不同意性交等罪による逮捕の危機に直面したら 取るべき行動と弁護の重要性

2025年11月27日

不同意性交等罪による逮捕の危機に直面したら 取るべき行動と弁護の重要性

不同意性交等罪(改正刑法177条)の容疑で警察からの連絡を受けた、あるいは逮捕の可能性を感じている場合、事態は非常に慎重な対応を要します。

この段階での行動が、今後の刑事手続きや最終的な結果に大きな影響を与える可能性があります。
最も重要なのは、落ち着いて状況を整理し、できるだけ早く弁護士に相談することです。

このコラムは、刑事事件の実績が豊富な春田法律事務所の弁護士が監修しています。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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逮捕の兆候と初期対応

警察の捜査が進行している場合、次のような兆候が現れることがあります。

警察署からの呼び出し

任意の取り調べ(事情聴取)を求められる。

関係者への接触

同僚や知人が事情を聞かれている。

家宅捜索

自宅や勤務先への突然の捜索・押収が行われる。

これらが確認できた場合、逮捕の可能性が高まっていると考えられます。

警察から連絡を受けたときの注意点

安易な出頭は避ける

取り調べ前に必ず弁護士と相談し、対応方針を確認しましょう。

不利な供述をしない

供述調書は裁判で重要な証拠になります。内容を理解しないまま署名しないように注意が必要です。

供述方針は弁護士と決定する

不同意性交等罪の構成要件は複雑です。自己判断で「同意があった」などと説明するのではなく、弁護士の助言をもとに適切な説明を行うことが大切です。

証拠隠滅は厳禁

不安から携帯電話のデータを削除したり、関係者に口裏合わせを頼んだりすると、証拠隠滅の疑いを持たれ、逮捕や勾留の理由になる可能性があります。
こうした行為は立場をさらに不利にしてしまうため、絶対に避けるべきです。

逮捕を回避し、最良の結果を得るための弁護活動

不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑と重く、有罪となった場合には社会的影響も大きい罪です。
逮捕を防ぎ、不起訴処分(前科がつかない結果)を目指すには、弁護士による早期の対応が不可欠です。

逮捕前の戦略的対応

弁護士は、次のような活動を通じて逮捕を回避し、事態を軽減するために尽力します。

警察との交渉

逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを主張し、在宅での捜査に切り替えるよう働きかけます。

示談交渉のサポート

被害者の気持ちに配慮しながら、弁護士を通じて誠意を示すことで示談を成立させ、不起訴の可能性を高めます。

証拠の確保と分析

メッセージ履歴や第三者の証言など、客観的な証拠を整理し、事実関係を的確に主張できるよう準備します。

逮捕後の弁護活動

万が一逮捕されてしまった場合でも、弁護士は速やかに次のような対応を行います。

接見(面会)

警察官の立ち会いなしに面会し、取り調べの受け答え方などを助言します。

勾留阻止の働きかけ

逮捕後72時間以内に勾留請求を防ぐよう活動し、早期釈放を目指します。

弁護士への相談が早ければ早いほど、逮捕を避けたり不起訴処分を得られる可能性が高まります。

よくある状況と対応例

例:マッチングアプリで知り合った相手からの告訴

会社員のAさんは、マッチングアプリを通じて知り合った女性と数回メッセージをやり取りし、初めて食事に行く約束をしました。
その日のうちに一緒に飲食をした後、女性の希望でホテルに行ったものの、翌日になって「無理やりだった」と警察に被害届が出されました。

Aさんは突然、警察から任意出頭を求められ動揺しましたが、弁護士に相談。
弁護士がアプリ上のやり取りやLINEのメッセージ履歴を精査し、女性が自発的に会う約束をしていたこと、当日の行動にも矛盾があることを示す資料を整理しました。
その結果、検察は「不同意であることを裏付ける客観的証拠が不足している」と判断し、不起訴処分となりました。

例:元交際相手からの被害申告で事情聴取

Dさん(30代・自営業)は、半年ほど前に別れた元交際相手から突然「被害届を出した」との連絡を受けました。
Dさんは、交際期間中のやり取りは円満だったと考えていたため、全く予期せぬ事態でした。

警察から事情聴取の連絡が入った段階で弁護士に依頼し、交際中のLINEやメールの内容、旅行中の写真などを整理。
弁護士は、関係が相互の合意に基づくものであったことを丁寧に説明しました。
さらに、別れた後のトラブルが感情的な対立から発生した可能性を指摘。
結果として、警察は「一方的な供述のみでは立件が困難」と判断し、事件化を見送りました。

 

※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。

よくある質問(FAQ)

Q:警察から「話を聞きたい」と電話がありました。すぐに出頭すべきですか?

 A:弁護士に相談してから出頭することをおすすめします。 警察は任意の取り調べと説明しますが、実質的には逮捕前の最終確認であることが多いです。供述内容が不利になることを避けるため、事前に弁護士と連絡を取り、供述方針を打ち合わせましょう。

ただし、警察からの連絡を無視すると、逃亡の恐れがあると判断されて逮捕される可能性も高まります。そのため、警察から連絡があったときは速やかに弁護士に相談して対応を協議することをお勧めします。

Q:自分のスマートフォンやPCにある証拠を消去しても大丈夫ですか?

 A:絶対にやめてください。 証拠を隠滅したと判断されれば、それ自体が逮捕・勾留の決定的な理由になります。状況を悪化させるだけですので、証拠隠滅につながる行為は厳禁です。

Q:逮捕後、すぐに会社や学校に知られてしまいますか?

A:警察が意図的に連絡することは少ないです。 しかし、実名報道された場合や、長期間会社や学校に出勤・登校しないことで、逮捕の事実が知られてしまうリスクがあります。早期釈放のための弁護活動が、このリスクを最小限に抑える鍵となります。

まとめ

不同意性交等罪に関する捜査や逮捕の可能性がある場合、早期に弁護士へ相談することが、最も重要な一歩です。

特に、逮捕を回避し不起訴処分を目指すためには、初期対応のスピードと的確な判断が鍵となります。

 不安を抱えたままにせず、まずは専門家に相談し、今後の対応方針を一緒に考えていきましょう。

 

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