親の介護をすると相続では有利になるのか!?弁護士が徹底解説

2022年05月11日

親の介護をすると相続では有利になるのか!?弁護士が徹底解説

  • 兄弟より率先して親の介護をした
  • 親の介護をすると他の兄弟より相続が有利になるのか
  • 介護をしたことで有利になる方法があれば知りたい

近年、介護離職が社会問題となるなど、介護にかかる負担は決して軽いものではありません。兄弟の誰よりも率先して親の介護をしてきた場合、いざ相続となったときに介護をしてない人よりも遺産を多くもらえるのでしょうか。一方で、介護をしていない人は平等な遺産分割を望むことが多いため、兄弟間の遺産相続トラブルは絶えません。

そこで今回は、親の介護で相続を有利にできるのか・親の介護で有利な相続をする「特別の寄与」とはどんな制度なのか、親の介護で有利な相続をするためのポイントや親の介護での相続トラブルには弁護士の介入をすすめる理由について、相続に関わるトラブルに詳しい専門弁護士が基礎から解説します。

この記事を監修したのは

南 佳祐
弁護士南 佳祐
大阪弁護士会 所属
経歴
京都大学法学部 卒業
京都大学法科大学院 卒業
大阪市内の総合法律事務所 勤務
春田法律事務所 入所

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親の介護で相続を有利にすることはできるのか?弁護士が基礎から解説

親の介護で相続を有利にできるのでしょうか?以下2つのポイントから、解説します。

  1. 介護をした人としていない人の間に生じる「ズレ」
  2. そもそも法定相続分とは?

1つずつ、解説します。

介護をした人としていない人の間に生じる「ズレ」

介護をした人としていない人の間には、相続に対して「ズレ」が生じることがあります。介護をしていた人は少しでも介護に寄与した分を得たいと考えるのに対し、介護をしていない人は法定相続分により平等に分割するのが当然であると考えるからです。

相続するときに介護をした人は他の相続人よりも遺産が多くなるという明確な法律がないため、介護をしていた人としていない人の間で相続に対する認識が異なり、これが原因で兄弟間などで相続争いが起きてしまうのです。

そもそも法定相続分とは?

法定相続分とは、相続人が被相続人の財産を相続する場合にあたり、各相続人の相続分として民法で定められた割合のことをいいます(民法900条)。

また、民法では誰が遺産を相続するのかが定められており、その相続人のことを法定相続人といいます(民法886条)。民法では法定相続人の相続順位についても定めており(民法887条、889条、890条)、この順位によって法定相続分が異なります。同順位の法定相続人が複数いる場合は、その人数によって均等に分けられます。

被相続人の死亡により相続が開始した際に、遺言により遺産の処分方法が定められている場合は、この遺言により相続が決まります。被相続人の遺言がない場合は、原則として相続は法定相続分により分割されます。ただし、どちらの場合においても、分割方法について協議をして法定相続人全員の同意が得られれば、遺言や法定相続分による相続に従う必要はありません。

遺産分割協議の結果、介護をした人の相続分がこの法定相続分より多く認められ、これに反対する人がいなければ問題はありません。しかし、法定相続人全員の同意が得られず、これに反対する人がいた場合、相続人同士でもめてしまうことも少なくありません。

親の介護で有利な相続をする「特別の寄与」

親の介護で有利な相続をする「特別の寄与」について、以下の3つを解説します。

  1. 「特別の寄与」の制度とは?
  2. 特別寄与料の請求要件は?
  3. 特別寄与料は相続税の課税対象

1つずつ、見ていきましょう。

「特別の寄与」の制度とは?

被相続人の介護をした相続人に法定相続分以上の財産を相続させるために、寄与分という制度があります(民法904条の2)。寄与分とは、共同相続人のうち被相続人の財産を維持する上で特別の貢献をした人がいるときに、その貢献をした人に相続財産の中から相当額の財産を取得させる制度です。

介護をした人としていない人の間の実質的な不公平を是正するための制度なので、介護をした人はこの寄与分により法定相続分以上の遺産を請求することが可能です。

寄与分を請求できるのは、法定相続人に限られています。寄与分が認められるには、

  1. 相続人自身の寄与行為があること
  2. その行為が特別の寄与であること
  3. 寄与行為によって被相続人の財産が維持または増加したこと

が必要です。
このときに問題になるのが、被相続人の介護をした人が法定相続人ではない場合です。たとえば、非相続人の長男の妻などは相続人ではないため、介護をしていても寄与分を請求できません。

そこで改正法では「特別の寄与」の制度を設けて、相続人以外の親族も寄与料の請求ができるようになりました。

「特別の寄与」の制度とは、相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の療養看護などを行った場合に、相続人に対して寄与度に応じた金銭(特別寄与料)を請求できる制度です(民法1050条)。

相続人でない者の貢献を考慮して、2019年の相続法の改正により導入された新しい制度になります。

特別寄与料の請求要件は?

特別寄与料の請求要件は、以下の3つがあります。

  1. 親族であること
  2. 療養看護その他の労務の提供
  3. 無償であった

それぞれについて見ていきましょう。

親族であること

1つ目は、相続人以外の親族であることです。

相続人には寄与分が認められているので、特別寄与料の請求は認められていません。親族とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族をいいます。この親族には、相続人・相続放棄や欠格で相続人の資格を失った人は含まれません。なぜなら、相続人であれば寄与分がありますし、また相続できない人には寄与料が認められないからです。

この親族の範囲に含まれる配偶者は法律婚のみで、事実婚の場合は認められません。

療養看護その他の労務の提供

2つ目は、療養看護その他の労務の提供があったということです。

療養看護その他の労務の提供には、財産給付は含まれません。たとえば、被相続人の事業に出資した場合などは寄与分の対象にはなりますが、寄与料の対象にはならないので注意が必要です。

無償であった

3つ目は、無償であったということです。

被相続人から介護料を受け取っていたり、金銭以外の対価を受け取っていたりしたような場合は、特別寄与料を請求することはできません。ただし、受け取っていたのがお小遣い程度の金銭の場合は無償とみなされ、特別寄与料の請求が認められています。

特別寄与料は相続税の課税対象

特別寄与料は遺贈により取得したものとみなされるので、相続税の課税対象になります。

相続税法では、被相続人の1親等の血族および配偶者以外の相続税について、相続税額に2割加算して納税することを定めています。

特別寄与者は、1親等の血族および配偶者以外の人に該当します。また、相続税の申告期限は、特別寄与料の額が決まったことを知った日の翌日から10か月以内になります。

また、相続人が特別寄与料を支払った場合は、その相続人の相続分から支払った特別寄与料を控除した金額が相続税の課税対象になります。

弁護士が教える!親の介護で有利な相続をするためのポイント

親の介護で有利な相続をするためのポイントは、以下の3つです。

  1. 遺言書に書いておいてもらう
  2. 遺産分割協議で寄与分を主張する
  3. 裁判所での手続きを行う

1つずつ、見ていきましょう。

遺言書に書いておいてもらう

親の介護で有利な相続をするための1つ目のポイントは、遺言書に遺産の割合を書いておいてもらうことです。

特に介護をしている相続人が、介護をしていない他の相続人よりも多い遺産の受け取りを希望している場合は、その旨を親にしっかりと伝え、どれだけの遺産を受け取りたいのか具体的に相続の範囲を書面にして残しておいてもらうことです。

遺言書に記載があれば、その内容に従って遺産分割が行われます。ただし、遺言書がある場合においても、他の相続人から遺留分請求の可能性があることは留意しておきましょう。

介護を要するような老齢の親に、相続の話をするのは好ましいことではないかもしれません。しかし、このような状況をそのまま放置してしまえば、その後に相続が開始したときにトラブルになることが想定されます。

兄弟間の相続争いを避けるためにも、遺産の割合を書いた遺言書を作成しておいてもらうことが重要です。

遺産分割協議で寄与分を主張する

親の介護で有利な相続をするための2つ目のポイントは、遺産分割協議で寄与分を主張することです。

遺産分割協議とは、遺産の分割について相続人全員で協議し、同意することです。遺産の範囲や額を確定したり、被相続人への特別な貢献を寄与分として換算したりするためには、遺産分割協議は必須です。

また、だれがどのような遺産を取得するのかについて具体的に話し合う必要があります。介護をした相続人あるいは親族は、この遺産分割協議の場において、具体的にどれだけの寄与を行い、それに応じた相続分の主張が不可欠です。

遺産分割協議が行われ、相続人の間で相続分の合意が得られた場合は、そのことを遺産分割協議書に記載します。ただし、遺産分割協議書は弁護士ではない人が作成すると、法的に有効とならない場合もあります。後々のトラブルを防止するためにも、相続に詳しい弁護士に相談して作成することをおすすめします。

裁判所での手続きを行う

親の介護で有利な相続をするための3つ目のポイントは、裁判所での手続きを行うことです。

調停は、紛争を抱えた当事者の間に第三者が入って、紛争を解決する裁判所の手続きです。遺産分割協議で合意が得られない場合は、家庭裁判所に寄与分を求める処分調停の手続きを行います。

遺産分割調停の手続きがすでになされている場合には、別に調停や審判の申立を行う必要があります。

また、調停によっても相続人が同意できない場合は、家庭裁判所の審判に進み、裁判官が寄与分を決定します。

親の介護での相続トラブルには弁護士の介入がおすすめ

親の介護での相続トラブルには弁護士に介入してもらうメリットを3つ解説します。

  • 専門的な知識や経験からスピーディーな解決が期待できる
  • 調停や審判になっても任せられる
  • 遺産分割を発端としたその他の問題も相談できる

以下、1つずつ見てみましょう。

専門的な知識や経験からスピーディーな解決が期待できる

相続トラブルで弁護士に介入してもらう1つ目のメリットは、専門的な知識や経験からスピーディな解決が期待できることです。

弁護士は相続トラブルの専門的な知識や経験を有しているので、遺産分割においても適切な寄与分を算出できます。

また、寄与分を証明するためにどのような証拠が必要になるのか、証拠収集のサポートも行います。特に家庭裁判所での審判では、裁判官が寄与分を決定する場合には法的根拠に基づいた主張や立証が必要になるため、弁護士の介入が重要になるでしょう。

調停や審判になっても任せられる

相続トラブルで弁護士に介入してもらう2つめのメリットは、調停や審判になっても任せられることです。調停は平日に家庭裁判所に出頭する必要があるので、スケジュールの調整など煩雑になりがちですが、弁護士に依頼すればすべて代理で行ってもらえます。

また調停では、家庭裁判所に提出する資料なども必要ですが、これらの事務的な手続きもすべて弁護士に任せられるので、時間的また物理的な手間が大幅に削減できます。

遺産分割を発端としたその他の問題も相談できる

相続トラブルで弁護士に介入してもらう3つめのメリットは、遺産分割を発端としたその他の問題も相談できることです。

遺産分割は、寄与分だけではなく特別受益といったその他の問題が生じる場合も少なくありません。弁護士に依頼すれば、遺産分割に関するすべての問題をトータルでサポートしてくれるので、事前にトラブルの回避が可能になります。

まとめ

今回は、親の介護で相続を有利にできるのか、親の介護で有利な相続をする「特別の寄与」とは、親の介護で有利な相続をするためのポイントについて、弁護士が基礎から解説しました。

親の介護をしたことによる寄与分を主張したときに、他の相続人が認めれば問題になりませんが、相続トラブルとなってしまう場合もあります。遺産分割協議を経ても平和的解決が望めないようなときは、調停や審判など複雑かつ煩雑な手続きをしなければなりません。

相続トラブルはデリケートな問題でもあるため、親族での相続争いは頻繁に起きています。相続の主張で揉めそうな場合は、専門的知識と経験のある弁護士に依頼することをおすすめします。

最後までお読みいただきありがとうございました。ご不明な点があるときやもっと詳しく知りたいときは、下にあるLINEの友達追加ボタンを押していただき、メッセージをお送りください。弁護士が無料でご相談をお受けします。

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