産後クライシスとは?症状や原因、離婚を防ぐための対処法について解説

最終更新日: 2024年09月06日

産後クライシスとは?症状や原因、離婚を防ぐための対処法について解説

「産後クライシス」という言葉を知っていますか?

愛情を持って結婚し、待ち望んでいた新しい家族の誕生。しかし、その喜びの裏側で、夫婦関係が危機に陥ってしまうケースは少なくありません。

 

この記事では、産後クライシスとは何か、その症状や原因、そして夫婦関係を良好に保つための対処法について詳しく解説していきます。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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産後クライシスとは?

産後クライシスとは?

産後クライシスとは、出産後から2~3年ほどの間に、夫婦仲が悪化してしまう現象を指します。

2012年にNHKが提唱した言葉で、出産後のホルモンバランスの変化や、育児の負担、睡眠不足など、様々な要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。

産後クライシスの症状

産後クライシスの症状は多岐にわたり、夫婦によって現れ方が異なります。

代表的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

 

精神的な症状:イライラしやすくなる、情緒不安定になる、孤独感や疎外感を感じる

身体的な症状:睡眠不足、食欲不振、疲労感、性欲の減退

行動面への影響:夫婦喧嘩の増加、会話の減少、相手への無関心、育児への協力姿勢の違いによる衝突、実家への依存

女性と男性での違い

女性の症状

女性は、妊娠・出産によってホルモンバランスが大きく変化し、心身ともに不安定になりやすい時期です。

慣れない育児による睡眠不足や疲労、身体の変化に対するコンプレックス、社会との繋がりの希薄化などから、精神的に追い詰められ、夫に対する不満や怒りを感じやすくなることがあります。

男性の症状

男性は、父親になるという自覚と責任感を持つ一方で、環境や妻の態度、生活リズムの変化に戸惑いを感じることがあります。

また、仕事との両立や経済的な不安、育児への関わり方の難しさから、ストレスを感じ、妻に対して無関心になったり、逃避行動をとってしまうことがあります。

産後うつとの違い

産後クライシスと産後うつは、どちらも出産後に起こる可能性のある心の状態ですが、その内容は異なります。

 

産後クライシスは、主に夫婦関係に焦点を当てた言葉で、ホルモンバランスの変化や育児の負担などによって、夫婦間のコミュニケーションが減ったり、関係が悪化したりする状態を指します。

 

一方、産後うつは、個人の心の状態を表す言葉で、強い疲労感、意欲の低下、睡眠障害などの症状が現れるうつ病の一種です。

簡単に言うと、産後クライシスは夫婦関係の危機、産後うつは個人の心の病という違いがあります。

 

どちらの場合も、一人で抱え込まずに、専門家や周囲の人に相談することが大切です。

産後クライシスになりやすい人の特徴

産後クライシスになりやすい人の特徴

産後クライシスになりやすい人の特徴は、一概に言えませんが、いくつかの傾向が挙げられます。

 

完璧主義な人:全てを完璧にこなそうとするため、育児や家事を負担に感じやすく、ストレスが溜まりやすいです。

責任感が強い人:家族のために、と自分を犠牲にしがちで、心身ともに疲れ果ててしまうことがあります。

内向的で悩みを一人で抱え込む人:周りに相談できず、一人で抱え込んでしまうことで、ストレスが大きくなりやすいです。

初めての出産で不安が大きい人:育児経験がないため、不安や自信のなさから、ストレスを感じやすいです。

周囲の期待に応えようとする人:周囲の期待に応えようと頑張りすぎて、自分の気持ちを後回しにしてしまうことがあります。

育児に対する考え方が夫婦で異なる場合:夫婦間で育児の分担や考え方について意見が食い違い、ストレスに繋がることがあります。

産後クライシスはいつまで続く?

産後クライシスは、個人差や夫婦関係によって大きく異なりますが、一般的には産後2~3年と言われることが多いです。

 

ホルモンバランスの安定や育児のルーティン化など、時間が解決してくれる要素も大きいですが、夫婦間のコミュニケーション不足や育児に対する考え方の違いが根深い場合は、より長く続く可能性があります。

 

産後クライシスがいつまで続くか一概に断言することは難しいですが、早期に問題に気付き、夫婦で話し合い、必要であれば専門家のサポートを受けることで、より早く乗り越えることができるケースもあります。

産後クライシスの原因

産後クライシスは、ホルモンバランスの変化、育児の負担、睡眠不足などが複雑に絡み合って起こると考えられています。

 

特に、女性ホルモンの急激な変化は、情緒の不安定やイライラ感を招きやすく、育児の負担が重なると、夫婦間のコミュニケーション不足や、お互いへの不満に繋がることがあります。

 

また、夫婦間の役割分担や育児に対する考え方の違いも、大きな原因の一つです。 具体的には、以下のようなことが挙げられます。

 

ホルモンバランスの変化:出産後のホルモンバランスの急激な変化は、情緒不安定や鬱状態を引き起こすことがあります。

育児の負担:昼夜問わず子供のお世話をすることで、心身ともに疲弊し、イライラしやすくなります。

睡眠不足:寝不足は、集中力の低下やイライラ感を招き、夫婦関係に悪影響を及ぼします。

夫婦間のコミュニケーション不足:育児に追われ、夫婦でゆっくりと話す時間が取れず、お互いの気持ちのすれ違いが生じやすくなります。

役割分担のズレ: 家事や育児の分担について、夫婦間で意見が食い違い、不満が募ることがあります。

 

これらの要因が複合的に作用することで、産後クライシスが生じ、夫婦関係が悪化してしまうことがあります。

産後クライシスによる離婚を防ぐための対処法

産後クライシスによる離婚を防ぐための対処法

産後クライシスは、夫婦双方にとって大きなストレスとなり、離婚へと繋がる可能性も秘めています

しかし、適切な対応と努力によって、この危機を乗り越え、夫婦関係を修復することは可能です。

コミュニケーションを密にする

定期的に二人だけの時間を設け、お互いの気持ちを素直に伝え合うことが大切です。

育児の悩みや不満だけでなく、日々の出来事や感謝の言葉などを共有することで、心の距離を縮めることができます。

お互いを尊重し合う

それぞれが抱えている悩みやストレスを理解し、お互いを尊重する気持ちを忘れないようにしましょう。

相手の意見に耳を傾け、否定的な言葉は控えることが大切です。

役割分担を見直す

家事や育児の分担について、改めて話し合い、お互いが納得できるような形を見つけることが重要です。

どちらかに負担が偏らないように、柔軟に対応することが求められます。

専門家のサポートを受ける

夫婦だけで解決が難しい場合は、カウンセラーや心理士などの専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

客観的な視点からアドバイスを受けることで、問題解決の糸口が見つかることがあります。

まとめ

産後クライシスは、多くの夫婦が経験する可能性のある問題です。

しかし、産後クライシスについて正しく理解し、適切な対応をとることで、夫婦関係を良好に保ち、幸せな家族生活を送ることができます。

 

もし、一人で抱えきれないと感じたら、一人で悩まずに、専門家や周囲の人に相談することをおすすめします。

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