警察からの事情聴取:供述で失敗しないための10の注意点

2026年03月31日

警察からの事情聴取:供述で失敗しないための10の注意点

警察からの事情聴取は、人生でそう何度も経験するものではなく、突然の連絡に強い不安や動揺を感じる方がほとんどでしょう。しかし、この事情聴取での供述が、その後の人生を大きく左右する可能性を秘めています。誤った対応や不適切な供述をしてしまうと、意図しない形で不利な状況に追い込まれることも少なくありません。

このガイドでは、事情聴取をうける方が抱える疑問や不安を解消し、供述で失敗しないための重要な注意点を詳細に解説します。事前に知識を身につけ、冷静かつ適切に対応するための準備をしておきましょう。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

「家族が逮捕された」「示談したい」など、300件以上の刑事事件のご相談に対応してきました。(※2026年3月時点)これまでの実務経験をもとに、法律のポイントを分かりやすく解説しています。

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警察の事情聴取とは?種類と目的を理解する

警察からの事情聴取を受けることになった際、まず理解すべきはその「目的」と「種類」です。これを把握することで、自身の立場や状況を正しく認識し、適切な対応をとる第一歩となります。

事情聴取の目的は「供述調書」の作成

警察が事情聴取を行う主な目的は、事件の真相を解明し、犯罪事実の有無や関係性を把握することです。

そして、その過程で得られた供述内容を「供述調書」として記録することにあります。この供述調書は、後に裁判になった際に重要な証拠として扱われるため、その作成は非常に重い意味を持ちます。

警察官は、供述を通じて事件の全体像を把握しようとしますが、その際、聞き取りを通して事実関係だけでなく、供述する人の言動や態度なども観察しています。

「参考人」と「被疑者」の違い

警察からの事情聴取には、大きく分けて二つの立場があります。一つは「参考人」、もう一つは「被疑者」です。

参考人

事件について何らかの情報を持っている、または事件を目撃したなど、捜査の参考となる情報を提供してくれる可能性がある人物です。まだ犯罪の嫌疑をかけられているわけではなく、協力を求められている段階です。

被疑者

警察によって犯罪を犯した疑いがあるとして、捜査の対象となっている人物です。俗に言う「容疑者」と同じ意味合いで使われます。

参考人としての事情聴取であっても、その供述内容によっては、途中で被疑者へと立場が変わる可能性もゼロではありません。自分の立場がどちらであるかを理解し、状況の変化に注意を払うことが重要です。

「任意聴取」と「逮捕後の取調べ」の違い

事情聴取の方法にも、大きく二つの種類があります。

任意聴取

警察署への同行や事情聴取に応じるかどうかは、原則として本人の自由です。応じたくない場合や途中で帰りたい場合は、拒否したり帰宅したりする権利があります。警察官は、任意聴取を強制することはできません。ただし、協力を拒否することで、かえって疑念を抱かれる可能性もゼロではありません。

逮捕後の取調べ

逮捕されている場合、本人は身体を拘束されており、自由な行動が制限されています。この場合の取調べは、任意聴取とは異なり、その場を離れることはできません。ただし、逮捕後であっても、黙秘権などの基本的な権利は保障されています。

どちらの状況であっても、警察の事情聴取を受ける際には、自身の権利を正しく理解し、冷静に対応することが不可欠です。

供述で失敗しないための10の注意点

警察からの事情聴取では、供述内容一つで状況が大きく変わる可能性があります。ここでは、供述で失敗しないために特に注意すべき10のポイントを解説します。

落ち着いて冷静に対応する

警察官の前では、緊張や不安から冷静さを失いがちです。しかし、感情的になったり、パニックになったりすると、意図しない供述をしてしまったり、不利な印象を与えてしまったりする可能性があります。

深呼吸をして質問をよく聞き、落ち着いて答えることが大切です。自分の言動がすべて記録されているという意識を持つことが重要です。

曖昧な記憶や推測で話さない

記憶があやふやな場合や、事実ではない推測で話すことは避けるべきです。憶測で話した内容が、後になって事実と異なることが判明した場合、信用を失い、かえって不利な状況に陥る可能性があります。

「よく覚えていません」「定かではありません」「分かりません」と正直に伝えることが大切です。記憶がはっきりしないことを無理に話す必要はありません。

安易に嘘をつかない

嘘は、たとえ小さなものであっても、後で発覚した際に信用を決定的に失わせます。また、場合によっては偽証罪などの新たな罪に問われる可能性もゼロではありません。

警察官は様々な情報源から事実を把握しており、供述の矛盾を見抜くこともあります。常に事実に基づいて供述することが大切です。

警察官の誘導尋問に乗らない

警察官は、事件の全容解明のため、時には誘導尋問のような形で質問をしてくることがあります。「〜だったでしょう?」「〜したのはその人しかいませんよね?」といった問いかけに対し、安易に「はい」と答えてしまうと、意図せずして不利な供述を認めてしまうことになりかねません。

質問の意図をよく考え、納得できない点や事実と異なる点があれば、はっきりと否定し、自分の言葉で説明することが重要です。

自分の権利「黙秘権」を正しく理解し行使する

供述において最も重要な権利の一つが「黙秘権」です。事情聴取を受けている人は、警察官の質問に対し、一切供述しないこと、または一部の質問にのみ答えることを選択できます。

黙秘権を行使したからといって、それ自体が罪を認めることになったり、不利益になったりすることはありません。黙秘権は憲法で保障された権利です。何を供述すべきか迷った場合は、「黙秘します」と明確に伝えることも可能です。

休憩や体調不良を申し出る

長時間にわたる事情聴取は、心身に大きな負担をかけます。集中力が途切れたり、体調が悪くなったりした場合、判断力が低下し、誤った供述をしてしまうリスクが高まります。

適度な休憩を申し出ることや、体調が優れない場合はその旨を伝えることも重要です。無理をして供述を続ける必要はありません。

供述調書の内容を徹底的に確認する

事情聴取の最後に、警察官が作成した供述調書を読み聞かせ、または自分で読むよう求められます。この際、焦らず、一字一句漏らさずに内容を確認することが重要です。

警察官が供述内容をまとめる際、意図せずともニュアンスが変わっていたり、誤解を招く表現になっていたりすることがあります。

事実と違う部分は必ず訂正を求める

供述調書の内容に、事実と異なる部分や、意図と違う表現があれば、ためらわずに訂正を求めることが大切です。口頭で修正を依頼するだけでなく、追記や修正を求めるなど、納得がいくまで確認することが重要です。

納得できない供述調書には署名・押印しない

供述調書は、署名・押印することで「本人がその内容を認めた」という証拠になります。

もし内容に納得できない点や、事実と異なる部分が修正されなかった場合、署名・押印をする必要はありません。署名・押印を拒否する権利も保障されています。

できる限り早く弁護士に相談する

警察から事情聴取の連絡を受けた時点で、できる限り早く弁護士に相談することが重要です。弁護士は権利を守りながら、適切なアドバイスを提供してくれます。

供述調書の持つ意味と署名・押印の重要性

事情聴取を通じて作成される供述調書は、供述内容を文書化したものであり、その後の法的手続きにおいて非常に大きな意味を持ちます。

供述調書は裁判で重要な証拠になる

供述調書は、検察官が起訴・不起訴の判断を下す際の重要な材料となるだけでなく、裁判になった場合には、裁判官が有罪・無罪を判断するための主要な証拠の一つとして扱われます。

特に、本人が署名・押印した供述調書は、本人が自らの意思でその内容を認めたものとして扱われることになります。

一度署名・押印すると内容を覆すのは極めて困難

一度供述調書に署名・押印してしまうと、その内容を後から覆すことは極めて困難になります。警察や検察側は、本人が自らの意思で署名・押印したと主張するためです。

だからこそ、署名・押印する前に内容を十分に確認することが重要です。

事情聴取で不安なら弁護士に相談を

警察からの事情聴取に直面することは、非常にストレスのかかる経験です。そのような状況で、冷静かつ適切に対応し、権利を守るためには、弁護士のサポートが有効です。

まとめ

警察からの事情聴取は、人生に大きな影響を与える可能性がある重要な局面です。突然の出来事に不安を感じるのは当然ですが、ここで紹介した注意点を理解し、冷静に対応することが重要です。

曖昧な供述や嘘を避け、黙秘権を正しく理解し、供述調書の内容は必ず確認することが大切です。そして、警察から連絡を受けた場合には、できる限り早く弁護士に相談することが望ましいでしょう。

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