暴行罪の罰金はいくら?逮捕や前科を回避する方法も解説
最終更新日: 2024年01月30日
- 暴行罪で逮捕されてしまった、どのような罪に問われるのだろうか
- 暴行罪で有罪となった場合、罰金を受けるとしたらどのくらいの金額になるのか
- 問題の解決のため、弁護士を立てた方がよいのだろうか
はじめは相手との口論だけだったが、次第に双方ともエキサイトしていき、小競り合いになってしまった・・・、そのような経験をした人もいるでしょう。
思わず相手に暴力をふるってしまった場合、「暴行罪」で逮捕されてしまう可能性があります。暴行罪で有罪となった場合、予想外に高額な罰金刑に処されるかもしれません。
そこで今回は、数多くの暴行事件に携わってきた刑事事件の専門弁護士が、暴行で罰金刑となるケースや、罰金刑が成立する条件等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 暴行罪で有罪になると、30万円以下の罰金に処される可能性がある
- 暴行事件を起こしその場から逃走したら、警察から逃亡・証拠隠滅を図るかもしれないと判断され、逮捕されてしまうケースがある
- 弁護士にサポートを依頼すれば、暴行罪の罰金を回避できる可能性がある
暴行罪で科される罰金刑
他人を殴ったがケガはなかった場合、他人を殴ってケガをさせたという場合、実は問われる罪が違ってきます。
こちらでは、人を傷害するに至らなかったときの罪、人の身体を傷害した罪とに分けて解説しましょう。
人を傷害するに至らなかったとき
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、「暴行罪」が成立します。
暴行罪で有罪とされた場合、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、または拘留若しくは科料に処されます(刑法第208条)。
つまり、相手に暴行を加えたが、ケガをさせるような結果には至らなくても、最長2年の懲役刑を受ける可能性があるので注意しましょう。
また、罰金を受ける場合、裁判所から30万円を支払うよう命じられるかもしれません。
人の身体を傷害したとき
人の身体を傷害した者には「傷害罪」が成立します。傷害罪で有罪とされた場合、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます(刑法第204条)。
暴行により他人へケガをさせている以上、最長15年の懲役刑、罰金の最高は50万円と、暴行罪よりも重い罪を科せられるので注意しましょう。
暴行罪の罰金刑が成立する条件
他人と小競り合いを起こせば、すべて暴行罪になるわけではありません。また、暴行罪は他人を殴ったり蹴ったりしなくても成立する場合があります。
こちらでは、暴行罪が成立する3条件を取り上げて解説しましょう。
暴力行為が見られる
暴行罪が適用される典型的な行為は、やはり次のように手や足を使った暴力行為です。
- 相手を小突いた
- 相手を平手打ちにした
- 相手を蹴った
- 相手の胸倉をつかんだ
- 羽交い絞めにした
- 胸を強く押した
- 髪を引っ張った 等
一見、攻撃的な暴力行為でなくとも、危険度の高い行為(例:服を強引に掴んで放さない等)は処罰の対象となる場合があります。
非接触の危害がある
他人に殴る・蹴るなどの暴力を加えるような、手や足を使った行為でなくとも、暴行罪に問われる可能性があります。それが「非接触の危害」です。
非接触の危害は、主に次のような行為があげられます。
- 他人に苦痛を伴うような爆音を聴かせた
- 他人に目も開けられないような強烈な光を浴びせた
- 他人に苦痛を伴う電気ショックを流した 等
いずれも他人の身体に直接触れる行為ではありませんが、危険度の高い行為と判断され、処罰の対象となる場合があります。
故意な暴力が見られる
他人の身体に対して有形の力を行使する(相手に危害を加える)、という認識があった場合に暴行罪と認められます。
スポーツや作業をしているとき、たまたま手が相手の顔に当たったという場合、暴行罪とは認められません。
故意の暴力に関して、警察官に暴行を働いたか否かを争われた裁判があります。その裁判では、暴行の故意に疑いがあり、被告人に無罪の判決が下っています(東京地裁八王子支部昭和46年10月15日判決)。
被告人が当初、空き巣の犯人ではないかと疑われ警察官に職務質問を受け、その後交番で問答となり、警察官を右手の甲で殴打したという事案です。
裁判官は、被告人が職務質問や任意同行等で長時間緊張を強いられた点に着目しました。
そこで、暴行の外形的な事実があっても、当時の状況からみて反射的に動作してしまった可能性があると判示し、暴行の故意を否定しています。
この判例から、暴行の外形的な事実があっても、それだけで有罪にはならないことがわかります。
暴行罪の罰金刑が成立しない条件
身体への有形力の行使にあたるものの、法令または正当な業務による行為(正当行為)ならば、罰しないと法律で定められています(刑法第35条)。
次のようなケースが該当します。
- 警察官による犯罪者の制圧
- ラグビーのタックル
- ボクシングの殴打 等
暴行罪が成立するのは、正当行為とされる理由のない行為です。
暴行罪の罰金で注意すべきこと
暴行罪で逮捕された場合は、罰金刑に問われる可能性があります。罰金刑とは、「お金さえ払えばよい。」という罪ではありません。
罰金刑とは強制的に一定の金額を国に納めさせる刑罰で、有罪となれば懲役刑や禁錮刑と同様に「前科」が付いてしまいます。
逮捕前や逮捕後、速やかに適切な対応をとらないと、自分の生活に大きな影響が及ぶ可能性もあります。
思いがけず罪に問われることもある
他人を殴打したり蹴ったりした後、その場を立ち去ったとしても、目撃証言や防犯カメラの映像等から、暴行した事実が明らかになるかもしれません。
被疑者として特定された場合、後日、警察から暴行罪で逮捕される可能性もあります。
逮捕されないように逃げ続けても自分が益々不利になるだけです。責任から逃れるよりも、自分の方から積極的に解決を目指したほうがよいでしょう。
示談金が上回ることもある
逮捕前や逮捕後いずれであっても、加害者側と被害者側とで話し合い、示談による解決を目指せます。
逮捕前に示談が成立すれば被害者の被害届の提出を回避でき、警察から逮捕される可能性は低くなります。
逮捕後の示談なら、検察官が不起訴相当と判断するかもしれません。そのため、暴行罪で罰金刑を受けることもなくなります。
ただし、示談交渉のとき、被害者の納得する示談金額が、暴行罪の罰金刑の最高額である30万円を上回る可能性があります。
とはいえ、加害者が暴行罪で有罪となり罰金刑を命じられると、前科が付いてしまいます。
前科が付けば、罰金を支払う金銭的な負担はもちろん、就職や転職活動、日常生活に支障が出るかもしれません。
被害者の納得する示談金額に応じ、示談を成立させた方が、自分の将来への悪影響を抑えられるでしょう。
独自に解決しようとしない
加害者本人の力だけで解決しようとせず、弁護士のサポートを受けながら対応した方が、問題の解決に前進します。
暴行罪で逮捕されそうだと感じたら、刑事事件の示談交渉に実績のある弁護士へ相談してみましょう。経験豊かな弁護士が今後の対応をアドバイスします。
加害者が被害者に直接示談交渉を持ちかけても、恐怖心や反感から、被害者は交渉に応じない可能性があります。
しかし、法律の知識に精通し、示談交渉に経験豊かな弁護士を立てれば、被害者との和解が成立し易くなります。
また、加害者が逮捕された場合でも、逮捕前に弁護士へ相談し弁護を依頼していれば、逮捕直後から弁護士(私選弁護人)を呼べるので、慌てずに対策を話し合えます。
刑事事件の示談交渉を得意とする弁護士は、弁護士事務所のホームぺージをみて選べます。
ホームぺージの次の点に注目しましょう。
- 示談交渉の具体的な実績が明示されている
- 暴行罪に関する詳しい事例や話題が数多く掲示されている
- 刑事事件専門と明記している
上記の内容を確認後、弁護士事務所に相談してみましょう。
暴行罪の罰金刑なら当事務所にご相談を
今回は多くの暴行事件に携わってきた刑事事件の専門弁護士が、暴行罪が成立する条件、暴行罪で罰金刑を回避するポイント等について詳しく解説しました。
暴行罪で罰金刑が確定すると前科が付いてしまいます。前科が付けば自分の人生に大きな影響を及ぼすおそれもあります。
暴行事件を引き起こしたら穏便に問題解決が図られるよう、弁護士にサポートを依頼してみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。