不貞行為で慰謝料500万は妥当?請求できるケースとポイントを専門家が解説

最終更新日: 2023年11月14日

不貞行為で慰謝料500万は妥当?請求できるケースとポイントを専門家が解説

  • 配偶者が不貞行為をしていた事実がわかりました。離婚と高額な慰謝料を請求したいです!
  • 不貞行為の慰謝料を配偶者や不倫相手に請求したいのですが、500万円は高すぎるでしょうか?
  • 高額な慰謝料を請求できるポイントがあれば是非教えて下さい。

配偶者の不貞行為が発覚した場合、不貞行為をされた側は慰謝料の請求が可能です。

ただし、「不貞行為を行えば慰謝料〇〇万円を支払う義務がある。」とは、法律で決められておらず、慰謝料の金額はケースバイケースで決められます。

500万円に上る高額な慰謝料を請求するには、まず不貞行為をされた側が、確実な証拠を収集する必要があります。

そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、不貞行為を理由に高額な慰謝料が請求できるケース、高額な慰謝料を得るためのコツ等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 不貞行為の慰謝料相場は夫婦が別居や離婚をする場合、概ね100万円~300万円となる
  • 不貞行為の回数や、不貞行為をされた側の精神的苦痛の大きさによって、慰謝料が500万円に上るケースもある
  • 高額な慰謝料を望む場合は、前もって弁護士に相談し対応を協議した方がよい

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

不貞行為で慰謝料500万は妥当なのか

配偶者の不貞行為が発覚した場合、不貞行為をされた側は慰謝料請求が可能です。

ただし、慰謝料の金額は法律で規定されているわけではなく、不貞行為の回数や期間等を考慮し算定します。

慰謝料相場

不貞行為の慰謝料の金額は概ね下表の通りです。

不貞行為発覚後の状況

慰謝料の金額(相場)

夫婦が別居・離婚

100万円~300万円

夫婦が婚姻関係を維持

数十万円~100万円

ただし、あらゆる不貞行為のケースが、この相場の範囲内に収まるわけではありません。

夫婦が別居・離婚する場合には、更に高額な慰謝料が認められる可能性もあります。

請求できる可能性

慰謝料の相場を大幅に超える金額であっても、協議で双方が納得すれば請求可能な場合はあります。

協議離婚や調停離婚では子どもの親権の他、養育費の支払い、財産分与そして慰謝料についても取り決めます。

不貞行為により離婚の原因を作った配偶者が、真摯に謝罪するという姿勢を示すため、相手からの500万円に上る高額な慰謝料請求へ応じても構いません。

ただし、裁判離婚の場合は裁判官の判断で慰謝料の具体的な金額が決まります。

そのため、慰謝料を請求する側が希望する金額通りに、支払い命令が言い渡されるとは限りません。

不貞行為で慰謝料500万を請求できるケース

不貞行為で500万円にも上る高額な慰謝料を離婚訴訟で請求する場合は、主に次のような事情が考慮されます。

経済力の高さ

不貞行為をした配偶者が会社経営者であったり、役員であったりして、高い地位や高い収入を得ているならば、高額な慰謝料請求が認められる場合もあります。

もっとも、経済力があれば精神的苦痛が大きくなるということでもないので、相手の経済力が慰謝料金額に与える影響は大きくありません。

行為の期間・回数

不貞行為の期間が長く、不貞行為の相手と肉体関係を持った回数が多い場合、慰謝料が増額される要素となります。

裁判例によれば、不貞行為の期間は1年以上にわたると、概ね長期間と認められる可能性があります。

また、不貞行為の回数については、1、2回であれば少ないと評価されますし、週に何回もあれば多いと評価されるでしょう。

精神的苦痛の大きさ

配偶者の不貞行為が原因でショックを受け、不貞行為をされた側がうつ病等になった場合は、慰謝料が増額される要素となります。

現在も通院治療中である等の証明を行えば、裁判所は不貞行為をした配偶者に、高額な慰謝料を命じる可能性が高いです。

婚姻期間

婚姻期間が長い場合、それだけ良好な夫婦関係を築いてきたにもかかわらず、不貞行為をした配偶者への責任は重いと判断され、慰謝料の増額が図られる可能性もあります。

たとえば、「浦和地裁判決昭和60年1月30日」では、婚姻期間25年でかつ、諸事情も考慮したうえで、不貞行為をした配偶者に500万円の慰謝料支払いを命じています。

子どもの有無

配偶者と不貞行為の相手との間に子どもがいたならば、このケースも慰謝料増額の要素となる可能性が高いです。

子どもの存在はもちろん、子どもを堕胎したという事情も、不貞行為をされた側が受ける精神的苦痛は非常に大きいと判断されます。

不貞行為で慰謝料500万を請求するためのポイント

協議離婚や調停離婚の場合は、夫婦が納得すれば、相場よりも高額な慰謝料の支払いが認められます。

ただし、裁判離婚のため家庭裁判所に訴訟を提起したならば、増額の要素として考慮できる確実な証拠の提出が必要です。

こちらでは、確実な証拠や収集方法、請求前に弁護士へ相談する必要性について解説します。

証拠収集

訴訟を提起する側(原告)が、配偶者の不貞行為の証拠を収集します。なお、裁判離婚ではなく協議や調停で問題の解決を図る場合にも、証拠があれば離婚や慰謝料請求は有利に進められます。

裁判で確実な証拠と認められるのは、次のような画像や動画、書類等です。

  • 不貞行為をした配偶者と相手の性行為の画像や動画
  • 不貞行為をした配偶者と相手がラブホテル等に出入りする画像や動画
  • 配偶者が不貞行為を自白した録音テープ
  • 不貞行為をした相手の妊娠や堕胎に関する証明書

上記いずれかの証拠を収集できれば、裁判のときに動かぬ証拠として採用されます。

ただし、これらの証拠物は不貞行為をされた側の方で収集するのが難しいケースも多いです。そのため、探偵社等に調査を依頼し、証拠を掴んでもらう方法も有効です。

特に不貞行為をした配偶者と相手が、ラブホテル等に出入りする画像や動画は、直接性行為を撮影しているわけではありませんが、性行為を強く推認できる証拠となります。

また、探偵社等に依頼すれば、不貞行為の画像や動画はもちろん、配偶者と相手の行動をまとめた「調査報告書」が取得できます。

この調査報告書自体、重要な証拠書類として裁判でも通用するものが多く、慰謝料増額のための重要な資料になる可能性があります。

弁護士への相談

不貞行為をした配偶者に高額な慰謝料請求を行いたい場合は、まず弁護士に相談してみましょう。

離婚問題に詳しい弁護士は夫婦の事情をヒアリングしたうえで、次のようなアドバイスを行います。

  • 夫婦の婚姻期間、配偶者が不貞行為を開始したと思われる期間等を考慮し、請求可能な慰謝料の金額を算定する
  • 高額な慰謝料請求のために必要な証拠物を説明する
  • 証拠が集まっていない場合、提携している探偵社の紹介をする
  • 証拠を集めたうえで、協議や調停、裁判で解決を図るポイントについて解説 等

まとめ

今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、不貞行為をした配偶者へ、高額な慰謝料請求を行うためのポイント等について詳しく解説しました。

裁判離婚で高額な慰謝料請求が認められるためには、配偶者と不貞行為の相手との性行為に関する証拠が必要です。

不貞行為に関するやり取り(例:SNSやLINE、メール等)を集めるだけでは、有力な証拠とはならないので注意しましょう。

配偶者に高額な慰謝料請求を行いたいなら、まずは弁護士に相談し、今後の対応を話し合ってみてはいかがでしょうか。

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