主な離婚原因は?簡単に離婚できない理由と対策や悩んだらすべきことまで詳しく紹介
最終更新日: 2023年09月28日
- どのような理由で離婚する場合が多いのだろう?とても気になる
- 夫婦の関係が冷え切っているのに、なかなか離婚へ踏み切れない理由を知りたい
- 自分の抱えている夫婦の悩みで離婚できるか誰かに相談したい
離婚する理由は夫婦それぞれですが、精神的な面が理由となっているケースもあれば、暴力を振るわれているといった深刻なケースもあります。
一方で離婚に関していろいろ不安があり、離婚に踏み切れない夫婦もいます。
離婚という形で夫婦の問題が決着できるのであれば、専門家のアドバイスを受けつつ、離婚手続きを進めていきたいものです。
そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚する主な原因、離婚がなかなかできない原因等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 離婚する原因は「性格の不一致」が圧倒的に多い
- 離婚したくても生活や子どもへの影響、世間体が気になる等の理由で離婚できないケースもある
- 自分が離婚できるのか否か悩んだら、まずは弁護士に相談し対応を協議した方がよい
離婚する主な原因
現在、離婚するかどうか悩んでいる方は、他の人がどのような理由で離婚するのか、気になるでしょう。
最高裁判所事務総局が集計した司法統計年報の申立ての動機を参考に、離婚の原因をみてみましょう。
こちらでは夫婦が離婚する主な原因を7つ取り上げます。
出典:令和3年司法統計年報(家事編) 第19表 婚姻関係事件数-申立ての動機別申立人別 | 最高裁判所事務総局
性格の不一致
司法統計年報によれば、「性格が合わない」という理由が夫婦ともに最も多くなっています。
離婚調停等の申立人(夫または妻)が明示した動機の約4割を占めています。
ただし、離婚理由を複数あげる人も多く、申立人すべてが「性格が合わない」という理由だけで離婚に踏み切っているわけではありません。
なお、夫婦別で性格の不一致を理由に挙げた人数・割合は下表の通りです。
項目 | 男性 | 女性 |
理由 「性格が合わない」 | 9,240人/15,500人(59.6%) | 16,304人/43,469人(37.5%) |
全体 | 25,544人/58,969人(43.3%) |
精神的な虐待
「精神的に虐待する」という理由が「性格が合わない」に次いで多く、申立人総数の1/4程度となっています。
精神的な虐待とは主に次のような発言行為などです。
- 「もう少し給料があがるように働いたら!」
- 「お前は何もできない、能なし」
- 「それでも大人か、馬鹿野郎!」等
なお、夫婦別で精神的な虐待を理由に挙げた人数・割合は下表の通りです。
項目 | 男性 | 女性 |
理由 「精神的に虐待する」 | 3,159人/15,500人(20.4%) | 10,948人/43,469人(25.2%) |
全体 | 14,107人/58,969人(23.9%) |
生活費を入れない
「生活費を渡さない」という理由も全体の1/4程度と多くなっています。
特に妻の離婚理由として、「性格が合わない」に次いで高い割合です。
なお、夫婦別で金銭問題を理由に挙げた人数・割合は下表の通りです。
項目 | 男性 | 女性 |
理由 「生活費を渡さない」 | 686人/15,500人(4.4%) | 13,235人/43,469人(30.4%) |
全体 | 13,921人/58,969人(23.6%) |
暴力
「暴力を振るう」という理由も2割近くとなっています。
暴力は、配偶者を殴る、蹴る、物を投げつける等の行為の他、相手が承諾しないにもかかわらず、無理やり性交に及ぶ行為も該当します。
なお、夫婦別で暴力を理由に挙げた人数・割合は下表の通りです。
項目 | 男性 | 女性 |
理由 「暴力を振るう」 | 1,454人/15,500人(9.4%) | 8,576人/43,469人(19.7%) |
全体 | 10,030人/58,969人(17.0%) |
異性関係
「異性関係」という理由も全体の1割以上となっています。
異性関係には浮気相手と不倫し肉体関係を持ったケース、他に好きな人ができ交際するために別れたいというケースも想定されます。
なお、夫婦別で異性関係を理由に挙げた人数・割合は下表の通りです。
項目 | 男性 | 女性 |
理由 「異性関係」 | 2,132人/15,500人(13.8%) | 6,505人/43,469人(15.0%) |
全体 | 8,637人/58,969人(14.6%) |
浪費
「浪費する」という理由もほぼ1割になっています。
夫婦の預金や収入をギャンブルや自分の趣味に充てるといった、身勝手な消費が該当します。
なお、夫婦別で浪費を理由に挙げた人数・割合は下表の通りです。
項目 | 男性 | 女性 |
理由 「浪費する」 | 1,883人/15,500人(12.1%) | 4,020人/43,469人(9.2%) |
全体 | 5,903人/58,969人(10.0%) |
親族関係
「家族親族と折り合いが悪い」という理由も1割近く見られます。
同居している配偶者の親と仲が悪い場合や、配偶者の親族から無視される、不満を言われる等のトラブルが考えられます。
なお、夫婦別で親族関係を理由に挙げた人数・割合は下表の通りです。
項目 | 男性 | 女性 |
理由 「家族親族と折り合いが悪い」 | 1,964人/15,500人(12.7%) | 2,647人/43,469人(6.0%) |
全体 | 4,611人/58,969人(7.8%) |
簡単に離婚できない主な原因
司法統計年報に記されている離婚原因に該当するものの、いろいろな理由で離婚に踏み切れない、または離婚の交渉が難航している、というケースもあります。
こちらでは離婚がなかなかできない主な理由、そして解決策を取り上げます。
生活への不安
離婚に踏み切れない理由としては「金銭問題」があげられます。
特に収入がない配偶者、パート・アルバイトをしている配偶者は、離婚後の収入に大きな不安を感じるでしょう。
また、未成年の子どもを連れて離婚するときは、子どもの生活費等も考慮しなければいけません。
生活への不安に関しては、次の対策を検討してみましょう。
実家へ戻る
無理にアパートやマンションを借りず、実家での生活をすれば、家賃や様々な生活費を削減でき、精神的な安定も得られます。
相手と金銭面の取り決めを行う
相手と、財産分与や慰謝料(離婚原因が相手にあった場合)、子どもの養育費の金額や支払方法、支払期限をしっかり決めましょう。
就職活動をする
ハローワークに相談し、自分にあった就職先を探しましょう。資格があれば就職で有利となります。
子どもへの不安
離婚が原因で、子どもが精神的に不安定となったり、経済的に困窮したりしないか悩み、離婚に踏み切れない場合があります。
特に子どもと相手との関係が良好だった場合、子どもは大きな喪失感に苛まれるかもしれません。また、子どもの生活費・教育費をどうするかも考える必要があります。
子どもへの不安に関しては、次の対策を検討してみましょう。
養育費について取り決める
養育費とは子どもが自立した生活を行えるまで、子を養うための費用です。養育費がどのくらいあれば、離婚しても子どもが困窮しない生活を送れるのか、相手ともよく話し合いましょう。
養育費の具体的な金額は、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」を参考に算定するのがよいです。
公的支援制度を利用する
公的機関が用意している支援制度を利用しましょう。
たとえば「児童扶養手当」「児童手当」は、居住地の市区町村役場で受け付けています。
18歳未満の子どもがいる場合、自分の収入に応じて手当が支給され、両制度の利用で月額2万5,000円〜7万円程度を受け取れます。
子どもの自立に合わせ離婚する
親が離婚してしまうと子どもは強い喪失感を抱いたり、学校で噂になりいじめ(特に小学生・中学生の場合)を受けたりするかもしれません。
そのようなときは、夫婦間で離婚の時期について、子どもが未成年の間は離婚しないなどと取り決めるのもよい方法です。
たとえば、次のような取り決めが考えられます。
- 子どもが高校を卒業する年齢(17.8歳)に達したとき離婚する
- 子どもが大学を卒業し、自立する年齢(22歳くらい)に達したとき離婚する 等
世間体
離婚をすると周囲から噂されてしまうのでは?と不安に感じ、なかなか離婚できない場合があります。
ただし、離婚した事実をなるべく隠す方法はあります。
たとえば、婚姻のときに名字を改めていた場合、婚姻中の名字を名乗れば、周囲に離婚したとは思われないでしょう。
婚姻中の名字を名乗るのであれば、離婚日から3か月以内に「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」を市区町村役場に提出しましょう。
また、結婚していたときの名字をそのまま名乗る場合、新たな戸籍を市区町村役場で作成できます。
相手から同意を得られない
相手が離婚を拒否し、話し合いにすら応じないため、離婚条件で対立し話し合いがまとまらないという場合、なかなか離婚手続きが進みません。
協議離婚がうまくいかない場合は、次の方法で解決を目指しましょう。
調停離婚
家庭裁判所に協議の場を移し、離婚の話し合いを継続する方法です。
相手方の住所地または当事者が合意で定めた家庭裁判所に、「夫婦関係調整調停(離婚)の申立」をしましょう。
調停では、調停委員(2名)が夫婦の間に入り、アドバイスや意見の調整をして、当事者の話し合いを手助けします。
裁判離婚
離婚調停で話し合いがまとまらなかったときに、家庭裁判所に訴訟を提起し、裁判官が離婚に関する決定を下す方法です。
「原告」「被告」となった夫婦が、公開の法廷で自分の主張や証拠を提示します。
裁判官は双方の主張や証拠、その他一切の事情を考慮し、判決を言い渡します。
法的に認められない
自分が離婚原因(例:浮気やDV等)をつくった場合は「有責配偶者」となり、原則として離婚請求は認められません。相手からの離婚請求がなければ離婚手続きは進まなくなります。
ただし、長期間(5年くらい)にわたり婚姻関係はあるものの別居し、婚姻生活が成り立っていないと裁判所から判断された場合、有責配偶者からの離婚も認められる可能性があります。
離婚できる原因か悩んだらすべきこと
自分は離婚したいが、性格が合わないという理由だけで離婚できるのか?、暴力を振るわれて離婚したいのに、そのような相手と話し合いをしなければならないのか?、と悩む人は多いでしょう。
離婚について悩むときは、離婚問題に詳しい弁護士へ相談してみましょう。離婚のためのコツや話し合いの進め方等を詳しくアドバイスします。
また、離婚の交渉で弁護士を立てれば、自分が直接相手と会う必要もないので、安心して離婚の手続きを進められます。
離婚問題に詳しい弁護士を選ぶときは、まず法律事務所のホームページを確認しましょう。
相談実績が明記されており、離婚に関する話題が数多く掲載されていれば、離婚の交渉・裁判等に詳しい経験豊かな弁護士と判断できます。
まとめ
今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚する動機や、離婚が難しい場合の対策等について詳しく解説しました。
離婚を決めた後は、相手と離婚条件を話し合う準備や、話し合いが行き詰まったときの対応策について、よく検討しておきましょう。
自分が離婚に悩んだら、速やかに弁護士と相談し、的確なアドバイスを受けましょう。