宗教法人に弁護士は必要?福岡の専門弁護士が解説

最終更新日: 2022年05月13日

宗教法人に弁護士は必要?福岡の専門弁護士が解説

  • 宗教法人が弁護士に相談する必要がある?
  • 宗教法人が法的トラブルに遭遇することがある?
  • 宗教法人に強い弁護士の判断方法は?

顧問弁護士がいて日頃から弁護士に相談をしている宗教法人は多くはありません。そのため、上記のような疑問をもたれるかもしれません。

企業と同様、宗教法人にも多くの関係者がいますので、そのような関係者と法的トラブルになることはしばしばあります。特に檀信徒との関係性は変化してきており、近時、法的トラブルが増えています。

今回は、宗教法人を専門とする弁護士が、宗教法人が遭遇する法的トラブルやどのような弁護士に相談すべきかについて解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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宗教法人から弁護士に福岡でよくあるご相談

まずは、福岡の宗教法人事情について簡単に確認したうえで、宗教法人から弁護士によくあるご相談の一例について見て行きましょう。

  • 福岡の宗教法人統計
  • 単立化のご相談
  • 責任役員についてのご相談
  • 檀信徒に関するご相談
  • お墓に関するご相談
  • 収益事業についてのご相談
  • 僧侶や職員についてのご相談

福岡の宗教法人統計

令和3年度の政府統計によると、宗教法人は全国で18万147法人あり、福岡県は、6713法人で全国第4位です。

このように福岡には多数の宗教法人が存在し、特に神社の数が多い傾向にあります。

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単立化のご相談

本山のしがらみ無く、自由に寺院を経営していきたいというような理由で単立化したいというご相談は近年増えています。

単立化の手続きは宗教法人法に定められていますが、各種手続きに瑕疵が生じないよう適正に進める必要があります。また、包括宗教法人から妨害されることもありますので、入念な準備が必要です。

責任役員についてのご相談

宗教法人の運営方針に合わない責任役員を解任したい、役員を解任されたのでその地位を取り戻したい。このような宗教法人の役員に関わるご相談もよくあります。

解任事由の存否、適正な手続きの有無の確認、戦略立案など責任役員に関わるご相談には法的知識、思考が必要となります。

檀信徒に関するご相談

檀信徒が宗教法人、住職に対する悪口をSNSに投稿をしているから止めさせたい、お布施を値切って来る檀家がいる、宗教法人の帳簿を開示するよう求められた。このような檀信徒との間のトラブルは増加傾向にあります。

このようなトラブルに対して早計な対応をしてしまいますと、大事に発展して多額の賠償を求められることもありますので、法的見解を踏まえた慎重な対応が必要となります。

お墓に関するご相談

檀家が墓じまいを求めてきた、無縁仏となっているお墓を合祀したい、墓地管理費が滞納されている。このようなご相談は多くあります。

実はお墓に関する法的論点については、未だ判例で明確になっていないものが多数あります。そのため、法的見解を踏まえた慎重な対応をしなければ、墓地使用者との法的紛争に発展する可能性があります。

収益事業についてのご相談

収入源として不動産賃貸をしたいが、手続きがわからない、行政から認証を得られるのか不安だ。このような収益事業に関するご相談もよくあります。

宗教法人の収益事業は無制限にできるわけではなく、本来の目的から逸脱しない限りで認められます。また、収益事業を始める場合、税務処理の変更や備置書類の変更があります。

適法に収益事業を行うためには、予め法務、税務について正しく理解しておくことが大切です。

僧侶や職員についてのご相談

僧侶、職員に辞めてもらったところ、弁護士を通じて訴えられた、元職員からパワハラで訴えられた、高額な残業代を請求された。このような職員とのトラブルは、近年、宗教法人においても増加しています。

特に僧侶との関係については雇用契約という意識がない宗教法人もみられますが、実態として雇用契約の場合には、労働者として厚く保護されますので、場合によっては多額の賠償を裁判所から命じられることもあります。

宗教法人においても僧侶、職員に対する対応は一般企業と同じく慎重に行う必要があります。

宗教法人が訴訟になった事例を福岡の弁護士が紹介

次は、宗教法人が訴訟に巻き込まれた事例を3つご紹介します。いずれのケースも弁護士に相談をしていれば避けられたものと思われます。

  • 退職について不当だと訴えられた事例
  • 無縁改葬をしたら損害賠償請求をされた事例
  • 納骨堂の経営を行政が許可しなかった事例

退職について不当だと訴えられた事例

僧侶として雇っていた娘の夫が、娘と離婚することになったことから、住職が夫を辞めさせたところ、退職はしていないと主張して給与や賞与の支払いを求めて訴訟提起した事例です(東京地裁R3.4.27)。

寺院側は退職の合意があったと反論しましたが、裁判所はそれを認めず、数百万円の未払給与等の支払いを命じる判決を出しました。

本件では雇用契約が締結されていることは明らかでしたので、その点は争点にはなりませんでした。単なる職員ではなく娘婿で家族関係にあったこともあってか、相当強引に退職に追い込んだようです。

予め弁護士に相談をして、合意退職の証拠を作っておけば、訴訟は避けられたと思われる事例です。

無縁改葬をしたら損害賠償請求をされた事例

本当に無縁仏なのか十分な調査をせずに改葬した行為は不法行為にあたるとして、200万円の慰謝料のほかに原状回復費用や弁護士費用を加えた374万円6500円の支払いを寺院に命じる判決がくだされました(高松高裁H26.2.27)。

無縁改葬の手続きは法律に定められていますが、それに従えば適法というわけではありません。無縁墓なのか十分に調査して、証拠にしておくとともに、後日遺族が現れたときに遺骨を引き渡せるよう、一定期間は保管しておくことが重要です。

納骨堂の経営を行政が許可しなかった事例

納骨堂を建て、インターネットで全国から宗派を問わず、無制限に納骨を募集していたところ、行政から経営不許可処分を受けたため、その取消を求めて寺院が提訴しましたが、当該納骨堂の経営実態が国民の宗教感情に反するとして、裁判所は不許可処分は行政の裁量の範囲内であると判断しました(高松高裁H26.3.20)。

宗旨宗派不問で納骨を募集する公告を出している納骨堂は多数ありますが、このように運営方法によっては不許可処分を受けるリスクがあります。

多額の費用をかけて建設した納骨堂が経営できなくなりますと寺院は倒産する可能性が高まりますし、何より納骨した方に多大な迷惑がかかりますから、経営許可が得られるかどうか、計画段階で慎重に検討する必要があります。

宗教法人に強い弁護士を福岡で選ぶ方法

以上、宗教法人が遭遇する法的トラブルについて見てきました。では、このようなトラブルを防ぐために、どのような弁護士に相談するべきなのかについて、最後にみておきましょう。

  • 宗教法人を専門として標榜している弁護士
  • 法律や裁判例について熟知している弁護士
  • 多数の実績がある弁護士

宗教法人を専門として標榜している弁護士

まずは、宗教法人を専門として標榜している弁護士に相談しましょう。宗教法人を専門とする弁護士の数は少ないのですが、インターネットで検索をすればいくつかの弁護士、法律事務所が見つかります。

法律や裁判例について熟知している弁護士

次に、宗教法人を専門として標榜している弁護士であっても、専門性の高さには違いがあります。そのため、実際に相談をしてみて、宗教法人の法務についてよくわかっているかどうか判断しましょう。

多数の実績がある弁護士

3点目として、実際に宗教法人の法的問題について取り扱った実績が多数あるかどうかです。最良の助言、結果を得るためには、知識として知っているだけでは不十分で、多くの案件を通じて培った経験、ノウハウが必要となるからです。

まとめ

宗教法人を専門とする弁護士が、宗教法人が遭遇する法的トラブルやどのような弁護士に相談すべきかについて解説しました。

実際に法的トラブルに遭遇したときは行動する前に必ず弁護士に相談しましょう。また、そのようにいつでも気軽に相談ができるように、顧問弁護士を用意しておくことも検討してよいでしょう。

宗教法人に強い弁護士をお探しの場合は、是非、当事務所にご相談ください。

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