「自分の子ではなかった…」妻が不倫相手の子を妊娠・出産。慰謝料請求と親子関係を断つための対応マニュアル

最終更新日: 2025年12月17日

妻が不倫で妊娠!慰謝料請求は?子どもはどうなる?弁護士が解説

「妻が産んだ子供が、自分の子供ではないかもしれない」 「DNA鑑定の結果、血縁関係がないことが判明した」

もし、育ててきた子供、あるいはこれから生まれてくる子供が、妻の不倫相手の子供(いわゆる「托卵」)だったとしたら…。その絶望感と怒りは筆舌に尽くしがたいものです。

しかし、ここで絶望して立ち止まっている時間はありません。法律には「親子関係を否定できる期限」が厳格に定められており、その期限を1日でも過ぎると、法律上も一生あなたの子供として育て養育費を払い続けなければならなくなる可能性があるからです。

この記事では、妻が不倫相手の子を妊娠・出産していた場合の「慰謝料請求」と、戸籍上の「親子関係を断つ手続き」について、弁護士が解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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浮気相手の子供だった場合の慰謝料は「高額」になる

通常の不倫慰謝料の相場は、離婚する場合で100万〜300万円程度と言われています。 しかし、不倫の結果「子供ができていた」場合、さらにそれが「夫の子と偽って出産していた」場合、その悪質性は極めて高いと判断されます。

精神的苦痛の増額事由

夫にとって「他人の子を自分の子と信じ込まされて育ててきた」という精神的苦痛は計り知れません。そのため、通常の不倫慰謝料に大幅な増額が見込めます。 過去の裁判例でも、不貞行為だけでなく、詐欺的な出産・養育の強制を考慮し、300万円〜500万円以上の高額な慰謝料が認められたケースもあります。

請求先は「妻」と「不倫相手」の両方

慰謝料は、不法行為を行った妻と不倫相手(実の父親)の両方に請求可能です。 特に不倫相手に対しては、「自分の快楽のために家庭を破壊し、あまつさえ他人に自分の子の養育を押し付けた」責任として、徹底的な追及が必要です。

最重要!「親子関係」を断つには厳しい期限がある

「DNA鑑定で血がつながっていないと分かったから、もう他人だ」とはなりません。 日本の法律(民法)には「嫡出推定」という制度があり、婚姻中に妻が妊娠した子は、自動的に「夫の子」とみなされます。

この法律上の親子関係を消滅させるためには、裁判所の手続きが必要です。そして、これには「時効(出訴期間)」があります。

嫡出否認の訴え(ちゃくしゅつひにんのうったえ)

「夫の子である」という推定を覆すための手続きです。 これを行うには、「子が生まれたことを知った時から3年以内」に申し立てなければなりません。 (※民法改正により、従来の「1年」から「3年」に伸長されましたが、経過措置や施行日の関係があるため、1日も早い確認必要です)

この期間を過ぎてしまうと、たとえDNA鑑定で血縁がないことが明らかでも、法的には「あなたの子供」として確定してしまいます。つまり、将来にわたって養育費を支払う義務や、相続権が発生し続けることになります。

親子関係不存在確認の訴え

もし、別居期間が長いなど「妻が夫の子を妊娠する可能性が客観的にない」場合は、上記の「嫡出否認」ではなく「親子関係不存在確認」という手続きが使える場合があります。こちらには期限がありません。 しかし、同居していた場合は原則として「期限付き」の嫡出否認の手続きが必要です。

「まだ大丈夫だろう」という自己判断は命取りです。早めに弁護士にご相談ください。

これまで払った生活費・養育費は返してもらえる?

「他人の子だと知らずに支払ってきた学費や食費を返せ!」 そう思うのは当然です。しかし、法律的には「過去の養育費」の返還請求はハードルが高いのが現実です。

なぜなら、その当時は「法律上の親子」として扶養義務があったからです。 しかし、諦めるのは早いです。以下のような戦術が考えられます。

「損害賠償」として請求する

養育費そのものの返還ではなく、妻や不倫相手に対する「不法行為に基づく損害賠償請求」の中に、損害額として組み込む手法です。 「他人の子を自分の子と偽った詐欺的な行為により、本来支払う必要のない費用を支払わされた」として、その実費分を慰謝料に上乗せして請求する交渉を行います。

本当の父親(不倫相手)に責任を取らせる

あなたと子供の親子関係が法的に切れれば、次は「本当の父親(不倫相手)」に責任を取らせる番です。

認知と養育費の請求

親子関係が否定された後、子供と不倫相手との間で「認知」の手続きを行います。認知されれば、法律上の親子関係が生じ、今後は不倫相手に対して養育費を請求できるようになります。 (※子供の親権を妻が持つ場合、妻から不倫相手へ請求することになります)

まとめ:人生の清算をするために、早期に弁護士へ

「妻の不倫相手の子供だった」という事実は、あなたの人生設計を根底から覆す出来事です。

  • 高額な慰謝料を請求し、制裁を加える

  • 法律上の親子関係を切り、将来の負担をなくす

  • 本当の父親に責任を負わせる

これらを確実に行うためには、DNA鑑定の手配から裁判所への申し立てまで、複雑かつ迅速な手続きが不可欠です。特に「期限」の問題は深刻です。悩んでいる間に期限が過ぎ、一生他人の子の父親として生きる義務を負うことだけは避けなければなりません。

当事務所では、このようなデリケートかつ困難な事案の解決実績があります。 プライバシーは厳守いたします。まずは無料相談で、今後の見通しをお話しさせてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 妻に内緒で子供のDNA鑑定を行いました。証拠になりますか?

証拠として認められる可能性が高いです。

裁判所の手続きでも、改めて鑑定が行われることが一般的ですが、交渉段階や裁判のきっかけとして、私的に行った鑑定結果も重要な資料となります。ただし、検体の採取方法などで争いになることもあるため、今後の進め方は弁護士にご相談ください。

Q. まだ離婚するか迷っていますが、親子関係だけ否定することはできますか?

可能です。

離婚をする・しないにかかわらず、「嫡出否認」の手続きを行うことはできます。「離婚は考え中だが、他人の子を自分の戸籍に入れておくのは耐えられない」という場合も、期限が来る前に手続きだけは進めておくべきです。

Q. 自分の死後、遺産がその子(不倫相手の子)に渡るのを防ぎたいです。

親子関係を否定する必要があります。

戸籍上の親子である限り、その子には実子と同じ「相続権」があります。遺言書で「相続させない」と書いても、「遺留分」という最低限の取り分を請求される可能性があります。根本的に解決するには、生あいうちに法的な親子関係を解消しておく必要があります。

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