不倫問題での脅し・脅迫への対処法を専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月06日
職場や家族に不倫をばらすと脅されている
不倫をばらす脅しは犯罪じゃないの?
不倫をばらすと脅されたらどうすればいいの?
不倫問題の当事者となった場合、不倫相手や不倫相手の配偶者から脅される状況に陥ることがあります。
当然、そのような事態になるとは想像もせず不倫を始めていますので、いざそのような事態に陥ったときには、事の性質上、誰にも相談できず一人で悩むことになります。
そこで今回は、不倫問題で脅しにあった場合の対処法について不倫問題を数百件解決してきた専門弁護士が解説します。
不倫で使われる脅し・脅迫の内容
まずは、不倫で最もよく使われる脅しの内容について見てみましょう。
- 家族に不倫をばらす
- 職場に不倫をばらす
- SNSに不倫を暴露する
家族に不倫をばらす
配偶者がいるのに不倫をしている相手に対して、不倫を配偶者などの家族にばらすという脅しです。
ほとんどの場合、不倫は配偶者に隠れて行われ、配偶者に知られることは何としても避けたいと考えています。そこに付け込んで不倫を配偶者にばらすと脅し、自分の要求を受け入れさせようとします。
職場に不倫をばらす
次に職場に不倫をばらすという脅しです。
社内不倫の場合には不倫を知られてしまいますと、職場によっては懲戒処分の対象になる可能性がありますし、そうでなくとも制裁人事を受けたり、同僚から白い目で見られるなど様々な不利益を被ります。
そのため、職場に不倫を知られることは何としても避けたいと考えます。そこに付け込んで職場に不倫をばらすと脅し、自分の要求を受け入れさせようとします。
SNSに不倫を暴露する
3つ目はSNSに不倫を暴露するという脅しです。
SNSは拡散力が強いため、一度投稿されてしまうと瞬く間に多数の人に情報が伝わります。そして、一度拡散したものは後から収集して消し去ることができません。
個人が特定される内容で不倫について投稿されてしまうと長期に渡って不倫の事実がインターネット上に残ってしまいます。そうとなれば、家族に不倫を知られるだけでなく、仕事の関係者、知人、友人にも知られる可能性があります。
そのような事態になる恐怖心に付け込んで、SNSに不倫をばくろすると脅し、自分の要求を受け入れさせようとします。
不倫相手や元不倫相手からの脅し・脅迫
不倫関係は配偶者との関係でも社会的にもいけないことのため、そこに付け込まれて脅されることがよくあります。ここでは不倫相手や元不倫相手からの、よくある脅しについて見てみましょう。
- 脅しで別れさせてくれない
- 脅しで手切れ金を要求される
- 離婚しろと脅される
- 新しく恋人つくったら脅された
- 復縁しろと脅される
脅しで別れさせてくれない
配偶者のある人が不倫関係を解消しようとしたところ、別れたくない不倫相手が別れるなら家族や職場にばらすなどと言って、不倫関係を続けさせようとする脅しです。
脅しで手切れ金を要求される
配偶者のある人と不倫をしていた相手が不倫関係を解消されたときに、家族や職場にばらすと言って、手切れ金を要求する脅しです。
離婚しろと脅される
配偶者と離婚すると言っているのにいつまで経っても離婚しようとしない相手にしびれを切らして、離婚しないなら配偶者に不倫をばらすと言って、早く離婚させようとする脅しです。
新しく恋人つくったら脅された
不倫関係を解消した後に、不倫をしていた既婚者が新しい相手と不倫関係になった場合に、不倫関係を解消されたことへの腹いせ、あるいは復縁を求めて、不倫を家族や職場にばらすと脅す場合があります。
また、既婚者が不倫をしていた場合に、不倫関係を解消された後、独身の不倫相手が新しい恋人をつくったことを恨み、その元不倫相手や新しい恋人に危害を加えると脅すことがあります。
復縁しろと脅される
不倫関係を解消した後、不倫していたことを家族や会社に言う、あるいは相手に危害を加えると脅して、復縁を求めることがあります。
不倫された配偶者からの脅し・脅迫
ここまでは不倫当事者間での脅しの種類について見ましたが、不倫相手が不倫をされた配偶者から脅されるケースもよくあります。ここではそのようなケースについて見てみましょう。
- 慰謝料を払えと脅される
- 退職しろと脅される
- 自宅に乗り込むと脅される
慰謝料を払えと脅される
一つは、慰謝料を払えと脅されるケースです。
不倫をした場合、もちろん慰謝料は払わなければならないのですが、300万円や500万円などの相場よりも高額な慰謝料を提示して、支払わないのであれば家族や職場に不倫をばらすなどと脅して支払わせようとするケースがあります。
退職しろと脅される
二つ目は職場を退職しろと脅されるケースです。
職場不倫の場合、不倫をされた配偶者としては当然、不倫相手に職場を辞めてもらいたいと考えますので、自分から辞めないのであれば会社に不倫の事実を報告するなどと脅して、自ら退職させようとするケースがあります。
自宅に乗り込むと脅される
三つ目は自宅に乗り込むという脅しです。
不倫をされた配偶者が激怒し、不倫相手の自宅に乗り込む、危害を加えると脅す、更に怖い場合には包丁を持って怒鳴り込むぞと恐ろしい言葉をならべられるケースもあります。
不倫で脅すのは犯罪では?
以上、不倫当事者間での脅しや不倫された配偶者から不倫相手への脅しにどのようなものがあるのか見てきました。
それは犯罪じゃないの?と思った方もおられることでしょう。
実際、不倫問題で脅しをしてしまい警察に逮捕されたというケースや逮捕までは至らずとも警察に連行されたというケースはしばしばあります。それほど不倫問題は大きな怒り、憎悪の感情が関わる問題なのです。
身体に危害を加えるという脅しは脅迫罪(刑法第222条1項)となり、二年以下の懲役又は30万円以下の罰金を科される可能性がありますし、職場や家族にばらされたくなければ職場を辞めろという脅しは強要罪(刑法第223条1項)として3年以下の懲役を科される可能性があります。
職場やSNSなど不特定又は多数の人に不倫の事実をばくろした場合には、名誉棄損罪(刑法第230条1項)として3年以下の懲役・禁固又は50万円以下の罰金を科される可能性があります。
また高額な慰謝料を払えと脅す場合には、恐喝罪(刑法第249条1項)として、10年以下の懲役という重い刑罰を科される可能性があります。
さらに不倫当事者間でする場合あっても、不倫をされた配偶者が不倫相手に対してする場合であっても、執拗につきまといをすればストーカー規制法違反として1年以下の懲役又は100万円以下の罰金を科される可能性があります。
このようにいずれの脅しも何らかの犯罪になる可能性が十分あります。
不倫で脅されたらときの対処法
このように犯罪にもなりうる脅しを受けている場合、そして家族や職場に知られることは避けたいという場合、どのような対処法があるのでしょうか。
- 弁護士を立てる
- 警察に守ってもらう
- 自らばらしてしまう
- 損害賠償請求をする
弁護士を立てる
不倫問題においては不倫という人には知られたくない弱みがあることから、不倫当事者間であれ、不倫された配偶者と不倫相手との関係であれ、脅す人と脅される人との関係は対等ではありません。
そのため、当事者間で解決しようとしても弱い立場にある脅されている側としてはどうしても強く対抗することができず、一方的に譲歩をせざるを得ないことになります。これでは、脅す側の思う壺です。
そのため、このような場合には代理人として弁護士を立てることが有効な対処法となります。法律の専門家である弁護士が出てくることで、脅す側としても下手な言動はできなくなり、冷静さを取り戻し、解決に向けた建設的な話し合いが可能になるケースは多くあります。
警察に守ってもらう
もう一つは警察に助けを求める対処法です。先ほどもご説明しましたとおり、脅しの言動の多くは犯罪になりうるものです。
現に警察が検挙に動くためには犯罪に該当するという証拠が必要ですが、証拠が無い場合も相手方に連絡をして注意をしてくれる場合があります。そうすれば相手方としてもこれ以上脅せば逮捕されるかもしれないと思い、脅しが止まることを期待できます。
代理人として弁護士を立てた場合も、弁護士から警察に協力を求めることもあります。
自らばらしてしまう
不倫を知られたくないという弱いに付け込まれて脅されます。そこで、対処できなくなったときは家族や職場の上司に不倫を報告してしまうという最終手段としての対処法をとる方もおられます。
自らばらしてしまえば、もはや脅す材料がなくなりますので、脅されることはありません。
損害賠償請求をする
脅しに屈しなかったところ、とうとう家族や職場に不倫をばらされたり、SNSに不倫を暴露されたりするケースはあります。
職場にばらされた結果職場を辞めることになってしまったときは、不倫をばらした人に対して半年分や1年分の給料相当額の損害賠償請求ができる可能性がありますし、名誉棄損の慰謝料も請求できる可能性があります。
まとめ
以上、不倫問題における脅し、その対処法などについて解説しました。
不倫で脅されているときは、取り返しのつかない事態となる前に、できるだけ早期の段階で不倫問題を専門とする弁護士に相談することが最善の解決につながります。