交通事故・むちうちの慰謝料計算方法!通院期間別の相場と増額のポイント

2026年04月09日

交通事故・むちうちの慰謝料計算方法!通院期間別の相場と増額のポイント

「追突事故に遭ってから首や腰が痛い…」 「保険会社から提示されたむちうちの慰謝料、なんだか安すぎる気がする」

交通事故で最も多いケガである「むちうち(頸椎捻挫など)」。目に見える外傷がないため軽く見られがちですが、被害者にとっては長引く痛みや不調に悩まされる辛い症状です。

実は、むちうちの慰謝料は「誰が計算するか(保険会社か、弁護士か)」によって、受け取れる金額が2倍以上変わるケースが珍しくありません。

この記事では、むちうちの適正な慰謝料(弁護士基準)の計算方法と通院期間別の相場、そして絶対に損をしないための注意点をわかりやすく解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士
詳しくはこちら

職員が丁寧にお話を伺います初回無料

目次

むちうちの慰謝料計算で知っておくべき「3つの基準」

交通事故の慰謝料には、計算のベースとなる「3つの基準」が存在します。ご自身の慰謝料がどの基準で計算されているかを知ることが、増額への第一歩です。

自賠責保険基準(最低限の補償)

すべての車の所有者に加入が義務付けられている保険の基準です。 基本的な計算式は「4,300円 × 対象日数」となります。 ※対象日数は、「治療期間」と「実際の通院日数の2倍」を比較して、少ない方が採用されます。あくまで被害者への最低限の救済を目的とした基準のため、金額は最も低くなります。

任意保険基準(相手方の保険会社が提示する金額)

加害者側の保険会社が社内で独自に設定している基準です。 多くの場合、自賠責基準と同等か、それに少し上乗せした程度の金額にしかなりません。保険会社から提示された示談金のほとんどは、この基準で計算された「本来もらえる額より低い金額」です。

弁護士基準(本来受け取るべき最も高額な基準)

過去の裁判例に基づいて設定された、法的に正当な基準(裁判所基準)です。 むちうち(レントゲンやMRIで異常が見つからない「他覚症状なし」の場合)専用の算定表を用いて計算されます。この基準は、弁護士が介入して示談交渉を行った場合にのみ適用されます。

【通院期間別】むちうち慰謝料の計算シミュレーション(弁護士基準)

では、適正な金額である「弁護士基準」で計算した場合、むちうちの慰謝料はいくらになるのでしょうか。通院期間(治療期間)別の相場を見てみましょう。 (※自覚症状のみの「むちうち」の場合の目安です)

通院1ヶ月(約30日)の場合の相場

  • 弁護士基準の相場:約19万円
  • 自賠責基準の場合、実際の通院日数が10日だとすると「4,300円×20日=8万6,000円」となり、大きな差が出ます

通院3ヶ月(約90日)の場合の相場

  • 弁護士基準の相場:約53万円
  • 治療が長引くにつれ、保険会社が提示する金額(任意保険基準)と、適正な金額(弁護士基準)との差は数十万円単位に広がっていきます。

通院6ヶ月(約180日)の場合の相場

  • 弁護士基準の相場:約89万円
  • 半年間通院した場合、弁護士基準では約90万円近い慰謝料が認められる可能性があります。

このように、弁護士に依頼して基準を切り替えるだけで、慰謝料が大幅に増額する可能性が高いのです。

ただし、裁判外における和解では、弁護士基準の8割程度となることが一般的です。

むちうちの慰謝料計算で損をしないための注意点

適正な慰謝料を受け取るためには、治療中の行動にも注意が必要です。以下の3点に気をつけましょう。

通院頻度が少なすぎると減額される可能性がある

仕事が忙しいからと月に1〜2回しか通院していないと、保険会社から「実はもう痛くないのでは?」と判断され、慰謝料を減額されたり、治療費を早期に打ち切られたりするリスクがあります。適正な慰謝料を受け取るためには、「月10日程度(週2〜3回)」の通院が一つの目安となります。

整骨院・接骨院だけでなく「整形外科(病院)」へ通う

医師の指示がないまま整骨院や接骨院ばかりに通院していると、後々「医学的な治療ではない」として、治療費や慰謝料が認められないトラブルに発展することがあります。必ず定期的に整形外科(病院)を受診し、医師の診察を受けながら通院してください。

【重要】必ず「人身事故」として届け出ているか確認する

交通事故の慰謝料は、原則としてケガを伴う「人身事故」でなければ請求できません。車がへこんだだけの「物損事故」として警察で処理されている場合、どれだけむちうちで首が痛くても慰謝料は1円も出ないのです。 事故から数日経って痛みが出た場合は、すぐに病院で診断書をもらい、警察で「物損事故から人身事故への切り替え」を行ってください。

半年以上痛みが続く場合は「後遺障害」の計算も加わる

もし半年(約6ヶ月)以上通院を続けても、首の痛みや手のしびれなどが完治せずに残ってしまった場合は、「後遺障害」の申請を検討します。

むちうちで認定されやすい「後遺障害14級9号」

むちうちの場合、後遺障害等級の「14級9号(局部に神経症状を残すもの)」に認定される可能性があります。

14級が認定されると慰謝料が「+110万円」増額される

無事に後遺障害14級が認定されると、これまでの「入通院慰謝料(約89万円)」に加えて、「後遺障害慰謝料(弁護士基準で110万円)」が加算されます。さらに将来の収入減に対する「逸失利益」も請求できるため、最終的な賠償金は数百万円単位になることも少なくありません。

提示されたむちうちの慰謝料に納得がいかない方へ

相手方の保険会社から「示談書(免責証書)」が届いたとき、そこに書かれている金額を鵜呑みにしてはいけません。

示談書にサインする前に弁護士へ相談を

一度示談書にサインをしてしまうと、「やっぱり金額が少なかった」と後から交渉をやり直すことはできません。ハンコを押す前に、「この金額は本当に妥当なのか?」を弁護士に確認してもらうことが最も確実な防衛策です。

弁護士費用特約があれば自己負担0円の可能性も

「弁護士に頼むと費用が高くて、結局損をするのでは?」と心配される方も多いでしょう。 しかし、ご自身やご家族が加入している自動車保険に「弁護士費用特約」が付いていれば、原則として300万円までの弁護士費用を保険会社が負担してくれます。つまり、実質的な自己負担0円で弁護士に依頼でき、増額した慰謝料をそのまま受け取れる可能性が高いのです。

弁護士費用特約がない方もご相談いただけます

自動車保険に「弁護士費用特約」が付いている場合は、保険会社が弁護士費用を負担する仕組みがあります。

一方で、「特約が付いていないから弁護士には依頼できないのでは」と不安に感じる方も少なくありません。

当事務所では、弁護士費用特約がない方向けのご依頼プランもご用意しています。
そのため、特約の有無にかかわらず、状況に応じた方法でご依頼いただくことが可能です。

まとめ|むちうちの慰謝料は「基準」と「対応」で差が出ることがあります

むちうちの慰謝料は、

  • どの基準で計算されるか
  • どのくらい通院したか
  • 後遺障害が認定されるか

によって金額が変わります。

特に、保険会社から提示される金額は任意保険基準で計算されていることが多く、弁護士基準と比べると差が出る場合があります。

また、通院頻度が少ない、整形外科を受診していない、人身事故へ切り替えていないといった事情があると、本来受け取れる可能性のある金額に影響することもあります。

さらに、半年以上症状が続く場合には、後遺障害の申請によって賠償額が大きく変わる可能性もあります。

もっとも、慰謝料の金額は事故状況や通院状況によって個別に判断されるため、「提示額が妥当かどうか」は専門的な検討が必要です。

  • 今の提示額で示談してよいのか迷っている
  • 自分の通院期間だといくらが目安になるのか知りたい
  • 後遺障害の可能性があるか確認したい

このようなお悩みがある場合は、示談書にサインする前に一度ご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q:通院期間(治療を始めた日から終わった日まで)と、実際に通った「通院日数」、慰謝料はどちらで計算されるのですか?

A:どの基準(自賠責・任意保険・弁護士)を用いるかによって異なります。 自賠責基準では「実際の通院日数の2倍」と「通院期間」を比較し、少ない方で計算されます。一方、最も高額な弁護士基準では、原則として「通院期間(月数)」をベースに計算表に当てはめます。ただし、通院頻度が極端に少ない(月に1〜2回など)場合は、弁護士基準であっても実際の通院日数をベースに減額されてしまう可能性があるため、月10日程度の通院をおすすめしています。

Q:慰謝料を高くしたいので、整骨院に毎日通えばいいですか? 

A:いいえ、過剰な通院は逆効果になるリスクがあります。 毎日整骨院へ通うと、保険会社から「慰謝料や治療費を増やすための過剰診療ではないか」と疑われ、早い段階で治療費を打ち切られる原因になり得ます。慰謝料を適正に受け取るためには、整形外科(病院)の医師の指示に基づき、必要な頻度で通院することが何より重要です。

Q:まだ首が痛いのに、保険会社から「3ヶ月経つので治療費を打ち切ります」と言われました。どうすればいいですか?

A:保険会社の言葉を鵜呑みにして、自己判断で通院をやめないでください。 保険会社は独自の目安で「むちうちは3ヶ月程度」と判断して打ち切りを打診してくることがよくあります。しかし、主治医が「まだ治療が必要」と判断していれば、治療期間の延長交渉が可能です。打ち切りの連絡が来た時点で、弁護士へご相談いただくのがベストなタイミングです。

Q:事故のときは痛みがなかったので「物損事故」にしてしまいました。後からむちうちの症状が出たのですが、このままでも慰謝料はもらえますか? 

A:いいえ、物損事故のままでは適切な慰謝料が支払われない可能性があります。 ケガの治療費や適切な慰謝料を請求するためには、法的に「人身事故」として扱われる必要があります。後から痛みが出た場合は、すぐに病院を受診して診断書をもらい、管轄の警察署へ行って「人身事故への切り替え」の手続きを行ってください。

交通事故のコラムをもっと読む

※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。

職員が丁寧にお話を伺います初回無料