介護施設で高齢者虐待の疑いがあるときの通報先は?その後の流れも含めて弁護士が解説

2022年03月08日

介護施設で高齢者虐待の疑いがあるときの通報先は?その後の流れも含めて弁護士が解説近年、擁護者ではなく介護施設の職員が高齢者虐待を行う事例が報告されることも珍しくなくなってきました。

もし介護施設で高齢者虐待を目撃したときには、まずは介護施設に連絡することが一番です。ただしそれでも解決しないときには、然るべき機関に通報をして相談する必要があります。

今回は、介護業界のトラブルを数多く解決に導いてきた専門弁護士が、介護施設で高齢者虐待の疑いがあるときの通報先や通報後の流れについて解説します。

この記事を監修したのは

南 佳祐
弁護士南 佳祐
大阪弁護士会 所属
経歴
京都大学法学部 卒業
京都大学法科大学院 卒業
大阪市内の総合法律事務所 勤務
春田法律事務所 入所

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介護施設での高齢者虐待の種類と理由は?通報先に連絡する前に押さえるべき知識

ここでは、通報先に連絡する前に押さえるべき基礎知識を解説します。

  • 高齢者虐待の意味と種類
  • 介護施設で高齢者虐待が起こる理由

それでは、1つずつ解説します。

高齢者虐待の意味と種類

基礎知識の1つ目は、高齢者虐待の意味と種類です。

平成17年に制定された高齢者虐待防止法では、高齢者虐待の意味を「養護者や養介護施設の従事者などによる高齢者(65歳以上)に対する虐待」と定義しています。

また、高齢者虐待は主に以下の5種類に分類されます。

身体的虐待 高齢者の身体に危害を加える虐待
心理的虐待 高齢者に精神的苦痛を与える虐待
養護虐待 高齢者に食事や入浴などの介助を行わない虐待
性的虐待 高齢者に性的な行為を強要をする虐待
経済的虐待 高齢者の金品を盗む、もしくは無断使用する虐待

 

5つの虐待のうち、最も発覚件数が多いのは身体的虐待です。厚生労働省の報告によると、養介護施設従事者などによる虐待のうち、身体的虐待は60.1%に上ります。

介護施設で高齢者虐待が起こる理由

基礎知識の2つ目は、介護施設で高齢者虐待が起こる理由です。

その理由は大きく分けて3つあります。1つ目は、職場の人員不足です。

介護士の負担が大きくなれば、職場の人間関係が悪化することや、疲労から精神バランスを崩すことがあっても無理がありません。その不満の矛先が、立場の弱い高齢者に向かって虐待につながることも十分考えられます。

2つ目は、職員の教育不足です。職員に対する教育体制が整っていない中では、どのように利用者に接すればいいかを理解しないまま、介護の仕事に携わる職員も出てくることでしょう。高齢者虐待に関する知識がなく、無自覚に高齢者虐待を行っていることも考えられます。

3つ目は認知症の利用者がいることです。介護現場の認知症対策が進んでおらず、職員への負担が大きくなってしまっていることも、虐待を招いている要因の1つです。

介護施設で高齢者虐待の疑いがあるときの通報先

高齢者虐待防止法によると、介護施設で高齢者虐待の疑いがあるときの基本的な通報先は、管轄の市区町村です。それ以外では、市区町村より委託を受けて高齢者の相談窓口を担っている地域包括支援センターにも相談が可能です。

また高齢者虐待防止法には、高齢者虐待についての通報についても記載があります。

同法第7条・第21条では、介護施設においては

「業務に従事する養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は、速やかに、これを市区町村に通報しなければならない」

としています。

つまり、高齢者虐待を発見した人に対して、通報する義務、あるいは通報する努力義務が課されているのです。そのため、本当に高齢者虐待があったか確信がなくても、疑われる事象があれば通報しても問題はありません。

なお「養介護施設従事者等」とは、老人福祉法・介護保険法で規定されている「養介護施設」または「養介護事業」の業務に従事する者のことを言います。

高齢者虐待防止法における「養介護施設従事者等」について分かりやすくまとまっている表を以下に引用しますので、参考にしてください。

  養介護施設 養介護事業 養介護施設従事者等
老人福祉法による規定

a 老人福祉施設

b 有料老人ホーム

老人居宅生活支援事業 「養介護施設」又は「養介護事業」の業務に従事する者(※)
介護保険法による規定

a 介護老人福祉施設

b 介護老人保健施設

c 介護療養型医療施設

d 介護医療院

e 地域密着型介護老人福祉施設

f 地域包括支援センター

a 居宅サービス事業

b 地域密着型サービス事業

c 居宅介護支援事業

d 介護予防サービス事業

e 地域密着型介護予防サービス事業

f 介護予防支援事業

※業務に従事する者とは、直接介護サービスを提供しない者(施設長、事務職員等)や介護職以外で直接高齢者に関わる他の職種も含みます。

介護施設で虐待の疑いがあり通報した後の流れ

ここでは、介護施設で虐待の疑いがあり通報した後の流れを解説します。

介護施設において少しでも高齢者虐待が疑われたら、速やかに市区町村か地域包括支援センターに通報しましょう。

通報を受けた市区町村は、法律に基づき関係者に出頭を求めて聞き取り調査をしたり、施設への立ち入り検査をしたりします。介護施設が市区町村の調査や検査を拒否したときは、介護施設の指定の取り消しや効力停止などの処分を受ける可能性があります。

介護施設は、職員への研修や利用者やその家族からの苦情に対応する仕組みづくりなど、現場を担当する介護士の負担を減らす努力をしなければなりません。さらなる処分が下されないよう、施設運営を改善していくことが大切です。

まとめ

今回は、介護施設で高齢者虐待の疑いがあるときの通報先や通報後の流れについて解説しました。

介護施設で高齢者虐待が疑われる場面に遭遇し、市区町村か地域包括支援センターに通報するときには、冷静になって事実を伝えるよう心がけましょう。感情的になりすぎると、通報ではなく苦情と勘違いされることもあります。

また、当法律事務所には介護業界のトラブルを数多く解決に導いてきた専門弁護士が多数所属しています。市区町村か地域包括支援センターに通報してもなお不安なときは、当法律事務所にご相談ください。

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