嫁の浮気で慰謝料請求できる?浮気で妊娠した場合の対応もあわせて解説
最終更新日: 2022年11月02日
嫁と浮気相手を別れさせたい!
浮気相手だけに慰謝料を請求したい!
嫁と離婚すべきかわからない!
嫁に浮気をされたきは、このように考える方も多いのではないでしょうか。きっと初めてことでしょうから、対処法がわからなくても無理もありません。
そこで、今回は、嫁に浮気されたときの対処法について、浮気問題を数百件解決してきた専門弁護士が解説します。
嫁の浮気関係を解消させるにも慰謝料請求は有効
浮気相手とは別れたと嫁が言っていたのに、浮気が続いていた、再開していたということはよくあります。
嫁と話し合っただけで、浮気相手とは話をしていなかったり、浮気相手と話はしたけれども、浮気を辞めると約束をさせただけで終わっていた場合にこのようなことがよくあるようです。
嫁の夫から何も言われなかったり、もう会わないと約束をしただけでは、浮気相手には特に痛みはないため、浮気をしても大事にはならないと思われてしまうのかもしれません。
したがって、たとえお金は要らないと考える場合でも、嫁の浮気関係を解消させるには、浮気相手に対して慰謝料請求をして、金銭的な痛みを与えることが必要です。
嫁の浮気相手だけに慰謝料請求できる?
嫁が浮気をした場合、嫁には慰謝料請求はせず、浮気相手にだけ慰謝料請求をすることはできるのでしょうか。以下ご説明します。
- 浮気の慰謝料請求は両方にできる
- 慰謝料はいくら請求できる?
- 嫁の浮気相手に慰謝料請求するための証拠
- 浮気相手の名前や住所が不明の場合
浮気の慰謝料請求は両方にできる
浮気においては、浮気をした二人が加害者、浮気をされた配偶者が被害者です。法律上、浮気をした二人は、被害者に対して、連帯責任として、慰謝料支払義務を負います(民法第719条1項)。
そのため、浮気をされた夫は、浮気相手に対して慰謝料全額を請求することも、嫁に対して慰謝料全額を請求することも、嫁に一部、残りを浮気相手に請求するということもできます。
したがって、嫁には請求せずに浮気相手にだけ慰謝料請求をすることはもちろん可能です。
慰謝料はいくら請求できる?
では、浮気相手に対して慰謝料はいくら請求できるのでしょうか。浮気の慰謝料相場はいくらなのでしょうか。
浮気の結果、夫婦が離婚するときは200万円、離婚しないときは100万円が浮気の慰謝料の相場です。
婚姻期間や浮気期間の長さ、浮気相手の反省の態度、浮気による妊娠や出産の有無、夫婦関係の良し悪しなど様々な事情を考慮して、上記の慰謝料金額は増減します。
例えば、浮気期間が5年以上もあった場合ときは、離婚しなくても慰謝料が150万円ほどになることがありますし、嫁が浮気相手の子を出産した場合ときは離婚しなくても慰謝料は300万円ほどになることがあります。
嫁の浮気相手に慰謝料請求するための証拠
嫁の浮気相手に慰謝料請求をするには、原則、嫁と浮気相手の性行為について証拠が必要です。例外として、キスがあっただけなど、性行為がなくとも慰謝料請求が認められることもあります。
嫁の携帯電話やパソコンから性行為の動画や写真が見つかることがあります。これらの証拠は性行為を直接に証明できる証拠です。
このような直接の証拠がなくとも、ホテルや浮気相手宅に泊まったことがわかる写真や動画、メッセージのやり取りからも性行為を証明できます。
しかし、証拠が全く得られないときは、探偵に依頼することを検討しましょう。調査時間が長くなるほど探偵の調査費用は高額になりますから、嫁と浮気相手が会う日をできる限り特定し、その日に調査を入れるようにしましょう。
浮気相手の名前や住所が不明の場合
浮気の慰謝料請求をするには、浮気相手の氏名及び住所又は勤務先の情報が必要です。
確かに、電話をしたり、メッセージを送る方法によって慰謝料請求をすることは可能です。
しかし、浮気相手が無視がした場合にはそれまでとなります。また、内容証明を送ったり、裁判所から訴状を送るにも浮気相手の氏名と住所又は勤務先の情報が必要となります。
これらがわからないときは、探偵に調査を依頼することも可能ですが、浮気相手の携帯電話番号や車のナンバーがわかっているときは、弁護士において調査が可能ですし、費用もその方が安いです。
弁護士は、弁護士会照会という制度を利用して、携帯電話会社から契約者情報を開示してもらったり、運輸局から車の所有者と使用者の情報を開示してもらうことができます。
嫁の浮気相手に慰謝料を請求できないケースとは?
浮気の証拠があって、浮気相手の氏名及び住所もわかっていれば、浮気相手に慰謝料を請求できるのが原則です。
しかし、このような場合であっても慰謝料請求ができないケースがあります。そのような場合についてご説明します。
- 独身と信じていた場合
- 既に夫婦関係が破綻していた場合
- 時効になっている場合
独身と信じていた場合
嫁のことを独身であると浮気相手が信じていた場合、浮気相手には婚姻関係を侵害する故意がありません。そのため、夫は浮気相手に対して慰謝料請求ができません。慰謝料請求をするには既婚者であると知っている必要があるのです。
嫁と浮気相手が出会い系サイトで知り合ったり、飲み屋で知り合ったりした場合には、このようなことがあります。
とはいえ、夫がいるのではないかと疑っているようなメッセージが残っているなど、独身と信じたことに過失が認められる場合には、慰謝料請求が認められます。
独身と信じていたと言われれば慰謝料請求ができなくなるわけではないのです。
既に夫婦関係が破綻していた場合
浮気とは、婚姻共同生活の平穏を侵害する行為をいいます。
浮気が始まる前の時期に、既に夫婦関係が破綻していた場合、浮気をしても婚姻共同生活の平穏が侵害されませんので、慰謝料請求は認められません。
ただし、法的な夫婦関係の破綻とは、夫婦仲が悪かったという程度では認められません。
例えば、5年ほど別居しておりその間ほとんど交流がない場合など一般的な感覚よりも破綻の程度は相当重いものをいいます。
時効になっている場合
3つ目は、慰謝料請求権が時効になってる場合です。
嫁の浮気及び浮気相手を知ってから3年、浮気の時点から20年で浮気の慰謝料請求権について、消滅時効が完成します(民法第724条)。消滅時効になりますと、浮気相手は慰謝料を支払う責任がなくなります。
浮気発覚からしばらくして慰謝料請求をしようと思ったら、3年が経ってしまっていたということがしばしばあります。
嫁が浮気で妊娠したらどうなる?
浮気相手の子を嫁が妊娠することがあります。嫁が妊娠した場合、夫はどのように対応すれば良いのでしょうか。以下ご説明します。
- 出産しなかった場合
- 出産した場合
嫁が出産しなかった場合
嫁が中絶、流産によって出産しなかった場合、大事な嫁の心身を傷つけられたことで、夫はより一層大きなショックを受けます。
この場合に夫が浮気相手に対して慰謝料請求をすると、慰謝料相場は通常よりも高くなり、慰謝料100万円が相場のケースでは、慰謝料150万円ほどになることがあります。
嫁が出産した場合
次に、嫁が浮気相手の子を出産した場合です。
法律上夫の子になってしまう
婚姻日から200日以降又は離婚日から300日以内に嫁が出産した子は、婚姻中に嫁が妊娠した子と推定され、婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定されます(民法第772条)。
このように血縁上は浮気相手の子であるのに、このような法律の規定ゆえに、法律上は夫の子となってしまい、戸籍にも夫の子と記載されてしまうのです。
嫡出否認をする
上記のとおり、嫁が妊娠した浮気相手の子は、法律上夫の子と推定されてしまいます。しかし、夫が嫁の出産を知ってから1年以内であれば、夫は嫡出否認の訴えを起こすことができます(民法第774条、777条)。
そして、DNA鑑定によって夫の子ではないことが確定すると、法律上も親子関係が否定されます。そして、戸籍の訂正が可能となります。
しかし、戸籍の訂正は線が引かれるだけであって、子の記載が末梢されるわけではありません。
このように戸籍に跡が残ることを回避するには、嫡出否認が確定するまでは出生届を出さないでおくしかありません。ただし、戸籍法上違法な状態となってしまいます。
嫁の浮気で離婚はすべき?押さえておくべきポイント3つ
嫁の浮気をしったときは、離婚するのか、このまま夫婦関係を続けるのか大いに悩むことになるでしょう。
離婚する場合にはどうなるのか、また離婚しないのであればすべきことについて、以下ご説明します。
離婚は夫に有利とは限らない
嫁が浮気したのだから、離婚は夫に当然に有利に進むと思うのはもっともですが、実際には必ずしもそうなりません。
離婚により離婚慰謝料を別途請求できる
離婚するときは、浮気慰謝料とは別に嫁に対して離婚慰謝料も請求できます。
離婚慰謝料とは、離婚することから夫が受ける精神的苦痛の慰謝料です。浮気慰謝料は浮気相手と嫁が連帯責任として支払いますが、離婚慰謝料は嫁だけが支払う責任を負います。
この離婚慰謝料ですが、例えば、浮気慰謝料が200万円の場合には、100万円から150万円ほどになることが多いです。
多額の財産分与をするケースもある
離婚するときは、結婚してから築いてきた夫婦の共有財産を分配する財産分与を行います。
嫁が浮気したことはこの財産分与には影響しませんので、浮気がなかった場合と同じ割合で夫は嫁に財産を分けなければなりません。
例えば、夫が外で働いて収入を得て、嫁は専業主婦であった場合、夫が築いてきた財産の半分を嫁に分与することになります。特に夫に大きな資産があるときは数千万円の財産を嫁に分与することになるかもしれません。
浮気慰謝料と離婚慰謝料を合わせても300万円ほどであるのに、財産分与として数千万円も嫁に分与することになっては、嫁の浮気がために離婚をするのにむしろ夫が経済的に打撃を受けることになってしまいます。
浮気した嫁が親権者になる
同様に、嫁の浮気は子供の親権にも影響しません。浮気をしても嫁が親権者になれるのです。
浮気をしていても、子どもの監護をしっかりしていたのであれば、嫁が親権者として認められる可能性は十分あります。嫁の浮気が原因で離婚するのに、夫は子どもと生活できなくなり、一月に1回ほどしか会えなくなるかもしれないのです。
離婚をしないなら夫婦間契約がおすすめ
離婚はせず、結婚生活を続けていく場合には、将来の嫁の浮気防止のためにも夫婦間契約を作成しましょう。
浮気した嫁との夫婦間契約には、例えば、以下のような内容を定めます。夫婦間契約は夫婦だけで作成すると法的効力を否定されることがありますので、必ず弁護士に相談、依頼をしましょう。
- 嫁は携帯電話のGPS情報を夫に共有すること
- 浮気をしたら直ちに離婚すること
- 離婚時に嫁は夫に慰謝料500万円を払うこと
- 嫁の財産分与は2割とすること
まとめ
以上、嫁が浮気をしたときの対処法について解説しました。
嫁の浮気相手に慰謝料を請求したい、嫁と離婚したい、嫁と夫婦間契約を結びたい、いずれについても最善の解決のためには、浮気問題を専門とする弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。