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別居中の不貞行為に、慰謝料の請求は認められるのか?

別居中の不貞行為に、慰謝料の請求は認められるのか?

2019年09月26日

別居中に異性と出会ったり、また別居前から意識していた異性と別居後に不倫関係に至ったというケースは非常に多くあります。
このような場合、浮気をされた配偶者が不倫相手に慰謝料請求をすると、別居中で夫婦関係は破綻していたじゃないかと反論されることがよくあります。

そこで、今回は、別居と不倫の慰謝料との関係についてご説明いたします。

1 別居中に不倫した場合、慰謝料の請求は認められるのか?

 婚姻関係が破綻していると評価される場合には、法的に保護される利益がないため、浮気をしても、慰謝料の請求は認められません。
そのような婚姻関係が破綻していることの判断要素の一つとして、別居を主張されることがよくあります。

 もっとも、あくまで別居は婚姻関係が破綻しているかどうかを判断する要素の一つに過ぎませんから、別居をしていれば直ちに慰謝料が発生しないということではありません。
別居期間、別居に至った理由や経緯など様々な事情を考慮して婚姻関係が破綻しているのか否か判断されることになります。

 なお、婚姻関係が破綻していたという事実については、慰謝料を請求された側が証拠によって証明する必要があります。

2 どのような別居が婚姻関係の破綻と評価されるのか?

 例えば、別居期間が約5年間に及んでいるケースについて、婚姻関係の破綻を認めた裁判例があります。
確かに、これくらい長期の別居となれば婚姻関係の破綻は認められ易いでしょう。

反対に、別居後2週間で不貞行為に及んだケースで、未だ夫婦関係が破綻したとは評価できないと判断した裁判例があります。
確かに、未だ2週間しか経っていないのであれば、その後、夫婦関係が修復されて同居を再開することも十分にありえますので、夫婦関係が破綻しているとは認められにくいでしょう。
また、別居の理由が、夫婦関係を修復するために冷却期間を置いたというものであれば、婚姻関係の破綻は認められにくいでしょう。

一方、別居から1か月もしないうちに不貞行為に及んだケースですが、別居前から離婚することで概ね合意しており、別居した数日後に離婚届を夫婦ともに記入していた場合に、別居開始時点で夫婦関係の破綻を認めた裁判例もあります。

このように、別居の期間は婚姻関係の破綻を判断する一つの要素に過ぎず、慰謝料の請求が認められるかどうかは、従前の夫婦関係、別居に至った理由や経緯など様々な事情を考慮して判断されることになります。

3 過去の別居

婚姻関係が破綻していたことの根拠として、浮気が始まる以前に別居していた期間があるという主張がなされることがあります。

このような主張については、どれくらい以前の別居なのか、その別居の期間はどれくらいだったのか、また離婚をせず同居を再開するに至ったのはどのような理由によるものかなどの事情を考慮して、場合によっては夫婦関係の破綻が認められ、慰謝料請求が認められないこともあるかもしれませんが、同居を再開しているわけですから、多くのケースでは、夫婦関係は完全に円満ではなかったということで慰謝料の減額事由として考慮されるにとどまるでしょう。

4 同居していない理由は夫婦関係の悪化に限らない

以上ご説明しました別居は、夫婦関係が悪化したことによる別居ですが、夫婦が同居していない理由は必ずしも夫婦関係の悪化に限りません。

例えば、単身赴任が理由で同居していない夫婦は多くみられます。
この場合、全く連絡を取り合っておらず、夫婦がお互いの住まいを行き来することもほとんど無いということであれば、単に仕事が理由の別居ではないということになりますが、そうでない限りは、単身赴任であることが理由で夫婦関係が破綻しているとか、夫婦関係が円満ではないということにはなりません。

また、妻が里帰り出産のために実家に帰省している間に夫が浮気したというケースも非常によくありまが、このようなケースも夫婦関係が悪化して別居しているわけではありませんので、それだけで浮気が違法にならないということはありません。

近時は、夫婦関係のあり方も多様化しており、夫婦関係は円満であるものの(あるいは円満な夫婦関係を維持するために)、あえて結婚後も同居しない「別居婚」を選択する夫婦もいます。
このような別居婚は、夫婦関係が悪化して別居しているものとは全く異なりますので、慰謝料の減額事由とは原則としてなりませんが、同居を伴わない婚姻関係であることを慰謝料の減額事由として考慮した裁判例もあります。

5 別居している場合、不倫相手の故意や過失が否定されることがあります

上記のように単身赴任、里帰り出産、別居婚などは、夫婦関係が悪化して別居しているわけではありませんので、慰謝料請求が認められなかったり、慰謝料の減額事由となったりすることは原則としてありません。

もっとも、単身で住んでいることから、外観上は既婚者とはわかりにくく、未婚であるとか離婚しているなどと嘘をつかれた不倫相手が、既婚者であるとは知らずに交際を続けていたというケースも散見されます。
いつでも連絡がとれるし、自宅にも普通に泊っており、独身であることを疑う余地が全くなかったなどの事情があれば、どのような証拠があるかにもよりますが、不倫相手には不貞行為の故意も過失もないとして、慰謝料請求が認められない可能性があります。

 このような場合、かえって、その嘘をついていた配偶者が浮気相手から慰謝料請求を求められることもあるでしょう。

6 最後に

 以上、別居と不貞行為との関係について、いろいろなケースを見てきました。
別居中に不貞行為に及んだというケースは非常によくあります。
配偶者と一緒に住んでいないことから、人肌恋しくなって浮気をしたり、あるいは配偶者の監視がないことから浮気をしてしまうことが多いのかもしれません。

別居は、不倫の慰謝料請求の場面では、婚姻関係の破綻や慰謝料の減額事由として争点になることが多い事実です。
慰謝料請求をする場合や、慰謝料請求を受けた場合には、別居の事実が法的にどのように評価されるのか、またどのような証拠が必要なのかについて、一度、弁護士にご相談ください。

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