暴行罪の示談金の相場は?金額に影響する要素や減額する方法も詳しく解説
最終更新日: 2024年11月05日
- 暴行罪で逮捕されてしまった、なんとか罪を軽くする方法はないか
- 被害者と示談して解決したいが、方法がわからない
- 示談を成功させるため、弁護士を立てた方がよいのだろうか
何らかの理由で相手に怒りを覚え、相手に掴みかかったり、小突いたりして仲間に制止された・・・、そんな経験をした人もいるでしょう。
相手に暴力をふるってしまうと、「暴行罪」で逮捕されるおそれがあります。暴行罪で有罪となったら、最悪の場合は懲役刑に処されるかもしれません。
そこで今回は、数多くの暴行事件に携わってきた刑事事件の専門弁護士が、暴行罪を示談で解決する際の示談金の相場、暴行罪で示談金を支払うときの流れ等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 暴行罪の示談金額には被害者の治療費、医療費も考慮に入れる
- 暴行事件の示談金額の相場は10万円~30万円程度
- 弁護士に示談交渉を依頼すれば、示談が成立する可能性が高まる
暴行罪とは
暴行罪の定義
暴行罪とは、他人に暴力を振るったときに成立する犯罪です。
法律では、殴る、蹴る、突き飛ばすなど、身体に直接的な力を加えたり、物を投げつけたりして相手を脅したり、不快な思いをさせた場合に暴行罪が成立するとされています。
相手に怪我をさせたかどうかではなく、暴力を振るったという事実が重要で、 たとえ相手が少しも怪我をしてなくても、暴行罪になることがあります。
暴行罪の具体例
暴行罪の最も一般的な例として、殴る、蹴る、叩く、引っ張る、突き飛ばすなど、相手に物理的な力を加える行為が挙げられます。
また、直接相手の身体に接触していなくても、物を投げつける、熱い飲み物をかける、髪の毛を切るなど、相手に痛みや恐怖を与える行為も暴行罪に該当します。
他にも、大きな声で怒鳴る、威嚇するようなしぐさをする、侮辱的な言葉を浴びせるなど、精神的に相手を追い込む行為も、場合によっては暴行罪が成立する可能性があります。
暴行罪の刑罰
暴行罪の刑罰は、法律で「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」と定められています。
懲役とは、刑務所に入ること、罰金は、お金を支払うこと、拘留や科料も、それぞれお金を支払ったり、拘留所に入ったりする刑罰です。
初犯で、被害者が軽傷の場合などは、罰金刑になることが多いですが、状況によっては懲役刑になることもあります。
傷害罪との違い
暴行罪と傷害罪は、どちらも相手に物理的な力を加える行為ですが、その結果に違いがあります。
暴行罪は、相手に直接的な力を加え、身体的な接触や痛みを与える行為を指します。
一方、傷害罪は、暴行の結果、相手に怪我をさせた場合に成立する罪です。打撲、切り傷、骨折など、身体に何らかの損傷が生じた場合が該当します。
暴行罪と傷害罪の大きな違いは、被害者に怪我をさせたかどうかにあります。
示談金とは?慰謝料と違い
示談金とは、交通事故など、何らかのトラブルで被害を受けた人が、加害者から受け取るお金の総称です。治療費、休業損害、そして慰謝料など、様々なものが含まれます。つまり、示談金は、被害者が受けた全ての損害に対する補償金と捉えることができます。
一方、慰謝料は、示談金の一部であり、精神的な苦痛に対する補償金です。交通事故で怪我をした場合、肉体的な痛みだけでなく、精神的なショックや不安も伴います。この精神的な苦痛に対する補償が慰謝料です。
暴行罪の示談金相場
「暴行罪の示談金は一律〇〇万円」と決まっているわけではありません。暴行を受け、その後どのような事態となったかなどの事情を個別に判断し、示談金額が決められることになります。
被害者が治療を受けた場合
示談金の内訳は、主に被害者への慰謝料や治療費、医療費等になります。
治療を受けたとすれば、「加害者は傷害罪で逮捕されるのでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし、被害者が打撲やかすり傷、アザなどの軽い怪我をしているものの、診断書を警察に提出しなかったため、傷害罪でなく暴行罪として立件されるケースもあります。
つまり、暴行罪で立件されたとしても、被害者が治療費・医療費を支払っている場合があるので、これらの費用も加算する必要があるのです。
被害者が治療を受けた場合は、約10万円〜30万円が示談金の目安となるでしょう。
被害者が治療を受けていない場合
加害者が被害者の胸ぐらを掴んだ、胸のあたりを小突いたという事件では、被害者が怪我をしたというケースは少ないでしょう。
病院での医療行為にまで至らなかったというケースでは、治療費や医療費が発生しないので、示談金額は低めになります。
それでも、約10万円〜20万円が示談金額の目安です。被害者を暴行した以上、数万円の示談金では、とても被害者側は納得しないでしょう。
暴行罪で示談金に影響する要因
被害者が治療をしたか否かだけでなく、怪我の程度や加害者との関係、加害者の立場等も、示談金額に影響します。
怪我・被害金額の程度
暴行罪の示談金額に大きな影響を与えるのは、被害者の怪我の状態です。怪我が重いほど治療に要する費用は大きくなります。
たとえ診断書を警察に提出していなくとも、怪我の状態を無視して示談金額を決めることはできません。
怪我の状態が深刻であれば治療費も高額となり、その分示談金も高くなります。怪我の重さは金額換算しやすい要素です。
被害者の処罰感情
加害者に対する処罰感情は、同じような暴力事件でも、個々の被害者によって大きく違ってきます。
加害者が懲役刑となるような暴行事件を起こしても、処罰感情が小さい被害者もいます。一方で、軽い犯罪でも処罰感情が大きく「絶対に許さない!」と憤る被害者もいるのです。
被害者ごとに処罰感情はかなり異なりますが、その原因を作ったのは加害者です。
交渉のときは処罰感情も加味した示談金額の提示が必要になります。ただし、単に示談金額を引き上げるのではなく、被害者へ真摯に謝罪し許しを請い、処罰感情を和らげる努力が大切です。
被害者との関係性
加害者と被害者が見知らぬ者同士の場合は、加害者が暴行に及んだ責任は大きく問われる可能性が高いです。
一方、加害者と被害者が友人・知人同士だった場合、気を許せる間柄だった分、ささいな口喧嘩から暴行に至ったとして、示談金額が低く抑えられる可能性もあります。
加害者の立場
加害者の社会的地位・前科の有無も、考慮しなければなりません。
たとえば、加害者が経済的に余裕のある経営者の場合と、アルバイトや親からの仕送りで生計を立てている大学生の場合とでは、同じ示談金額でも重みが違います。
大学生なら十分反省していると考えられる示談金額も、裕福な社会人の場合は謝罪にならないほど低い金額に過ぎない、とみなされる場合もあるのです。
加害者が、経営者など社会的地位のある場合や、過去に同じような前科がある場合は、反省の意思を明確に示すため、通常より高めの示談金が必要とされる可能性があります。
暴行罪で示談金を支払う流れ
示談交渉は、暴行罪で逮捕される前でも、逮捕された後でも行うことが可能です。ただし、示談に応じるかどうかは被害者次第です。
被害者が示談に応じないままだったり、交渉が決裂したりした場合は、捜査機関の手続きがどんどん進んでいきます。そして、検察官の判断で起訴され、刑事裁判となる可能性もあります。
そのため、なるべく早く示談の準備を始め、被害者に交渉に応じてもらえるよう働きかける必要があるのです。
被害者への連絡
まずは被害者へ示談の話し合いをしたいと連絡しましょう。被害者が知人等なら電話番号は知っているでしょう。
しかし、被害者とまったく面識がない場合は、連絡ができずに交渉に躓いてしまうかもしれません。
なぜなら、逮捕後であっても、警察官が加害者本人に被害者の連絡先を教えることはないからです。加害者本人が被害者と接触するのは非常に困難です。
仮に被害者の連絡先を知ることができても、被害者は加害者への怒りや恐怖から、示談を拒否する可能性が高いでしょう。
したがって、加害者本人だけで何とかしようと考えず、すぐに弁護士に示談交渉を依頼するようにしましょう。
示談交渉
被害者が示談に応じたときは、まずは加害者が真摯に謝罪しましょう。その後、交渉を進めていきます。
加害者として、被害者の怪我の程度や自分の立場等を十分考慮し、被害者が納得できるような示談金額を提示することが大切です。
1回の交渉で合意が得られないときは、示談条件・金額を見直し、交渉を続けましょう。
示談成立
示談条件・示談金額を被害者側が納得し、協議が成立したら示談書を作成します。
示談書の作成は法律で義務付けられていませんが、示談成立後に加害者・被害者双方の認識の違いや、後々のトラブルが生じないように必ず文書化しておきましょう。
また、示談書を作成しておけば、警察や検察に示談が成立した証拠として提出できます。
示談書には、主に次のような内容を明記しましょう。
- 加害者・被害者の氏名等
- 加害者は示談金を支払い、被害者は被害届を取り下げる等の合意内容を明記
- 示談金額および支払方法・期日を明記
示談書の内容を加害者・被害者が再度確認し、署名・押印すれば完成です。
支払い
示談書を取り交わしたら、明記された示談金額・支払方法・支払期日に従い、示談金を約束通り支払います。
加害者だけではなく被害者も、もちろん示談書に明記された合意内容(例:被害届取下げ)を実行しなければなりません。
暴行罪で示談金を減額交渉する方法
示談が成立すれば、不起訴になるか、起訴されたとしても減刑が期待できます。
ただし、加害者本人が直接被害者と交渉することは難しいでしょう。一刻も早く示談を成立させるためには弁護士のサポートが欠かせません。
弁護士は適正な示談金額を熟知しているので、高額な示談金でなければ応じないと主張する被害者に対しても、適切に減額交渉ができます。
専門弁護士による代理交渉
法律の専門家である弁護士に示談交渉を依頼すれば、被害者との交渉を円滑に進めやすくなります。
弁護士に示談交渉を任せるメリットは、主に3つあります。
- 感情的にならず交渉ができる
- 相場を参考にして、適正な金額での示談交渉ができる
- 示談の早期成立が期待できる
逆に加害者・被害者が直接交渉すると、お互いがエキサイトしてしまい全く交渉が進まなくなるリスクがあります。
弁護士が交渉の窓口となれば、加害者本人が直接被害者と会う必要はありません。また、被害者側も弁護士が相手なので冷静に交渉しやすくなるでしょう。
また、弁護士は暴行罪に関する示談相場を熟知しているので、加害者が考えていたよりも低い金額で、示談をまとめる可能性があります。
当然、示談の手順も知り尽くしており、弁護士に任せれば早期の示談成立が期待できるのです。
被害者側の意見を尊重する
弁護士のサポートを受けたほうが、示談金の減額交渉を進めやすいのは確かなことです。
しかし、暴行罪を起こしたのは加害者本人の責任ですから、示談金額の引き下げだけにこだわるべきではありません。何よりも真摯な反省を示すことが重要です。そのためには、被害者側の望む示談金額をできるだけ尊重することも必要です。
このような姿勢をみせれば、被害者の加害者に対する処罰感情も軽減されるでしょう。
暴行罪の示談金でお悩みなら専門弁護士へ依頼を
今回は多くの暴行事件に携わってきた刑事事件の専門弁護士が、暴行罪の示談金の相場、示談交渉の流れ、示談を円滑に進めるポイント等について詳しく解説しました。
示談が成立しないと、加害者の立場は不利になります。暴行罪で起訴され、懲役刑または罰金刑が確定してしまうと前科がついてしまうのです。前科が付けば、自分だけでなく家族の人生にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。
暴行事件を引き起こしたら、被害者との示談を早期に成立させることが肝要です。暴行事件の影響を最小限に止めるために、早めに弁護士にサポートを依頼することをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。