離婚慰謝料の相場は?請求できる条件や手続きについて解説
最終更新日: 2024年09月06日
離婚は、夫婦にとって人生の大きな転換期であり、感情的にも経済的にも大きな負担を伴うことがあります。
特に、離婚の原因が配偶者の不貞行為や暴力などの場合、精神的な苦痛に対する慰謝料請求が認められるケースがあります。
この記事では、離婚慰謝料について、請求できる条件、手続き、相場などを詳しく解説していきます。
離婚慰謝料とは?
離婚慰謝料とは、配偶者が不貞行為や暴力をしたり、夫婦間の信頼関係を著しく破壊するような行為など、婚姻関係の破綻について有責な行為ををしたことを原因として離婚を余儀なくされた場合に、配偶者に請求できる金銭的な賠償のことです。
慰謝料は、精神的な苦痛を損害と捉えて金銭に換算して賠償をさせることを目的とした制度です。慰謝料を受け取ることによって、事実上、苦痛を金銭的な補償によって少しでも和らげたり、新たな生活をスタートさせるための支えとなるものとして機能することもあります。
また慰謝料を請求することで、配偶者に対して責任を自覚させ、反省を促す効果も期待できます。
離婚慰謝料の相場
離婚慰謝料の相場は、ケースバイケースで大きく異なります。
有責行為により離婚を余儀なくされた場合、一般的には、50万円~500万円程度に収まることが多いといえます。
慰謝料の額は、例として以下のような要素を総合的に考慮して決定されます。
・婚姻生活の実情
・破綻に至る経緯
・婚姻期間
・離婚原因の重大性(有責性の度合い)
・双方の経済状況
・当事者双方の年齢、経歴
客観的な証明
慰謝料請求の成否は、証拠の有無や質に大きく左右されます。
ケースによって異なりますが、例えばDVや著しいモラルハラスメントを理由とする離婚慰謝料の場合、以下のようなものが挙げられます。
・警察への通報記録
・友人や家族への相談記録
・暴行を受けた際の画像や動画
・暴言や脅迫の記録(メール、LINEなど)
・録音データ(暴言や脅迫を録音している場合や後日暴言や脅迫をしていたことの自白を録音している場合)
・離婚の原因となった出来事に関する記録(日記、手紙など)
証拠となるものは、安全な場所に保管し、紛失したり破棄したりしないように注意しましょう。
また複数の種類の証拠を揃えることで、より説得力のある主張が可能になります。
離婚慰謝料を請求できる場合
離婚慰謝料を請求するためには、いくつかの条件を満たしている必要があります。
具体的には、離婚の原因となった行為に有責性が認められること、離婚の原因となった行為と配偶者の行為との間に因果関係があり、精神的な苦痛を受けたこと、故意又は過失があることを客観的に証明する必要があります。
不貞行為(浮気・不倫)があった場合
配偶者が不倫や浮気などにより婚姻関係における貞操義務に違反した場合、慰謝料請求の対象となります。
肉体関係の有無だけでなく、交際期間や程度、婚姻関係への影響なども考慮されます。
DV(家庭内暴力)があった場合
DVは、配偶者からの身体的・精神的な暴力であり、これによって被害者は大きな苦痛を経験します。
法律上、DVは不法行為とされ、加害者に対して慰謝料を請求することが認められています。
慰謝料の金額は、DVの程度や期間、被害者の精神的な苦痛の程度などによって異なります。
モラハラがあった場合
肉体的暴力だけでなく、それに準ずる心身に有害な暴言や無視などの言動により精神的な苦痛を与えた場合も慰謝料請求の対象となります。
具体的な言動や頻度、期間などを具体的に示す必要があります。
離婚慰謝料を請求できない場合
配偶者への慰謝料請求が認められないケースは、いくつかの要因が考えられます。以下に例を挙げます。
離婚原因が性格の不一致の場合
これは一般的な離婚原因ですが、法律上、基本的には慰謝料請求の根拠とはなりません。
ただし、一方的な性格の強迫や、精神的な虐待に当たるような行為が伴う場合は、慰謝料請求の可能性も出てきます。
双方が離婚原因を作っている場合
例えば、夫が暴力を振るい、妻が不貞行為を行っているようなケースです。
お互いに非があるため、双方の慰謝料請求権について事実上相殺する取り扱いで合意をする場合があり、結果として請求が認められないことがあります。
証拠が不足している場合
慰謝料請求には、相手側の行為が離婚の原因となり、自分が精神的な苦痛を受けたことを具体的に証明する証拠が必要となります。
証拠が不十分な場合、請求が認められない可能性があります。
慰謝料請求の手続きと金額交渉
離婚慰謝料請求の手続きは、大きく分けて離婚協議・離婚調停(審判)・離婚訴訟・慰謝料請求訴訟の4つがあります。
離婚協議
夫婦間で離婚の合意が成立している場合に選択できる手続きです。
慰謝料の金額や支払い方法なども、公序良俗に反しない限り、夫婦間で自由に決めることができます。
合意内容を離婚協議書にまとめたり公正証書を作成したりして、離婚届に署名押印することで、離婚が成立します。他の手続に比べて早期の解決を期待できることが多いといえます。
金額交渉は、非常にデリケートかつ複雑な問題です。当事者間での話し合いだけでなく、弁護士などの専門家への相談も検討すべきでしょう。
離婚調停
家庭裁判所に調停を申し立て、調停委員を介して話し合いを進める手続です。
調停が成立すれば、その内容が法的拘束力を持ちます。一般的には離婚の合意が成立しない場合や、慰謝料の金額で折り合いがつかない場合に利用することが多い制度です。
しかし、慰謝料請求それ自体については調停の手続中で話し会うことは保障されていないため配偶者が慰謝料の話合いを拒否した場合には慰謝料の話合いをできません。
また、調停期日や審判期日は1か月~2か月程度毎で設定されることが多いため解決まで時間がかかることが多いです。
離婚裁判
離婚調停や審判でも離婚の合意が成立しない場合に、最終手段として選択される手続きです。
家庭裁判所に訴訟を提起し、裁判官の判断によって離婚や慰謝料などが決定されます。
慰謝料請求訴訟
離婚請求の手続きとは切り離して別途、離婚慰謝料の請求を裁判で求める手続きです。
地方裁判所又は簡易裁判所に訴訟を提起し、裁判官の判断によって慰謝料が決定されます。
まとめ
慰謝料請求の注意点
離婚慰謝料は、離婚によって受けた精神的苦痛を和らげ、新たな生活をスタートさせるための経済的基盤となります。
慰謝料請求をする場合は、証拠の収集や請求手続きなど、専門的な知識が必要となる場合もあるため、弁護士に相談することをおすすめします。
離婚慰謝料請求の成功のためのポイント
離婚慰謝料請求を成功させるためには、離婚原因を明確にし、証拠を収集しておくことが重要です。また、慰謝料の相場や法律知識を身につけておくことも大切です。
弁護士に相談するメリット
離婚問題に詳しい弁護士に相談することで、法的アドバイスを受けながら、自身にとって有利な条件で離婚協議を進めることができます。また、慰謝料請求の手続きをスムーズに進めることができます。
春田法律事務所では、離婚慰謝料に関するご相談を承っております。無料相談も実施しておりますので、お気軽にご連絡ください。お客様の状況を詳しくお伺いし、適切なアドバイスをさせていただきます。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。