酒癖悪い飲み過ぎる夫と離婚するには?専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月17日
- 酒癖が悪い相手と離婚を進めたい
- 酒癖が悪いことを理由に離婚ができるのか
- 酒癖が悪い相手と離婚するための方法を知りたい
酒癖が悪い相手と婚姻生活を継続することは、肉体的・精神的にも苦痛を伴うので離婚を考える人も多いでしょう。しかし、そもそも酒癖が悪いことが離婚の原因になるのか、離婚前に検討するべきことなどもあるので注意が必要です。
そこで今回は、酒癖が離婚の原因になるのか、離婚前に検討するべきことや離婚を決意したらやるべきことは何かについて解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 酒癖が悪い相手との離婚前に、「お酒を飲んでいないときに冷静に話し合う」「アルコール依存症の可能性も疑ってみる」「各地域にある断酒会を調べてみる」の3つを検討する
- 酒癖が悪いことを理由にした離婚は、相手も合意すればできる。できない場合は調停・裁判へと発展する可能性もある
- 酒癖が悪いことを理由に離婚を考えているなら、「暴力・暴言を撮影しておく」「弁護士に相談する」の2つが大切
酒癖悪いと離婚?夫の酒飲み過ぎによる問題
そもそも酒癖が悪かったり、酒を飲み過ぎることが離婚の原因になるというのは、どのような場合でしょうか?
離婚をするかしないかは夫婦間で決めることであるため、話し合ってお互いが納得できるのであれば、酒癖の悪さを理由に離婚をすることも可能です。
当事者の話し合いが合意に達しない場合には、離婚調停を申立てます。調停も不成立となり離婚裁判になると、民法で定められた離婚理由がなければ離婚はできません。
酒癖の悪さが離婚理由となるのは、アルコール依存症にみられるような婚姻を継続しがたい重大な事由となる場合です。
ここでは、酒癖の悪さにより家庭に影響が出る5つの行動について詳しく解説します。
- 酔うと人格が変わる
- 暴力・暴言を吐く
- セクハラをする
- 強姦の行為に出てしまう
- 酔ったときの自分の行為を覚えていない
1つずつ見ていきましょう。
酔うと人格が変わる
酒癖が離婚原因になるほど家庭に影響が出る行動の1つ目は、酔うと人格が変わるような場合です。
このようなタイプは、普段は大人しく、理性的に振る舞うのですが、一度アルコールが入ると周囲に悪態をついたり絡んだりなど、豹変して人格が変わるという特徴がみられます。
お酒を飲み始めると歯止めがきかず、泥酔して潰れるまで飲み続けることもあります。
何かしらの原因がある場合も少なくないため、少し距離をおいて観察を続ける必要があるでしょう。
暴力・暴言を吐く
酒癖が離婚の原因となるほど家庭に影響がでる行動の2つ目は、暴力・暴言を吐く場合です。
酒癖の悪い行動の中で最悪なのは暴力です。配偶者の顔や体を殴る、髪の毛を引っ張る、押し倒す、蹴るなど人を傷つける行為は、暴行罪や傷害罪などの犯罪行為にあたります。
泥酔して自覚症状なく暴力をふるってしまう人もいますが、このような場合はより危険です。そもそも暴力をふるうこと自体、人間性に問題があるといえるでしょう。
過度の飲酒をすることで自己の言動を抑制できなくなり、家庭内において配偶者または子に対して暴力をふるったり、暴言を吐いてしまうことがあれば、立派な離婚理由になります。
一度でも酔った勢いで暴力をふるう場合には、離婚を検討したほうがよいでしょう。
セクハラをする
酒癖が離婚の原因となるほど家庭に影響がでる行動の3つ目は、セクハラをする場合です。
セクハラは法律上の明確な定義がある訳ではありませんが、相手の意に反する性的言動によって不利益を被ったり、言動により就業環境が妨げられる場合です。
お酒に酔っていい気分になることで、口が軽くなり普段いわないであろうことを言ってしまったり、ひどい場合はボディタッチが過剰になることもあります。
セクハラ問題は、被害者の受ける身体的・精神的打撃により心身に深刻な影響をもたらします。また、加害者も民事・刑事責任のみならず職や家族を失う可能性もあります。
泥酔して配偶者にセクハラをする場合のみならず、お酒の席で配偶者以外の人にセクハラをした場合においても離婚の原因になりますので、充分に注意が必要です。
強姦の行為に出てしまう
酒癖が離婚の原因となるほど家庭に影響がでる行動の4つ目は、強姦の行為に出てしまう場合です。
たとえ、夫婦間であっても、泥酔して相手方の同意なく暴行や脅迫を伴って強制的に性行為をすることは、犯罪になる場合があります。
たしかに、正当な理由なく性交渉を拒否し続ければ民法上の離婚理由にあたることから夫婦間では性交渉に応じるのが当然で、無理やり性行為をしても問題ないと考える配偶者もいるかもしれません。
しかし、相手方の意思に反し、無理やり性交をすることまで認められているわけではないため、夫婦間でも強姦罪は成立し立派な離婚理由となります。
一度でも酔った勢いで強姦の行為に出るようなことがあれば、離婚を検討したほうがよいでしょう。
酔ったときの自分の行為を覚えていない
酒癖が離婚の原因になるほど家庭に影響がでる行動の5つ目は、酔ったときの自分の行為を覚えていない場合です。
酒癖の悪い人の特徴の1つに、自分の行動を思い出せない傾向がみられることが多くあります。普段は穏やかな人ほど、酔ったときのことを覚えていないというので問題は深刻です。
飲酒時に記憶を失ってしまうことを「ブラックアウト」と言います。ブラックアウトが頻繁に起こるような場合には、アルコール依存症の可能性が高いため治療が必要になります。
酒癖が悪いからと言って即座にアルコール依存症とは限りませんが、状況が深刻化する前に早めの受診をおすすめします。
酔ったときの自分の行為を覚えていないときは、暴言や暴力などの問題行為をおこし家族との関係に亀裂が生まれることも多いため、離婚を検討する人も多いでしょう。
酒癖悪いや飲み過ぎことを理由に夫と離婚は可能?
酒癖が悪いことを理由に離婚することは可能です。
前にも述べた通り、当事者が離婚に合意している場合は訴訟手続きを経ずに離婚できます。離婚協議書に双方が署名捺印し、離婚届を役所に提出すれば離婚が成立します。
協議離婚では離婚の合意に達しない場合は、離婚調停・離婚裁判を起こすことになります。しかし、裁判になった場合に酒癖が悪いことを理由に離婚が認められるとは限りません。
裁判において酒癖の悪い配偶者と離婚できる可能性が高いのは、暴力により夫婦関係が破綻している場合、泥酔して強姦行為をした場合、その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるような場合です。
酒癖が悪いことを理由に離婚が可能であるのか否かの判断は難しく、離婚前に検討するべきこともあるので注意が必要です。
酒癖悪い夫との離婚前に検討するべきこと
酒癖が悪い相手との離婚前に検討するべきは、どのようなことでしょうか?ここでは、酒癖が悪い相手との離婚前に検討するべきことについて解説します。
- お酒を飲んでいないときに冷静に話し合う
- アルコール依存症の可能性も疑ってみる
- 各地域にある「断酒会」を調べてみる
1つずつ見ていきましょう。
お酒を飲んでいないときに冷静に話し合う
酒癖が悪い相手との離婚前に検討するべきことの1番目は、お酒を飲んでいないときに冷静に話し合うことです。
酒癖が悪い人でも、酔いが冷めると冷静になって反省した素振りや、なかには本当に反省している方もいるでしょう。しかし、次にまた泥酔して同じことを繰り返してしまうことも多いので注意が必要です。
泥酔する人の多くは、心のうちにストレスを抱えている人も多いため、まずはお互い冷静になって、なぜこうした行為をするのか相手方の話に耳を傾けることも必要です。
根気強く真摯に対応することで、ストレスの発散方法を見つけることもでき、お互いの信頼関係が高まることもあるでしょう。
アルコール依存症の可能性も疑ってみる
酒癖が悪い相手との離婚前に検討するべきことの2番目は、アルコール依存症の可能性も疑ってみることです。
アルコール依存症とは、飲酒により精神神経症状や飲酒行動の異常をきたし、そのために生活が乱れ、職務怠慢や家庭崩壊、暴言・暴力や器物損壊などの問題行動を起こす病気です。
アルコール依存症の場合には、病院での治療が必要になります。医師と一緒に断酒に取り組むことが重要になります。
家庭に影響が出るほどに酒癖が悪い場合は、アルコール依存症の可能性も高いので早期に病院を受診することをおすすめします。
各地域にある「断酒会」を調べてみる
酒癖が悪い相手との離婚前に検討するべきことの3番目は、各地域にある「断酒会」を調べてみることです。
アルコール依存症や様々なアルコール問題の解決には、当事者だけではなく社会全体がアルコールの害に関する正しい知識を習得することが必要です。
各地域にある断酒会は、お酒で悩んでいる本人とその家族や周囲の人の相談に応じて、本人が飲酒の害から回復し、お酒のない新しい生活を始めることで社会からの信頼を再構築できるように支援する団体です。
アルコール依存症が病気であることからも、本人の努力だけで断酒することは困難です。アルコール問題の解決方法が見つかることも多いので、離婚を検討する前に断酒会を調べてみましょう。
酒癖悪い夫との離婚を決意したらやるべきこと
最後に、酒癖が悪い人との離婚を決意したらやるべきことについて解説します。
- 暴力・暴言を撮影しておく
- 弁護士に相談する
1つずつ見ていきましょう。
暴力・暴言を撮影しておく
酒癖が悪い人との離婚を決意したらやるべきことの1番目は、暴力・暴言を撮影しておくことです。
酒癖の悪さを理由に離婚裁判をする場合には、暴力・暴言の事実を証明するための証拠が不可欠になります。
酒癖が悪い人との離婚を決意したら、暴力・暴言で絡んでくる様子を動画で撮っておくことが重要です。動画は後の離婚訴訟で有力な証拠になるので保存しておきましょう。
動画を撮影していることに逆上して更に暴力が激しくなるような場合には、一刻も早く避難することをおすすめします。
弁護士に相談する
酒癖が悪い人との離婚を決意したらやるべきことの2番目は、弁護士に相談することです。
酒癖の悪い相手と離婚するには、肉体的にも精神的にも苦痛を伴います。離婚問題を専門とする弁護士に相談することで、その後の訴訟手続きを見据えた的確なアドバイスを受けることが可能です。
特に、暴力・暴言、強姦行為や周囲に迷惑をかける行為が見られる場合には、できるだけ早急に解決することが重要になります。
豊富な経験に基づき、的確な戦略を持つ弁護士に依頼することで、最善の結果を得ることが可能になります。
まとめ
今回は、酒癖が悪いことが離婚の原因になるのか、離婚前や離婚を決意したらやるべきことについて解説しました。
酒癖の悪さは、ときに暴力・暴言、器物損壊・強姦などの犯罪を生み出すこともあります。また、酒癖の悪い人の配偶者は、暴力・暴言によって心身に不調が出るなど、深刻な結果が起きる可能性も考えられます。
酒癖の悪い相手との離婚を考えたら、弁護士に相談することをおすすめします。離婚を専門とする弁護士であれば、酒癖の悪い相手であっても毅然として、離婚の手続きを進めてくれることが期待できます。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。