窃盗の時効は何年?刑事・民事の期間と「時効が成立しない」ケースを弁護士が解説
2026年02月04日

「過去に出来心で盗んでしまった物が、今になって警察に見つからないか不安…」
「被害届を出されたら、いつまで逮捕の可能性があるのだろう?」
窃盗事件を起こしてしまった場合、気になるのが「時効」の存在です。
結論から言うと、窃盗罪の刑事上の時効(公訴時効)は7年ですが、損害賠償請求に関わる民事上の時効は最短3年と、法律上の扱いは異なります。
この記事では、窃盗事件における「刑事・民事それぞれの時効期間」や「時効がストップする例外ケース」、そして時効を待つリスクについて解説します。
窃盗罪の時効は「7年」だけではない
一口に「時効」と言っても、刑事事件としての時効と、民事事件としての時効の2種類が存在します。加害者が負う責任が異なるため、この違いを理解しておくことが重要です。
刑事上の時効(公訴時効):7年
刑事上の時効とは、「検察官が事件を起訴できなくなる期限」のことです。正式には公訴時効と呼びます。
窃盗罪(刑法235条)の法定刑は「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」です。刑事訴訟法により、この重さの犯罪の公訴時効は7年と定められています。
- いつからカウントするか: 犯罪行為が終わった時点から
- 期間: 7年
- 結果: 7年が経過すると、検察は起訴できなくなり、逮捕されることもなくなります。
民事上の時効(損害賠償請求権):3年または20年
民事上の時効とは、「被害者が犯人に対して、盗んだ物の返還や損害賠償を請求できる権利が消える期限」のことです。これを消滅時効と呼びます。
民事の時効期間は、以下のどちらか早い方で成立します。
起算点(カウント開始) | 期間 | 解説 |
被害者が「損害および加害者」を知った時から | 3年 | 被害者が「犯人が誰か」を特定してから3年間請求しないと時効になります。 |
不法行為(窃盗)の時から | 20年 | 犯人が特定されていなくても、事件から20年経てば請求権は消滅します。 |
つまり、「警察には捕まらない(刑事時効7年成立)」としても、「被害者から賠償金を請求される(民事時効20年未到来)」というケースはあり得るのです。
「7年経てば安心」ではない?時効が停止・更新されるケース
「事件から7年経てば自動的に時効」とは限りません。法律には、時効のカウントが止まったり、リセット(更新)されたりするルールがあります。
犯人が国外にいる期間(刑事)
犯人が日本国外にいる期間は、刑事の公訴時効のカウントが停止します(刑事訴訟法255条)。
例えば、事件後に1年間海外留学をしていた場合、時効が完成するのは事件から8年後となります。逃亡目的でなくとも、海外にいた事実はカウント停止の対象となります。
共犯者が起訴された場合(刑事)
複数人で窃盗を行った場合、共犯者のひとりが起訴されると、裁判が確定するまで他の共犯者の時効も停止します。
「自分は逃げ切れている」と思っていても、共犯者の裁判が続いている限り時効は進みません。
債務の承認・請求(民事)
民事の時効(損害賠償)に関しては、以下のようなアクションがあると時効期間がリセット(ゼロからのスタート)されたり、完成が猶予されたりします。
- 債務の承認: 加害者が被害者に対して「盗んだ分を弁償します」と認めたり、示談金の一部を支払ったりした場合。
- 催告: 被害者から内容証明郵便などで請求が届いた場合(6ヶ月間時効の完成が猶予されます)。
未成年が窃盗した場合に考えられる処分は?
窃盗をした人が未成年(20歳未満)の場合、大人と同じ刑事罰がそのまま科されるわけではありません。
未成年者による窃盗は、原則として「少年事件」として扱われ、少年法に基づいた手続がとられます。
警察に検挙されると、検察官を経由して必ず家庭裁判所に送致される「全件送致」が原則です。
家庭裁判所では、処罰よりも立ち直りを重視した判断がなされます。
家庭裁判所で考えられる主な処分は次のとおりです。
・審判不開始
反省が十分で、再犯のおそれが低いと判断された場合、実質的に処分なく終了するケースです。
・保護観察
日常生活を続けながら、保護観察官の指導を受けます。再犯防止が目的です。
・少年院送致
常習性がある、被害が大きい、悪質性が高い場合には、一定期間施設での矯正教育が行われます。
・検察官送致(逆送)
16歳以上で、常習的・組織的な窃盗など悪質な場合には、大人と同じ刑事裁判にかけられる可能性もあります。
なお、未成年の場合、原則として「前科」はつきませんが、非行歴として記録が残る点には注意が必要です。
また、民事上の責任については、未成年本人ではなく、親などの監督義務者が損害賠償責任を負うのが一般的です。
示談交渉や弁償金の支払いを、保護者が対応するケースが多く見られます。
窃盗罪が適用される主なケースと時効・逮捕リスク
一口に窃盗罪といっても、その手口や状況はさまざまです。ここでは代表的なケースと、共通して懸念される「後日逮捕」について解説します。
万引き事件の場合
万引きも刑法上の「窃盗罪」にあたるため、時効は7年です。
ただし、万引きはお店側が現行犯で捕まえるケースが多い一方、防犯カメラの映像を元に後日捜査されるケースもあります。
- 「スーパーの防犯カメラはいつまで残る?」
- 「少額なら微罪処分で済む?」
といった、万引き特有の事情については、以下の記事で詳しく解説しています。
自転車・原付・バイク窃盗の場合
自転車やバイクの窃盗も時効は7年ですが、これらは「盗んだ後も乗り続ける」ことが多いため、職務質問や防犯登録の照会で発覚しやすい犯罪です。
「放置自転車を借りただけ」という認識でも、窃盗(または占有離脱物横領)に問われる可能性があります。
自転車や原付を盗んでしまった場合の示談金相場や解決法については、こちらをご覧ください。
職場・学校・知人間での窃盗の場合
会社の備品や同僚の私物、学校での財布やスマホの持ち去りも、典型的な窃盗罪にあたります。
たとえば、
・会社の文房具や備品を無断で自宅に持ち帰る
・ロッカーや机の中にあった同僚の私物を盗む
・学校でクラスメイトの財布や現金、スマートフォンを持ち去る
といった行為は、「出来心」や「一時的なつもり」であっても、原則として窃盗罪が成立します。
特に職場や学校での窃盗は、防犯カメラの設置率が高く、関係者が限られているため、後日になって犯人が特定されやすいという特徴があります。
内部犯行の場合、「まさかバレないだろう」と思っていても、数日〜数か月後に呼び出しを受けるケースは珍しくありません。
窃盗事件で「後日逮捕」されるパターン
どのような手口の窃盗であっても、時効(7年)が来るまでは警察が捜査を行う可能性があります。
特に指紋やDNA、防犯カメラの解析が進み、事件から数ヶ月〜数年後に突然警察が家にやってくる「後日逮捕」の事例は現実に存在します。
逮捕状が出るタイミングや、警察から呼び出しがあった際の対処法については、以下の記事で詳細に解説しています。
時効を待つよりも弁護士に相談すべき理由
「あと数年で時効だから、このまま逃げ切りたい」と考える方もいるかもしれません。しかし、時効成立をただ待つことには大きな精神的負担とリスクが伴います。
逮捕・報道のリスクに怯える日々
時効直前であっても、逮捕されれば実名報道されるリスクがあります。就職、結婚、出産など、ライフステージの変化がある中で「いつ警察が来るかわからない」という不安を抱え続けることは、想像以上のストレスとなります。
被害届が出ているかどうかわからない
被害者が被害届を出していなければ、警察は捜査していません(時効を気にする必要もありません)。しかし、被害届が出ているかどうかを警察に問い合わせても、捜査上の秘密であるため教えてはくれません。この不確実性が不安を増幅させます。
自首・示談による「早期解決」という選択肢
時効を待つのではなく、弁護士を通じて自首や示談を行うことで、以下のようなメリットが得られる可能性があります。
- 逮捕の回避: 逃亡の恐れがないことを示し、在宅事件(逮捕されない形)での捜査を目指す。
- 不起訴処分: 被害者と示談が成立すれば、起訴されず前科がつかない可能性が高まる。
- 精神的な解放: 謝罪と弁償を済ませることで、怯える日々から解放される。
まとめ:窃盗の時効は複雑。不安な場合は早期相談を
窃盗罪の時効は刑事7年、民事3年(または20年)です。
しかし、単純な年数の経過だけでなく、時効の停止事由や被害者の動きなど、考慮すべき要素は多くあります。
もし過去の過ちについて悩んでいるのであれば、時効を待つのではなく、弁護士へ相談することをお勧めします。個別の事情に合わせて、「今、自首すべきか」「示談は可能か」といった具体的なアドバイスが可能です。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。








