盗撮で逮捕されたらどうなる?弁護士が解説する初動対応と流れ
最終更新日: 2025年11月24日
盗撮行為で逮捕された場合、それは単に一時的なトラブルにとどまらず、あなたの人生を大きく変えてしまう可能性がある深刻な事態です。逮捕されると、すぐに身柄を拘束され、警察署の留置施設等で長期間の取り調べを受けることになります。その間、あなたは外部との連絡が制限され、仕事や学業、家族との関係にも大きな影響が及ぶでしょう。
さらに、有罪判決を受ければ「前科」がつき、今後の就職や転職、資格取得にまで影響が出るだけでなく、社会的な信用を失い、家族や職場に知られてしまうリスクも避けられません。このような状況に直面したとき、何よりも重要になるのは、逮捕直後の初動対応です。特に、できるだけ早く弁護士に相談し、法的なサポートを受けることが、その後の刑事手続きやあなたの人生に与える影響を最小限に抑えるための鍵となります。
この記事では、盗撮で逮捕された場合に具体的に何が起こるのか、刑事手続きの流れ、問われる罪と刑罰、そして取るべき初動対応について、弁護士が詳しく解説します。
盗撮で逮捕されたらどうなる?まず知っておくべきこと
盗撮で逮捕された場合、被疑者は極めて厳しい状況に置かれます。まず直面する重大なリスクとして、長期間にわたる身柄拘束、前科による社会生活への深刻な影響、そして家族や会社といった周囲に逮捕の事実が発覚する可能性があります。これらのリスクは、その後の人生を大きく左右しかねない重要な問題です。これから、それぞれの具体的な内容を詳しく解説していきますので、ご自身の状況と照らし合わせながら、その深刻さを理解していただければ幸いです。
長期間の身柄拘束を受ける可能性がある
盗撮で逮捕された場合、警察署の留置施設などで身柄を拘束される可能性があります。この身柄拘束は決して短期間で終わるとは限りません。逮捕されると、まず最大48時間警察で取り調べを受け、その後事件が検察官に送致されます。検察官は送致から24時間以内に勾留を請求するかを判断し、裁判官が勾留を認めれば、原則10日間、最大で20日間の勾留が続くことになります。つまり、逮捕から数えると、最長で23日間もの間、社会から隔絶された状態で過ごさなければならない可能性があるのです。
このような長期間の身柄拘束は、多くの人が想像する以上に深刻な影響を及ぼします。なぜなら、警察や検察が身柄拘束を続けるのは、「証拠隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」があると判断されるからです。例えば、スマートフォンに保存された証拠データを削除する可能性や、被害者との接触を試みる可能性などが考えられます。そのため、被疑者は外部との連絡を制限され、自由に弁護士としか面会できない状況に置かれることがほとんどです。
長期間の身柄拘束は、被疑者の日常生活に大きな支障をもたらします。会社員であれば無断欠勤が続くことで懲戒処分や解雇につながる恐れがあり、学生であれば学業に大きな遅れが生じたり、退学を余儀なくされたりする可能性もあります。また、ご家族にとっても、連絡が取れない状態が続くことは精神的な負担が非常に大きく、家庭生活にも深刻な影響を与えかねません。このように、一度身柄を拘束されると、その後の人生設計を大きく狂わせてしまうリスクがあることを理解しておく必要があります。
前科がつき、社会生活に大きな影響が出る恐れがある
「前科」とは、刑事裁判で有罪判決を受け、刑罰を科せられた履歴のことを指します。たとえ罰金刑であっても、有罪判決が確定すれば前科がつくことになります。一度前科がつくと、その事実は一生涯消えることのない記録として残り、その後の社会生活にさまざまな形で大きな影響を及ぼす可能性があります。
例えば、就職活動において、特定の職業に就くことが困難になるケースが挙げられます。医師、弁護士、公認会計士などの士業や、教員、警備員、公務員といった職種では、前科があることで資格の取得や維持が制限されたり、採用時に不利に扱われたりすることが少なくありません。特に、盗撮のような性犯罪は、その性質上、社会的な信頼が重視される職業においてはより厳しい目が向けられる傾向にあります。また、海外渡航を考えている場合、国によってはビザの申請が拒否されるなど、自由な渡航が制限される可能性もあります。
前科は、単に職業選択の自由を奪うだけでなく、社会的な信用そのものを失墜させることにつながりかねません。例えば、住宅ローンや各種ローンの審査、クレジットカードの新規作成が難しくなるなど、経済活動にも影響が出る可能性があります。また、何らかの機会に前科の事実が明るみに出た場合、友人や知人、地域社会からの信頼を失い、人間関係に亀裂が入ることも考えられます。このように、前科はご自身の将来のキャリアプランやライフプランに大きな影を落とす可能性があるため、その回避は極めて重要な課題となります。
家族や会社に知られてしまうリスクがある
盗撮で逮捕された事実が、家族や会社に知られてしまうリスクは避けられない問題です。逮捕された場合、警察は被疑者の身元を確認するために、ご家族に連絡を取ることがあります。特に、身元引受人を探す必要がある場合や、被疑者が留置されていることを伝えるために、警察からご家族へ連絡が入る可能性が高いでしょう。突然の連絡は、ご家族に大きな動揺と不安を与え、家庭内の平穏が損なわれる原因となります。
会社への発覚も、被疑者にとって大きな懸念事項です。逮捕されると、長期間の身柄拘束により会社を無断で欠勤せざるを得なくなります。連絡が取れない状態が続けば、会社は事情を不審に思い、被疑者の状況を確認しようとします。その結果、逮捕の事実が会社に知られ、職場での立場を失ったり、懲戒解雇などの厳しい処分を受けたりするリスクが高まります。また、社内での信用を失うことで、その後のキャリア形成にも深刻な影響を及ぼすことになりかねません。
さらに深刻なケースでは、盗撮事件が悪質であったり、被疑者が公的な立場にあったりする場合、事件が実名で報道される可能性もゼロではありません。一度実名報道されてしまうと、インターネット上に情報が半永久的に残り、社会的な信用を回復することが極めて困難になります。これは、ご家族や勤務先にも大きな影響を及ぼし、風評被害につながる可能性もあります。逮捕の事実を周囲に知られずに解決したいと考えるのであれば、早期に弁護士に相談し、適切な対応を取ることが不可欠です。
【時間別】盗撮で逮捕された後の手続きと流れを徹底解説
盗撮で逮捕されてしまった場合、その後の刑事手続きは、警察での取り調べから始まり、検察官による判断、勾留、起訴・不起訴の決定、そして刑事裁判へと、厳格な時間制限の中で進んでいきます。逮捕は突然の出来事であり、パニックになりがちですが、それぞれの段階でどのように対応すべきかを知っておくことは、早期の身柄解放や不利な処分を避けるために非常に重要です。ここでは、逮捕されてから刑事手続きがどのように進んでいくのか、その全体的な流れを時系列で解説していきます。
① 逮捕後~48時間以内:警察での取り調べ
逮捕されると、まず警察署に連行され、警察官による取り調べが始まります。この最初の48時間が、その後の刑事手続きに大きな影響を与える極めて重要な期間です。取り調べでは、盗撮行為の詳細や動機、過去の同様の行為の有無など、様々な質問がされます。警察官は、被疑者の供述に基づいて「供述調書」を作成しますが、この調書は裁判になった際に証拠として扱われるため、内容をよく確認し、間違いがあれば訂正を求めることが大切です。
この段階で覚えておくべき重要な権利が「黙秘権」です。黙秘権とは、話したくないことに対しては黙っていることができる権利であり、言いたくないことを無理に話す必要はありません。また、供述調書の内容が事実と異なる場合や、不明確な点がある場合には、署名を拒否することも可能です。しかし、逮捕直後は精神的に動揺しており、冷静な判断が難しい状況にあります。
そのため、逮捕されたらすぐに弁護士を呼ぶ権利があることを知っておくことが重要です。当番弁護士制度を利用すれば、無料で一度弁護士と面会し、今後の取り調べへの対応や権利に関する具体的なアドバイスを受けることができます。弁護士は、被疑者の権利を守り、不利益な供述をしないようサポートしてくれますので、積極的に弁護士との接見を求めましょう。
② 送致後~24時間以内:検察官による勾留請求の判断
警察での取り調べが終わり、逮捕から48時間以内に、事件と被疑者の身柄は検察庁へ引き継がれます。この手続きを「送致(送検)」と呼びます。送致された被疑者は、今度は検察官による取り調べを受けることになります。検察官は、事件の内容や被疑者の供述、証拠などを総合的に判断し、送致から24時間以内に「引き続き身柄を拘束する必要があるか」を決定します。
ここで検察官が「身柄の拘束が必要である」と判断した場合、裁判官に対して「勾留請求」を行います。勾留請求の判断基準となるのは、「証拠隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」があるかどうかです。例えば、家族や勤務先が遠方にあり身元が不安定である、被害者や関係者に接触して口裏合わせをする可能性がある、などの事情があれば、勾留請求される可能性が高まります。
この段階で弁護士が介入することは、勾留を回避するために極めて重要です。弁護士は、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを示す証拠(身元引受人の確保、定職に就いていることなど)を集め、検察官や裁判官に対して意見書を提出します。弁護士による適切な働きかけによって、勾留請求が却下され、身柄が解放される可能性も十分にあります。
③ 勾留決定後~最大20日間:起訴・不起訴の判断が下される
検察官の勾留請求が裁判官に認められると、「勾留」が決定されます。勾留期間は原則として10日間ですが、必要に応じてさらに10日間延長されることがあり、逮捕から数えると最長で23日間にわたって身柄が拘束されることになります。この勾留期間中に、検察官はさらに詳しい捜査を進め、最終的に被疑者を「起訴」するか「不起訴処分」とするかを判断します。
勾留期間は、被疑者にとっては精神的にも肉体的にも非常に辛い期間です。しかし、この期間は、弁護活動を通じて不起訴処分を獲得するための重要な機会でもあります。弁護士は、被疑者と定期的に接見し、取り調べの状況を確認しながら、有利な証拠の収集や被害者との示談交渉を進めます。特に、被害者との示談が成立し、被害弁償が行われている事実は、検察官が不起訴処分(起訴猶予)を決定する上で決定的な要素となることが多いです。
示談交渉以外にも、被疑者が深く反省していること、再犯防止のための具体的な対策を講じていること(カウンセリングの受講、家族による監督など)も、不起訴処分に繋がる有利な事情として検察官に伝えます。この段階で、弁護士と協力して最大限の弁護活動を行うことが、前科をつけずに社会生活へ復帰するために不可欠です。
④ 起訴後:刑事裁判が開かれる
検察官が「起訴」を決定すると、被疑者は「被告人」という立場に変わり、刑事裁判を受けることになります。起訴には、公開の法廷で審理が行われる「公判手続き」と、比較的軽微な事件で書類審査のみによって罰金刑が科される「略式手続き」の2種類があります。盗撮事件の場合、事案の悪質性や被害の程度、被疑者の前科の有無などによって、どちらの手続きが取られるかが決まります。
公判手続きの場合、裁判官の前で検察官と弁護人がそれぞれの主張を行い、証拠調べを経て判決が下されます。日本の刑事裁判は99.9%と非常に高い有罪率を誇っており、起訴されてしまうと有罪判決を避けられないケースがほとんどです。有罪判決が下されると、たとえ執行猶予がついたとしても「前科」として記録されてしまいます。
略式手続きは、正式な裁判よりも迅速に手続きが進み、罰金刑で済むケースが多いですが、これも有罪判決であることには変わりなく、前科がつくことになります。弁護士は、起訴された場合でも、被告人にとって少しでも有利な判決(例えば、執行猶予付き判決や、より軽い罰金刑など)を獲得するために、証拠の提出や情状証人の申請、最終弁論などを通じて最後まで弁護活動を尽くします。
盗撮行為で問われる罪と刑罰
一口に「盗撮」といっても、その行為の様態によって適用される法律や条例は多岐にわたります。2023年に施行された新しい法律である「撮影罪」を中心に、従来の各都道府県の迷惑防止条例違反、さらには状況によっては軽犯罪法違反や住居侵入罪などが問われる可能性もあります。それぞれの罪名がどのような行為を処罰し、どのような罰則を伴うのかを理解することは、現在の状況を把握し、適切な対応を検討する上で非常に重要です。このセクションでは、これらの異なる法律や条例について詳しく解説していきます。
撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)
2023年7月13日に施行された「性的姿態撮影等処罰法」、通称「撮影罪」は、現在の盗撮事件において最も中心的な罪名です。この法律は、同意なく他人の性的姿態(下着に覆われた部分やわいせつな部分、身体を露出しもしくはその下着を着用した姿態)などを撮影する行為を処罰対象としています。具体的な法定刑は、「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」と定められており、従来の条例よりも重い刑罰が科される可能性があります。
撮影罪の大きな特徴は、全国一律で適用される点です。従来の迷惑防止条例は自治体ごとに内容や罰則が異なっていましたが、撮影罪は国が定めた法律であるため、日本全国どこで盗撮行為を行っても同じ基準で処罰されます。また、撮影行為だけでなく、撮影された性的姿態画像を不特定多数に提供する行為や、その画像を保管する行為も処罰の対象となるため、より広範な行為が取り締まられることになります。
この法律の施行により、盗撮行為に対する社会的な意識と法的な規制がより一層強化されました。被害者の尊厳とプライバシーを保護することを目的としたこの法律は、盗撮事件における取り調べや処分の判断においても、極めて重要な位置を占めることになります。
迷惑防止条例違反
「迷惑防止条例」は、撮影罪が施行される以前から、盗撮行為の取り締まりに主に用いられてきた各都道府県が定める条例です。この条例は、公共の場所や公共の乗り物において、人に対して著しく不快感を与える行為や、他人を著しくしゅう恥させ、または人に不安を覚えさせる行為などを禁じています。そのため、盗撮行為も「つきまとい行為」や「卑わいな行為」の一種として処罰対象とされてきました。
迷惑防止条例の大きな特徴は、その内容や罰則が自治体ごとに異なる点にあります。例えば、東京都の迷惑防止条例では、盗撮行為に対して「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科される可能性があります。しかし、他の都道府県では罰則が異なる場合があるため、行為が行われた場所の条例内容を確認することが重要です。
撮影罪が施行された現在でも、迷惑防止条例が適用されるケースは存在します。例えば、撮影罪の構成要件を完全に満たさないものの、条例に定める「卑わいな行為」や「つきまとい行為」に該当する場合などです。そのため、盗撮行為においては、撮影罪と迷惑防止条例の両面から検討される可能性があることを理解しておく必要があります。
軽犯罪法違反
「軽犯罪法違反」は、撮影行為そのものは伴わない「のぞき見」などの行為に適用される可能性があります。具体的には、軽犯罪法第1条23号に「故なく人の住居若しくは浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」は処罰の対象となると定められています。
この罪の法定刑は、「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」と比較的軽いものです。盗撮事件との関連性としては、例えば、カメラなどを使用せずに肉眼で他人のプライベートな空間を覗き見る行為がこれに該当します。盗撮行為のように撮影が伴う場合は撮影罪や迷惑防止条例違反が適用されることが多いですが、撮影に至らない行為であっても、軽犯罪法によって処罰される可能性があることを認識しておく必要があります。
住居侵入罪・建造物侵入罪
盗撮を行うために、他人の住居や、商業施設、駅のトイレといった管理されている建物に、正当な理由なく立ち入った場合、「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」が成立する可能性があります。これらの罪は、刑法第130条で定められており、人の住居や建造物などへの不法な侵入行為を処罰するものです。
住居侵入罪および建造物侵入罪の法定刑は、「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」です。これは盗撮行為そのものとは別の犯罪として扱われますが、多くの場合、盗撮行為と同時に行われるため、両方の罪が問われる「牽連犯」または「併合罪」として処理されることになります。その結果、より重い刑罰が科される可能性が高まります。
例えば、駅のトイレの個室に侵入して盗撮を行ったり、他人の敷地内に立ち入って窓越しに盗撮を試みたりする行為などがこれに該当します。このように、盗撮行為の態様によっては、住居侵入罪や建造物侵入罪が追加で問われることで、事件全体の罪の重さが大きく左右される要因の一つとなることを理解しておくことが重要です。
盗撮の逮捕には2つのパターンがある
盗撮事件における逮捕は、その状況によって大きく2つのパターンに分けられます。一つは、犯行の最中や直後にその場で身柄を確保される「現行犯逮捕」です。もう一つは、事件発生時には発覚せず、後日捜査によって犯人が特定され、警察官が逮捕状を持って被疑者のもとへ来る「後日逮捕(通常逮捕)」です。どちらのパターンであっても、逮捕された後の手続きや被疑者が直面する状況は非常に厳しいものとなります。それぞれの逮捕形態がどのような状況で発生し、その後の刑事手続きにどう影響するのかを理解することは、万が一の事態に備える上で非常に重要です。
その場で捕まる「現行犯逮捕」
盗撮事件で最も多く見られるのが「現行犯逮捕」です。これは、盗撮行為を行っている最中や、行為を終えた直後に、被害者本人、周囲にいた目撃者、あるいは商業施設や駅などの警備員によってその場で取り押さえられ、警察官に引き渡されるケースを指します。現行犯逮捕の場合、逮捕状がなくても逮捕が可能であり、一般人(私人)であっても逮捕する権限が法律で認められています。
この種の逮捕では、犯行に用いられたスマートフォンなどの証拠品がその場で押収されることがほとんどです。そのため、自身の行為を否認することが極めて難しくなります。また、被害者や目撃者が直接関与することで、その場で事態がエスカレートする可能性も否定できません。現行犯逮捕された場合、取り調べもその場からすぐに開始されることが多く、冷静な判断が難しい状況で不利な供述をしてしまうリスクも高まります。
後日警察がやってくる「後日逮捕(通常逮捕)」
現行犯逮捕とは異なり、犯行時には発覚せず、後日になって警察が捜査の末に逮捕に踏み切るのが「後日逮捕」、または「通常逮捕」と呼ばれるパターンです。この場合、例えば商業施設や駅の防犯カメラの映像解析、被害者の詳細な証言、交通系ICカードの利用履歴など、さまざまな情報源から被疑者が特定されます。
犯人が特定されると、警察は裁判官に逮捕状を請求し、これが発付された後、警察官が被疑者の自宅や職場に突然現れ、逮捕します。事件発生から数週間後、あるいは数ヶ月後といった、被疑者が事件を忘れた頃に突然逮捕されるケースも少なくありません。この「不意打ち」のような形で逮捕されるため、精神的なショックも大きく、どのように対応すべきか冷静に判断することが難しい状況に陥りがちです。
盗撮で逮捕されたらすぐに取るべき3つの初動対応
盗撮で逮捕されるという非日常的な事態に直面したとき、パニックにならず冷静かつ迅速に正しい初動対応を取ることが、その後の人生を大きく左右します。逮捕直後からの対応次第で、身柄の早期解放、前科の回避、社会生活への影響を最小限に抑えることが可能になります。これから解説する弁護士への相談、取り調べへの対応、そして示談交渉という3つの具体的な対応策は、あなたの未来を守るために極めて重要です。
①【最優先】すぐに弁護士に相談する
盗撮で逮捕された場合、最も優先すべき行動は、一刻も早く弁護士に相談することです。なぜなら、逮捕直後から被疑者と自由に接見(面会)できるのは、原則として弁護士だけだからです。警察に逮捕されると、家族ですら面会が制限されることが多く、孤立無援の状況に置かれがちです。しかし、弁護士にはこのような制限が原則としてなく、逮捕された直後から時間や回数を気にせずあなたと面会することができます。
この接見を通じて、あなたは孤独な状況下で法的なアドバイスを受け、精神的な支えを得ることができます。取り調べに対する具体的な対応策や、今後どのような刑事手続きが予想されるのかといった見通しについて、専門家である弁護士から直接聞くことで、冷静に対処できるようになります。不当な取り調べや誘導に屈することなく、あなたの権利を守るための第一歩となるでしょう。
弁護士に依頼する方法としては、家族を通じて私選弁護士に依頼する、または「当番弁護士制度」を利用するという選択肢があります。当番弁護士制度は、逮捕後一度だけ無料で弁護士を呼べる制度であり、逮捕された場所を管轄する弁護士会に申し込むことで利用できます。この制度を活用すれば、費用を気にすることなく、まずはプロの弁護士から状況に応じた的確なアドバイスを受けることが可能です。初動段階での弁護士との連携が、その後の身柄拘束の長期化を防ぎ、有利な結果へと導くための鍵となります。
② 取り調べには冷静に対応する(黙秘権の行使)
警察官による取り調べは、逮捕後の刑事手続きにおいて非常に重要な段階です。この取り調べにおいて、被疑者には「黙秘権」という、話したくないことに対しては何も話さずに黙っている権利が憲法で保障されています。警察官は、必ずしも被疑者に有利な形で取り調べを進めるわけではありません。そのため、やってもいないことや、記憶が曖昧なことまで話してしまい、それが供述調書として記録され、後に自分にとって不利な証拠として扱われるリスクがあります。
取り調べに臨む際は、まずは冷静さを保つことが肝心です。弁護士のアドバイスを受けるまでは、安易に事実関係を認めたり、不用意な発言をしたりすることは避けるべきです。特に、弁護士が到着するまでの間は、「弁護士が来てから話します」と伝えるか、黙秘権を行使する旨を明確に伝えることが重要です。何を話し、何を話さないべきかについては、必ず弁護士と事前に相談し、具体的な対応方針を定めてから取り調べに臨むようにしてください。弁護士は、あなたの権利を守り、不利な供述調書が作成されないようサポートしてくれます。
③ 被害者との示談交渉を進める
盗撮事件において、被害者への謝罪と賠償を通じて許しを得る「示談」は、不起訴処分を獲得し、前科が付くことを回避するために極めて重要なプロセスです。示談が成立すれば、検察官は「当事者間で事件が解決済みである」と判断し、公訴提起(起訴)を見送る、つまり不起訴処分とする可能性が大幅に高まります。不起訴となれば、刑事罰を受けることはなく、前科も付きません。
しかし、示談交渉は加害者本人やその家族が直接行うべきではありません。被害者は加害者に対して強い恐怖心や嫌悪感を抱いていることが多く、直接接触を試みることは、被害者の感情をさらに逆なでし、かえって事態を悪化させるリスクが非常に高いからです。場合によっては、脅迫と受け取られ、二次的なトラブルに発展する可能性もあります。そのため、示談交渉は必ず刑事事件に精通した弁護士を代理人として通じて行う必要があります。
弁護士は、被害者の代理人弁護士と連絡を取り、冷静かつ誠実に交渉を進めることができます。被害者の心情に配慮し、適切な示談金額の提示や謝罪の意を伝えることで、円滑な示談成立を目指します。弁護士が間に入ることで、被害者も安心して交渉に応じやすくなり、加害者側も法的な知識に基づいて適切な対応ができるため、双方にとって最も良い解決へと導かれる可能性が高まります。
盗撮事件を弁護士に相談する5つのメリット
盗撮事件で逮捕された際、弁護士に依頼することは、単なる「お守り」のような存在ではありません。弁護士は、刑事手続きの各段階において具体的な利益をもたらし、最終的な処分を大きく好転させるための極めて有効な手段となります。身柄の早期解放から前科回避、さらには社会生活への復帰まで、弁護士の存在はあなたの未来を大きく左右する重要なものです。ここでは、弁護士に相談することで得られる5つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
逮捕直後から接見(面会)し、適切なアドバイスをもらえる
弁護士に依頼する最大のメリットの一つは、逮捕直後という最も重要なタイミングで、あなたと自由に接見(面会)できる点です。逮捕された後、ご家族であっても警察署での面会には時間や回数の制限が設けられたり、そもそも面会が許されなかったりすることが少なくありません。しかし、弁護士にはこのような制限が原則としてなく、逮捕された直後から時間や回数を気にせずあなたと面会することができます。
この接見を通じて、あなたは孤独な状況下で法的なアドバイスを受け、精神的な支えを得ることができます。取り調べに対する具体的な対応策や、今後どのような刑事手続きが予想されるのかといった見通しについて、専門家である弁護士から直接聞くことで、冷静に対処できるようになります。不当な取り調べや誘導に屈することなく、あなたの権利を守るための第一歩となるでしょう。
勾留を回避し、早期の身柄解放を目指せる
盗撮事件で逮捕された後、長期間の身柄拘束を避けるためには「勾留」を阻止することが非常に重要です。弁護士は、勾留阻止のために多角的な活動を行います。例えば、検察官や裁判官に対し、「被疑者には逃亡のおそれがないこと」や「証拠隠滅のおそれがないこと」を客観的な証拠とともに主張する意見書を提出します。
具体的には、ご家族が身元引受人となること、定職に就いていること、住居が定まっていることなどを資料として示し、身柄拘束の必要性がないことを強く訴えます。こうした弁護活動により、検察官の勾留請求が却下されたり、万が一勾留が決定してしまった場合でも、その決定に対する不服申立て(準抗告)が認められたりする可能性が高まります。結果として、社会生活への早期復帰を目指すことができるのです。
被害者との示談交渉をスムーズに進められる
被害者の方との示談交渉は、盗撮事件において不起訴処分や刑の減軽を獲得するために最も重要な要素の一つです。しかし、捜査機関は加害者本人に被害者の連絡先を教えることはありません。そのため、弁護士なしに示談交渉のテーブルに着くこと自体が極めて困難です。
弁護士が間に入ることで、被害者の方も安心して交渉に応じてくれる可能性が高まります。第三者である弁護士が冷静に話を進めることで、感情的な対立を避け、適切な示談金額での円滑な交渉成立が期待できます。弁護士は、被害者の心情に配慮しつつ、謝罪の意を伝え、賠償を行うことで、被害者の方からの許し(宥恕)を得られるよう尽力します。これにより、事件の解決に向けた大きな一歩を踏み出すことができるのです。
不起訴処分や刑の減軽を獲得し、前科回避の可能性を高める
弁護士の活動は、最終的な処分を大きく左右します。特に、不起訴処分の獲得は、あなたに前科がつくことを回避するための最も重要な目標です。弁護士は、示談交渉の成立だけでなく、被疑者の方の反省の態度、再犯防止に向けた具体的な取り組み(専門機関への通院など)を検察官に示し、起訴しないよう強く働きかけます。これらの活動が実を結べば、検察官が「起訴猶予」という形で不起訴処分を決定する可能性が大幅に高まります。
万が一、起訴されてしまった場合でも、弁護士は公判での弁護活動を通じて、裁判官に対しあなたの有利な事情を訴えかけます。これにより、執行猶予付き判決や罰金刑といった、より軽い刑罰の獲得を目指すことができます。前科がつくことによる社会生活への影響を最小限に抑えるためにも、弁護士の専門的なサポートは不可欠です。
会社や学校への対応についても相談できる
盗撮事件で逮捕された場合、刑事手続きだけでなく、会社や学校といった社会生活上の問題も避けては通れません。長期間の身柄拘束によって、会社を無断欠勤することになり、その結果、懲戒解雇などの不利益な処分を受けるリスクも生じます。また、学生であれば退学処分となる可能性も考えられます。
弁護士は、このような会社や学校への説明方法、さらには不利益な処分を回避するための交渉についても具体的なアドバイスやサポートを提供します。刑事事件の専門家として、同様のケースを多数扱ってきた経験に基づき、あなたの状況に応じた最善の対応策を一緒に考えてくれます。単に刑事事件の解決に留まらず、社会生活への復帰まで見据えたサポートを受けられるのは、弁護士に依頼する大きなメリットと言えるでしょう。
盗撮の逮捕に関するよくある質問
盗撮事件で逮捕された際、被疑者ご本人やご家族は、先の見えない状況に直面し、多くの疑問や不安を抱えることでしょう。このセクションでは、そうした方々が特に抱きやすい代表的な疑問について、Q&A形式で分かりやすく解説します。警察の対応、費用の目安、逮捕歴の扱いなど、具体的な情報を提供することで、少しでも皆さまの不安を軽減し、冷静な判断の一助となることを目指します。
Q. 盗撮で逮捕されたら家族や会社に連絡は行きますか?
盗撮で逮捕されたとしても、警察からご家族や会社に自動的に連絡が入るわけではありません。しかし、結果的に知られてしまう可能性は非常に高いです。特に、警察は逮捕された方の身元を確認したり、身柄を引き受ける人がいないかを確認するために、ご家族に連絡を取ることが一般的です。この際に、逮捕の事実がご家族に伝わります。
会社については、逮捕によって長期間出勤できなくなることで発覚するケースが多いです。特に、逮捕後すぐに弁護士が選任されない場合、警察署での身柄拘束が続き、会社への連絡ができない状態が長く続くこともあります。無断欠勤が続くことで、会社側が警察に連絡を入れたり、ご家族に問い合わせをしたりして、逮捕の事実が明るみに出ることが考えられます。
ご家族や会社への連絡を最小限に抑えたいと考えるのであれば、逮捕直後から弁護士に相談し、弁護士を介して適切な対応を取ることが非常に重要です。弁護士は、警察や検察との間に立ち、不必要な情報が外部に漏れることを防ぎつつ、早期の身柄解放に向けて活動してくれます。
Q. 示談金の相場はいくらくらいですか?
盗撮事件における示談金には、法律で定められた「相場」というものはありません。示談金額は、事件の具体的な状況によって大きく変動します。一般的には、30万円から100万円程度が一つの目安となることが多いですが、これはあくまで参考価格です。
示談金の金額を左右する主な要因としては、以下のような点が挙げられます。まず、盗撮行為の悪質性です。たとえば、盗撮行為が執拗であったか、被害者の精神的苦痛の度合いはどうか、撮影された部位や場所、回数などが考慮されます。次に、被害者の処罰感情の強さも重要な要素です。被害者が加害者に対して強い処罰を望む場合、示談金は高くなる傾向にあります。また、加害者の経済状況も考慮されることがあります。
示談交渉は、加害者ご本人やご家族が直接行うと、感情的な対立が生じやすく、かえって事態を悪化させるリスクがあります。そのため、弁護士に依頼して交渉を進めるのが一般的です。弁護士は、過去の事例や事件の状況を踏まえ、適正な示談金額を提案し、被害者の感情に配慮しながら冷静に交渉を進めることで、示談成立の可能性を高めてくれます。
Q. 盗撮の初犯であれば逮捕されませんか?
「盗撮が初犯だから逮捕されない」というのは誤解です。初犯であったとしても、盗撮行為が発覚すれば逮捕される可能性は十分にあります。特に、盗撮事件は現場で犯行が発覚し、被害者や目撃者、警備員などによって取り押さえられる「現行犯逮捕」が多い犯罪です。現行犯逮捕の場合、初犯かどうかに関わらず、犯行の事実があればその場で身柄を拘束されます。
ただし、初犯であることは、その後の刑事手続きにおいて有利な事情として考慮されることがあります。例えば、検察官が勾留請求を行うかどうかの判断や、最終的な処分(起訴か不起訴か、刑の重さなど)を決定する際に、「初犯であること」や「反省していること」などが総合的に判断材料となります。初犯で前科がない場合、被害者との示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
しかし、初犯であっても、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断されたり、事件の悪質性が非常に高かったりする場合には、勾留されたり、起訴されて有罪判決を受けたりする可能性もあります。そのため、初犯だからといって安易に考えず、逮捕された場合はすぐに弁護士に相談し、適切な弁護活動を受けることが重要です。
Q. 執行猶予とは何ですか?前科はつきますか?
「執行猶予」とは、有罪判決を受けたものの、直ちに刑務所へ収容せず、一定期間その刑の執行を猶予する制度のことです。例えば、「懲役1年、執行猶予3年」という判決が下された場合、判決から3年間、再び罪を犯すことなく過ごせば、懲役1年の刑は免除されます。しかし、猶予期間中に新たな犯罪を犯し、再び有罪判決を受けると、猶予が取り消されて元の刑と新しい刑の両方を服役することになります。
執行猶予は、あくまで有罪判決の一種であり、裁判で有罪が確定したことには変わりありません。したがって、執行猶予付きの判決を受けた場合でも「前科」はつきます。前科とは、過去に裁判で有罪判決を受けた履歴のことであり、執行猶予の有無は関係ありません。
前科がつくことの社会生活への影響は大きく、就職や海外渡航、各種資格の取得・維持などに制約が生じる可能性があります。前科を避けたいのであれば、検察官が起訴を見送る「不起訴処分」を獲得することが唯一の道となります。不起訴処分を獲得するためには、被害者との示談交渉や反省の態度を示すなど、弁護士を通じた積極的な弁護活動が不可欠です。
Q. 実名報道される可能性はありますか?
盗撮事件で逮捕された場合でも、必ずしも実名報道されるわけではありません。実名報道されるかどうかは、事件の重大性、被疑者の社会的影響力、公共性などを総合的に判断して、報道機関が決定するため、明確な基準があるわけではありません。
ただし、実名報道されるリスクが高まる要因はいくつかあります。例えば、被疑者が公務員、医師、教師といった高い社会的地位にある場合や、企業の幹部などの場合は、その職務の公共性から実名報道される可能性が高まります。また、事件の態様が極めて悪質である、広範囲に被害者がいる、世間の関心を強く引くような特異な事件であるといった場合も、実名報道される傾向にあります。
一方で、単なる逮捕の事実だけであれば、必ずしも実名報道されるわけではありません。特に初犯で、事件が悪質性の低いものであり、被害者との示談が迅速に成立したようなケースでは、実名報道を避けられる可能性も十分にあります。実名報道は、その後の社会生活に大きな影響を及ぼすため、万が一逮捕されてしまった場合は、弁護士と相談し、報道リスクを最小限に抑えるための対応を検討することが重要です。
まとめ:盗撮で逮捕されたら、一人で悩まず今すぐ弁護士に相談を
盗撮による逮捕は、その後の人生に深刻な影響を及ぼす可能性があります。長期間の身柄拘束による仕事や家庭生活への支障、前科がつくことによる社会生活上の様々な制約、さらには家族や職場に事件が発覚することによる社会的信用の失墜など、そのリスクは計り知れません。これらのリスクを回避し、あるいはその影響を最小限に抑えるためには、逮捕直後からの迅速かつ専門的な対応が不可欠です。
この非日常的な事態に直面した際、被疑者ご本人やご家族だけで問題を抱え込まず、一刻も早く刑事事件に精通した弁護士に相談することが、未来を守るための最善の選択となります。弁護士は、逮捕直後からの接見を通じて適切な法的アドバイスを提供し、取り調べへの対応をサポートします。また、勾留の回避や早期の身柄解放に向けた働きかけ、被害者との示談交渉の仲介、そして不起訴処分や刑の減軽を獲得するための弁護活動を通じて、あなたの権利を守ります。
逮捕という突然の事態に直面したとき、パニックになるのは当然のことです。しかし、その後の対応次第で、状況は大きく変わる可能性があります。弁護士は、刑事手続きの専門家として、あなたの味方となり、社会生活への復帰を全面的にサポートしてくれる心強い存在です。一人で悩まず、まずは無料で相談できる弁護士事務所もありますので、すぐに専門家へ連絡を取り、具体的な行動を開始してください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。





