、消費者契約法や特定商取引法によれば、民法による上記の原則を修正しています。

消費者契約法によれば、「当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの」については、その超過部分の金額について無効となります(消費者契約法9条1号)。
したがって、リフォーム契約が消費者契約に該当する場合、当該契約における報酬を一切返金しない旨の条項は、前述の平均的な損害額を超える額を定めたものにあたるとして、その超過部分につき無効となることがありえます。

また、特定商取引法に該当する契約をクーリングオフによって解除する場合、法律上、業者は注文者に対して、受け取った全額を返還しなければならないことになっています。これは、ある程度工事が進み、業者によって注文者が利益を受けていたとしても結論に変わりはありません。

とはいえ、実際のところ、契約解除された業者が、受領した金銭をそのまま手つかずのまま保管しているということはほとんどありません。何らかの支払いに充てるなどしており、全額返金することは困難な状況に陥っていて、返金できたとしてもわずかな金額であったり、ひどい場合には返還請求を一切無視することもあります。

適正な金額を返金してもらうためには

リフォーム契約を解除(クーリングオフによる契約解除を除きます。)した後は、注文者と施工者との間でいわゆる「出来高清算」を行います。「出来高清算」とは、要するに、注文者が、契約解除までに施工者がした工事の代金相当額に対して対価を支払うことです。

出来高を算定する根拠としては、大きく分けて「積算方式」と「割合方式」の二つがあります。
この「積算方式」とは、業務に実際に要した経費を積み上げた金額をもって出来高と評価する方式であるのに対し、「割合方式」とは、契約上の業務全体のうち完成部分の業務に占める割合を算出し、業務報酬総額のうちその割合に応じた金額をもって出来高と評価する方式のことを言います。
判例では、比較的「割合方式」による算定をする場合が一般的のように思われますが、解除する側にとって妥当な金額となりやすいのが「積算方式」でしょう。

しかしながら、いずれの方式をとるにしても、算定ルールは人それぞれであるため、算定根拠が不明瞭であったり、単価が余りに相場からかけ離れた金額であったりすると、双方に大きな見解の違いが生じやすく、トラブルが生じる原因となります。
実際のところ、出来高清算は、まず施工者が一方的に金額などを提示するため、当然、返金を極力抑える計算をします。
むしろ、返金額が全くないか、それを超えて契約解除に対する損害賠償請求をされるのが通常です。
発注者としては、出来高清算の交渉が必要となった場合、「積算方式」によることを主張した上で、まずは出来高算定の根拠となっている請求書・明細書を提出させた上で、工事項目の一つ一つを検証していき、請求額をできる限り圧縮する作業が必要となります。

ここで注意していただきたいのは、施工者が必ずしも全ての工事内容を把握しているとは限らず、全く施工していない工事項目であっても、施工者がそれに気づかないで施工済み工事として請求を上げる場合が多いということです。
このような事態になるのは、かなり多くの施工者が、自ら工事現場に入らず、全て下請けの業者に工事を全て丸投げして、工事内容を把握していないことに起因します。
そのため、既履行であるとして当然のように計上されている項目ひとつひとつにつき、未施工かどうかの精査を怠らないことが重要となります。
また、契約解除が施工者の債務不履行による場合には、逆に、発注者から施工者に対して損害賠償できる項目がないか検討し、それを根拠に査定金額をマイナスする交渉をすることも必要です。特に、施工者の債務不履行が著しく、それによって多大な損害を被った場合、実質的な返金に至ることもありえます。

リフォーム工事後のクーリングオフによる契約解除

リフォーム工事後のクーリングオフによる契約解除

リフォーム工事後にクーリングオフをする場合、どのようなケースで有効として扱われ、反対に、どのようなケースで無効と扱われるのでしょうか。それぞれ、具体的に見ていきましょう。

クーリングオフにより解除できるケース

クーリングオフによって解除できるケースは以下の4類型です。

  • 営業所等以外の場所において売買契約や役務提供契約の申込みがなされた場合 典型例としては、事業者が自宅に訪ねてきて事業者に対して契約の申込みをした場合などが挙げられます。
  • 営業所等以外の場所で呼び止められた上で、営業所等に同行させられて申込みや契約締結がなされた場合 消費者が外出中に呼び止められて営業所・説明会場・展示場などに連れていかれて契約の申込みをした場合が挙げられます。
    もっとも、キャッチセールスで契約締結に至る事業者の中には特定の営業所を持たない事業者もおり、クーリングオフの実効性を期待できない可能性があることに注意が必要です。
  • 営業所等以外の場所において申込み及び契約の締結がなされた場合 訪問を受けて契約を申し込んだ後に、その場で契約書や承諾書を作成した場合が挙げられます。
  • 営業所等以外の場所において申込みを行い、その後事業者から契約締結の連絡が来た場合 訪問を受けて契約を申し込んだ後に、営業所に戻った事業者から契約をする旨のFAXや電子メールなどが送信された場合が挙げられます。

訪問販売において、クーリングオフは、法定書面を受領した日を起算日として、そこから8日が経過するまでの間になされる必要があります(特定商取引法9条1項ただし書)。法定書面とは、特定商取引法規定の事項が記載された、事業者が消費者に交付すべき書面を指します。特定商取引法では申込書面と契約書面が分けて規定されています(特定商取引法4条・5条)が、実際のリフォーム契約では、契約申込み時に、事業者から、申込書と契約書を兼ねた書面が法定書面として交付されることが一般的です。
書面が交付されていない場合、クーリングオフの期間は進行しません。法がクーリングオフの期間を「法定の書面を受領してから8日間」と定めていること、及び書面不交付は罰則対象となること(特定商取引法71条1項1号・7条・8条)からも明らかです。
また、書面が交付されていても当該書面に不備があった場合、同様にクーリングオフの期間は進行しません。記載不備も書面不交付と同様罰則対象となることを鑑みれば、法で要求されている記載事項について一部でも欠落していたならば、原則クーリングオフの期間進行は認められないと考えるべきでしょう。

さらに、不備の無い書面を交付していた場合であっても、事業者が虚偽の説明を行ったり威迫して困惑せることで消費者のクーリングオフ行使を妨げた場合、たとえ8日間経過した場合であっても、消費者はいつでもクーリングオフを行使することができます。ただし、事業者が改めてクーリングオフできる旨記載した書面を交付し、それから8日間経過したならば、消費者はクーリングオフを行使することができなくなります(特定商取引法9条1項ただし書)。

クーリングオフにより解除できないケース

まず、消費者が積極的に事業者を探して、事業者の営業所内に自ら入って契約を締結した場合には、特定商取引法の「訪問販売」に該当しないため、クーリングオフを行使することができません。

また、一見すると「訪問販売」に該当するような事案であっても、特定商取引法26条ではクーリングオフの適用除外について定められています。

例えば、契約当事者が営業のために若しくは営業として締結する取引は、クーリングオフの対象となりません(特定商取引法26条1項1号)。
また、住居における契約の申込み又は契約締結を請求した者に対して行う訪問販売も、クーリングオフの対象外です(特定商取引法26条5項1号)。
そして、消費者の住居にて訪問販売がなされていても、過去1年以内に1回以上、その事業者との間でその訪問販売の事業と関連する取引があった場合には、クーリングオフの対象外となります(特定商取引法26条6項2号、特定商取引法施行令8条2号・3号)。このような場合には消費者は事業者を知っており、両者の間に信頼関係が成立していると考えられるからです。

クーリングオフの効果

クーリングオフがなされると、契約の効果は消滅します。 そして、代金を未だ支払っていない場合にはもはや代金を支払う必要はなくなりますし、既に代金を支払っている場合にはその代金の返金を求めることができます。 入会金などを受領している場合にも、業者は速やかにこれを返還する義務を負います(特定商取引法9条6項)。
他方、業者は、工事をしたからといって、損害賠償や違約金を求めることはできません(特定商取引法9条3項)。
また、業者には自身の費用負担による原状回復義務が発生する(特定商取引法9条4項)ほか、注文者は業者に対して、現状変更された土地や建物その他の工作物について無償で原状回復するよう請求することもできます(特定商取引法9条7項)。
なお、これらの内容と比較して注文者に不利になるような内容の特約は無効となります(特定商取引法9条8項)。

まとめ

まとめ

これまで述べてきたように、リフォーム工事の請負契約を解消するには、クーリングオフによる解除、消費者取消権、そして民法の規定に基づく取消し・無効主張などをすることが考えられます。
そして、クーリングオフでは使用利益の返還が不要であったり原状回復にかかる費用は事業者負担となっている点を鑑みれば、一般的にはクーリングオフの方が有利であると考えられます。
既に支払ったお金が戻ってくるのかどうか、不安が残ることを差し置いても、施工業者の仕事に信頼を置けなくなったときは、なるべく早いタイミングで契約解除を決断することが重要です。 そもそも契約解除ができるのか、解除の方法、解除後の処理など、判断に迷ったときは、弁護士にご相談ください。

キャンセル料については、以下の記事をご覧ください。

関連記事:専門の弁護士が解説! リフォーム工事のキャンセル料はいくら位かかる?:春田法律事務所

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この記事を監修したのは

篠田 匡志
弁護士篠田 匡志
第一東京弁護士会 所属
経歴
立教大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
金沢市にて総合法律事務所勤務
春田法律事務所入所

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