詐欺で後日逮捕されないことはあるのか?
最終更新日: 2023年07月12日
詐欺罪の立件、検挙件数
令和30年の詐欺罪の認知件数は、3万8513件で、検挙件数は1万6486件でした。検挙率は42.8%であり、刑法犯全体の検挙率37.9%より若干高い程度です。
このうち振り込め詐欺に限定すれば、認知件数は1万6314件、検挙件数は5026件で検挙率は30.4%です。
*振り込め詐欺:オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺
詐欺罪の加害者となった場合、3件に1件以上は検挙されていると考えれば、詐欺罪を犯した場合に後日逮捕される可能性は高いというべきでしょう。
示談すれば詐欺罪の逮捕を回避できる?
逮捕、勾留されるのは逃亡や罪証隠滅を防止するためです。そして、加害者と被害者との間で示談が成立している場合には、加害者において逃亡や罪証隠滅をする動機が低減します。
そのため、詐欺事件を起こしてしまった場合、速やかに被害者との間で示談を成立させれば、逮捕を回避できる可能性がりますし、被害者が被害届を出す前に示談が成立すれば、そもそも事件化すること自体回避できる可能性があります。
詐欺罪の後日逮捕が不安な方には自首をお勧めします
詐欺行為をしてしまった加害者は、後日、警察に逮捕されるのではないかと不安を抱えて生活している方も多いでしょう。
先ほどの統計のとおり、3件に1件以上の詐欺事件は検挙されているのですから、後日、警察に逮捕される可能性は十分にあると考えるべきでしょう。
自首をした場合(特に弁護士と一緒に自首をした場合)、捜査に積極的に協力する意思があることを警察に示すことができます。
そうすると、逮捕理由である逃亡や罪証隠滅の可能性は低いだろうと警察は判断し、逮捕をせず、在宅事件として捜査をしてくれる可能性が高まります。
このように後日逮捕される可能性が高い現実と、後日逮捕された場合の不利益を踏まえると、後日逮捕されない可能性に賭けるよりも、自首をして逮捕を回避し、弁護士を通じて被害者との示談交渉をしていく選択が合理的といえるでしょう。
詐欺罪は示談すれば不起訴になるのか
平成30年度の統計によれば、起訴・不起訴の処分(終局処分)がなされた事件は1万5010件でした。
このうち、起訴猶予処分(詐欺罪の証明は可能だが、諸般の事情を考慮して起訴処分としない処分)となったのは3631件です。これは終局処分がなされた事件の約24%にあたります。
詐欺罪は比較的重い犯罪ですから、被害者との間で示談が成立していない場合に起訴猶予処分となる可能性は低いです。ですから、この起訴猶予処分となっている事件のほとんどは被害者との間で示談が成立している事件と考えられます。
示談が成立しているにもかかわらず起訴処分となった事件の統計は見当たりませんので、示談をすれば不起訴になる確率というものは出せません。
ただ、被害金額が数百万円など高額な事件や振り込め詐欺などの特殊詐欺の事件などは詐欺罪の中でも悪質な事件ですから、被害者に被害弁償をして示談が成立していても起訴処分となる可能性は高いと言って良いでしょう。
逆に、被害金額が数万円、数十万円ほどの単純な詐欺事件の場合には、加害者と被害者との間で示談が成立していれば、不起訴処分(起訴猶予)となる可能性は十分にあるでしょう。
逮捕された場合、再逮捕が続くケースも
詐欺事件は余罪が多数のケースがよくあります。その場合、最初に逮捕された事件の勾留期間が終わると同日、別件で再逮捕されます。
もちろん、別件について被疑者が犯人であると特定ができない場合には再逮捕にはならないでしょう。
しかし、被害者による面割、指紋・DNA鑑定、防犯カメラ精査等の捜査の結果、被疑者が犯人であると特定できた場合には、再逮捕、さらに再逮捕と5件、6件と余罪による再逮捕が続き、勾留期間も1年近くに及ぶケースもあります。
詐欺罪は初犯でも実刑?
詐欺罪に関する裁判所の量刑(刑期)
概ね300万円を超えるような被害額が高額な詐欺事件の場合、起訴された事件が1件だけであっても、懲役2年ほどの実刑判決となる可能性が高くなります。
被害額が300万円でも600万円でも量刑はほぼ変わりませんが、数千万円や1億円を超えるような事件の場合には、3年以上の実刑判決となるでしょう。
また、2件以上の詐欺事件で起訴された場合には、実刑判決となる可能性は高くなります。特に10件など多数の事件で起訴された場合には、5年以上の実刑可能性が高い社会問題となっている振り込め詐欺の場合、厳罰化の傾向にあります。
そのため、初犯の受け子が詐欺未遂1件だけで起訴されたケースであっても、懲役2年から2年半の実刑になることもあります。
詐欺罪で執行猶予判決になるケース
実刑になるケースについてご説明しましたが、詐欺罪の刑事裁判でも執行猶予が付くケースは多くあります。
例えば、譲渡目的で金融機関の口座開設をしてキャッシュカード、通帳を詐取した場合、
初犯であれば1年半の懲役刑、執行猶予3年が基本となります。
また、振り込め詐欺の受け子の事件で、詐欺未遂1件の場合、懲役2から3年、執行猶予3年から5年の事例は多くあります。
被害金額が少額の単純な詐欺事件の場合、示談が成立していなくとも執行猶予が付く可能性はありますが、数件の詐欺罪で起訴されたり、振り込め詐欺などの特殊詐欺の場合には、被害者に被害弁償をして示談が成立していなければ、執行猶予が付く可能性は低くなります。
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以上、詐欺事件の後日逮捕や判決についてご説明しました。
詐欺罪は被害者がいる犯罪ですから、逮捕・勾留の回避、不起訴処分、実刑回避、いずれにとっても被害者との示談交渉は非常に重要となります。
詐欺事件の場合、被害金額が大きく、被害者に対する示談金の捻出が容易でないケースもよくあります。そのようなケースでも弁護人が被害者と話し合い、金策の努力によって、示談を成立させることは不可能ではありません。
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