詐欺罪の被害者が民事、刑事で訴えるには

詐欺罪の被害者が民事、刑事で訴えるには

2020年07月31日

1 詐欺罪の加害者を刑事で訴える

⑴ 返金の第一歩は、加害者の逮捕

多くの場合、詐欺の犯罪被害者と加害者は詐欺行為以前に面識がありません。そして、現金を交付してしまった後は、犯人は姿をくらませるのが通常です。

そのため、詐欺の犯罪被害者が直接、加害者に接触し、返金を求めることは容易ではありません。

したがって、被害者が騙し取られたお金を取り戻すためには、まずは加害者が逮捕されることが必要となります。

なお、既に加害者と接触できる状態にあるときは、弁護士に依頼をして損害賠償請求をすることになります。

⑵ 警察に被害届を出す

犯人を逮捕してもらうためには、まずは警察に被害届を出す必要があります。

事件発生地の最寄りの警察署に出向き、詐欺被害について詳細を申告します。現行犯でない以上、警察も被害者の話だけを鵜呑みにすることはありません。被害者の話を裏付ける加害者とのメールなどのやり取り、送金履歴など裏付け資料も持参すると良いでしょう。

被害者の申告から、加害者は被害者に財産を処分させるために騙していること、被害者がその加害者の言葉に騙されて財産を処分してしまったことが確認でき、何らかの裏付けもあると判断したときは、警察は捜査を開始してくれるでしょう。

⑶ 刑事告訴

被害を申告しているのに、警察が被害届を受理してくれない場合があります。

騙されれば何でも詐欺罪となるわけではなく、あくまで騙す行為は被害者に財産を処分させることに向けられたものでなければなりません。

そのため、被害者の話によればそもそも詐欺罪の要件に該当しない場合には、警察は被害届を受理してくれないでしょう。

他方、確かに詐欺罪の要件には該当するけれども警察が被害届を受理してくれない場合があります。その多くは、証拠が得られる可能性が乏しいと警察が判断した場合です。

しかし証拠を集めるのは警察の仕事ですし、実際に捜査をしてみたら確たる証拠が得られる可能性もあります。

このように警察が被害届を受理してくれないときは、弁護士に依頼をして告訴状を提出して刑事告訴をしましょう。刑事告訴があったときは、警察は速やかに捜査をしなければなりません。

2 詐欺罪の加害者を民事で訴える

⑴ 逮捕されればお金は返って来る?返金されない?

警察に被害届を出し、捜査の結果、加害者が無事、逮捕されたとしても、自動的に、あるいは警察が仲介をして加害者からお金が返って来るわけではありません。

加害者からお金を返してもらうためには、加害者を民事で訴える必要があります。

⑵ 詐欺被害額の損害賠償請求(内容証明、民事訴訟)

加害者を訴える場合、詐欺の被害金を加害者に請求することになります。

まずは内容証明郵便にて損害賠償を求める通知書を加害者へ送りますが、加害者が賠償に応じない場合には、民事訴訟を提起して、裁判所で争うことになります。

民事訴訟では証拠が重要となりますので、刑事裁判記録を謄写するなどして証拠を揃える必要があります。

⑶ 慰謝料の相場は? 詐欺未遂でも慰謝料?

詐欺によって精神的苦痛を被ったから慰謝料を請求したいと考える被害者の方もおられます。

しかし、詐欺罪を含む財産犯の場合には、基本的に、損害は財産的損害についてのみ認められますので、精神的苦痛は損害として認められません。

なお、詐欺未遂の場合には財産的損害が発生していませんから、せめて慰謝料だけでも請求したいという気持ちもわからなくはありませんが、詐欺未遂の場合も同様に精神的苦痛への賠償は認められません。

3 振り込め詐欺救済法

多発する振り込め詐欺の被害者を救済するため、振り込め詐欺救済法が平成20年6月から施行されています。

この法律によって、振込先の犯罪利用預金口座から犯罪被害金の返還を受けることができます。

なお、この法律は、振込手続による詐欺だけが対象で、郵送や手渡しで現金を交付した場合は対象外です。

救済の流れの概要は以下のとおりです。

  1. ⑴ 警察と振込先金融機関に被害を申告する
  2. ⑵ 金融機関が犯罪に利用された銀行口座の口座凍結をする
  3. ⑶ 金融機関が該当口座の失権手続をする
  4. ⑷ 被害回復分配金の支払手続
  5. 被害回復分配金の支払申請期間は約90日と期間制限があります。
    なお、被害者が多数いるなど犯罪利用預金口座の資金が被害額全額に足りないときは、被害額に按分して分配されることになります。

4 できる限り、示談金によって被害額を返してもらいましょう

民事で加害者を訴えて被害額の賠償を受ける場合、時間も弁護士費用もかかりますし、加害者の財産状態によっては全く回収できないこともあります。

加害者が逮捕された場合、加害者の弁護人から示談交渉の申し入れがなされることがあります。このような場合には、後に民事で訴えるのではなく、示談金として賠償を受けることをお勧めします。

もちろん、被害額全額あるいはそれ以上の示談金を支払ってもらいたいところですが、加害者の提示額がそれに満たないときは、とりあえずはその金額を損害賠償の一部として受領するべきでしょう。

また、被害額全額には満たないものの、それに近い金額の提示があり、かつ加害者側が示談(刑事処分を求めないことの表明)という形でなければ支払いはできないというのであれば、後に民事で回収できる可能性は不確かであることを考慮して、その提示額にて示談に応じることも検討に値します。

5 詐欺事件の加害者になったら弁護士に電話相談を

以上、詐欺事件について被害者側の立場からご説明しました。

詐欺事件の被疑者となったときには、できる限り早期に、刑事事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。

この記事を書いたのは

代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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