いじめ後遺症を克服する方法について、専門弁護士が解説します!

最終更新日: 2023年03月01日

いじめ後遺症を克服する方法について、専門弁護士が解説します!

「継続的ないじめを受けたことで傷つけられ、精神的な後遺症が残りました。」
「いじめによる後遺症について、加害者に賠償請求をしたい。」

いじめは、被害者の心身を深く傷つける行為です。
暴力によるいじめ、言葉によるいじめ、様々ないじめが考えられますが、これを継続的に受けると「後遺症」となって、被害者に一生残り続ける傷となります。

そこで、いじめによって後遺症が残った場合の救済方法を、いじめ問題に詳しい弁護士が解説していきます。

  • いじめによる後遺症は、回復困難になる前に対策をすることが大切です。
  • いじめによる後遺症から立ち直る方法はあります。後遺症の克服については、専門家に相談しましょう。

    この記事を監修したのは

    代表弁護士 春田 藤麿
    代表弁護士春田 藤麿
    愛知県弁護士会 所属
    経歴
    慶應義塾大学法学部卒業
    慶應義塾大学法科大学院卒業
    都内総合法律事務所勤務
    春田法律事務所開設

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いじめによる後遺症の問題

いじめは、被害者の心身に深い傷を残します。そして、それは後遺症として被害者に残り続けることになるのです。まずは、いじめによる後遺症が被害者にどのような問題を与えるのか、詳しく説明していきます。

  • いじめによるPTSD
  • いじめによる人間不信・対人障害
  • いじめによる後遺障害

いじめによるPTSD

いじめによる後遺症として最も多い報告事例が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)というものです。

PTSDを簡単に説明しますと、強いストレス(暴力、暴言など)を受けたことによって、「心」が傷を負った状態になることを言います。暴力により、身体が損傷を受けた場合は分かりやすいのですが、「心」の傷は目に見えないため、受傷の事実は本人しかわからないのです。

PTSDは、時間が経てば治癒されるものもありますが、いじめによる傷が余りに深い場合には、一生癒えない後遺症となるものもあります。「心」の傷は見えませんが、いじめの被害者に対しては、手厚い心のケアが必要なのです。

いじめによる人間不信・対人障害

いじめにより受けた心の傷は、さらに人間不信や、対人障害の問題を派生させます。

特に、子どもの成長過程では、同時に心も育っていきます。その過程で、いじめを受けて、心の成長にも悪影響が生じると、人を信頼しようという気持ちや、人に対する思いやりの気持ちが育たなくなってしまうのです。

やはり、人間関係の基本となるのは、お互いの信頼関係や、思いやりです。しかし、悪意あるいじめによって、この部分が阻害されることになれば、当然、いじめを受けた者にとっては、人と人とのコミュニケーションにも重大な支障を生じさせる結果となります。

子の健全な発達という観点からも、将来、人間不信や対人障害をもたらしかねないため、一刻も早くいじめを阻止すべきなのです。

いじめによる後遺障害

これまでいじめによる「後遺症」の説明をしてきましたが、いじめにより「後遺障害」が残ることがあります。「後遺症」と「後遺障害」は、大きく重なる部分もありますが、意味はかなり違います。

「後遺障害」とは、裁判所で用いられている法律概念であり、障害の等級ごとに細かく症状の類型が定められています(参考として、交通事故事件で利用している後遺障害等級のリンクをご参照ください。)。

いじめによる「後遺障害」が認められるかどうかは、後遺障害等級のいずれかに該当することが必要となります。いじめを受けたことで「後遺症」が残ったとしても、いずれかの等級に該当しない場合、法的には「後遺障害」として認められないのです。

関連記事:後遺障害等級

いじめによる後遺症を克服するには

いじめの後遺症は、被害者の人生に悪影響を及ぼします。いじめを受けたことの苦しみを少しでも和らげるには、後遺症を克服していくことが必要です。では、どのようにしていじめによる後遺症を克服していくべきでしょうか。具体的に説明します。

  • 両親が相談相手になる
  • 医師のカウンセリングを受診する
  • いじめの無い環境に変える

両親が相談相手になる

いじめによる後遺症を克服するには、加害者に対する恐怖など、いわゆるトラウマになっている事象を乗り越えることが重要となります。しかし、いじめの被害者が、一人でこれを乗り越えるのは、並大抵のことではありません。

そこで、被害者には、味方になってくれる相談相手がどうしても必要なのです。その相談相手としては、子どもを一番近くから見守っている両親が最適といえるでしょう。逆に、両親が味方になって、子どもにはできない部分を補ってあげるだけで、子どもは簡単に逆境を乗り越えることができるようになります。

まずは、両親が子どものいじめに向き合って、一緒に解決策を考えるだけでも大きな一歩です。いじめを受けていると、中々、悩みを打ち明けてくれないかもしれませんが、子どもに積極的に話しかけてあげることが重要です。

医師のカウンセリングを受診する

いじめに遭って心に傷を負った場合、治療をせずに放置していてもなかなか治りません。心の傷も、体の傷と同じで、治療が必要なのです。

ただ、心の傷は目に見えるものではないため、治療方法はそう簡単ではありません。なかなか癒えない後遺症だと感じたなら、心の傷を専門的に治療している心療内科や、メンタルクリニックにおいて、カウンセリングを受けることをお勧めします。

いじめの無い環境に変える

PTSDは、当時のいじめを想起させるようなふとした出来事をきっかけに再発することがあります。後遺症を抑えるには、嫌なことを思い出さないようにすることが重要なのです。

いじめのあった環境にいつまでも身を置いていては、いつまでもいじめによる後遺症が癒えることはありません。そこで、心機一転、いじめの無い環境に身を置くようにするのも有効です。

たとえば、児童生徒が学校でいじめに遭っていた場合、学校は、当該児童生徒にとって非常に嫌な場所です。無理に行きたくない学校に行かせるのではなく、フリースクールや、通信制の学校など他の施設を案内するのも手です。

いじめ後遺症を受けた場合の法的措置

いじめの後遺症は、身体的なものであれ、精神的なものであれ、損害であることに変わりありません。いじめ加害者は、被害者に対して、与えた損害について賠償するなどの法的責任が生じます。

  • いじめ加害者との交渉
  • 民事裁判手続の利用
  • 刑事手続の利用

いじめ加害者との交渉

いじめの被害を受けた場合、生じた損害を回復するためにも、治療費や、慰謝料などを加害者に支払ってもらう必要があります。しかし、被害者が積極的に動かなければ、加害者は何も対応しないのが通常です。

いじめ加害者としても、法的責任として金銭賠償が必要となってくれば、いじめによる後遺症の責任所在について強く争ってきます。後遺症となれば、賠償金額も高額化する傾向にあるので、なおさらでしょう。

いずれにしても加害者側が強く争ってくる場合、一般の方が加害者に対して働きかけを行っても限度があります。弁護士による内容証明郵便を送るなど、交渉の専門家による粘り強い手段によらなければ、加害者に法的責任を認めさせるのは容易ではありません。

民事裁判手続の利用

加害者と交渉をしても、責任を認めないなど、慰謝料の支払いを期待できない場合には、民事裁判手続の利用を検討します。

民事裁判手続では、判決が出た場合、裁判所の力を借りて、強制的に権利を実現することができます。相手の意に反していても、強制的な権利実現を行うという極めて強力な手続であることから、判決が出るまでの審理は非常に慎重になされます。

また、自身の権利を裁判所に認めてもらうためには、主張を裏付ける十分な証拠も提出しなければなりません。証拠が不十分な場合、敗訴となることも十分にあり得ます。

民事裁判手続は、弁護士でなければ適切に進められない可能性が高いので、詳しい弁護士に相談・依頼して行うのが安全です。

刑事手続の利用

いじめによって被害者に後遺症を与えた場合、刑法上の傷害罪に該当する可能性が高いといえます。刑法に該当するということは、犯罪行為ですから、警察に被害届を提出するという対応もありうるところです。

とはいえ、いじめは、子ども同士で行われるため、警察としても介入には消極的です。よほど重傷を与えられた場合でない限り、警察は動いてくれないのが通常です。

逆に言えば、重症な後遺症を与えられたような事案であれば、警察が動く可能性は十分にあります。

いじめは、ほとんどの場合、未成年者間で行われるので、少年事件として処理されると思われます。しかし、少年事件であっても、成人の刑事事件と同様、逮捕・勾留されて長期間留置されるケースもありますし、少年鑑別所においても長期間の留置を受けるケースもあります。

また、いじめが刑事事件となった場合には、加害者側としては、有利な処分を得ようとして、示談の申し入れをしてくることがあります。この場合、加害者が相応の示談金を用意していることが多いので、話を聞いてみるのも手です。

まとめ

いじめの後遺症は、身体に対するものはもちろん、心に残るものも同様に、被害者の人生に重大な悪影響を及ぼします。そして、いじめの後遺症を克服するためには、被害者において乗り越えなければならない障害が多く、決して、容易なことではありません。

たしかに、いじめの後遺症が生じた場合、法的手続という手段をとることができます。しかし、法的手続は、あくまで金銭的な対応でしかなく、後遺症それ自体が癒えるわけではありません。

いじめによる後遺症が残る前に、いじめを阻止し、いじめが再発しないように対応していくことが必要です。いじめの被害で困っているのであれば、問題が深刻化する前に、早めに弁護士に相談するとよいでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。ご不明な点があるときやもっと詳しく知りたいときは、下にあるLINEの友達追加ボタンを押していただき、メッセージをお送りください。弁護士が無料でご相談をお受けします。

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