永代供養墓とは?その留意点

永代供養墓とは?その留意点

2021年03月04日

1 永代供養墓とは

通常のお墓は、永代使用料を納めて、墓地使用権を取得します。そして、そのお墓(墓地区画)の墓地使用権は、代々承継されていきます。

一方、永代供養墓はこのように後世に承継されない点が特徴です。つまり、通常のお墓は墓地使用権の設定を契約内容としますが、永代供養墓は、遺骨の埋蔵、管理及び供養の委託を契約内容とします。

このような永代供養墓は、身寄りのない方や、後世にお墓を管理する負担をかけたくない方などが生前に寺院と契約するケースが多いです。

永代供養墓には次のようにいくつかのタイプがあります。

  • ①一般的なお墓のタイプ
  • ②納骨堂など同じ場所に、骨壺、袋に遺骨を入れて供養されるタイプ
  • ③他人の遺骨と混ざり合って供養されるタイプ(合祀墓)
  •  

①や②のタイプも永代にわたって個別に供養されるタイプは稀で、7年、17年、33年、50年などの一定期間経過後に、合祀墓へ改葬されるタイプがほとんどです。

2 永代供養墓をめぐる問題点

⑴ 死亡後に承継を希望する親族、縁故者が現れた場合

身寄りがないと思って永代供養墓を契約した、あるいは親族はいるけれどもお墓を管理してくれないだろうと思って永代供養墓を契約したものの、亡き後、親族や縁故者が供養するために遺骨の引渡しを求めてくることがあります。

永代供養墓の契約上の地位は、相続人が相続するものではなく、祭祀承継者が承継すると考えられます。そして、永代供養墓の契約では、通常、寺院を祭祀承継者として指定します。

そのため、このような親族や縁故者が現れると、寺院が祭祀承継者であることを争われ、寺院は法的紛争に巻き込まれてしまいます。

そのような事態を避けるために、もし祭祀承継を主張する者が現れたときには寺院を祭祀承継者とする指定は無効となる契約内容としておくべきです。

身寄りのある申込者が、寺院を祭祀承継者とすることを強く希望する場合には、祭祀承継者の指定を公正証書遺言ですることも考えられます。

確かに、公正証書遺言によって指定をしておけば、たとえ争いになっても、故人の希望どおり、寺院が祭祀承継者と認められる可能性は高いです。しかし、そのような紛争に巻き込まれること自体、寺院にとって過大な負担となります。

したがって、やはり祭祀承継を主張する者が現れたときには、指定を無効とする契約内容とするべきでしょう。

⑵ 合祀をしてしまい遺骨の返却ができない場合

永代供養墓の中には、個別のお墓や納骨堂での供養はせず、初めから他の遺骨と混ざり合って一緒に埋蔵して供養するタイプがあります。このように混ざり合ってしまうと、個人の遺骨を他の遺骨と判別ができませんので、遺骨の返還に応じることが物理的に不可能となります。

故人や祭祀承継者との契約内容に無いにもかかわらず、勝手にそのように他の遺骨と合祀してしまうと債務不履行責任や不法行為責任を寺院は問われることになります(H19.2.13 平成17年(ワ)第2092号、平成18年(ワ)第871号)。

故人との契約に基づき、祭祀承継者と指定された寺院がそのように合祀をしたのであれば、後に現れた親族や縁故者に遺骨を返還できなかったとしても、このような法的責任を問われることはありません。

そのような契約内容については、故人が作成した永代供養墓の申込書や契約書、永代供養墓使用規則(約款)によって立証できます。より慎重には、公正証書遺言によって、寺院を祭祀承継者として指定するべきでしょう。

このような紛争に巻き込まれることを回避するために、申込者の親族に同意書を提出してもらうことも考えられますが、対象となる親族の範囲をどうするかという問題や、そもそも祭祀承継者は親族に限定されないことから有効な対策とはいえません。

そこで、寺院としては、できる限り遺骨の返還に応じられるよう、最初から合祀をするタイプの永代供養墓ではなく、数年間は骨壺や耐久性ある袋に入れて個別に供養するタイプの永代供養墓を勧めるのが得策です。

また、更に慎重を期すのであれば、個別供養する期間についても、取得時効や相続回復請求権の除斥期間を参考に20年以上とすることも検討に値します。

⑶ 改葬の際の問題

永代供養墓は、当初はお墓や納骨堂で個別に遺骨を供養し、数年後に遺骨を他の遺骨を混ざり合う形で合祀するのが一般的です。

多くの永代供養墓は、同一の墳墓内、納骨堂内で遺骨を移動させますので、改葬にはあたりません。しかし、他の墳墓、納骨堂へ遺骨を移動させる場合には改葬にあたります。

改葬するには、行政から改葬許可証を得る必要があります(墓地埋葬法第5条1項)。改葬許可は、通常、祭祀承継者である墓地使用者が申請します。永代供養墓の場合は寺院が申請をすることになります。

しかし、墓地経営者である寺院が墓地使用者として改葬申請することは事務運用上一般的ではないと言って、市区町村の担当者から改葬許可に難色を示される可能性があります。

そこで、生前に永代供養墓の申込者から、墓地使用者以外の者が改葬する際の行政への提出書類である改葬の承諾書(墓地埋葬法規則第2条2項2号)を取得しておくことが考えられます。

しかし、当該規定は、祭祀承継者である墓地使用者から承諾賞を取得することを想定していると考えられますので、亡くなった申込者から取得した承諾書によって市区町村の担当者が有効な承諾書として扱ってくれるものか不確実です。

このように申込者との契約にもかかわらず、改葬許可が得られず改葬ができなかったときには、後に無縁改葬(墓地埋葬法規則第3条)として改葬する他ありません。したがって、契約違反とならないために、契約内容にはそのような場合には無縁改葬することを規定しておくべきです。

⑷ 死亡を寺院が把握できない問題

永代供養墓は亡くなる数年、十数年も前に申し込みがなされていることがあります。そうしますと、特に身寄りがない申込者の場合には、数年、十数年後に亡くなった事実を寺院が把握できない可能性があります。

そして、申込者が孤独死をしていた場合、市区町村が火葬し、公営墓地の合祀墓に埋蔵されてしまいます。これでは寺院に供養を委ねた申込者の意思を実現できません。

このような事態を防ぐために、申込者の死亡を寺院が把握するための対策を取っておく必要があります。

具体的には、親族がいる申込者であれば親族に永代供養墓を契約した旨を連絡しておいてもらう、身寄りがない方については緊急連絡先として寺院を記載したカードを財布に入れておいてもらう、見守りサービスを利用している場合にはその委託先に、死後事務委任をしている弁護士や行政書士がいる場合にはその方に、永代供養墓を契約していることを伝えておいてもらいます。

永代供養墓と似て非なるものに、特別祭祀承継制度というものがあります。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。

この記事を書いたのは

代表弁護士春田 藤麿
愛知県弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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