万引き事件で被害届が出た場合の後日逮捕について
最終更新日: 2021年12月01日
万引きは、刑法の窃盗罪に該当する窃盗事件ですが、窃盗事件の中でも非常に検挙率の高い犯罪です。
窃盗事件全体の検挙率は約30%ですが、万引き事件の検挙率は約70%と際立って高いです。
その理由としては店側による現行犯逮捕が多いこともあるでしょうし、防犯カメラの映像から犯人、犯行が明らかになりやすい特性も挙げられます。
今回は、万引き事件で被害者から訴えが出た場合について、証拠として使用される防犯カメラ映像を中心にご説明いたします。
万引き事件における防犯カメラを利用した捜査
万引き事件における防犯カメラの証拠としての利用方法
万引き事件において、防犯カメラの映像は、犯人を特定するための証拠として利用されます。
また、犯行の内容について、商品を万引きする瞬間だけでなくその前後の動きも確認することで犯行態様の悪質性を立証したり、常習性の捜査資料として利用されます。
車のナンバーから万引きの犯人が特定されることも
万引き事件は被害店舗の従業員や警備員によって現行犯逮捕されるケースが多いですが、その場では現行犯逮捕に至らず、後日、捜査機関が逮捕状をもってやって来るケースも多くあります。
そのような現行犯ではないケースは、警察が防犯カメラ映像に映る顔を警察のデータベースと照合して犯人を特定することとなります。
また、万引き事件においては、万引きを疑われないよう、万引きした商品以外の商品をレジで精算するケースが多くあります。
代金を支払う際に電子マネーやクレジットカードを使用すればその支払情報から犯人を容易に特定することができます。
さらに、店外を映す防犯カメラに、容疑者が乗り込んだ車のナンバーやバイクのナンバーが映っていて、そこから容疑者が特定されるケースもよくあります。
このように万引きは防犯カメラがそこら中に設置されたお店を犯行現場とする性質上、後日、犯人が特定され逮捕状に基づき通常逮捕されることは十分に考えられます。
犯行を立証するための証拠としての防犯カメラ
捜査では、万引きする瞬間だけでなく、犯人が入店してから退店するまでの全ての映像を追跡します。例えば、これによって途中でトイレに行ってカバンに商品を入れているなどの犯行態様にもかかわる証拠が得られる可能性があります。
コンビニなど狭い被害店舗の場合、ほとんど死角がないことが多く、商品をポケットやカバンに入れてから店外に出るまでの全ての行動が映っている可能性が高いといえます。
なお、在庫数が合うかどうかという捜査は通常なされません。欠品理由は管理ミスや他の万引き事案による可能性があることから、仮に欠品していてもその万引きを裏付ける証拠としての価値は乏しいからです。
万引き事件では、防犯カメラの保存期間がポイントとなる
現行犯逮捕されなかった場合、容疑者を特定する手段として防犯カメラの映像は重要です。また、犯人の余罪を立証するためにも防犯カメラの映像が重要になってきます。
映像データは通常2、3週間で上書き保存されてしまいます。そのため、映像データは直ちに保全する必要があります。
被害届が出れば即日、捜査機関は店側の協力を得て防犯カメラ映像をコピーしますが、本件を捜査するなかで別件の余罪が浮上してきた場合、既に保存期間が経過してしまっており、別件の映像データは既に失われてしまっており、立件できないというケースはよくあります。
最後に
以上、万引き事件で防犯カメラ映像から後日逮捕につながるケースについてご説明しました。
万引き事件は検挙率が高く、後日逮捕される可能性も高いといえますので、万引きの加害者となってしまい後日逮捕されるのではないかと不安な方は、刑事事件の経験が豊富な弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。