不倫における念書の効力や作り方を専門弁護士が解説
最終更新日: 2024年01月26日
「念書」という言葉を一度は聞いたことがある方は多いかもしれません。しかし、念書の定義や内容、法的な効力について知っているという方は少ないのではないでしょうか。本記事で不倫における念書について解説していきます。
不倫における念書の効力とは?
不倫における念書の効力や、違反した場合どうなるのかについてご説明します。
念書の定義・内容
念書とは、何らかの約束・事実を書面化し、それに署名等をしたものをいいます。
不倫においては、不倫した事実を認めるものや、もう二度と不倫はしないと誓約するといった内容のものが多い傾向にあります。
念書に違反したどうなる?
念書のよくある約束事としては、もう二度と不倫はしないというものがあります。このような約束を破った場合、慰謝料等の請求をされるケースがありますが、その裁判では、請求されている側は、不倫をした事実を認めていた証拠として不利に働く場合があります。
しかし、そうであるからといって、念書の違反を理由として、執拗に金銭を要求することは犯罪行為にあたる場合があるので、請求する側は注意する必要があるでしょう。
効力はいつまで
念書の証拠としての効力の期限は、特に法律は定めていません。
というのも、裁判所に提出する証拠について、法律は、何年以内に作成された証拠でなければならないとは定めていないからです。
そのため、念書を作成したのが、数年前だからといって、効力がないわけではないのです。
無理やり書かされた念書の効力
不倫をされた場合は、相手に対しての怒りなどの影響で、念書への署名等を強要することがあるかもしれません。
しかし、念書に署名をしなければ家族や職場にばらすなどと脅してしまうと、法的な効力が否定されてしまう可能性があるので、注意が必要です。
相手への怒りを抑えて、冷静に念書を作成してもらうするといいでしょう。
不倫された場合に念書を取るメリット・デメリット
念書をとる場合、メリットとデメリットの両方があります。
メリット
一つ目は、不倫をした証拠になるということです。
不倫の性質上、いざ慰謝料を請求をしようとしても、なかなか証拠を集めることは困難です。そこで、比較的手に入れやすい念書を取っておくことをお勧めします。
二つ目は、言い合いになることを防ぐということです。
不倫においては、不倫をした・していない等、相手と言い合いになることが多々あるでしょう。そこで、念書を作成することで、相手の言い訳を防ぎ、話し合いがスムーズに進むでしょう。
三つ目は、不倫の再発を防ぐということです。
念書を作成する際に、不倫は二度としないという趣旨の記載をしておくことで、署名者に不倫をした事実を認めさせ、二度と不倫をしないという約束をさせることで、再度の不倫を防ぐ効果があるでしょう。
デメリット
不倫された際に、念書等の書面を相手に書かせることは、相手に怒りが強く伝わる反面、反感をかってしまい、信頼関係に傷がつく恐れがあります。
相手と今後もうまくやっていきたい場合は、念書を作成する際の言動に気を付ける必要があるといえるでしょう。
不倫における念書の書き方
念書の書き方の注意点があります。
念書の記載事項
念書の記載事項は、シーンによって異なりますが、不倫をされた場合を想定すると、不倫をしたことを認める旨、不倫を二度としない旨の記載が重要になってきます。
また、不貞行為を行った場所・日時・相手方の氏名等も重要事項です。
不倫関係に至った経緯や、不倫関係の期間の記載もあると、さらに詳細でしょう。
そして、この際に、不倫相手との接触禁止の違約金として500万円などの高額を定めると、公序良俗(民法90条)違反として、無効となる可能性があるので、注意が必要です。
念書はできれば自筆で
念書を作成する際は、自筆で作成しましょう。
なぜなら、なにかと都合がいいからといって、パソコン等で作成すると、勝手に作成された念書に、無理やり署名・押印したと相手方に主張されるおそれがあるからです。
そこで、多少時間と手間がかかりますが、署名だけでなく、内容等も自筆で作成しましょう。
押印も忘れずに
後々、裁判の証拠として提出する場合もあることを想定すると、署名だけではなく、押印も忘れないようにしましょう。押印は印鑑登録をしている実印であればなお良いです。
まとめ
不倫における念書について解説してきました。
不倫においては、不倫相手への怒りなどで冷静な判断をすることが困難です。
そこで、心を少し落ち着かせ、相手と今後上手くやっていくにしても、場合によっては慰謝料を請求するにしても、念書という書面を作成することは、悩みを解決する手段の一つではないでしょうか。
不倫における念書については難しい点がいくつもあります。そこで、念書を作成したいがわからない点がある、相談したいという場合はぜひ一度、不倫問題を専門とする弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。