不倫した人は犯罪者?不倫問題で犯罪になるケースも弁護士が徹底解説!

最終更新日: 2023年06月30日

不倫した人は犯罪者?不倫問題で犯罪になるケースも弁護士が徹底解説!不倫した人は犯罪者では?前科つけばいいのに
犯罪じゃないのに何で不倫はだめなの?
不倫の事実をばらすのは犯罪なの?

犯罪も不倫もルール違反ですから不倫は犯罪と思う方も多いですし、不倫が犯罪じゃないなら何ら制裁は受けないと思ってしまう方がいてもおかしくありません。

また、不倫が発覚した場合に、不倫相手の不倫をばらして社会的制裁を与えたいと考える方は非常に多くおられます。

今回は不倫と犯罪との関係について不倫問題専門の弁護士が網羅的に徹底解説いたします。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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不倫は犯罪?

不倫は犯罪?法律に詳しくない方は、「不倫は犯罪じゃないの?」という感想をもつことが多いようです。

ここでは、そもそも犯罪とは何か、そして日本や世界での不倫と犯罪の関係について見ていきたいと思います。

犯罪とは

犯罪とは、刑事罰が科される行為をいいます。刑事罰とは、罰金刑や懲役刑などのことで、これを科されるといわゆる「前科者」になります。

警察に捜査される行為というとわかりやすいかもしれません。

昔は不倫も犯罪だった

このように犯罪とは警察が捜査をして、刑事罰を受けて前科がつく行為をいいますが、現在の日本では不倫は犯罪ではありません。そのため、不倫をしても逮捕されたり、前科が付くことはありません。

しかし、日本においても戦前は、不倫は姦通罪(かんつうざい)という犯罪でした。

江戸時代には婚姻関係があるにも関わらず他者と肉体関係を持つことは御法度とされており、不倫をした妻と不倫相手の男性は責任を取り、死刑とされていました。また、戦前の旧刑法においても、不倫をした妻は懲役刑を科されました。

ここまででお気付きかと思いますが、不倫をして犯罪になるのは妻だけでした。戦前は男女平等ではなく、不倫をしてはならないのは女性だけだったのです。

このように男女不平等だったため、戦後に制定された男女平等を定める日本国憲法の下、姦通罪は廃止されました。

外国では現在も不倫が犯罪の国も

隣国の韓国では2015年、台湾では2020年に姦通罪は憲法違反と裁判所が判断し、廃止されました。意外にも隣国では最近まで不倫は犯罪だったのです。

更に世界を見ると、ご存じの方も多いかもしれませんが、イスラム圏の国々では現在も不倫は犯罪とされ、しかも重罪として死刑を定めている国もあります。

このように過去には日本でもそうでしたし、現在も犯罪としている国があるように、いずれの文化圏においても不倫は犯罪という考えが自然だったのです。そのため、現在の日本でも「不倫は犯罪じゃないの?」と思うことは自然な感想といえるのかもしれません。

不倫問題で犯罪になる行動

不倫問題で犯罪になる行動以上のとおり、現在の日本では不倫自体は犯罪ではありません。しかし、不倫問題は犯罪と全くの無縁ではなく、不倫をめぐって様々な形で犯罪、事件が起きることがあります。

ここでは、不倫問題で犯罪になる行動についてご説明します。

犯罪となる行動
  1. 強制わいせつ罪や強制性交等罪
  2. 強要罪
  3. 恐喝罪
  4. ストーカー
  5. 侮辱罪や名誉棄損罪
  6. 業務妨害罪

強制わいせつ罪や強制性交等罪

職場の飲み会の帰りに無理やり同僚の体を触ったり、キスをしたり、ホテルに連れ込んで無理やり性行為をするという事件はしばしば発生します。

既婚者とキスをしたり、性行為をした場合、通常は不倫となるのですが、これらの場合には無理やりされたものですから、相手女性としては不倫には問われません。

一方そのような行為をした男性は、刑法の定める強制わいせつ罪(第176条)や強制性交等罪(第177条)という犯罪に問われます。

強要罪

一度不倫をした相手から、再度性交渉に応じなければ家族にばらすと脅迫されたり、職場の上司が部下に性交渉に応じなければ職場で不利益を課すと脅迫されたりして性交渉を強いられた場合には、脅された相手としては不倫には問われません。

一方そのように脅迫をした人は、刑法の定める強要罪(第223条)という犯罪に問われる可能性があります。

恐喝罪

不倫をされた配偶者は不倫相手に慰謝料を請求することができます。

その際に高額な慰謝料を提示し、それを払わなければ痛い目に遭わせる、家族や職場に暴露するなどと脅した場合には、刑法の定める恐喝罪(第249条1項)という犯罪に問われる可能性があります。

また、不倫関係の解消を切り出してきた相手にお金を払わなければ家族や職場に暴露するなどと脅した場合にも恐喝罪に問われる可能性があります。

ストーカー

不倫関係を解消されたことに納得できず、相手につきまといを繰り返す場合、ストーカー規制法の定めるストーカー行為に該当し、刑事罰を科される可能性があります。

このようなストーカー行為は不倫をされた配偶者が嫌がらせとして不倫相手に行うこともあり、その場合も同様に刑事罰を科される可能性があります。

侮辱罪や名誉棄損罪

不倫をされた配偶者が、怒りに任せて不倫相手の職場に不倫を暴露したり、SNSで不倫相手を特定して悪口を投稿してしまうことがあります。

このような行為は刑法の定める名誉毀損罪(第235条1項)や侮辱罪(第231条)という犯罪に問われる可能性があります。

よく上司など一部の人間にだけ暴露するのであれば名誉棄損にならないのではないかという方もいますが、そこから多数人に伝わる可能性がありますので、名誉棄損に問われる可能性があります。

業務妨害罪

不倫をされた配偶者が不倫相手の職場に連日、不倫相手を出せと何度も電話をするケースがあります。

このような行為は度が過ぎると刑法の定める威力業務妨害罪(第234条)という犯罪に問われる可能性があります。

犯罪じゃないなら不倫はOK?

犯罪じゃないなら不倫はOK?先ほどご説明しましたとおり、現在の日本では不倫は犯罪ではありません。そのため、「犯罪じゃないなら不倫してもいいでしょ?」という声を聞くことがあります。

そこで、ここでは犯罪ではないのになぜ不倫をしてはならないのかについてご説明します。

犯罪と不法行為を混同しがち

法律に詳しくない方にとっては犯罪と不法行為は同じ意味に聞こえることも無理はありません。しかし、両者は明確に異なります。

犯罪は先ほどご説明しましたとおり刑事罰を科される行為です。他方、不法行為とは民法第709条の定める損害賠償の対象となる行為です。

よく刑事と民事と言ったりしますが、犯罪が刑事で、不法行為が民事の話です。

性交渉だけが不貞行為?

不倫は民法上、不貞行為といいます。不貞行為とは、夫婦関係の平穏を侵害する行為のことです。

慰謝料請求をしたところ、性行為をしていないから不貞行為はないという反論がなされることがあります。

確かに、不貞行為の中心となるのは、既婚者が配偶者以外と性交渉をする場合です。

しかし、不貞行為は夫婦関係の平穏を侵害する行為です。キスや抱き合う行為も夫婦関係の平穏を侵害する行為といえますので、不貞行為に該当するのです。

不倫は犯罪ではないが制裁はある

不倫は犯罪ではないが制裁はある不倫をしても刑事罰を科されることはありませんが、何らお咎めがないわけではありません。

ここでは不倫をした場合にどのような制裁を受ける可能性があるかについてご説明します。

  • 離婚と慰謝料の請求
  • 勤務先からの処分

離婚と慰謝料の請求

不倫相手は不倫をされた配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。

不倫の慰謝料は低くても30万、高い場合は300万にもなることがあり、いずれにしても一般的には大金の支出となります。このように不倫相手は金銭的な制裁を受けることになります。

他方、不倫をした配偶者は、他方の配偶者から離婚を請求されることがあります。不貞行為は、離婚原因としても民法に定められているのです(第770条1項1号)。

そして、離婚する場合には慰謝料を支払うことはもちろん、財産分与によって自宅を失う可能性もありますし、子どもと月1回ほどしか会えなくなる可能性もあり、生活、人生が一変します。不倫をした配偶者にはこのような制裁があります。

勤務先からの処分

勤務先の同僚と不倫をした場合、懲戒解雇になることは稀ですが、同じ部署にいた場合には他の部署に配転されることはよくあります。

また勤務先からの処分でなくても、不倫が噂になり陰湿な嫌がらせを受けたり、同僚の態度が冷たくなったりなど職場に居づらくなって自主退職せざるを得なくなるというケースもあるようです。

不倫が犯罪にも不法行為にもならない場合

不倫が犯罪にも不法行為にもならない場合既婚者と性交渉をしたにもかかわらず、犯罪にも不法行為にもならない場合があります。

先ほど、強制わいせつ罪、強制性交等罪、強要罪の被害者は不倫には問われないとご説明しました。ここではそれ以外のケースについてご説明します。

  • 既婚者と知らなかった場合
  • 夫婦関係が破綻していた場合
  • 結婚していない場合

既婚者と知らなかった場合

まず、性交渉をした相手が既婚者とは知らなかった、独身だと思っていた場合です。

不法行為を定める民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者」と規定しており、不法行為の成立には「故意又は過失」が要件となっています。

相手が既婚者と知らなかった場合は故意がないということになり、不法行為は成立しません。

ただし、既婚者と疑って然るべきであったのに漫然と独身と思っていた場合には「過失」があるとして不法行為が成立します。

夫婦関係が破綻していた場合

不貞行為は平穏な夫婦関係を侵害する行為です。そのため、夫婦関係が破綻していた場合には、不法行為は成立しません。

もっとも、ここでいう夫婦関係の破綻は一般的な感覚の破綻とは差があります。

一般的な感覚では夫婦関係が険悪なら何でも破綻と表現したりしますが、法的な破綻とは例えば、別居してから既に2、3年が経つなど破綻の程度は一般的な感覚よりも相当重いものです。

結婚していない場合

最後に、まだ入籍していない場合には不貞行為には該当しません。法律は婚姻関係を侵害する行為は不法行為としていますが、交際関係を侵害する行為は不法行為とはしていないのです。

ただし、婚約している場合や内縁関係にある場合には、浮気相手に対する慰謝料請求が認められる場合もあります。

まとめ

まとめ以上、不倫問題における犯罪や不法行為についてご説明しました。

不倫の慰謝料請求に関するご相談はもちろん、家族や職場に不倫をばらされそうになっているという場合なども、早期に弁護士に相談することが最善の結果につながります。

不倫問題で困っている方は不倫問題を専門とする弁護士にご相談ください。

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