いじめの証拠がないときはどうすればいい?解決策を弁護士が解説します!

2023年03月10日

いじめの証拠がないときはどうすればいい?解決策を弁護士が解説します!「いじめがあったので学校に訴えたが、証拠がないからか、学校が動いてくれない」
「いじめについて警察に被害届を出しに行ったが、証拠がないといって受理すらしない」

わが子のいじめの事実を知り、いてもたってもいられず、学校や警察にいじめを相談する方は多いと思われます。

しかしながら、いじめについて深刻な悩みを相談しても、学校も警察も、証拠がないという理由で全く取り合ってもらえないことが少なくありません。

そこで、いじめの証拠がないときの対処法について、いじめ問題に詳しい弁護士が詳しく解説していきます。

  • いじめの証拠がないと、単に被害申告をしただけでは、学校も警察も動いてくれないことがあります。
  • 証拠がないと思ったときは、証拠になりそうなものをよく探してみます。証拠が思いつかないときは、弁護士に相談しましょう。
  • 証拠がなくても、いじめを防止するためにできることはあります。最善策については、弁護士に相談しましょう。

この記事を監修したのは

弁護士 篠田 匡志
弁護士篠田 匡志
第一東京弁護士会 所属
経歴
立教大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院 卒業
金沢市内の総合法律事務所 勤務
春田法律事務所 入所

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いじめの証拠がない場合のリスク

いじめの証拠が重要であることは言うまでもなく、有力な証拠がないと様々なリスクが生じ得ます。以下、具体的に説明します。

  • 学校が動かない
  • 警察が動かない
  • 裁判しても敗訴する

学校が動かない

まず、いじめを受けた直後に取りうる手段としては、学校にいじめ被害を相談することが考えられます。しかしながら、いじめの被害に遭った児童生徒や、その保護者が学校に相談しても、学校が動いてくれないという悩みをよく聞きます。その理由として、いじめの明確な証拠がないことも挙げられます。

いじめ防止対策推進法によれば、いじめを認定するには、被害を受けた児童生徒の申告のみで足りるので、法律の建前からすれば、証拠がないからといって、学校がいじめについて何の対応もしないことは望ましくありません。

ただ、証拠がなければ学校も本格的な対策に乗り出しにくいという現実がある以上、いじめの裏付けとなる証拠を学校側に提示することが非常に重要となってきます。

警察が動かない

いじめ被害を学校に相談しても学校が動いてくれない場合、警察に相談する方法も考えられます。

しかし、警察は学校以上に、いじめに対する動きが消極的です。暴行、恐喝など、よほど刑法に触れるようないじめではない限り、警察はいじめに介入することはないのです。

また、警察にいじめ被害を相談することができたとしても、相応の裏付け証拠が求められることがあります。十分な証拠が提出できないと、被害申告を受け付けてもらえないこともあるので、警察に相談する前に、どのような証拠があるのか十分に確認しておく必要があります。

裁判しても敗訴する

いじめの加害者に対して、慰謝料の支払いを求める裁判を起こすという方法も考えられます。

裁判所は、最低限、請求を成り立たせるための事実さえ記載すれば、訴えを受け付けてくれます。しかし、裁判所が訴えを受け付けてくれたからといって、いじめ被害者の訴えが通ったわけではありません。

裁判所の事実認定は、証拠によって行われます。証拠がなければ、いじめの事実を認定することができません。

そして、原告には請求を基礎づける事実を証明する責任があります。原告がこの証明に失敗した場合、当該事実は存在しないものとして、裁判所は判断しなければなりませんので、原告を敗訴させなければならないのです。

いじめの証拠がない場合の対処法

では、いじめの証拠がない場合、いじめの被害者は、泣き寝入りしなければならないのでしょうか。必ずしもそうではなく、証拠がないとしても、そこからできることは、まだまだあります。

  • 本当に証拠がないのか確認する
  • 証拠を自ら集める

本当に証拠がないのか確認する

写真や動画など、わかりやすい証拠があれば一番です。しかし、証拠として考えられるものは、写真や動画に限りません。そのような証拠がなかったとしても、よく探してみることで意外な証拠が見つかることがあります。

特に、有力な証拠が眠っている可能性があるものとして、メールや、LINEの履歴があげられます。
一般の方にとって、法的に、どのような文言に意味があるのか、とてもわかりにくいのですが、弁護士などの法律専門家の視点でみると、いじめの証明に有効な記載がみつかることもあります。

証拠を自ら集める

手持ちの証拠がない場合、新たに証拠を集めることができないのかを検討します。

まず考えられる証拠としては、加害者との話し合いを設定し、その際の録音を取ったり、加害者の念書を書いてもらうことが考えられます。

他方、学校との話し合いについては、学校側が録音を取ることを非常に嫌がることが多いため、議事録などを書いて協議内容を保存しておくことも有効です。

その他、弁護士に依頼することで、弁護士会照会という証拠収集方法を活用することができます。弁護士会照会制度の用途は非常に幅広く、照会先が開示に応じる限り、得られる証拠には制限がほとんどありません。もしかしたら、意外な視点から有効な証拠を得る糸口がつかめるかもしれません。

いじめの証拠がなくてもできること

いじめの証拠が全くなかったとしても、いじめを止めるためにできることはあります。具体的にその方法を説明していきます。

いじめを止めるための話し合い

たとえいじめの証拠がなくとも、被害児童生徒がいじめに対する苦痛を真摯に訴えているのであれば、そこに嘘はないはずです。被害児童生徒において、加害者によるいじめ行為を特定できるのであれば、加害者や、学校と話し合いを開始するための十分な根拠足りえます。

証拠が必要となってくるのは、あくまで、慰謝料を求めるなど法的手続に入る場合が通常です。加害者視点に立つと、高額な慰謝料の支払いを免れるため、いじめの事実を争ってくるのも、当然の対応であり、その過程で必ず証拠の提出を求めてくるのです。

他方、単にいじめに対する謝罪を求めたり、いじめの再発を防止するための話し合いであれば、必ずしも証拠は必要ありません。双方の話し合いによって、うまく事を運ぶことも十分に可能です。

学校は証拠の有無と関係なく動く義務がある

先述したとおり、いじめ防止対策推進法によれば、いじめとは、被害者が精神的苦痛を感じているものであれば足ります。そのため、学校が、被害児童生徒から、いじめの被害申告を受けたのであれば、いじめ防止対策措置を講じるべき義務が学校に生じるのです。

よって、被害児童生徒がいじめの被害を申告しているのに、学校が「証拠がない」ことを理由として、当該申告を無視することは、法の建前からすると許容されません。

証拠がなかったとしても、学校に対しては、いじめ防止対策推進法に基づき、いじめ防止措置をとる義務があることを主張して、いじめを防止するための対策を講じるよう求めて、話し合いをすることは十分に可能です。

まとめ

いかがだったでしょうか。
いじめの被害を受けた場合、すぐに学校や警察に相談することも大事ですが、事実を裏付ける証拠についても、事案を有利に動かす上で、なくてはならない重要な要素となっています。

いじめの証拠がないと思ったときは、どのような証拠が必要なのか、確認することも有効ですから、まずは専門の弁護士に相談してみましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。ご不明な点があるときやもっと詳しく知りたいときは、下にあるLINEの友達追加ボタンを押していただき、メッセージをお送りください。弁護士が無料でご相談をお受けします。

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