離婚後にすべきこと!必要な備えや後悔しないための方法も解説
最終更新日: 2023年09月28日
- 離婚後に必要な届出・手続きを知りたい
- 離婚が成立したときにすぐ決める必要があることは?
- 後悔しないためにあらかじめ準備すべきことのポイントは何か?
離婚後は、夫婦の婚姻関係が解消となるため、様々な変更手続きが必要です。
また、手続きだけではなく、収入をどうするか、住居はどうするか、など事前に考えておくべきことは数多くあります。
そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚後に必要となる変更届、離婚後に行うべき対応、離婚してから後悔しないためのポイント等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 離婚後には、住民票や国民健康保険・年金、免許やパスポートの変更が必要
- 離婚してから自分の収入や住まいをどうするのかについて、よく考えておく
- 離婚後、元配偶者とトラブルにならないよう、弁護士と相談する
離婚後に必要となる変更届
無事、離婚が成立しても安心はできません。次のような変更届等を行う必要があります。
住民票異動届・世帯主変更届
離婚で住居が変わるときは、市区町村役場で「住民異動届」を提出、また住所を変更しない場合でも世帯主が配偶者から自分に変わるときは同じ住民異動届の用紙で「世帯主変更届」を行います。
本人確認書類(例:運転免許証、パスポート等)と、マイナンバーカードや国民健康保険証(持っている場合)、印鑑(必要な場合)を持参しましょう。
国民健康保険の手続きを行う
離婚により配偶者の健康保険から外れ、自分の勤務先の保険に加入しない場合は、14日以内に市区町村役場で国民健康保険の加入手続きが必要です。
国民健康保険被保険者資格取得届、健康保険資格喪失証明書(事前に配偶者の勤務先に依頼し取得)、本人確認書類を持参しましょう。
自分が給与所得者で、離婚後は自分の勤務先の健康保険に加入するのであれば、勤務先で手続きを行います。
年金等の手続き
離婚した方が給与所得者でない場合は、市区町村役場で国民年金の第1号被保険者への変更手続きを行います。年金手帳、離婚届受理証明書、本人確認書類を持参しましょう。
離婚時、配偶者と年金分割について取り決めたときは、年金事務所で年金分割の手続きを行います(年金分割請求の期限:2年以内)。
年金分割の場合は、年金分割合意書、年金手帳・戸籍謄本、本人確認書類を持参しましょう。
児童扶養手当・児童手当の手続き
18歳未満の子どもがいるときは、市区町村役場で「児童扶養手当」「児童手当」の支給を受けるための手続きをしましょう。自分の収入に応じた手当が支給されます。
両方の手当を合わせると、月額25,000円~70,000円程度になります。
名義変更の手続き
住所や名字の変更、財産分与による所有者名義の変更があれば、以下のような書類、カード等について必要な変更手続きを行います。
- 住所や名字の変更:運転免許証、パスポート、預金通帳、銀行カード、クレジットカード等
- 所有者の変更:不動産、自家用車
勤務先への離婚報告
勤務先の総務担当に届出を提出すると、扶養控除の変更手続き等が行われます。
その他
名字や印鑑・住所地が変わるときは、市区町村役場で「印鑑登録」の変更手続きをします。また、小・中学生の子どもがいるときは「就学援助」の申請も可能です。
就学援助制度は、経済的に厳しい家庭に市町村が学用品や給食費、医療費等の一部を援助する制度です。
離婚後すぐに決めること
離婚が成立しても、自分の名字をどうするかの問題や、収入や住まいの確保などの重要な問題早急かつ慎重に決める必要があります。
自身の名字・戸籍対応
夫婦は婚姻時、どちらかの名字を名乗る必要があります(民法第750条)。
この民法の規定に従い婚姻したときに名字を改めた人が、婚姻中の名字を名乗り続けたい場合は、離婚日から3か月以内に「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」を市区町村役場に提出すれば、そのまま名乗ることができます(戸籍法第77条の2)。
また、戸籍については結婚以前に入っていた戸籍に戻る(復籍)か、結婚していたときの名字をそのまま名乗るのであれば、新たな戸籍を市区町村役場で作成できます。
子どもの名字・戸籍対応
夫婦の離婚が成立しても、子どもの名字は親権者に合わせて自動的に変更されるわけではないので注意しましょう。
たとえば、親権者となった一方の親が旧姓に戻った場合、子どももそれに合わせて氏(名字)の変更届出をしなければなりません。
なぜなら旧姓に戻った親権者と同じ氏でなければ子どもは戸籍に入れないのです(戸籍法第18条第2項)。そのため、家庭裁判所に申し立てて子の氏を親権者と同じ氏に変更する必要があります。
申立人は子ですが、15歳未満なら法定代理人(親権者)が子を代理します。
必要書類等は次の通りです。
- 申立書
- 子の戸籍謄本
- 父母の戸籍謄本(離婚の記載があるもの)
- 収入印紙800円分(子1人につき)、連絡用切手
収入の確保
自分が子どもを連れて新たな生活を始めた場合、収入の確保が何より大切です。
次の事項について対応策を取り決め、進めていきましょう。
- 子の養育費の支払:親権を持たない方の親が支払う、支払金額・方法・期日を取り決める
- 児童扶養手当・児童手当の申請:市区町村役場に相談し、手続きを進める
- 財産分与の取決め:婚姻期間に夫婦で協力し形成した財産の配分の仕方を決める。
- 仕事を確保する:離婚前から事業所の給与所得者等なら引き続き勤務、無職の場合は新たな雇用先を探す。
離婚の原因が元配偶者にある場合は、離婚のとき、忘れずに「慰謝料」についても取り決めておきましょう。
住まいの確保
自分が子どもを連れて元配偶者の住居から退去するのであれば、住まいの確保も大切です。
次のような方法を検討しましょう。
- 自分の実家があれば、とりあえず実家に身を寄せる
- 新たにアパートやマンションを借りる
新たにアパートやマンションを賃借するときは、初期費用(敷金・礼金)や家具を揃える必要があります。
また、実家に戻るにしても、住居を借りるにしても、子どもが学校に通っているのであれば、転校の必要も出てきます。
子どもの学校生活や日常生活の変化も考慮して、引越し先を慎重に検討しましょう。
子どもの生活環境の整備
離婚後、子どもと共に新たな生活を始める場合は、生活環境の変化にも気を配りましょう。
特に子どもの場合、家族・住居・学校等の環境が変化してしまい、精神的にも肉体的にも疲弊する可能性があります。
また、親権者となった親が収入を得ようと必死に働き、子どもにかまってやれないおそれもあります。
ただし、自分の両親(子どもの祖父母)や、兄弟姉妹と同居または近所に住むのであれば、経済的な助けや精神的な助けも期待できます。
親権者となった自分だけが努力するのではなく、自分の親族・親戚の助けも得て、子どもに良好な生活環境を整備しましょう。
離婚後に備えて事前にすべきこと
離婚の話し合いをする前に、離婚後を想定した準備が必要です。
離婚前から氏・戸籍をどうするか、離婚後の生活費はどれくらい必要か等をしっかり確認しておきましょう。
氏・戸籍
自分が旧姓に戻るか(復籍)、婚姻中の名字をそのまま名乗るか(新戸籍)、いずれかを選択します。
元配偶者の名字を決して名乗りたくないのであれば復籍し、離婚の事実を周りに知られるのが嫌であれば婚姻中の名字で新たな戸籍を作成した方がよいでしょう。
生活に必要なお金の把握
離婚後の生活に必要なお金はどれくらいになるのかの検討も必要です。
実家に戻るのか、それとも住居を借りるのか、一緒に暮らす子どもの数や年齢等によっても、生活費は異なってきます。
離婚後の生活費を踏まえ、養育費を支払う側に具体的な金額を要求します。
養育費の決め方の目安は、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」を利用しましょう。
夫婦の話し合い
子どもの親権者をどうするのか、財産分与や慰謝料、養育費等について、冷静に夫婦が話し合う必要があります。
円滑に離婚手続きを進め、それぞれが新たな生活を始めたいのであれば、互いの歩み寄りが求められます。
話し合いがまとまらなければ、離婚成立の時期はどんどん遅れてしまいます。当事者の協議で進展がなければ、家庭裁判所の調停や訴訟を申し立て、解決を図りましょう。
離婚後に後悔しないための3つのポイント
離婚後に元配偶者が慰謝料や養育費を支払わず困っている、もう少し元配偶者と話し合っておくべきだった、と後悔しないための事前の対策が必要です。
こちらでは、後悔しないための3つのポイントを取り上げましょう。
自身の意見を主張する
相手方と話し合いをするときは互いの歩み寄りが必要ですが、安易な妥協は避けましょう。
たとえば、親権者となり子どもを連れて離婚する側は、子どもの生活費・学費も含め、離婚後は多額の出費が想定されます。
養育費の金額は自由に決められますが、金額が少なければ子どもの生活費・学費は賄えません。
養育費を支払う側が支払金額を渋るなら、調停離婚で支払う側に自分の主張する金額を認めてもらうか、裁判離婚で裁判所で金額を決めてもらいましょう。
証拠を残す
離婚した場合の養育費や面会交流、慰謝料、財産分与等を取り決めたときは、「離婚協議書」を作成して証拠を残しましょう。
その場合、単なる覚書であれば元配偶者・第三者によって内容を改ざんされてしまう可能性もあります。
離婚協議の内容を公正証書にしておけば、証拠力を有する公文書となります。
公正証書に債務者(金銭を支払う側)が支払をしなければ、「強制執行されてもかまわない」と受諾した旨の定め(強制執行認諾)がある場合、裁判手続なしで強制執行が可能です。
弁護士への相談
相手との協議を円滑に進めたい、自分の主張を容認してもらいたい、離婚協議の内容を公正証書にしたい場合、前もって弁護士に相談しておいた方がよいです。
弁護士は、協議のポイントや、協議がうまくいかなかった場合の対応等を、わかりやすくアドバイスします。
また、弁護士に依頼すれば、自分の代理人として相手方との話合いや、家庭裁判所への申立て等も、円滑に行えます。
弁護士を立てれば、自分の理想的な形で離婚成立となる可能性が高くなります。
まとめ
今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚後に必要となる手続きや、離婚前にとるべき対応等について詳しく解説しました。
離婚で大きな影響を受けるのは子どもたちです。まず子どもに関する取り決めを最優先で話し合いましょう。
離婚を決意したら速やかに弁護士へ相談し、今後の対応を検討しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。