民事裁判の支払い命令を無視するとどうなる?差し押さえを回避する方法とは
最終更新日: 2025年07月02日
裁判所から「支払い命令」が届いたものの、内容に納得できなかったり、支払う余裕がなかったりして、そのまま放置してしまうケースは少なくありません。
しかし支払い命令を無視し続けると、預金や給与などを差し押さえられる可能性があり、日常生活に深刻な影響を及ぼします。
この記事では、「支払い命令を無視するとどうなるのか」「すでに無視してしまったが今から取れる対処法」「弁護士に相談すべき理由と費用」など、知っておくべきポイントを分かりやすく解説します。
結論として、差し押さえなどのリスクを回避したいなら、できるだけ早く弁護士に相談することが最善の手段です。
支払い命令を無視するとどうなる?
民事裁判で「支払い命令」(支払督促や判決)が出た場合、それを無視して放置すると、強制執行=差し押さえの手続きに進む可能性があります。
これは、裁判所が認めた債権者の権利に基づき、債務者の財産に対して直接的に回収を行う手続きです。
差し押さえの対象になる財産は主に次のとおりです。
- 銀行口座(預金)
- 勤務先からの給与
- 車・不動産などの資産
一度差し押さえが始まると、生活への影響は避けられません。
一般的な借金の場合には、原則として給料の4分の1が毎月引かれたり、突然口座が凍結されることもあります。
さらに、家族や職場に事情が知られてしまう可能性もあり、精神的負担も大きくなります。
「支払えないから放っておく」というのは危険な判断です。時間が経てば経つほど、状況は悪化します。
すでに無視してしまった…今からでもできる対処法は?
もし支払い命令を無視したまま時間が経過してしまっても、まだできることはあります。
まず確認したいのは、「強制執行」手続きがすでに始まっているかどうかです。
すでに差し押さえ通知が来ているなら、ただちに弁護士へ相談し、生活に最低限必要な資産が守れるよう交渉や対応を進める必要があります。
一方、差し押さえ前の段階であれば、債権者との分割払いの交渉や、場合によっては自己破産や個人再生といった法的整理も視野に入ります。
また、支払い命令が「支払督促」の場合で、2週間以内に異議申し立てを行っていないとしても、裁判所が出した「仮執行宣言付支払督促」になっていなければ、異議申し立てが可能なこともあります。
今がどの段階なのか、どんな手段が取れるのかは、自分で判断するのは難しいもの。まずは専門家に状況を整理してもらうことが、解決への第一歩です。
弁護士に相談するとどんなサポートが受けられる?
支払い命令を無視してしまった人にとって、弁護士は非常に心強い存在です。以下のようなサポートが受けられます。
- 現在の手続き状況(差し押さえの有無や進行段階)の確認
- 債権者との和解交渉(分割払いや減額の提案)
- 差し押さえの停止申し立てや対応策の検討
- 任意整理や自己破産、個人再生などの手続き支援
弁護士が入ることで、債権者との連絡窓口が一本化され、精神的にも大きな負担が軽くなります。
また、本人ではうまく交渉できなかった相手でも、弁護士が対応すれば話が進むケースも少なくありません。
早期相談によって選択肢が広がるのが最大のメリットです。「もっと早く相談していれば…」と後悔しないためにも、なるべく早く一歩を踏み出すことが大切です。
よくある状況と対応例
ネット通販の未払いが差し押さえに発展。給与の一部を守れたケース
会社員の男性は、数年前にネット通販で購入した家電の分割払いが未払いのままになっていたことを忘れていました。
ある日、裁判所から支払い命令が届きましたが、「少額だし放っておいても問題ないだろう」と軽視してしまいました。すると後日、給与明細に「差押え」の文字が。給料の一部が突然引かれる事態になったのです。
慌てて弁護士に相談し、裁判所に対して、家計や収入状況、他の借金の返済状況等についての具体的な説明を行い、差押えの範囲を変更するよう申し立てた結果、差し押さえ額は最小限に抑えられ、債権者との分割払いによる和解も成立。弁護士が入らなければ、継続的に生活資金が奪われていた可能性もありました。
自己破産で生活再建に成功した主婦のケース
専業主婦の女性は、子どもの入院費用などで複数のカードローンを利用し、支払いが困難な状況に。
裁判所から支払い命令が届いても対応できず放置していたところ、差し押さえの通知が届きました。
このままでは生活が立ち行かないと感じ、弁護士に相談。生活必需品を守りながら借金を整理する方法として自己破産の手続きを選び、弁護士の支援を受けて免責許可を獲得。
借金から解放され、家計の立て直しに成功しました。
よくある質問(FAQ)
Q:支払い命令を無視しても何も起きない場合もある?
相手がすぐに差し押さえをしなければ一時的には影響が出ないこともありますが、突然差し押さえが始まるリスクが常にあります。油断は禁物です。
Q:家族や職場にバレずに解決できますか?
可能です。弁護士を通じて対応すれば、通知の送付先や連絡方法の調整も可能で、プライバシーが守られます。
Q: 異議申し立ての期限を過ぎても、まだできることはありますか?
はい。すでに仮執行宣言がついていても、差し押さえ回避のための交渉や債務整理の選択肢があります。
Q:差し押さえられる財産には何がありますか?
主に銀行口座・給与・不動産・車などの資産が対象です。日用品や生活必需品は対象外です。
Q: 支払い能力がない場合はどうしたら?
自己破産や個人再生などの制度があります。弁護士に相談すれば、最適な方法を提案してもらえます。
まとめ
民事裁判で支払い命令を受けたにもかかわらず、それを無視して放置してしまうと、差し押さえという強制的な手段が取られ、生活への影響は避けられません。
ですが、すでに無視してしまった状態からでも、弁護士に相談すれば状況を打開できるケースは多くあります。早めの相談が、選べる選択肢を増やし、最悪の事態を回避するカギになります。
金銭的・精神的に追い詰められる前に、まずは気軽に法律の専門家に相談してみてください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。