不同意わいせつ罪(旧・強制わいせつ罪)とは|成立要件・刑罰・逮捕や示談の流れを弁護士が解説
最終更新日: 2026年08月13日

「不同意わいせつ罪」は、2023年(令和5年)7月13日施行の刑法改正で、これまでの強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪を統合して新設された罪です。名称だけでなく、成立する範囲の考え方も変わりました。
ここでは、不同意わいせつ罪とはどのような罪か、成立要件・刑罰・時効、逮捕や示談の流れまでを、弁護士が全体像として解説します。個別のテーマは、それぞれの詳しい記事もあわせてご覧ください。
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不同意わいせつ罪(旧・強制わいせつ罪)とは
不同意わいせつ罪は、相手の同意しない意思を無視してわいせつな行為をした場合に成立する罪です(刑法176条)。
2023年の改正前は「暴行または脅迫」を用いたことが要件の中心でしたが、改正後は、暴行・脅迫に限らず、相手が「同意しない意思を形成し、表明し、または全うすることが困難な状態」を利用した場合も広く対象になりました。
「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」は現在の条文上の名称ではなくなりましたが、過去に起きた事件や一般の検索では引き続き使われています。
本記事では、旧名称になじみのある方にも分かるように、あわせて説明します。
不同意わいせつ罪の成立要件(8つの類型)
不同意わいせつ罪は、次の8つのいずれかの行為・事由によって、相手が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態に乗じてわいせつな行為をした場合に成立します(刑法176条1項)。
| 号 | 行為・事由 |
|---|---|
| 1号 | 暴行もしくは脅迫を用いること、またはそれらを受けたこと |
| 2号 | 心身の障害を生じさせること、またはそれがあること |
| 3号 | アルコールもしくは薬物を摂取させること、またはそれらの影響があること |
| 4号 | 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること、またはその状態にあること |
| 5号 | 同意しない意思を形成・表明・全うするいとまがないこと |
| 6号 | 予想と異なる事態に直面させて恐怖・驚愕させること、またはその事態に直面して恐怖・驚愕していること |
| 7号 | 虐待に起因する心理的反応を生じさせること、またはそれがあること |
| 8号 | 経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること、またはそれを憂慮していること |
暴行や脅迫がなかったケースでも、これらの事情があれば成立しうる点が、改正前との大きな違いです。
また、16歳未満の者に対するわいせつな行為は、原則としてこれらの事由がなくても処罰の対象となります(一定の年齢差の要件があります)。
不同意わいせつ罪の刑罰(法定刑)と時効
不同意わいせつ罪の法定刑は、6か月以上10年以下の拘禁刑です(罰金刑はありません)。2025年6月からは、それまでの懲役刑・禁錮刑が「拘禁刑」に一本化されています。公訴時効は12年です。
- 法定刑:6か月以上10年以下の拘禁刑(罰金刑はなし)
- 公訴時効:12年(被害者が18歳未満の場合は、18歳になるまでの期間が加算されます)
かつての強制わいせつ罪は被害者の告訴が必要な「親告罪」でしたが、2017年の改正で親告罪ではなくなっており、被害者の告訴がなくても起訴されうる点に注意が必要です。
不同意性交等罪との違い
性交・肛門性交・口腔性交、またはそれらに類する行為が行われた場合は、不同意わいせつ罪ではなく、より重い不同意性交等罪(刑法177条/法定刑は5年以上の拘禁刑)が問題になります。
成立要件の考え方(8つの類型)は共通していますが、法定刑や時効が異なります。
逮捕される場合と、在宅で捜査が進む場合
不同意わいせつ事件では、その場で現行犯逮捕される場合のほか、後日、捜査を経て逮捕される場合や、逮捕されずに在宅のまま捜査が進む場合があります。
逮捕されていない在宅事件の段階でも、起訴・不起訴の判断に向けて弁護活動を始めることができ、この時期の対応が結果を大きく左右します。
示談で解決できるのか
不同意わいせつ事件では、被害者との示談が成立しているかどうかが、不起訴になるか、起訴された場合に実刑か執行猶予かを大きく左右します。
示談金の相場や進め方、被害者に拒否された場合の対応などは、専門の記事で詳しく解説しています。
前科を残さないための弁護活動
前科を避けるためには、不起訴(起訴猶予など)を目指すことが重要です。
そのためには、早期の謝罪・被害弁償や示談の成立、反省と再発防止に向けた環境の調整などを、起訴・不起訴の判断までの限られた時間の中で進める必要があります。
自首を検討すべきケース
まだ事件が発覚していない、あるいは捜査が本人に及んでいない段階では、自首を検討すべき場合があります。
自首には手続きや効果の面で注意点があるため、行う前に弁護士に相談することをおすすめします。
会社や家族に知られないための対応
事件が会社や家族に知られることを心配される方は少なくありません。
弁護士が窓口となって手続きを進めることで、周囲に知られるリスクを抑えながら対応できる場合があります。
ただし、逮捕・勾留の有無など状況によって取りうる方法は異なります。
弁護士費用の考え方
弁護士に依頼した場合の費用は、着手金・報酬金・示談交渉に関する費用などで構成されるのが一般的です。金額は事案により異なるため、依頼前に見積もりを確認することが大切です。
費用の内訳や相場の詳細は、刑事事件の弁護士費用に関する記事をご覧ください。
弁護士に相談すべきタイミング
不同意わいせつ事件では、相談が早いほど打てる手が多くなります。
警察から連絡が来た、任意で事情を聞かれた、逮捕された家族がいる、被害者と示談したい――そうした段階では、できるだけ早めにご相談ください。
特に、起訴・不起訴の判断が出る前の時期は、結果を大きく変えられる可能性が残されている重要な時期です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 強制わいせつ罪と不同意わいせつ罪は何が違いますか?
2023年の改正で、強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪が「不同意わいせつ罪」に統合されました。
従来は暴行・脅迫が要件の中心でしたが、改正後はそれらがなくても、同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態を利用した場合に広く成立しうるようになりました。
Q2. 暴力を使っていなくても不同意わいせつ罪になりますか?
なり得ます。改正法は、暴行・脅迫のほか、薬物・アルコールの影響、睡眠などの意識が明瞭でない状態、恐怖・驚愕、地位に基づく影響力など、8つの類型を定めています。
これらに該当する事情があれば、暴力を用いていなくても成立しうる点が改正の大きなポイントです。
Q3. 被害者が告訴しなければ処罰されませんか?
かつての強制わいせつ罪は告訴が必要な親告罪でしたが、2017年の改正で親告罪ではなくなりました。
そのため、被害者の告訴がなくても捜査・起訴が進む可能性があります。
まとめ
不同意わいせつ罪は、2023年の改正で成立範囲の考え方が変わり、暴行・脅迫がなくても成立しうる罪になりました。
法定刑は6か月以上10年以下の拘禁刑で、時効は12年です。
実際の見通しや取るべき対応は、逮捕の有無・示談の可否など事案ごとに大きく異なります。
早い段階で弁護士に相談し、限られた時間の中で最善の対応を取ることをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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