不倫の手切れ金を請求するには?請求されたら?弁護士が解説します

最終更新日: 2024年01月27日

不倫の手切れ金を請求するには?請求されたら?弁護士が解説します奥さんを取るのは許せない
別れたのに嫌がらせをしてくる
夫の不倫相手がストーカーになって怖い

不倫関係は平和的に解消されることもあれば、このようにトラブルになることもあります。揉めてしまったときには話し合いだけでは解決が難しく、手切れ金が解決手段となります。

今回は、不倫などの男女問題を数百件解決してきた専門弁護士が手切れ金について網羅的に解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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不倫で手切れ金が問題となるのはどのようなケース?

一口に手切れ金といってもそれを支払う目的や要求する人は一通りではありません。まずは、不倫において手切れ金が問題となるパターンについて見てみましょう。

不倫を解消するために支払う手切れ金

不倫を解消する際に、配偶者がいる方から不倫相手に対して手切れ金を支払うケースです。

特に不倫相手から求められている場合でなくとも、不倫相手に手切れ金を支払うことがあります。

不倫を解消するにあたって不倫相手の気分を害し、配偶者に不貞行為をばらされたり、ストーカー化することを防ぎ、後腐れなく終わらせるために支払われるのです。

不倫解消に納得がいかないから手切れ金を請求する

次に、不倫の解消に納得のいかない不倫相手が、別れるのであれば慰謝料を払えと請求するケースです。

将来の結婚の話もしていたのに結局今の夫婦関係を選んだり、急に連絡がつかなくなって一方的に不倫を解消されたりした場合には、不倫相手は辛い思い、悔しい思いをします。

そこで、償いとして手切れ金を求めるのです。その際には、手切れ金を払わないなら家族や職場にばらすなどの脅しが使われることがよくあります。

不倫に使ったお金の返還を求める場合

不倫をしていた男性によく見られるのですが、女性から不倫の解消を求められたところ、それまでに女性のために使ったホテル代、飲食代などのお金を手切れ金として返すよう求めることがあります。

散々お金を使わされたのに関係を切られたことで、お金を騙し取られたような感覚になるようです。

不倫された配偶者から支払う場合

最後は、不倫をされた配偶者が不倫相手に手切れ金を支払うケースです。

不倫解消に納得のいかない不倫相手がストーカー化して、配偶者に執拗に連絡をしてくることがあります。

このような場合、特に子どものいる家庭の場合には、家族に危険が及ぶことを恐れて、不倫をされた被害者でありながら、金輪際、関係を断つために不倫相手に手切れ金を支払うことがあります。

配偶者が不倫相手に支払った手切れ金は取り戻せるの?

覚えのない大金が預金口座から出ている、保険が解約されている、借金が見つかったなどをきっかけに、配偶者が過去に不倫相手に手切れ金を支払っていたことが発覚することがあります。

不倫をされた配偶者としては手切れ金を家計に取り戻したいと考えるでしょうが、不倫相手への贈与となっていますので、手切れ金をそのまま取り戻すことはできません。

しかし、不倫をされた配偶者は不倫相手に慰謝料請求をすることができますので、慰謝料として不倫相手からお金を取り戻すことは可能です。ただし、手切れ金の金額が高額だった場合には慰謝料金額が手切れ金額に届かないかもしれません。

不倫の手切れ金は払う義務があるの?

手切れ金を請求されたら払う必要があるのでしょうか。手切れ金の支払いを拒否されたら、裁判をして手切れ金を請求できるのでしょうか。

ここでは手切れ金の法的根拠についてご説明します。

手切れ金に法的根拠はない

お金の請求に法律的な根拠がある場合、相手が支払わないときには、その支払いを裁判所から命じてもらうことができます。

不倫関係は法律上は違法な関係で法律で保護される関係ではありませんから、その関係を解消するために支払う手切れ金に法的根拠はありません。そのため、相手が支払わないというのであれば、それ以上、手切れ金の支払いを求める手段はありません。

もっとも、相手が手切れ金の支払いについて合意したときは、法的根拠が発生します。

つまり、手切れ金を支払うという契約が成立しますので、その支払いをしなかったときは契約に基づいてその支払いを裁判所から命令してもらうことができるのです。

手切れ金に法的根拠がある例外

不倫の手切れ金には原則として法的根拠はないのですが、例外的に法的根拠が認められるケースがあります。それは、既婚者でありながら独身と偽っていた場合に、慰謝料として手切れ金を請求するケースです。

既婚者であれば性交渉に応じていなかったという相手としては、その貞操権、性的意思決定の自由を侵害されたことになり、騙していた相手に対して慰謝料を請求することが法律上できるのです。

不倫の手切れ金の相場は?

手切れ金を請求したい方も、手切れ金を請求された方も、果たして幾らが妥当なのかと手切れ金の相場については気になることでしょう。

不倫の慰謝料のように法的根拠はありませんので、この場合なら幾らという相場ありません。不貞の継続期間、不貞に至った責任の割合、支払う方の経済力、どれくらい穏便、内密に不倫を清算したいと思っているかという要素から手切れ金の額は決まります。

経済力のある方であれば100万円や300万円を手切れ金として支払うことも多くありますし、500万円以上を支払ったという例もお聞きします。他方、平均的な経済力の方であれば20万円や30万円を手切れ金として支払うことが一般的です。

不倫の手切れ金の税金

不倫の手切れ金の税金についてもご説明します。

精神的苦痛に対する損害賠償である慰謝料を支払ってもらっても税金は課税されません。しかし、手切れ金の場合は、先ほどの説明のとおり例外的に法的根拠のある慰謝料の場合もありますが、原則として、慰謝料ではありません。

そのため、通常の手切れ金は、単なる金銭の贈与となります。贈与ですから110万円を超える金額については、手切れ金を受け取った人は贈与税を課税されてしまうのです。

手切れ金の金額を決めるにあたっては贈与税についても考慮すべきでしょう。

不倫の手切れ金を請求するリスク

不倫の手切れ金を請求するにはリスクもあります。このようなリスクを踏まえて、手切れ金の請求をするか、また請求する際の言動について検討しましょう。

恐喝や脅迫で逮捕されるリスク

不倫解消を求められた不倫相手としては、怒りの感情が強く出て、つい家族や会社にばらされたくなければ手切れ金を払え、手切れ金を払わないなら自宅に行くなどと言ってしまいがちです。

このような言動をとってしまいますと、恐喝罪や脅迫罪、またストーカー行為として逮捕されてしまうリスクがあります。

大事になるのは避けたいだろうから警察には相談しないだろうと考えるかもしれませんが、追い詰められて警察に相談する方は意外と多くおられます。やり過ぎはリスクがありますので、気を付けましょう。

慰謝料請求をされるリスク

不倫相手は、不倫をされた配偶者から慰謝料を請求される立場にあります。

あまりに手切れ金が高額な場合、大きなお金の動きを配偶者に怪しまれて浮気がばれたり、金策を断念して配偶者に浮気を白状することがあります。すると、不倫をされた配偶者から慰謝料請求を受けることになります。

既に配偶者に知られた以上、交際相手としては怖いもの無しになり、もはや手切れ金を支払う動機がなくなります。その結果、不倫相手は、手切れ金は得られず、慰謝料を支払うだけとなってしまいます。

あまりに高額な手切れ金を請求することにはこのようなリスクがあるのです。

不倫の手切れ金の支払い前に必ず示談書を!

手切れ金を支払ったのに不倫相手から連絡が止まなかったり、追加の支払を求められることがあります。

また、手切れ金を支払うと約束したのに支払いがなかったり、支払ってもらった手切れ金を返せと言われることがあります。

このような事態を防ぐために、手切れ金を支払う方も、手切れ金の支払いを受ける方も、手切れ金の支払い前に必ず合意内容をまとめた示談書として書面にまとめましょう。

示談書の内容には以下の点を盛り込みます。

  • 解決金として○○円を支払うこと
  • 今後お互いに手段を問わず連絡、接触しないこと
  • 不倫関係について第三者に他言しないこと
  • 接触禁止や他言禁止に違反したときは違約金○○円を支払うこと
  • この示談書に記載の他、お互いに何らの債権債務関係もないこと

手切れ金には法的根拠はありませんが、このように示談書に解決金として幾ら支払うと記載をしておけば、この示談書が法的根拠となります。

そのため、もし手切れ金の支払いがなかったり、返すよう求められても示談書があれば対処することが可能となります。

不倫の手切れ金を請求されたら弁護士を立てましょう!

金輪際、不倫相手との関係を断つために手切れ金を支払ったのに、不倫相手からの連絡が止まないというケースはよくあります。

お金で関係を切られたことにやはり納得がいかなかったり、この程度の金額ではやはり納得がいかないから更に払って欲しい、やはり別れたくないなど様々な理由があります。

このように当事者間で手切れ金を支払って和解をしても蒸し返してしまうケースが本当によくあります。これでは手切れ金を支払った意味がありません。

弁護士を入れて大事にしたくない、弁護士を入れたら不倫相手がいっそう激怒するのではないかなどの心配があるかもしれません。しかし、弁護士に相談した段階では、より深刻な事態にまで至っていることがほとんどです。

初期の段階で弁護士が間に入り、不倫相手の考えや気持ちをくみ取り、最終的に双方納得の上で示談書を作成した場合には、不倫相手が蒸し返してくる可能性はとても低くなります。

そのため、不倫解消で揉めたときには、勇気を出して初期の段階から弁護士に依頼をして対応することが最善の解決に近づくと考えるべきでしょう。

まとめ

以上、不倫の手切れ金について網羅的に解説しました。

不倫解消の場面では感情が強く出て当事者だけではスムーズな解決が難しいことがほとんどです。警察や救急車が出動する最悪の事態に至るケースもあります。

このような事態を避けるためにも、不倫解消で揉めたときには初期段階から不倫問題専門の弁護士に相談することをお勧めします。当法律事務所は全国対応で、土日も電話、LINE、メールで24時間相談受付をしておりますのでお気軽にお問合せください。

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