大麻栽培の営利目的で逮捕|執行猶予を得るための弁護活動とは

最終更新日: 2025年11月21日

営利目的での大麻栽培は、日本の法律において非常に重い犯罪として位置づけられており、たとえ初犯であったとしても実刑判決を受けるリスクが極めて高いのが実情です。しかし、このような厳しい状況に直面したとしても、適切な弁護活動を尽くすことで、執行猶予付き判決を獲得し、社会内での更生を目指せる可能性があります。

この記事では、営利目的の大麻栽培で問われる罪の重さ、逮捕されてから判決に至るまでの刑事手続きの流れ、そして何よりも執行猶予を獲得するために不可欠な具体的な弁護活動について、網羅的に解説していきます。ご自身や大切なご家族の未来を守るために、ぜひ本記事で得られる情報を活用してください。

刑事事件に詳しい弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

詳しくはこちら

目次

営利目的の大麻栽培で問われる罪と刑罰の重さ

営利目的で大麻を栽培した場合、日本では非常に重い罪に問われます。このセクションでは、具体的にどのような犯罪に該当し、どの程度の刑罰が科されるのかを詳しく解説します。

大麻取締法違反(栽培・営利目的)とは?

大麻取締法では、大麻の栽培が厳しく規制されており、特に「営利目的」がある場合は刑罰が格段に重くなります。大麻取締法第24条第2項には、「大麻を、みだりに栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、一年以上の有期懲役に処する。営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役若しくは情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する」と規定されています。

ここでいう「栽培」とは、大麻草の種子をまく行為から、発芽させ、育成し、さらに収穫に向けて手入れをする行為全般を指します。たとえ収穫に至っていなくても、これらの行為があれば「栽培」と見なされる可能性があります。また、「営利目的」とは、単に大麻を販売して金銭的な利益を得る意図がある場合に限りません。例えば、知人への無償譲渡であっても、その行為が反復継続して行われる意思があったり、将来的な利益を見込んでいたりする場合には、営利目的と認定されることがあります。栽培規模の大小にかかわらず、販売や譲渡の意図を示す証拠があれば、営利目的と判断される範囲は非常に広いといえます。

したがって、大麻の栽培に関わる行為は、たとえ小規模であっても、安易な気持ちで行うと「営利目的」と認定され、日本の法律下では極めて重い刑事責任を問われる可能性があることを理解しておく必要があります。

法定刑はどのくらい?実刑の可能性は高いのか

営利目的の大麻栽培に対する法定刑は、大麻取締法第24条第2項により「一年以上の有期懲役」とされており、情状によっては「一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金」が併科されることになります。これは、非営利目的の栽培(同条第1項、七年以下の懲役)と比較しても、その刑罰の重さが際立っていることがお分かりいただけるでしょう。

特に、営利目的の栽培は、社会全体に薬物汚染を広げる悪質性が高いと判断されるため、初犯であっても実刑判決となる可能性が非常に高まります。栽培規模が大きかったり、組織的な関与が認められたり、販売経路が広範に及んでいたりするケースでは、たとえ初めての逮捕であっても、裁判官は社会に対する影響を重く見て、執行猶予を付けずに刑務所への収監を命じる判断を下す傾向があります。実際に、過去の裁判例では、大規模な営利目的栽培に対して、初犯であっても数年間の実刑判決が言い渡されているケースが散見されます。

執行猶予付き判決を得るためには、単に初犯であるというだけでなく、深く反省し、再犯防止のための具体的な取り組みを示し、社会内での更生が可能であることを裁判官に強く納得させる必要があります。しかし、営利目的の大麻栽培という重大な犯罪においては、そのハードルは極めて高いと言えるでしょう。安易な見通しでこの罪を犯してしまうことの危険性を十分に認識しておくことが重要です。

【2024年法改正】大麻関連の罰則はどう変わる?

2024年(公布は2023年)に施行される大麻取締法等の改正は、大麻に関する日本の法規制に大きな変更をもたらします。最大の変更点は、これまで規制の対象外であった「大麻使用罪」が新設されることです。これにより、大麻を使用する行為自体が犯罪となり、刑事罰の対象となります。この法改正は、薬物乱用防止という社会的な要請から、大麻に対する規制を全体的に強化しようとする国の方針を明確に示しています。

営利目的栽培の罰則自体には直接的な変更はありませんが、この法改正が裁判官の心証形成に影響を与える可能性は十分にあります。社会全体として大麻に対する規制が厳しくなる流れの中で、営利目的の栽培は、これまで以上に社会に対する背信行為として重く評価される可能性があります。したがって、これまで以上に厳しい判断が下されることも想定されるため、この法改正は営利目的栽培事件の被告人にとっても決して軽視できない要素となるでしょう。

なぜ「営利目的」だと罪が重くなるのか

「営利目的」が加わることで刑罰が格段に重くなるのは、法的な観点と社会的な観点、双方からその行為の悪質性が高まると判断されるためです。個人の大麻使用や非営利目的の所持が主に自己の健康を害する「自損行為」としての側面が強いのに対し、営利目的の栽培や譲渡は、その行為が不特定多数の人々に薬物を拡散させ、社会全体の秩序や健康に重大な危険を及ぼす「社会的法益を侵害する行為」と見なされます。

営利目的での大麻栽培は、薬物汚染の拡大源となるため、社会に対する影響が非常に大きいと認識されています。薬物犯罪は、個人の健康を蝕むだけでなく、依存者の増加を通じて家庭崩壊、犯罪の温床、医療費の増大など、社会全体に多大な損害を与えます。そのため、このような薬物汚染の根源を断つという刑事政策上の強い要請から、営利目的の行為には極めて厳しい処罰が科されるというロジックが働きます。つまり、個人的な行為の範疇を超え、社会全体への危害が及ぶ可能性があるため、重い刑罰をもってその行為を抑制しようとするのです。

大麻の営利目的栽培で逮捕された後の流れ

営利目的での大麻栽培という重い容疑で逮捕された場合、その後の刑事手続きは非常に複雑かつ迅速に進行します。このセクションでは、逮捕から判決が言い渡されるまでの刑事手続きの全容を時系列に沿って解説します。

逮捕から検察官送致までの72時間

逮捕されると、まず警察署に連行され、警察官による取り調べが始まります。この取り調べは、逮捕から最長48時間以内に集中的に行われます。この期間中に、警察官は事件の真相を明らかにするため、被疑者からの供述を得ようとします。逮捕された方は、この時点で黙秘権を行使したり、供述調書の内容に誤りがないか確認し、納得できない点があれば署名や押印を拒否したりすることができます。

警察での取り調べが終わると、事件は検察官へと送致(送検)されます。検察官は送致を受けてから24時間以内に、被疑者の身柄を拘束し続ける必要があるか(勾留の要否)を判断し、必要と判断すれば裁判所に対して勾留請求を行います。この合計72時間の間に、被疑者は外部との連絡を制限されることが多く、特にご家族との面会も困難になる場合があります。このような孤立した状況で厳しい取り調べに直面するため、逮捕直後からの弁護士による早期接見は、被疑者の権利を守り、不利益な供述を防ぐ上で極めて重要です。

勾留決定と身柄拘束期間

検察官の勾留請求が裁判官によって認められると、「勾留決定」がなされ、被疑者は原則として10日間、警察署内の留置施設に身柄を拘束されることになります。この期間中も引き続き取り調べが行われます。勾留は、やむを得ない事情があればさらに10日間延長されることがあり、これにより最大で合計20日間の身柄拘束が続くことになります。

営利目的の大麻栽培事件では、証拠隠滅の恐れや、共犯者がいる場合には口裏合わせをする恐れが高いと判断されやすいため、勾留が認められる可能性が非常に高い傾向にあります。この長期間の身柄拘束は、仕事や学業、家庭生活に甚大な影響を及ぼし、失職や退学のリスクも高まります。そのため、この期間にいかに適切な弁護活動を行い、不利益を最小限に抑えるかが非常に重要となります。

検察官による起訴・不起訴の判断

最大23日間に及ぶ身柄拘束期間の最終段階で、検察官は被疑者を「起訴」するか「不起訴」とするかを判断します。営利目的の大麻栽培のような重大な薬物事件では、客観的な証拠が揃っている場合、検察官は公判を維持できると判断し、起訴する可能性が極めて高くなります。

日本の刑事裁判における有罪率は99.9%以上と言われており、一度起訴されてしまうと、事実上、有罪判決を受けることがほぼ確定するとも言えます。したがって、起訴される前に不起訴処分を勝ち取ることが、前科をつけずに社会復帰するための最も重要な目標となります。不起訴処分となれば、直ちに身柄が釈放され、前科もつかないため、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。この段階での弁護士の活動は、検察官に不起訴の判断を促すための重要な働きかけとなります。

起訴後の刑事裁判と判決

検察官によって起訴された場合、いよいよ刑事裁判へと移行します。起訴からおよそ1〜2ヶ月後に、裁判所で第一回公判が開かれるのが一般的です。公判では、検察官が起訴状を朗読し、証拠に基づいて被告人が罪を犯した事実を主張・立証します。一方、弁護側は、検察官の主張に反論したり、被告人に有利な事情(情状)を裁判官に伝えたりする弁護活動を展開します。

公判は複数回にわたって行われることも多く、最終的には全ての審理が終了した後に裁判官が判決を言い渡します。判決では、被告人が有罪か無罪か、そして有罪の場合には具体的な量刑、すなわち実刑とするか、あるいは執行猶予付き判決とするかが決定されます。この判決によって、被告人のその後の人生が大きく左右されるため、裁判における弁護活動は極めて重要であると言えるでしょう。

執行猶予を獲得するための具体的な弁護活動

営利目的での大麻栽培という重い罪で起訴されたとしても、必ずしも実刑判決が確定するわけではありません。適切な弁護活動を行うことで、執行猶予付き判決を勝ち取り、社会での更生を目指す道は残されています。

ここでは、執行猶予獲得を可能にするための重要な5つのポイントを詳しく解説いたします。これらの具体的な活動を通じて、ご自身の未来を守るための指針を見つけていただければ幸いです。

ポイント1:早期の弁護士相談が不可欠

逮捕されてしまった場合、何よりも大切なのは、できるだけ早く弁護士に相談することです。逮捕直後の72時間は、警察による取り調べが行われる非常に重要な期間であり、この間にどのように対応したかが、その後の刑事手続きや最終的な判決に大きく影響します。

弁護士は、黙秘権の行使や署名押印拒否権など、被疑者が持つ権利について説明し、不利な供述調書が作成されないよう、適切なアドバイスを行います。また、不当な勾留を阻止するための「準抗告」や、起訴後の「保釈請求」といった身柄解放に向けた手続きを迅速に開始することができます。初動の速さが、その後の展開を大きく左右するため、逮捕されたらすぐに弁護士に連絡することが、未来を守るための第一歩となります。

ポイント2:「営利目的」の程度や悪質性を争う

営利目的での大麻栽培は重い罪ですが、「営利目的」と一括りにされても、その「程度」や「悪質性」はケースによって大きく異なります。弁護士は、この「営利目的」の実態を詳しく分析し、裁判でその程度や悪質性が低いことを効果的に主張します。

例えば、栽培規模が小規模であったこと、組織的な販売網ではなく知人に譲渡した程度に留まること、得られた利益がごくわずかであること、あるいは被告人が組織の中で従属的な立場に過ぎなかったことなどを、具体的な証拠に基づいて主張します。これらの主張が裁判官に認められれば、同じ「営利目的」であっても、悪質性が低いと判断され、量刑が軽くなる可能性が高まります。結果として、執行猶予付き判決に近づくための有力な材料となるのです。

ポイント3:反省と更生の意欲を具体的に示す

裁判官に反省の情を伝えることは、執行猶予を獲得する上で非常に重要です。単に「反省しています」と口頭で述べるだけでなく、なぜ罪を犯してしまったのかを深く自己分析し、社会に対して謝罪の気持ちを具体的に綴った「反省文」を作成することが効果的です。

弁護士は、依頼者の方が心を込めて反省の意を伝えられるよう、反省文の内容を丁寧に指導し、より説得力のあるものに仕上げる手助けをします。また、家族からの贖罪寄付(被害弁償に代わるものとして、反省の意を示すために寄付を行うこと)や、具体的な更生計画を立てて裁判官に提示することで、再犯の恐れがないことを強くアピールし、社会内での更生が可能であることを示します。

ポイント4:薬物依存からの脱却に向けた取り組み

もしご自身に薬物使用の問題がある場合、それと真剣に向き合い、改善への意欲を行動で示すことが極めて重要です。専門の医療機関を受診し、薬物依存の診断を受けたり、治療プログラムに参加したりすることは、更生に向けた具体的な一歩として高く評価されます。

また、薬物依存からの回復を目指す自助グループ、例えばDARC(ダルク)などに参加することも有効です。医師の診断書や治療プログラムの参加証明書、自助グループへの参加状況を客観的な証拠として裁判所に提出することで、裁判官に対して「この人は本気で更生しようとしている」という強いメッセージを伝えることができます。これにより、社会内での更生が可能であると判断され、執行猶予付き判決を勝ち取る強力な材料となります。

ポイント5:家族など監督者の存在を裁判官にアピール

被告人が釈放された後、再び罪を犯すことなく安定した社会生活を送るためには、それを支え、監督する人物の存在が非常に重要視されます。ご両親、配偶者、または雇用主などが身元引受人となり、被告人の生活を監督し、二度と過ちを繰り返させないことを誓約する「陳述書」を作成して裁判所に提出することは、執行猶予判断において大きな意味を持ちます。

さらに、情状証人として法廷で証言してもらうことで、被告人が孤立せず、家族や周囲のサポートを受けながら更生できる環境があることを裁判官に直接伝えることができます。これにより、裁判官は「この被告人には、社会で更生するための基盤がしっかりとある」と判断しやすくなり、執行猶予付き判決の獲得に大きく貢献します。

執行猶予を目指すなら弁護士への依頼が重要

営利目的での大麻栽培という重い罪で起訴されたとしても、執行猶予付き判決を勝ち取る道は閉ざされていません。しかし、この有利な結果を得るためには、弁護士の専門的なサポートが不可欠です。このセクションでは、弁護士が具体的にどのような役割を果たし、逮捕された方にとってどのようなメリットがあるのかを詳しく解説します。

取り調べへの適切な対応をアドバイス

逮捕直後から始まる警察や検察による取り調べは、被疑者にとって精神的にも肉体的にも非常に過酷なものです。弁護士は、被疑者が持つ重要な権利である黙秘権や、供述調書への署名押印を拒否する権利について、分かりやすく説明します。さらに、これらの権利をいつ、どのように行使すべきか、具体的な状況に応じた適切なアドバイスを提供します。

また、捜査官が用いる誘導尋問に乗ってしまったり、事実と異なる内容の供述調書に安易にサインしてしまったりするリスクを防ぐことも弁護士の重要な役割です。不利な証拠を不用意に作らせないための防波堤となり、被疑者の権利を守りながら、今後の裁判で不利にならないよう慎重な対応をサポートします。

早期の身柄解放(保釈)の実現

刑事事件では、勾留が決定されると最大20日間もの間、警察署の留置施設などで身柄を拘束されます。起訴された後であれば、保釈制度を利用して身柄の解放を目指すことができます。弁護士は、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことなどを裁判官に説得的に主張し、保釈許可決定を勝ち取るための活動を行います。

保釈によって身柄が解放されることは、被告人にとって非常に大きなメリットがあります。例えば、会社や学校に復帰しやすくなることで社会生活への影響を最小限に抑えられます。また、自宅で家族と更生に向けた話し合いをしたり、裁判の準備を十分に行ったりするなど、判決に有利に働く環境を整えることができます。弁護士は、勾留阻止のための準抗告や保釈請求を迅速に行い、早期の身柄解放を実現できるよう尽力します。

有利な証拠を収集し、裁判で効果的な主張を行う

刑事裁判では、単に反省の言葉を述べるだけでは不十分です。執行猶予付き判決を獲得するためには、被告人に有利な具体的な証拠(情状証拠)を豊富に提示し、裁判官に再犯のおそれがないことを理解してもらう必要があります。弁護士は、反省文の作成指導、薬物依存からの脱却に向けた治療やカウンセリングの受診証明、さらには被告人の生活を監督する身元引受人の陳述書など、多岐にわたる情状証拠の収集を主導します。

収集したこれらの証拠は、ただ提出するだけでなく、裁判で最も効果的に伝わるように整理し、最終弁論で論理的かつ感情に訴えかける形で主張します。弁護士は、被告人がいかに深く反省し、二度と罪を犯さない決意であるか、そして社会内での更生が十分に可能であることを、法廷で力強く訴えかけ、裁判官の心証を形成する上で極めて重要な役割を担います。

家族や職場への影響を最小限に抑える

逮捕されることは、本人だけでなくその家族や職場にも多大な影響を及ぼします。弁護士は、被告人の社会生活へのダメージを最小限に食い止めるためにも重要な役割を果たします。例えば、雇用主との間で不当な解雇を回避するための交渉を行ったり、事件に関する事実関係を説明したりすることで、被告人の職場復帰をサポートする場合があります。また、家族に対して刑事手続きの全体像や今後の見通しを分かりやすく説明し、精神的な不安を和らげるサポートも行います。さらに、報道機関からの問い合わせがあった際には、その対応窓口となることで、被告人や家族が直接対応する精神的負担を軽減し、プライバシー保護に努めます。このように、弁護士は法廷での弁護活動だけでなく、被疑者と家族の精神的な支えとなり、社会生活への影響を最小限に抑えるための広範なサポートを提供します。

刑事事件・薬物事件に詳しい弁護士の選び方

重大な薬物事件で最善の結果を目指すためには、どの弁護士に依頼しても同じというわけではありません。刑事事件、特に薬物事件に関する深い専門知識と豊富な経験を持つ弁護士を選ぶことが極めて重要です。ここでは、そのような弁護士を見つけるための具体的な選定基準について詳しく解説していきます。

専門性と実績を確認する

弁護士を選ぶ際には、その専門性と過去の実績をしっかりと見極めることが大切です。まずは、法律事務所のウェブサイトなどで、「刑事事件」や「薬物事件」を重点的な取扱分野として掲げているかを確認してください。これらの分野に特化している事務所は、関連法規や手続き、裁判所の傾向などについて深い知見を持っている可能性が高いです。

さらに、営利目的の大麻事件を含む薬物事件で、実際に執行猶予や不起訴処分といった有利な結果を獲得した実績が具体的に掲載されているかをチェックしましょう。単に「刑事事件に強い」といった漠然とした宣伝文句に惑わされず、具体的な実績の有無が、弁護士の能力を判断する上での重要な基準になります。具体的な解決事例が明記されている弁護士は、同様のケースで適切な弁護活動を展開してくれる期待が持てます。

費用体系が明確であるか

弁護士費用が明確で透明性のあるものであるかどうかも、重要な選定基準の一つです。法律相談の段階で、着手金、報酬金、接見日当、実費などの費用内訳と総額の見積もりを明確に提示してくれるかどうかを必ず確認してください。後から予期せぬ費用を請求されるといったトラブルを避けるためにも、事前に書面で契約内容と費用体系を十分に確認することが重要ですいです。

誠実な弁護士は、費用について依頼者が理解できるように丁寧に説明してくれるはずです。依頼者にとって納得のいく形で費用体系が提示されることは、弁護士との信頼関係を築く上でも不可欠な要素と言えるでしょう。

迅速な対応とコミュニケーションの取りやすさ

弁護士を選ぶ際には、対応の迅速さとコミュニケーションの取りやすさも非常に重視すべきポイントです。逮捕直後の72時間は、その後の刑事手続き全体を左右する重要な期間であり、依頼後すぐに接見に向かってくれるようなフットワークの軽さが不可欠です。初動の速さが、被疑者の権利を守り、不利な状況を回避するために極めて重要となります。

また、法律の専門用語を分かりやすい言葉で説明してくれるか、被疑者やその家族の不安な気持ちに寄り添ってくれるかといった、相談のしやすさ(弁護士との相性)も重要な選択基準です。困難な状況において、信頼関係を築ける弁護士は、精神的な支えにもなります。迅速かつ丁寧なコミュニケーションを通じて、依頼者が納得しながら手続きを進められる弁護士を選ぶことが、最善の結果を得るための鍵となります。

営利目的の大麻栽培に関するよくある質問

営利目的での大麻栽培事件に関して、逮捕されたご本人やそのご家族が抱きがちな疑問について、Q&A形式で詳しくご説明いたします。ご自身の状況と照らし合わせながら、ぜひ参考にしてください。

Q. 初犯でも実刑判決の可能性はありますか?

はい、初犯であっても実刑判決となる可能性は十分にあります。初犯であることは一般的に有利な情状として考慮されますが、「営利目的」という犯行態様が悪質であるため、それだけで執行猶予が保証されるわけではありません。

例えば、栽培規模が非常に大きい、計画性が高い、組織的な犯行の一部であるといった事情があれば、初犯であっても実刑判決のリスクは極めて高くなります。日本の刑事司法においては、薬物犯罪に対する社会の目が厳しく、特に営利目的の犯行には重い刑罰が科される傾向にあります。執行猶予付き判決を得るためには、徹底した弁護活動が不可欠です。

Q. 栽培量が少なくても営利目的と判断されるケースは?

はい、栽培量が少なくても営利目的と判断されるケースは実際に多く存在します。「営利目的」の認定は、栽培された大麻の量だけで判断されるわけではなく、さまざまな状況証拠によって総合的に判断されます。

具体的な状況証拠として挙げられるのは、大麻を小分けにするためのパケ(透明な袋)、正確に計量するためのデジタルスケール(秤)、顧客リストや金のやり取りを記録したメモ、SNSや通信アプリでの販売を示唆するやり取りなどです。これらの物品が自宅や所持品から発見された場合、たとえ大麻の栽培量が少数であったとしても、警察や検察は営利目的があったと強く推認し、逮捕や起訴に踏み切る可能性が高いと言えます。

Q. 執行猶予中の再犯だとどうなりますか?

執行猶予期間中に再度罪を犯した場合、極めて厳しい結果を招くことになります。原則として、前回の事件で言い渡され、執行が猶予されていた懲役刑が取り消され、まずその刑に服役することになります。これを「執行猶予の取消し」と呼びます。

さらに、今回の再犯で科される新たな刑罰が加算されるため、非常に長期にわたる懲役刑となる可能性が高いです。執行猶予中に再び罪を犯した場合は、裁判所が「社会内での更生は難しい」と判断し、実刑判決がほぼ避けられないという厳しい現実があります。薬物犯罪においては、再犯防止の誓約が特に重視されるため、一度執行猶予を得た方は、より一層の注意と努力が求められます。

Q. 弁護士費用はどのくらいかかりますか?

弁護士費用は、事件の複雑さや弁護活動の範囲、弁護士事務所の料金体系によって大きく異なります。一般的な内訳としては、「着手金」と「成功報酬金」があり、これに日当や実費が加算される形がほとんどです。

営利目的の薬物事件で、公判(裁判)まで進む場合の弁護士費用は、着手金と成功報酬金を合わせて50万円から100万円程度が目安となることが多いです。ただし、事件の難易度や必要な弁護活動の量によっては、この金額を超えることもあります。正確な費用については、必ず法律相談の際に弁護士から見積もりを取り、契約内容をしっかりと確認するようにしてください。

まとめ:大麻栽培(営利目的)で逮捕されたら、未来のために今すぐ弁護士へ相談を

営利目的での大麻栽培は、日本の法律において非常に重い罪であり、人生を大きく左右する可能性のある重大犯罪です。逮捕された場合、初犯であっても実刑判決のリスクが伴い、社会的な信用を失い、築き上げてきた生活基盤を破壊するほどの厳しい結果に繋がりかねません。

しかし、逮捕されたからといって全てが終わるわけではありません。迅速かつ適切な弁護活動を行うことで、執行猶予付き判決を獲得し、社会復帰を目指す道は残されています。早期の弁護士相談、営利目的の悪質性の争い、反省と更生意欲の具体的な提示、薬物依存からの脱却に向けた取り組み、そして家族など監督者の存在のアピールといった、この記事で解説した具体的な弁護活動が、あなたの未来を大きく変える可能性を秘めているのです。

もし、あなた自身やご家族が営利目的の大麻栽培で逮捕されるという事態に直面したら、一刻を争います。刑事事件、特に薬物事件に精通した経験豊富な弁護士にすぐに相談することが、あなたの未来、そして大切なご家族の生活を守るための最善の行動となります。信頼できる弁護士と共に、厳しい状況を乗り越え、再び社会で活躍するための道を切り拓いていきましょう。

刑事事件に詳しい弁護士はこちら

薬物のコラムをもっと読む

※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。