暴行罪とは|親告罪なのか・成立要件・量刑・示談を弁護士が解説
最終更新日: 2026年08月06日

暴行罪は、殴る・蹴るといった行為だけでなく、胸ぐらをつかむ、唾をかけるなど、幅広い行為が対象になります。
本記事では、暴行罪とは何か(成立要件・親告罪か否か・量刑・公訴時効)、傷害罪との違い、具体的にどのような行為が暴行罪にあたるのか、そして逮捕された場合の対応や示談の進め方の全体像までを弁護士が解説します。
なお、暴行罪の加害者となってしまったときは、できる限り早く刑事事件の経験が豊富な弁護士に相談することが重要です。
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暴行罪とは?基礎知識を確認
暴行罪の刑事罰
暴行罪は、刑法208条に規定があります。
法定刑(罰則)は、このように2年以下の拘禁刑、30万円以下の罰金刑です。
拘留(1日以上30日未満、刑事施設に拘置する刑罰)、科料(1000円以上1万円未満の金銭を納付する刑罰)も規定されていますが、実際に科される例はほとんどありません。
暴行の定義は?
暴行罪の「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
この人の身体に対する有形力の行使とは、人の身体に向けられたものであればよく、直接的な接触は必要ありません。
また、条文には「人を傷害するに至らなかったとき」とありますが、傷害結果が生じる程度の暴行であることも要しません。
暴行罪の未遂罪、故意ではない過失による暴行
未遂罪は、法律に未遂罪の規定がある場合のみ処罰されますが、暴行罪には未遂罪の規定はありませんので、暴行の未遂は犯罪ではありません。暴行は着手と同時に既遂になるため、未遂がありえないのです。
同様に、過失犯も法律に規定がある場合のみ処罰されますが、暴行罪に過失犯の規定はありませんので、過失による暴行は犯罪ではありません。
たとえば、道を歩いているときに不注意で肩が他人にぶつかってしまった場合、有形力の行使といえるかもしれませんが、故意がないため暴行罪には該当しません。もっとも、故意に次々と他人に肩をぶつける行為は、過失ではなく故意による暴行ですから、暴行罪に該当します。
暴行罪も傷害罪も非親告罪
親告罪とは、被害者の告訴(被害届とは異なります)がなければ起訴できない犯罪です。
暴行罪にも傷害罪にも親告罪である旨の規定はありませんので、いずれも親告罪ではありません。したがって、被害者の告訴がなくても起訴される可能性があります。
なお、過失傷害罪については親告罪の規定があります。
暴行罪の公訴時効は何年?
公訴時効が何年で完成するかは、法定刑の重さに応じて法律が定めています。
暴行罪の法定刑は拘禁刑2年以下ですので、公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。
暴行罪にならないケース?傷害罪になるケース?
暴行罪と傷害罪は、けが(傷害結果)が生じたかどうかで区別されます。
相手に有形力を加えたがけがに至らなかった場合は暴行罪、けがをさせた場合は傷害罪となり、法定刑も重くなります。
| 暴行罪 | 傷害罪 |
けが(傷害結果) | なし | あり |
法定刑 | 2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金等(刑法208条) | 15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(刑法204条) |
傷害事件の示談金相場や、初犯の量刑・前科の見通しについては、次の記事で詳しく解説しています。
病院の診断書がなければ傷害罪ではなく暴行罪
加害者の暴力行為の結果、被害者に軽い打撲や擦り傷ができることがあります。
この場合、病院で医師が作成した診断書を警察に出せば、加害者は傷害罪として立件されます。
逆に、診断書を出さなければ、実際には怪我をしていても怪我の内容を特定できないことから、傷害罪ではなく暴行罪として立件されることになります。
全治一週間の暴行事件
暴力行為の結果、被害者が怪我をした場合も、その重さは全治数か月の骨折から全治一週間ほどの軽傷まで様々です。
たとえ全治一週間の軽傷であっても、被害者が診断書を警察に出せば、暴行事件ではなく傷害事件として立件される可能性が高いです。
もっとも、非常に軽微な傷害結果の場合は、起訴・不起訴の判断にあたって暴行罪とほとんど変わらない扱いとなる可能性が高いでしょう。
傷害罪の故意で暴行したが、外傷・怪我なし
加害者が怪我をさせようという故意で暴力行為をしたものの、被害者が怪我をしなかった場合、傷害罪か暴行罪か。
法律には傷害未遂罪という規定はありません。そして、暴行罪の条文には「人を傷害するに至らなかったとき」とありますので、傷害の故意があったとしても、傷害結果が生じない限りは暴行罪になります。
暴行罪とは?暴行の具体的な内容
暴行罪というと他人を殴ったり蹴ったりする行為が典型的ですが、「人の身体に対する不法な有形力の行使」は、以下の具体例のようにもっと広い概念です。
胸ぐらをつかむ
殴る・蹴るまでは行かなくても、喧嘩になって被害者の腕をつかむ、胸ぐらをつかむという行為も暴行罪に該当します。
ただし、本当に弱い程度のものであったり、被害者にも相当の落ち度があったりするケースでは、処罰するほどのものではないとして、警察が被害届を受け付けないこともあります。
唾をかける
他人に唾をかける行為も、「人の身体に対する不法な有形力の行使」といえますので、暴行罪に該当します。
髪を切る
被害者の髪の毛を勝手に切った場合も、「人の身体に対する不法な有形力の行使」ですから、暴行罪の「暴行を加えた」にあたります。
なお、その程度が酷い場合などには傷害罪になる可能性もあります。
煽り運転も暴行罪?
車間距離を詰めるなどの煽り運転について、以前は暴行罪が適用されたこともあります。
もっとも、煽り運転による死傷事故が社会問題化したことを受け、令和2年6月に改正道路交通法が施行され、煽り運転にあたる行為は類型化され、暴行罪より重い刑罰が科されることになりました。
酒に酔って駅員に暴行
駅構内で酒に酔って駅員に暴行を加える行為も暴行罪です。
被疑者となったときは、弁護士を通じて被害者である駅員と示談交渉をすることになりますが、近時は、鉄道会社の方針として駅員に対する暴行の加害者とは一切示談に応じないケースもあります。
暴行事件の示談金の相場や進め方は、次の記事もご覧ください。
暴行・傷害事件で逮捕されたら?対応の全体像
暴行・傷害で捜査の対象になった場合、その場での現行犯逮捕のほか、後日逮捕や、逮捕されずに在宅で捜査が進むこともあります。
起訴・不起訴の判断までの初動が結果を左右し、被害者との示談が成立しているかどうかが、不起訴や量刑に強く影響します。各テーマの詳細は、以下の記事をご覧ください。
逮捕・釈放の流れ(暴行/喧嘩/傷害):
示談金の相場と進め方(暴行/傷害):
刑罰・量刑・前科(暴行の刑罰/傷害の初犯):
弁護士費用:
まとめ
以上、暴行罪について、基礎知識から傷害罪との違い、具体例、逮捕・示談の全体像までご説明しました。
暴行罪は非親告罪であり、被害者の告訴がなくても起訴される可能性があります。加害者となってしまったときは、被害者との示談を含め、起訴・不起訴の判断までの限られた時間の中で対応を進めることが重要です。
できる限り早く、刑事事件の経験が豊富な弁護士にご相談ください。
春田法律事務所の解決事例
当事務所は、暴行・傷害事件において多数の解決実績があります。こちらでは、その一部をご紹介します。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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