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不倫で慰謝料を請求されて作成した示談書の効力は?

不倫で慰謝料を請求されて作成した示談書の効力は?

2019年09月26日

不貞行為を行ったことで不倫相手の配偶者から慰謝料請求をされた、その後、不倫相手の配偶者と直接会って示談書や誓約書にサインをするように迫られた。
このような事案が、不貞行為慰謝料のご相談をいただいた際に相当数あります。

示談書や誓約書などを作成している場合、その記載のとおりに慰謝料の支払義務が生じるのが原則ですが、だからといってただちに諦める必要はありません。

示談書や誓約書などの書面は、合意に至るまでのプロセスが落とし込まれた結果として作成されるものです。
そのため、合意に至る経緯に無理がある場合には、後の紛争の火種を残すことになります。

また、専門家のチェックを受けていない示談書や誓約書などは、不備があることも少なくありません。
不備があった場合にも、やはり示談書作成後の紛争につながります。

そこで、今回は、不倫慰謝料請求における示談書や誓約書などの書面の効力についてご説明します。

1 示談書や誓約書などの慰謝料の支払いを記載した書面の効力

不貞行為の慰謝料を支払う内容の示談書や誓約書などの書面を作成した場合、記載内容のとおりに支払義務が発生するのが原則です。

  ただし、示談書や誓約書などの書面を作成するまでの経緯次第では、裁判例上も、意思表示に瑕疵があることを理由に効力が無効となったり、取消しが認められることがあります。

  そこで、そのように後に示談書や誓約書などの効力が争われた場合に、その有効性はどのようなポイントで判断されるのか、以下みていきましょう。

⑴ 示談書や誓約書などの書面はどのような経緯で作成されたのか

不貞行為の慰謝料を支払う示談書や誓約書などの書面を作成した経緯として、恫喝されたり、脅された、だまされたといった事情や、支払うことが不可能だと伝えたのに後日また話し合えばいいからとりあえずサインするよう言われた等の事実があれば効力を争う余地があります。

これらの事実を立証するために、録音があればなお良いですが、録音がなくとも証拠となりうるものを総合的に検討することで解決の糸口がつかめることがあります。

不倫相手に慰謝料を請求する側の立場からは、不貞行為を行った不倫相手と顔を合わせることは苦痛でしょうから、できるだけ一回で話をつけたいという気持ちが強いと思われます。
しかし、強引に慰謝料支払の示談書や誓約書などの書面を作成すると、後日請求してもその効力を争われる可能性が出てきます。
一度持ち帰って検討させることは後日の紛争を回避するために有用です。

示談書や誓約書などの書面の効力が有効か否かは最終的には裁判所の判断によって決まりますが、訴訟となれば解決まで長期化することは避けれられませんし、尋問期日で不倫相手と顔をあわせる等で精神的負担も増大することになります。

⑵ 不貞行為の慰謝料金額は法外ではないか

示談書に記載された不貞行為の慰謝料の金額が高額に過ぎる場合には、それだけでも公序良俗違反として無効になりえますし、高額過ぎる金額支払を記載せざるを得なくなった経緯として強迫による作成を推認する事情になるでしょう。

なお、分割支払の場合には、後日請求するために、期限の利益喪失条項や毎月の支払期日、支払金額をきちんと確定しておくべきです。

⑶ 示談書や誓約書などの書面の体裁はどのようなものか

例えば、不貞行為の慰謝料として1000万円を支払うという記載のある示談書が手帳を破いた紙片に手書きでなぐり書きされていた場合、どのような印象を受けるでしょうか。
支払うと記載した不倫相手が本当に1000万円を支払う意思で作成したのか疑問が生じます。

⑷ 不貞当事者間の求償権についての条項

不貞行為は、不貞配偶者と不倫相手が共同で行った一つの不法行為ですから、不貞当事者間に責任割合を考えることができます。
不貞行為で生じた慰謝料を不倫相手が支払った場合、不倫相手は、不貞配偶者に対して、責任割合に応じた金額を自身に対して支払うよう請求することができます。
これを求償といいます。

夫婦が離婚しない場合には、不倫相手が不貞配偶者に対して求償する権利を放棄することに関して実効的に示談書や誓約書などの書面に記載しておかなければ、その書面に基づいて不倫相手から慰謝料の支払いを受けた後、不倫相手が不貞配偶者に対して求償を行うという次の紛争が生じることになります。

不貞行為の慰謝料に関して当事者同士で示談書や誓約書などの書面を作成する場合には、求償についての記載が抜けていることが多く見られます。
また、求償についての記載があっても、不倫相手に対して求償の意味を説明していなければ、真意に基づかない意思表示として効力に疑義が生じうるため注意が必要です。

2 示談書を作成したが慰謝料の支払いがない場合の対応

  半ば強制的に示談書や誓約書などの書面を作成した場合等、請求しても書面にしたがって不倫相手が不貞行為の慰謝料を支払ってこないことがあります。
このような場合には、示談書や誓約書などの書面に記載された内容の履行を求める訴訟を提起して、勝訴判決をもらうことができれば、強制執行が可能になります。

  しかし、強制執行の対象財産は、支払を受ける側で探さなければならない上、一定程度までの資産は法律上差押禁止となっていることから、強制執行が功を奏しないこともあります。
資産の調査自体は、民事執行法の改正によって、ある程度容易になりますが、強制執行自体も裁判所に提出する書類作成等専門家のアドバイス抜きでは容易ではありません。

  そのため、示談書や誓約書などの書面が有効と判断され勝訴判決を得たとしても、必ずしも強制執行によって慰謝料を回収することが容易とは言えません。

  したがって、支払金額は高額だが不倫相手が実際に支払うことが困難な示談書や誓約書などの書面を作成した場合と、支払金額は相場の範囲内だが現実的に支払える内容の示談書を作成した場合を比べると、後者の方が(裁判をしなくても)任意に不倫相手が支払をする可能性が高まるためにメリットがあるという考え方もありえます。

3 最後に

  示談書や誓約書などの書面を作成する主な目的は、不倫相手に慰謝料を支払わせることにあるのがほとんど思われますが、以上みてきたように、不可能な内容を不倫相手に強いて記載させ示談書や誓約書などの書面を作成しても紛争の解決にはならないことがしばしばありますので、これらの書面をつくるまでのプロセスを大事にするべきでしょう。

  また、慰謝料を支払う示談書や誓約書などの書面を作成させられてしまったという場合には、その効力を争うために作成の経緯を早期に証拠化することが重要です。
その記載内容や作成経緯次第では、再度交渉することで和解をやり直して解決できる可能性があります。
示談書や誓約書などの書面が有効と考えられる場合であっても、様々な事情から交渉の余地があることは意外と多いものです。

示談書や誓約書などの書面を不倫相手にサインさせたい場合や、反対に、高額な慰謝料の支払いをする書面にサインをさせられてしまったという場合には、一度、弁護士にご相談ください。

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