過去の万引きは時効?バレることある?専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月18日
- 過去につい魔がさしてしまい万引きしたことがある
- 過去の万引きで今になって逮捕はあるのか
- 過去の万引きであっても弁護士は相談に乗ってくれるのか
過去に万引き起こすと、7年が経過するまでの間は窃盗罪で逮捕される可能性はないとは言い切れません。万引きは、学生の場合は出来心から、また高齢者であれば認知症から犯してしまうこともあり、年齢を問わず誰が犯してもおかしくない身近な犯罪と言えます。
そこで今回は、過去の万引きで逮捕される可能性・逮捕の種類・過去の万引きの解決を弁護士に依頼した場合に弁護士ができることを解説します。
過去の万引きについて時効前に逮捕されることも?
弁護士が教える過去の万引きでも逮捕される可能性について、以下の3つの観点から解説します。
- 過去の万引きで逮捕されるとは
- 万引きでの逮捕の種類
- 万引き発覚後に待っているリスク
1つずつ解説します。
過去の万引きで逮捕されるとは
1つ目に解説するのは、過去の万引きで逮捕されるとは、についてです。
万引きには、刑法235条の窃盗罪が適用されます。有罪が確定すると10年以下の懲役もしくは、50万円以下の罰金が科されます。軽い気持ちで犯した犯罪であっても、逮捕・起訴・有罪という流れにのることも十分あり得ます。
万引きは、犯行の瞬間をその場で押さえられた場合にのみ逮捕されるのではなく、監視カメラなどの記録から後日発覚したものであっても逮捕が可能であるため、過去の万引きによって逮捕される場合があります。
なお、万引きが発覚した時点から7年が経過すると公訴時効となり検察官が事件を起訴できなくなることから、逮捕の可能性はなくなります。
万引きでの逮捕の種類
2つ目に解説するのは、万引きでの逮捕の種類についてです。
- 通常逮捕(後日逮捕)
- 現行犯逮捕
- 緊急逮捕
1つずつ解説します。
通常逮捕(後日逮捕)
通常逮捕は、刑訴法199条1項に定めらています。被疑者が罪を犯したことが疑われるに相当する理由がある場合に、裁判官が事前に発行する逮捕状に基づいて逮捕することをいいます。
たとえば万引きを目撃した客からの通報などがあった場合、警察は店内などに設置された監視カメラや防犯カメラで犯行のチェックを行います。犯人を特定した場合に、これをもとに裁判官が発行した逮捕状で通常逮捕することが可能になります。
現行犯逮捕
現行犯逮捕は、逮捕状を必要とせずに逮捕することを指します。刑訴法213条に定められている通り、現行犯人は警察でなくても逮捕状なしで逮捕が可能です。
現行犯人とは、刑訴法212条1項にある
「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者」
のことです。これは犯罪行為を行っている、もしくは行いつつある犯人のことをいいます。
この場合、逮捕者の目の前で犯行が行われている場合に現行犯逮捕が可能になります。また、すでに犯行が終わってしまった場合であっても、「特定の犯罪の実行行為を終了した直後の犯人」にあたり、それが逮捕者にとって明瞭であれば現行犯逮捕ができます。
万引きの場合は、万引き行為を確認した店員・客、警備員・万引きGメンなどは、現行犯逮捕が可能です。
緊急逮捕
緊急逮捕は、殺人罪、傷害罪、窃盗罪や強盗罪のような
「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき」
に、検察官・検察事務官・司法警察員が、その理由を被疑者に告げて逮捕することをいいます。これは刑訴法210条1項に定められています。
緊急逮捕の場合は、刑訴法210条1項に基づいて、事後にすみやかに裁判官に逮捕状を求める手続が必要で、もし逮捕状が発行されない場合は直ちに被疑者を釈放することになります。
たとえば万引きの場合、店員の目撃情報に基づいて警察官が捜査を開始し巡回しているときに該当者に職務質問を行い、その者が盗んだと思われるものを所持していた場合などに緊急逮捕が可能です。
過去の万引き発覚後に待っているリスク
3つ目に解説するのは、万引き発覚後に待っているリスクについてです。
過去の万引きが発覚する場合の逮捕は通常逮捕(後日逮捕)となります。
逮捕されると警察署で48時間以内の取り調べを受けます。その後、検察庁へ送られ検察官による24時間以内の取り調べが行われます。ここで検察官は裁判官に釈放もしくは勾留請求を行い、引き続き身体を拘束するかを決定します。
勾留の請求があると裁判官は被疑者に対し勾留質問を行い、窃盗を犯した疑いがあり、住所不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれのいずれかに該当する場合には身体の拘束の必要性を判断した上で、10日間の拘束を認める勾留決定をします。
検察官は、原則としてこの10日間で起訴・不起訴の判断をします。起訴が決まればそのまま裁判に移行し場合によっては有罪の判決を受けることになります。
このように、過去に行った万引きが後日発覚したとき、たとえそれが軽い気持ちで犯してしまったものであった場合でも、逮捕される可能性は否定できず、最悪の場合、前科がつくことも懸念されます。
過去に万引きを犯しているということは、大きなリスクを抱えている状態だと言えるでしょう。
時効前の過去の万引きを解決する方法
過去の万引きに対して依頼された弁護士ができることは以下の3つです。
- 示談交渉
- 早期の事件解決
- 不起訴処分に向けて被害者への誠意ある対応
1つずつ解説します。
示談交渉
過去の万引きに対して依頼された弁護士ができることの1つ目は、示談交渉です。
過去の万引きが発覚する前の自首や、発覚直後から逮捕前の段階で弁護士が介入し示談交渉をすることで、逮捕を回避することが可能です。示談交渉とは、裁判外の場所で被疑者と被害者との解決に向けての交渉のことをいい、事件に対して民事的なアプローチをすることです。
通常は捜査機関を介し、被害者の意向を確認したうえで示談交渉を開始します。
万引きなどの窃盗事件の弁護経験が豊富な弁護士であれば、相手の心情に配慮した被疑者からの謝罪文や示談金の提示によって、のぞましい形での示談を成立させてくれることが期待できます。
早期の事件解決
過去の万引きに対して依頼された弁護士ができることの2つ目は、早期の事件解決です。
万引きなどの窃盗事件に対して弁護経験が豊富な弁護士であれば、スムーズな解決が可能です。特に逮捕前に依頼をすることで弁護士が即座に警察と連絡を取り、逮捕回避に向けた迅速な働きかけが期待できます。
また、逮捕されると72時間は家族であっても本人との接見が禁止され、被疑者本人も身動きがとれません。しかし、その72時間内であっても本人と接見が可能なのが弁護士です。弁護士は依頼後即日で弁護活動を開始することができます。
したがって、契約を結んだらすぐに本人のところへ行って状況を聞き、警察や検察官と連絡を取るなど、迅速な対応をしてくれる弁護士を探すことが望ましいでしょう。初動が早ければ早いほど、早期の事件解決につながります。
不起訴処分に向けて被害者への誠意ある対応
過去の万引きに対して依頼された弁護士ができることの3つ目は、不起訴処分に向けた被害者への誠意ある対応です。
弁護士は本人に代わって被害者との示談交渉を行います。すでに逮捕されている場合は一刻の猶予もゆるされないほどスピーディな対応が必要です。起訴・不起訴の決定前に示談交渉が成立していることで、刑事罰を受ける必要性は低くなるため、不起訴になる可能性が高まります。また、被害者へのお詫びや被害金額の支払いについては、迅速に対応することで被害者の不安を軽減させることにも繋がります。
まとめ
今回は、過去の万引きで逮捕される可能性・逮捕の種類・過去の万引きの解決を弁護士に依頼した場合に弁護士ができることを解説しました。
過去の万引きはバレなければいいというわけではなく、本人がバレていないと思っていても、水面下で捜査が進み時効直前に逮捕される可能性も否定できません。
現在は防犯カメラの設置など、店側も万引きに対して警戒を強めていることから、後日発覚する可能性は十分あります。そのため、過去に万引きをしてしまった場合はまず弁護士に相談したほうがよいでしょう。
特におすすめなのは、過去に犯した万引きの弁護に強い弁護士です。最低でも10〜20件以上の実績のある弁護士を選ぶとよいでしょう。実績十分な専門の弁護士であれば、丁寧かつスピーディに被害者・被疑者の希望に沿った解決が期待できます。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。