暴行罪で不起訴処分になるには?前科を回避するために知っておきたい「示談」と弁護士の役割

2026年02月06日

暴行罪で不起訴処分になるには?前科を回避するために知っておきたい「示談」と弁護士の役割

暴行事件を起こしてしまい、警察から呼び出しを受けたり、家族が逮捕されてしまった場合、多くの方がまず不安に感じるのは、「前科がついてしまうのではないか」という点ではないでしょうか。

結論からお伝えすると、暴行罪の疑いをかけられても、検察官から「不起訴処分」と判断されれば、前科はつきません。
裁判を受けることも、懲役(拘禁刑)や罰金といった刑罰を受けることもなく、これまで通りの生活に戻ることができます。

一方で、特に対応をせずに時間が経ってしまうと、起訴されて裁判に進み、前科がつく可能性が高まってしまいます。

この記事では、暴行罪において
・不起訴処分とは何か
・不起訴になる主なパターン
・前科を避けるために重要な「示談」
について、法律初心者の方にも分かるよう解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士

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暴行罪における「不起訴処分」とは?

不起訴処分とは、検察官が事件を調べた結果、「今回は起訴せず、裁判にかける必要はない」と判断し、事件を終了させる処分のことです。

不起訴処分になると、次のような扱いになります。

・刑事裁判が開かれない
・懲役(拘禁刑)や罰金などの刑罰を受けない
・前科がつかない
・身柄を拘束されていた場合は釈放される

つまり、不起訴処分は前科を回避するための最も重要な分かれ道といえます。

起訴された場合のリスク

一方で、検察官に起訴されてしまうと、刑事裁判が行われます。
日本の刑事裁判では有罪と判断される割合が非常に高く、起訴された時点で、前科がつく可能性はかなり高くなります。

「様子を見よう」と何もしないまま時間が過ぎ、起訴されてから相談されるケースもありますが、その段階では選択肢が限られてしまいます。

暴行事件で不起訴になる2つのパターン

暴行事件でも、すべてが起訴されるわけではありません。不起訴になる主な理由は次の2つです。

嫌疑なし・嫌疑不十分の場合

これは、そもそも「犯罪があった」と言い切れないケースです。

たとえば、次のような場合が該当します。

・目撃者や防犯カメラの映像がなく、暴行の事実を裏付ける証拠がない
・相手が先に手を出しており、正当防衛と判断される可能性が高い

このような場合、検察官は「有罪にするだけの証拠が足りない」と判断し、不起訴処分とします。

起訴猶予(最も多いケース)

暴行事件で不起訴になるケースの中で、もっとも多いのがこの「起訴猶予」です。

起訴猶予とは、 「暴行があったこと自体は認められるが、さまざまな事情を考慮して、今回は起訴しない」 という判断です。

具体的には、次のような事情が重視されます。

・初めての事件である
・被害が比較的軽い
・本人が反省し、謝罪している
・被害者との間で示談が成立している
・被害者が処罰を望んでいない

このような事情がそろっている場合、 「前科をつけるほどではない」と判断され、不起訴処分となる可能性が高くなります。

つまり、暴行の事実を争わなくても、事件後の対応次第で前科を避けられる余地があるという点が、起訴猶予の大きな特徴です。

暴行罪の不起訴率はどのくらい?

統計上、暴行事件は比較的、不起訴になる割合が高い犯罪とされています。
犯罪白書などを見ると、暴行事件全体の不起訴率はおおむね60〜70%程度で推移しています。

ただし、この数字には
・初犯で被害が軽いケース
・弁護士を通じて示談が成立したケース
なども含まれています。

「何もしなくても不起訴になる」という意味ではなく、 適切な対応を行った結果、不起訴になっているケースが多いと考える必要があります。

不起訴(起訴猶予)を目指すうえで最も重要なポイント

暴行罪で不起訴、特に起訴猶予を獲得するために最も重要なのが、被害者との示談です。

検察官は処分を決める際、被害者の気持ちを重視します。

具体的には、次の点が重要になります。

・示談が成立していること
・示談書に「許す」「処罰を求めない」といった意思が明記されていること
・被害届が取り下げられていること

これらがそろっていれば、初犯の暴行事件では、不起訴になる可能性は高まります。

暴行罪の示談金相場や、不起訴獲得に向けた示談交渉のポイントについては以下の記事を参考にしてください。

暴行罪の示談金相場はいくら?示談の流れや交渉のコツを解説

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逮捕されている場合は時間との勝負

逮捕・勾留されている場合、検察官が起訴するかどうかを判断するまでの期間は最長で23日間です。

この期間内に示談をまとめ、検察官に伝える必要があります。
起訴された後に示談が成立しても、刑が軽くなることはありますが、前科を避けることはできません。

そのため、早い段階での対応が重要になります。

暴行罪の刑罰や逮捕後の流れについては、こちらの記事を参考にしてください。

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弁護士に依頼するメリット

「自分で被害者に謝って示談したい」と考える方もいますが、実際には難しいケースがほとんどです。

・被害者の連絡先は、本人には教えてもらえない
・直接連絡すると、相手の不安や怒りを強めてしまうことがある

弁護士に依頼することで、
・捜査機関を通じて被害者と連絡が取れる
・第三者として冷静な話し合いができる
・示談成立後、検察官に適切に事情を伝えられる

といったメリットがあります。

暴行事件を弁護士に相談するメリットと費用・解決までの流れについては、こちらの記事で解説しています。

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まとめ

暴行罪は、事件後の対応次第で、不起訴処分となり前科を回避できる可能性のある犯罪です。
特に、被害者との示談が成立するかどうかが、大きなポイントになります。

不安を感じた段階で、できるだけ早く専門家に相談することで、より多くの選択肢を残すことができます。

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