撮影罪とは何か?問われる罪・状況・すべきことを解説

最終更新日: 2023年10月16日

撮影罪とは何か?問われる罪・状況・すべきことを解説

  • 盗撮を疑われている、自分はどのような罪に問われるのだろう?
  • 盗撮行為が厳罰化されたと聞いている、どのような点が重い罪に問われるのだろう?
  • 盗撮の疑いで逮捕された場合、弁護士はどのような対応をするのだろう?

撮影罪は、身体の性的な部位、下着等を相手の同意なく撮影または盗撮する罪です。

本罪で有罪となると、3年の拘禁刑(性的影像記録提供等の場合は5年)を受けてしまう可能性があります。そうなる前に最善の対応策を検討し、不起訴や減刑を目指したいものです。

そこで今回は、多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、撮影罪の特徴と刑罰、弁護士を代理人とした場合のメリット等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 2023年7月13日以降の盗撮事件から各都道府県の条例ではなく、撮影罪が原則として適用される
  • 人の性的姿態等をひそかに撮影する行為や、第三者への画像の提供も撮影罪の処罰対象
  • 弁護士に弁護を依頼すれば、被害者と交渉し示談を成立させ、不起訴処分や減刑を得られる可能性もある

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

撮影罪とはなにか

撮影罪の正確な呼称は「性的姿態等撮影罪」です。

身体の性的な部位、下着等を相手の同意なく撮影すると本罪に問われる可能性があります。

出典:性的姿態撮影等処罰法 | e-Gov法令検索|法務省

撮影罪とは

撮影罪は相手の同意のない性的な画像・動画の撮影、第三者への提供に関する罪です。

そもそも刑法に盗撮罪という規定はなく、盗撮を取り締まる場合、各都道府県の迷惑防止条例で対応してきました。

しかし、スマートフォンの普及で、盗撮件数が年々増加していく事態となり、全国一律で処罰する規定が求められるようになりました。

そこで

性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(性的姿態撮影等処罰法)

を新たに制定され、2023年7月13日に施行されました。

従来の罪からの変更点

各都道府県の迷惑防止条例では、懲役期間・罰金額に差があり、またどの都道府県で撮影されたのかを特定しないと処罰できない等、様々な問題点が指摘されていました。

性的姿態撮影等処罰法の施行後は、撮影罪の適用地域は全国一律となり、どの地域で本罪に問われても、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処されます。

また、同法では撮影以外の行為に対する処罰規定も設置されました。

  • 提供罪:盗撮画像を第三者に提供した場合
  • 保管罪:盗撮画像を提供目的で保管した場合
  • 記録罪:盗撮画像だと認識した上で記録した場合

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撮影罪等で問われる罪

撮影罪に問われた場合、3年の拘禁刑(性的影像記録提供等の場合は5年)に処される可能性があります。

こちらでは新設された各刑罰について説明しましょう。

出典:性的姿態撮影等処罰法 | e-Gov法令検索|法務省

性的姿態等撮影

人の「性的姿態等」を同意なく撮影すれば撮影罪に該当し、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処されます(性的姿態撮影等処罰法第2条)。

性的姿態等とは次の部位や姿態等を指します。

  • 性器、陰毛、肛門、臀部、胸部等の性的な身体の部位
  • 性的な身体の部位を隠すため着用している下着
  • わいせつな行為または性交等がされている間の人の姿態

なお、拘禁刑とは刑法改正で新たに設けられた刑の種類です。従来の禁錮刑と懲役刑を廃止し、拘禁刑に自由刑が一本化されます。

拘禁刑では、受刑者の更生に必要な場合、刑務作業を行わせ矯正教育の実施も可能です。

なお、拘禁刑を定めた改正刑法が施行されるのは2025年の見込みとなっており、それまで拘禁刑は「懲役」とみなされます。

性的影像記録提供等

違法な性的姿態等撮影の画像・動画を第三者へ提供する場合は提供罪に該当し、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処されます(性的姿態撮影等処罰法第3条)。

また、盗撮画像のような違法な性的画像・動画等を、不特定多数の人に提供または公然と陳列した場合、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、または併科されます(同法第3条第2項)。

性的影像記録保管

違法な性的姿態等撮影の画像・動画を提供する目的で、画像・動画を記録した場合は保管罪に該当します。

保管罪で有罪となれば、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処されます(性的姿態撮影等処罰法第4条)。

性的姿態等影像送信

不特定多数の人に対して、次のような画像・動画を送信した場合、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、または併科されます(性的姿態撮影等処罰法第5条)。

  • 本人が送信されるとは知らなかった、性的姿態等撮影の画像・動画を送信する行為
  • 本人の同意しないまたは抵抗できない状態で撮影された、性的姿態等の画像・動画を送信する行為
  • 本人に性的なものではない、また不特定多数の者に送信されないと誤信させ、撮影した性的姿態等の画像・動画を送信する行為
  • 正当な理由がないのに、13歳未満の者の性的姿態等の画像・動画を送信する行為

性的姿態等影像記録

違法な性的姿態等撮影の画像・動画と知っていながら、画像・動画を記録した場合、記録罪が成立します。

記録罪で有罪となれば、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処されます(性的姿態撮影等処罰法第6条)。

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撮影罪が問われる状況

こちらでは、性的姿態撮影等処罰法に規定された罪が、どのような状況で問われるのか、具体的なケースをあげて説明します。

性的な画像・動画撮影

撮影罪には次のようなケースが該当します。

(1)正当な理由なく、人の性的姿態等を盗撮した

  • 電車に乗車中や駅構内の階段を利用し、女性のスカートの下を撮影したり、胸の谷間を撮影したりする行為
  • 性行為中のカップルを物陰からこっそり撮影した 等

(2)被害者が同意できない状態で撮影した

  • 相手に暴行や脅迫を用い、または心身の障害を生じさせ女性器を撮影した
  • 相手にアルコールまたは薬物を摂取させ、抵抗できない状態とした後、全裸にし撮影した

(3)被害者を誤信させて撮影した

  • 特定の行為等がわいせつなものではない、と相手に信じ込ませ撮影した
  • 相手に自分以外は誰も見ない、と騙して性行為を撮影した

(4)16歳未満の未成年者の性的姿態等を撮影した

  • 12歳の少女の同意を得て全裸にし、女性器や自慰行為を撮影した
  • 撮影者は20歳で、15歳の少女と交際し同意を得て、性行為を撮影した

撮影される人が16歳未満ならば、たとえ撮影に同意しても本罪に該当します。

また、やや内容は複雑になりますが、13歳〜15歳以下の人の性的姿態等を撮影した場合、相手と5歳以上年齢が離れていると処罰対象になります。

これは、交際中の未成年者同士が同意のうえで、性的姿態等を撮影するケース等を除外するための規定です。

性的な画像・動画の提供・公開

撮影罪に該当する動画・画像を、インターネットの動画サイトに掲載したり、DVD等で販売したりする行動が提供罪に該当します。

無償で公開しても有償で公開しても、やはり本罪に問われてしまいます。

性的な画像・動画保管

撮影罪に該当する動画・画像を、提供・公開する目的で保管していた場合は保管罪に該当します。

また、違法な性的姿態等撮影の画像・動画と知りつつ、送信された画像・動画を記録した場合は記録罪が成立します。

撮影罪を疑われたらすべきこと

撮影罪を疑われた場合は、自分で何とかしようと考えず、刑事事件の交渉や裁判に実績のある弁護士へ相談してみましょう。

こちらでは、撮影罪を疑われ身に覚えがあるケース、身に覚えがないケースそれぞれの対応方法を解説します。

身に覚えがある場合

撮影罪等で有罪となれば拘禁刑(懲役刑)になる等、重い刑罰を受ける可能性があります。

撮影罪等と疑われる行為をした場合は、なるべく早く弁護士と相談し対応を話し合いましょう。

弁護士に弁護を依頼すれば、迅速に被害者へ連絡を取り、示談交渉を開始します。示談に加害者本人は参加せず、全て弁護士に任せて示談成立を待ちましょう。

被害者と示談が成立すれば、示談書を作成します。

なお、弁護士と相談後に捜査機関から逮捕されてしまっても、警察官に弁護士と連絡を取るようお願いしましょう。弁護士はすぐに釈放するよう警察や検察へ働きかけます。

また、逮捕・勾留後、検察官が起訴・不起訴の判断をする前に示談が成立すれば、不起訴の可能性が高まります。

なぜなら、検察官は起訴・不起訴の判断をするとき、被害者の処罰意思を重視するからです。

撮影罪等は非親告罪ですが、示談成立後に被害者が被害届を取り下げ、処罰を望まないならば、検察官は不起訴を決定する場合が多いです。

身に覚えがない場合

撮影罪等と疑われても身に覚えが無いならば、しっかりと罪を否認し、無実を主張しましょう。

いきなり警察官がやってきて、自分が何の準備もしていない状態で逮捕されてしまうケースもあります。

そのようなときは家族に弁護士(私選弁護人)を選んでもらえれば、逮捕後もすぐに面会が可能です。

弁護士は逮捕された本人の主張を正確に捜査機関へ伝え、早期釈放や無実の主張を諦めずに継続していきます。

まとめ

今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、撮影罪等が問われるケース、捜査機関から本罪を疑われた場合の対応方法について詳しく解説しました。

撮影罪等は相手に同意のない性的な画像・動画を撮影したり、第三者に提供したりする卑劣な犯罪です。

もしも、身に覚えがあるならば、誠心誠意、被害者に謝罪し、真摯に自ら罪と向き合う努力が必要です。

撮影罪等を行い、後悔や不安を感じたらなるべく早く弁護士に相談し、今後の対応を話し合ってみてはいかがでしょうか。

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